俺は雪乃に掴まれながら雪乃の家に到着した。
やはり怒っているのだろうか…。怒らないはずがない。俺がもし雪乃の立場になったら今まで無いほど怒るだろう。そのまま捨てるかもしれない。もしかしたら俺は捨てられる…。
「説明してもらいましょうか。」
「は、はい。この発端は…」
何から何まで包み隠さず雪乃に説明した。どうして一緒にいたのか、一緒に行動をして何をやっていたのか…
雪乃に信用してもらうために全て話した。これで雪乃に信じてもらえるかは分からないが、信用してもらえるように今は願うしかない。俺がここで何を言っても所詮は雪乃からしたら『嘘』になってしまうので俺は何も言えない。だが一つだけ言えることをちゃんと心に届くように伝えようとした。
「俺は何があっても雪乃が好きだから…それだけは信じてくれ」
雪乃は冷たい顔をしてこちらを見ている。こんなことで許して貰えるとは思ってないがやはり別れを切り出されそうで怖い。
「事の経緯は分かったわ。でも貴方は私と付き合ってるのに他の女性と2人でお出かけなんてダメだとは思わなかったの?」
雪乃の言っていることは正論だ。反論の余地はない。だから俺は事実だけを伝える。
「俺は雪乃が好きだ。だから一色や他の女の子に惹かれるつもりは全く無い」
「…」
どうしたら雪乃に信じてもらえるのだろう?どうしたら分かってもらえるのだろう?
俺にはその方法が分からない。
「貴方は一色さんに対して好意は抱いて無かった、ということね?」
「あぁ、天に誓ってその通りだ」
「そう…」
すぐに雪乃は泣き出してしまった。
「本当に悪かった。泣かないでくれよ」
俺は子供をあやすように雪乃をそっと抱きしめ、頭を撫でた。
「?!…もう少しそのままでいて…」
「気が済むまでいつまでも…」
「…」
「…」
10分ぐらいお互いに無言だった。すると雪乃が泣いた理由を説明し始めた。
「怖かった…貴方が他の女の子といて…由比ヶ浜さんならまだしも、明らかに貴方に気があった一色さんが貴方と一緒にいて…心の底から怖くなってしまった。その気持ちをさらに強くするかのように一色さんが貴方に…八幡に告白しようとした。それを最後まで見ていたら受け入れてしまうんじゃないかと思ったから言葉を遮るようにして私俺は止めたの。あそこで八幡が受け入れたら私はその時点で捨てられると確定するから…そんな瞬間は見たくなかったの…」
言い終えたらまた泣き出してしまった。
雪乃も不安だったのだ。俺と同じように。今回は完璧に俺が悪いので雪乃は俺よりも数倍怖かったと思う。
「悪かった…。でも俺から捨てることなんてない。俺は雪乃を愛しているから」
俺は雪乃を安心させるように優しい声で語りかけるように雪乃に囁いた。
「私こそ八幡のことを愛しているわ。この世界で誰よりも」
雪乃を優しい笑顔で言ってくれた。
俺の囁きに応えるように俺のことを思ってくれていた。俺は本当に嬉しかった。
俺は心からこの優しくて、俺からしたら眩しいこの笑顔を守りたい。誰にも渡したくない。取られたくない。
もう一度気持ちを確かめるように雪乃に言った。
「好きだよ雪乃」
「私もよ八幡…」
俺らはお互いの気持ちを確かめるようにキスをした。1回ではなく何回で,互いに安心するまで…
俺は今までずっと夢かと思っていた。雪乃が俺に送ってからずっと。こんな夢も楽しくて幸せで良いなぁと思った。でも、この事件を通して1つわかった。
――これが『本物』なんだ。今まで求めてきたものがやっと、本当に手に入ったんだ…
俺は泣いてしまった。雪乃が居ると実感出来たから。
「どうして泣いているの?」
俺の顔をのぞき込んでくる。いきなり泣いたので心配しているのだろう。
「いや、こんな可愛い彼女が俺のことを想ってくれているなんて本当に幸せなことなんだ、って考えてたんだよ」
「私も嬉しかったわよ。私のことを考えていることがちゃんと分かったから」
「あ、いや、そのなんだ…これからも一緒にいような」
「もちろんよ」
俺は雪乃の家で一夜を共にした。色々あってつかれたのか2人で一緒のベッドに入ると俺と雪乃はすぐに眠りについてしまった。
八幡は雪乃の家に泊まりましたが何も無いですよ?書いてある通りですよ?
シリアスは難しいです。僕には文才は無いので本当に苦労します。
こんな作品でも読んでいただけることに感謝します。