致命的な損傷だった。
『シナノ』の攻撃を艦の前面に集中的に受けたことで、クラインフィールドが瞬く間に飽和。
強制波動装甲は意味を成さず、かつて受けたことが無い程のダメージを受けた。
発令所の天井――言うまでも無く、艦の中枢――にまでその衝撃は達した。
「ぷあ……っ」
不味かったのは、海水が雪崩れ込んで来たことだ。
ここまで艦に穴が開くと、スミノのダメージコントロールも間に合わない。
海水特有の重みを全身に感じながら、紀沙は僅かに残った隙間に顔を出した。
クルーが顔を出さないかとあたりを見渡し始めると、次の展開が来た。
がくん、と、イ404の艦体が大きく傾く。
それは次いで細かな振動に変わり、お腹の底が持っていかれるような感覚になる。
浮いているのだと気付いたのは、海水が引いていったからだ。
開いた穴から逆に海水が流れ出すと、発令所の床に投げ出された。
気がつくと横に倒れていた梓に腰を抱えられて、そのまま外に飛び出さずに済んだ。
「く……っ」
見てみると、恋も冬馬もそれぞれ何かに捕まって無事だった。
全身ずぶ濡れだが、そんなことは気にしていられない。
「艦長殿」
そして、いつの間にかスミノが傍にいた。
こんな状況でも平然としているのは、流石と言うべきだろうか。
彼女の視線は、穴が開いた天井の先に向いていた。
スパーク混じりのエネルギーの渦の先に、灰色に輝く艦体が見える。
「あれが、『シナノ』」
三番目も超戦艦だ。
そして艦体の各部から雷のような発光が見えるのは、機関の出力が上がっている証だ。
霧の艦艇があのような形で出力を上げているのは、超重力砲を起動させている証でもある。
つまりイ404は今、『シナノ』のロックビームの中にいるのだった。
これは、いかにも不味い事態だった。
侵蝕弾頭の武装は先程すべてを使ってしまった。
残るはスミノのナノマテリアルを使っての振動弾頭だが、『シナノ』にどこまで効果があるのかはわからない。
そもそも、この艦の状況では精緻なナノマテリアル・コントロールは難しい。
「おい、ちょっと待てよ。『シナノ』って戦艦じゃねーのか? でも、あれは……」
冬馬の言葉通り、『シナノ』は超戦艦と呼ばれる以上は戦艦の形をしているはずだ。
実際、これまではそう見えていたはずだ。
だが今、紀沙達の目に見えている『シナノ』の姿は――――。
◆ ◆ ◆
主砲を含む甲板上の物はナノマテリアルに溶けて、艦橋の位置も片側に大きく寄っている。
そして新たに形作られた甲板は平らで、滑走路が描かれたそれは飛行甲板だった。
そう、『シナノ』は戦艦では無かった。
航空母艦――いや。
「海域強襲制圧艦『シナノ』……あり得ないコアの出力はそう言うわけか」
海域強襲制圧艦とは、霧の艦隊における「元空母」を意味する艦種だ。
かつて航空機を運用していた彼女達は、航空機そのものにはクラインフィールドを張れない――つまり人類の対空砲を防げない――と言う理由から、空母としての自身の運用を放棄したのだ。
彼女達のコア出力は、大戦艦級の倍とも言われている。
数十から数百の航空機運用能力をやめたことで、その分を他に回せるようになったためだ。
その結果、文字通り海域1つを単艦で制圧できるだけの戦闘能力を有するようになった。
そして『シナノ』もまた、その海域強襲制圧艦だった。
通常の海域強襲制圧艦のコア出力が大戦艦級の倍、と言うことは……。
「『ムサシ』の倍は強いってことか!?」
「そこまで単純では無いだろうが、だが」
あながち、「『ムサシ』の倍」と言う表現は間違っていないかもしれない。
群像をしてそう思えるほど、『シナノ』は理不尽に強かった。
今のイ404のように近接戦を仕掛けても、侵蝕反応を無効化されては致命打を与えられない。
遠距離戦は元より不利、砲雷撃戦では物量で圧倒されてしまう、超重力砲も効かない。
「……間違いなく、過去に出会った中で最強の霧だ」
正直、打つ手が無かった。
こうなれば倒すことは諦めるしかない、群像は早々にそう判断した。
ただ、『シナノ』が停戦の交渉に応じないだろうとも思った。
彼女は戦いそのものに意味を見出している、何かを果たさない限りやめないだろう。
問題は、それが何か、と言うことだった。
「……ッ」
「イオナ、どうした」
「すまない群像、距離を見誤った」
イ401の艦体が大きく振動を始める。
イオナが顔を顰めるのも、無理は無かった。
まさか、この距離で『シナノ』のロックビームにかかるとは思わない。
と言うより、異常だ。
「『シナノ』の超重力砲の範囲は、
超重力砲は極めて拾い範囲に影響を与える。
しかし、『シナノ』のそれは桁違いに拾い。
まさに、単艦で海域を制圧してしまっている。
しかもその影響下では、こちらは何も出来ないのだ。
絶対無敵の重力子空間、その支配者の名が『シナノ』だった。
◆ ◆ ◆
そして、現在に至る。
イ404は艦体を砕かれたままどうすることも出来ず、イ401は今にも『シナノ』の不可視の圧力によって潰されてしまいそうに見える。
トーコとヒュウガの援護は期待できない、付近に他の味方はいない。
絶体絶命だった。
アメリカに振動弾頭を渡し、ロリアンとクリミアの戦いを乗り越え。
そしてやっと、日本へ帰れると思った矢先。
こんなところで。
こんなことで、やられてたまるか……!
「『シナノ』ぉ!」
紀沙は、霧の世界へと意識を飛ばした。
以前よりずっと速く、ずっと澱みなくもうひとつの世界へ入ることが出来た。
しかし。
「……ッ!?」
飛び込んだ瞬間、掌に顔を覆われた。
そのまま後ろへ叩き付けられる段階になって、相手が『シナノ』であることに気付いた。
衝撃を堪え、器用に膝を折り、『シナノ』の首を狩りにかかる。
『シナノ』は紀沙から手を離し、胸を逸らしてかわした。
鼻先を紀沙の足が通り過ぎる、しかしそこには別の足――
めぎぃ、と、極めて嫌な音が響いた。
『シナノ』の顔面に両足で
だが音を立てたのは『シナノ』の頭では無く、床だった。
何故なら『シナノ』は、後頭部が床に直撃すると同時にナノマテリアルの粒子を残して消えたからだ。
「チィ……ッ」
「しゃがんで!」
舌打ちとほぼ同時、紀沙が拳銃を撃った。
スミノが頭を下げた先、再出現した『シナノ』を狙った。
2発とも、『シナノ』の肩掌で掴まれて防がれた。
それどころか『シナノ』は、ゴミでも投げるかのようなモーションで受け止めた銃弾を投げ放った。
紀沙の反射神経では同じ芸当は出来ない、身体が後ろに傾いた時、『スミノ』がお腹にぶつかってきた。
「……何よ。思ったよりも良く助け合うのね」
床に転がった紀沙とスミノを見て、『シナノ』は嗤った。
「何のつもり!?」
「別に何のつもりもないわ」
激高する紀沙に、『シナノ』は本当に何でも無いことのように答えた。
きっと睨んでみても、『シナノ』は一切様子を変えない。
そしてこうして直接に相対しているからこそ、紀沙には『シナノ』の強大さが良くわかった。
『ムサシ』とはタイプが違うが、それでもやはり、向かい合っているだけで圧倒されてしまう。
「ただ、まぁ……そうね。あえて言うのなら」
「な」
スミノが胸を貫かれた。
「に」
「な」と「に」、たったそれだけの間。
その間に『シナノ』は紀沙達の目の前にいて、掬い上げるような動作で、スミノの左胸を貫いていた。
紀沙は、微動だに出来なかった。
血が出るわけでは無いが、変わりにナノマテリアルの粒子が舞った。
「ムサシ姉の仇を討とうと思って」
本当に。
何でも無いことのように、『シナノ』はそう言った。
そして、やはり何でも無い、当たり前のことのように。
紀沙の首に、鋭すぎる衝撃が走った。
◆ ◆ ◆
現象だけを言えば、簡単だった。
『シナノ』の踵が、紀沙の首の真後ろを打ったと言うだけだ。
しかしそれだけのことで、紀沙のすべての機能は停止に追い込まれてしまった。
首の後ろのあたりから、ゆっくりと、だが確実に、
「貴女達のせいじゃ無いことはわかっているわ」
声が出ない。
指先ひとつ動かせない。
『シナノ』が自分に撃ち込んだプログラムを、
自分と言う存在を構成する何かが、バラバラに分解されていく心地だった。
「でも、貴女達がいなければムサシ姉が死ぬ必要は無かった。これも事実」
今までと違う。
掌の中に砂粒を押し留めることが不可能なように、自分と言う存在が零れていく。
ナノマテリアル、『コード』。
今回は継ぎ足されるものが何も無い。
ただ、失われていく。
自分自身が少しずつ削り取られていくような、そんな感覚。
そしてその感覚すらも、少しずつ消えていく。
消えていくのだ、自分が。
「だから私は、貴女達に復讐することにしたの」
失われていく。
今までの旅で培われてきた、「千早紀沙」と言う
止めることは出来ない。
止めることは、出来ない。
危険だ。
「残念よ、本当に。ムサシ姉は無駄死にだった……」
「『
「え?」
音だけが、遅れて届くと言う現象が起こった。
それは音の速度も電子の速度すらも超えて、ほとんど光の速度で行われた。
スミノを貫いたままだった『シナノ』の片腕が、肩先から千切れ飛んだ音だった。
視線が自身の肩に向いた時には、すでにスミノは床に落ちている。
咄嗟に、残りの片手で手刀の形を作り、振り下ろした。
肩先から胸へと崩れかけたメンタルモデルの身体を、自分で胸の辺りまで抉って切り飛ばした。
離れた部位が、ぼろぼろと崩壊していく。
まるで、先程の紀沙のように。
「……っ」
ぞっと、した。
もしあと数秒、反応が遅ければ、『シナノ』の身体は崩壊していただろう。
今の一撃には超戦艦、それも最強の海域強襲制圧艦である自分の演算力を超える、そんな崩壊因子が埋め込まれていた。
「これは、『アドミラリティ・コード』の力か」
振り向くと、倒れていたはずの紀沙が立っていた。
両足を広げ、肩を広く、やや猫背気味に。
まるで肉食の獣が獲物に跳びかかる直前の、前傾姿勢だった。
いや、事実その通りだった。
『シナノ』は、逃げた。
一も二も無く、霧の世界での主導権を放棄して逃げた。
彼女が霧としての意識を得てから、初めての逃走だった。
だが、その判断が間違っていると『シナノ』は生涯思わなかった。
もし逃げていなければ、『シナノ』は今度こそ致命の
◆ ◆ ◆
――――力が欲しいと、そう願った。
今までで培ったもので足りないと言うのであれば、
もし、自分の中にそんな力はあると言うのなら。
自分の中に眠る霧の力が、本当にそこまで大層なものだと言うのなら。
私に奇跡を見せてみろ。
それが、本当に奇跡などと言う美しいものであったのかはわからない。
ただ1つわかっていることは、イ404に異変が起こったと言うことだ。
どこからそれだけのナノマテリアルが集まったのか、イ404の艦形が変わっていた。
いや、艦形が変わったと言うのは正しくは無い。
「これは、外部装甲?」
艦全体の把握をしている恋は、かなり正確にイ404に起こった異変について理解していた。
そう、装甲である。
イ404をすっぽりと覆うように、灰色の装甲が展開されていた。
装甲全体に
しかし、恋が驚いたことはまだ他にある。
イ404には備わっているはずの無い兵器が、発射シークエンスに入っていたことだ。
大型8基、小型20基のレンズが、イ404の周囲に展開されている。
そこから円環状に放出されるエネルギーが徐々に勢いを増し、やがて一つの砲身を形作り始める。
その兵器の名を、恋は良く知っていた。
「超重力砲……?」
それはまさしく、霧の超兵器、超重力砲だった。
大型のレンズは固定されており、小型のレンズがその周囲で何かを調整するかのように細かく動いていた。
明らかに、イ401が備えている超重力砲よりも強力なものだった。
どうしてイ404に突然そんな変化が起こるのか、恋にはわからない、しかし。
「艦長!」
正面を見据えたまま――両眼に電子の光を湛えたまま――微動だにしない紀沙に、呼びかけた。
しかし返事は無い。
その代わりに帰って来たのは、高まり続ける圧力と、強まり続ける振動だけだった。
そして、エネルギーの収束が始まる。
はたして、恋の頭の片隅で不安が鎌首をもたげた。
超重力砲、なるほど強力な兵器だ。
しかし、『シナノ』に効果があるのか。
例のミラーリングシステムを前に、この超重力砲は――どうなのか!?
◆ ◆ ◆
かつて、『アドミラリティ・コード』が力の片鱗を見せた時と似ていた。
あの時のように、各地の霧達は――千早兄妹に縁が深ければ深い程、顕著になる――インド洋の西端で起こった事態に、何かを感じていた。
何が起きたのかまではわからないが、霧にとって重要なことだと言うことは理解できる。
何かが、目覚めたのだ、と。
それは霧の彼女達にとって、とても重要なことのような気がした。
そう、それは何十年も別れていた母親と再会したような。
あるいは、初めて娘と出会ったかのような。
「そうか。そうなるか」
『ヤマト』を除けば、最も千早兄妹に近しいのはこの男だろう。
翔像は、『ムサシ』艦上でそれを感じていた。
彼の娘が、彼と同じ存在に――いや、それ以上の存在に変わろうとしている。
それは、はたして進化と呼べるのだろうか。
「何なの、この不愉快な気持ち……」
『ダンケルク』と別れ、すでにアドリア海に入っていた『タカオ』も感じ取っていた。
ちりちりとした、嫌な感じだ。
不快感を煽られる。
しかし今から何を出来るでもなく、ただ見守っているしか無い。
「新たなる福音……」
「いえ、凶兆の前触れとも言えるわ」
2人の『ナガト』。
福音と凶兆、相異なる見解を見出してみせる2人は、イ404達が日本に戻る上では避けて通れない存在でもある。
もし千早兄妹が再び日本近海に達した時、事実上の極東艦隊旗艦である彼女達はどんな反応を見せるのだろうか。
その他の霧達も、この異変を敏感に感じ取っている。
それは、彼女達にとって意味を持っているからだ。
ある意味で、『ムサシ』の轟沈と同じくらいに重要だ。
何故ならば、『ムサシ』に
「嗚呼……」
そして、最も敏感にその事態を感じているだろう1隻――と言うより、2人。
霧の艦隊の中で、最も千早兄妹に関心深い2人も、当然、気付いていた。
遥かインド洋の端から発せられる、
「変わってしまうんだね、何もかもが」
『ヤマト』と、『コトノ』。
『ムサシ』亡き今、『コード』を保有する唯一の超戦艦だ。
彼女はまた、他の霧とは異なる目線で、この事態を感じているのだった。
◆ ◆ ◆
その
そして『ヤマト』は、今、紀沙に何が起こっているのかを正確に理解していた。
何故ならそれは、かつて自分の身に起こったことだからだ。
いや、正確に言えば『ヤマト』では無く……。
「紀沙ちゃん」
正確には、『コトノ』だ。
インド洋で起こっている
ついに自分の後に続く者が現れたのだと、感慨深さすら覚えている。
しかし、その表情は複雑だった。
歓喜と、後悔。
喜びと、哀しみ。
期待と、失望。
嬉しさと、切なさ。
相反する様々な感情が、その表情からは滲み出ていた。
「『シナノ』が千早紀沙を追い詰めたことで、彼女の中の『コード』が目覚めた」
「そんな生易しいものじゃないよ」
紀沙は、
『シナノ』の攻撃に耐え切れず、「千早紀沙」と言う
そこからの、バックアップと再生。
そして、復活と再構成。
あれはもはや、潜水艦『イ404』では無い。
「紀沙ちゃんは、生まれ変わったんだ。ううん、本当はもっと前から変わっていたんだよ」
ただ、自覚していなかった。
今だって、はたしてどこまで自覚しているかはわからない。
彼女の中の『アドミラリティ・コード』が、自己防衛のために起動しているだけだ。
しかし、それは紛れも無く今の彼女の力なのだ。
いつか、『ヤマト』や『ムサシ』のように自在に力を使いこなせるようになる。
ただ、それは紀沙にとっては厳しいことかもしれない
何故ならば、それは……
霧を受け入れると、言うことだから。
「いつか
「千早紀沙のことを?」
「うん。結局、想像……ううん、ただの妄想だった。けどね」
自嘲気味に笑って、『コトノ』は言った。
「まさか、こんな形で妹になるなんて思っていなかったよ。紀沙ちゃん……ううん」
1隻が神の如き能力を持つ、霧の超戦艦。
長姉『ヤマト』、次女『ムサシ』、三女『シナノ』。
そして、ついに生まれた
「霧の超戦艦――――『紀伊』」
何とも、皮肉な名前ではないか。
やはり『コトノ』は、自嘲の笑みを浮かべるのだった。
◆ ◆ ◆
『シナノ』は、ミラーリングシステムを使用する気が無かった。
と言うよりも、今の紀沙とイ404に対しては効果が無いはずだった。
何故ならばミラーリングシステムは、その特性上、
ミラーリングシステムは、任意のエネルギーを別次元に相転移させるシステムだ。
つまり簡潔に言って、「任意のエネルギー」を制御することが前提となっている。
『シナノ』自身の手に負えないようなエネルギー量は、別次元に転移させることが出来ない。
すなわち今のイ404が放とうとしている超重力砲のエネルギーは、超海域強襲制圧艦である『シナノ』の眼から見ても、異常な程に巨大なエネルギーだったのである。
「よしんば、ミラーリングシステムが機能したとしても」
おそらく、あれだけのエネルギーを相転移させた反動は凄まじいことになる。
何十もの次元に長い期間影響を与えることになるだろうし、下手を打てば、インド洋の一角に修正し難い重力場の乱れを形成してしまうはずだ。
かつて世界は平らで、世界の端から海水が滝のように落ちている姿が想像されていたらしい。
まさに、そんな世界になりかねない。
「
まるで制御されていない力の奔流を前に、『シナノ』は立ち尽くしていた。
インド洋は未だに割れたままだが、今や2隻の超戦艦の力の拮抗により、ここを中心に渦を巻き始めている。
このままでは、自然環境に深刻な影響を与えてしまうだろう。
「下手をしたら、地球ごと撃沈されてしまうかもしれないわ」
それは、流石に不味い。
別に撃沈を恐れはしないが、地球まで巻き添えにしてしまっては、
だから『シナノ』は、逃げなかった。
逃げず退かず、静かに超重力砲へのエネルギー供給をカットした。
「さぁ、来なさい『
出来れば死にたくは無いなと、『シナノ』は思った。
そう思った自分に対しておかしさを覚えて、笑った。
死の概念など、霧の艦艇にとっては
そして『シナノ』は、両手を横に広げた。
まるで、新たな家族を迎え入れようとでもするかのように。
――――そして、光は放たれた。
最後までお読み頂き有難うございます。
大和型戦艦(候補)の中に、「紀伊」を見つけた時、運命だと思いました。
最初から狙って「紀沙」を「伊号」に乗せたわけでは無いので、まさにこれは運命、ならば出さざるを得ない。
と言う訳で、第四の超戦艦『紀伊』の設定が生まれました。
今後は掘り下げていきたいですね。
それでは、また次回。