やはり俺の青春ラブコメはあっている。   作:ЖセイキチЖ

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UAも毎日着実に増えていて嬉しいです。
これからも頑張ります。




8. 俺の休日は潰れる 後編

適当に服を選んでたら思ったより時間がかからなかったので早めに家を出たようだった。現在12時半。一色の事だからどうせ1時になるまで来ないだろう。適当に時間を潰そうかなぁ~と思っていたら声をかけられた。

 

「せんぱーい!遅いですぅー!」

 

振り返ると気合い充分というか、今からデートに行くんです!みたいな格好をしている。俺はファッションが苦手なので説明出来ないがとにかく凄いです。

 

「早いな。俺も早く家を出たつもりだったが」

「せんぱいとデ…勉強を教えてもらえるからはりきって準備してたら早く家出ちゃいました!」

「そ、そうか。なら行くか」

「はい!」

 

そう言って隣町にある図書館を目指し、電車へと乗り込んだ。

俺としても近場の図書館がいいのだが、なんせ知り合いに会いそうで怖いのである。一色と一緒にいるところを見られたら何を言われるかわからないし、きっと一色に振られるだろう。まぁ俺はちゃんと可愛い彼女が居るから振られてもなんにも思わないけどな!

 

しかし、電車の中は狭い。休日のお昼なら空いてると思ったが全く違った。おかげで一色に壁ドンをしているみたいになっている。知らない人が見たら通報されそうだ。

 

「せ、せんぱい。どうしてこんなことしてるんですか?!」

「俺だってしたくないけど満員電車なんだから仕方ないだろ…」

「仕方ないから我慢してあげます」

「あ、ありがとうございます…」

 

最後だけ敬語になっちまったよ。確かにこんなに体勢は一色からしたら心底嫌がるよな。一色の方に目をやると顔を赤くして下を向いている。恥ずかしがっているのか?いや、そんなことは無い。こいつは葉山の代わりとして俺はこいつにいろいろと付き合っていた。練習相手になったかということに対しては疑問ではあるが…

 

「…」

「…」

 

互いに気まずくなってしまったので何も話さなくなってしまった。下手に会話するよりこうして静かにしていた方が俺は落ち着く。

しばらく沈黙が続くうちに目的の駅に到着しそうだった。

 

『次は〇〇~』

「も、もうすぐだな」

「は、はいそうですね」

「…」

「…」

 

これ以上会話が続かない。いくらなんでもこの雰囲気は俺も苦手だ。どうしようかと対策を考えていたらようやく到着した。

 

「やっと降りられた…」

「ただ電車に乗っただけなのに何だかとても疲れました…」

「俺もだ…」

 

とりあえず今日の目的は図書館で勉強する事なので向かうことにした。

 

「とりあえず行くか」

「はい、行きましょう!」

 

疲れたぁーとか言ったくせに急に元気になった。どこからが演技でどこからが本気なのか全くわからない。まぁ分かっても何かをするということは無いが。

図書館に向かってる最中は相変わらず無言だったが5分程度歩いた所に図書館があった。

 

「ここですよー!

「なかなかデカイな。」

「そうですねー。少なくとも家の近くの図書館よりは断然大きいです!」

 

何故か胸をはって私すごいでしょー!みたいな顔をしてるが全く関係ないだろ!と心の中でツッコミを入れつつ勉強を始めることにした。

 

「俺は本を読んでいるから何か分からないことがあったら聞いてくれ」

「了解です!」

 

一色はすぐに勉強に取りかかり始めた。意外と集中しているように見えたがすぐに分からないところがあったらしく俺に尋ねてきた。

 

「ここってどういう事ですか?」

「ここはだな…」

 

国語はなんといっても高校生の頃は学年3位だったので勉強しなくても余裕で説明出来た。だが、数学において最初は由比ヶ浜に負けるほど点数が低かったので今でも無理である。努力したおかげなのか70点付近までは上がったが。

それからわからない所があれば俺に聞き、それを答えるという単純作業を繰り返していた。同じことをずっとしていたので眠くなった時に一色に声をかけられた。

 

「せんぱーい。お腹空きませんか?」

「んーまぁもう3時だからな。多少はな」

「私クッキー焼いてきたんですけど、食べませんか?」

「甘いもの食べた方が集中出来るからそうするか」

「なら外に出ましょ~♪ここじゃあ飲食禁止ですからね」

「おう」

 

クッキーを食べるために図書館の外に出た。

確か由比ヶ浜ほど料理が下手くそなやつは俺の周りには居なかったはずなので大丈夫なはずだ。

 

「どうぞ!せんぱい!」

「お、おう。ならいただきます」

 

一色が作ってくれたクッキーを口に運ぶ。

ポリポリという食感と共に程よい甘さが口の中に広がる。もう少し甘い方がいいが、これでも美味しいので文句は言わない。

 

「美味しい」

「本当ですか?!」

「あぁ。めっちゃ美味しいぞ」

「よ、よかったです…」

 

一色は安堵の表情を浮かべている。やはり自分が人のために作った物を美味しいと言われれば俺であっても嬉しい。俺のためというのは分からないが。

あまりの美味しさに全て俺が食べきってしまった。

 

「すまん。全部食べちまった…」

「いいんですよ、そんなに美味しく食べてくれたなら私もそれだけで充分です!なら図書館に戻って勉強に戻りましょうか」

「あぁ、そうだな」

 

何故かは分からないがさっきよりもやる気に満ちた顔をしている。どうしたんだろうか?俺にはわからない。

 

クッキーを食べる前と同じような方法で勉強をしていた。たまに雑談を挟むようになったが。

一色があまりにも集中しているので時間を見ていなかったがもう6時過ぎだ。意外と時間が経っている。

 

「もう晩飯の時間だし帰るか」

「もうそんな時間ですか?なら帰りましょうか」

 

テキパキと片付けを始めて図書館を出て、徒歩5分の距離にある駅へと向かった。

駅に着くと運良くすぐに来そうな電車があったのでそれを待つことにした。

 

「それにしても意外と一色は真面目だよな」

「な、何ですかいきなり」

「素直に褒めてるだけだよ」

「わ、私の好感度上げて何かしようとしてるんですか?ごめんなさい、発想はいいですが、まだまだ甘いですごめんなさい」

「大学生になっても振られちゃうのかよ…」

「当たり前です♪」

 

早口で振られると高校生の時のことを思い出す。

告っても無いのに何回も振られてたなあの頃は…

 

「せんぱい」

 

さっきと打って変わって真面目な表情になった。

 

「何だ?」

「あのですね…」

「…」

「駅についたら話します」

「…わかった」

 

さっきとは違う雰囲気に何を言うとしても詰まりそうで何も話すことが出来ない。そのまま駅に着き、そのまま改札口を出た。

 

「せんぱい」

 

同じ表情で俺のことを見つめる。

 

「何ただ?」

「私は…奉仕部の部室の目の前でせんぱいが本物が欲しいと言っていたのを聞きました」

「おう」

「今頃になってやっと本物の正体が分かりました」

「…」

「わ、私はせんぱいの事が…」

 

俺はこの後のセリフを聞きたくない。聞いてしまったら断るしかなくなるからだ。それ以外になんと対応したらいいのかわからない。

 

「ここで何をやってるのかしら?」

 

冷たく小さい声だったが何故か周りに響くような声だった。その声の主は雪乃だった。

 

「ゆ、雪乃…」

「…呼び捨て?そんな仲だったんですか…」

 

何やらぼそぼそ言ってるがとても小さな声なので何を言ってるのか聞こえない。

 

「八幡。ここで何をしているのかしら?」

「一色の受験勉強を手伝っていたんだよ、本当だ。」

「せんぱいに手伝ってもらってました。私は国語が苦手でせんぱいは得意なので…」

「そう。私は怒っているのよ八幡。」

「わ、分かったよ… 今度説明するから」

「今から!」

「は、はい…」

「まぁそういう事だからまたな」

「はい、また今度…」

 

俺と一色は別れた。

はっきり言って雪乃が現れたのは助かったが、今までの状況を説明するのは非常に難しい。だが、説明しないと雪乃は起こったままなのだから仕方ない。

無理やり雪乃に歩かせながら雪乃の家へと向かった。

 

――いろはside

 

名前で呼びあってるだけで2人の関係がすべてわかってしまった。告白するつもりだったが雪ノ下先輩が出てきてくれて本当に良かった。出てこなかったら私は絶対に振られていたから…。

関係がわかったからと言ってアタックをやめるつもりは無い。雪ノ下先輩は到底叶う相手ではない。でも、私は諦めたくない。初めてあんなにも人を好きになって頑張って振り向かそうとしたから…

これからもっと頑張ろう。雪ノ下先輩からせんぱいを取るように。由比ヶ浜先輩に負けないように…

私はその夜涙が止まらなかった。

 




一色が可哀想な感じになってしまいました。ファンの方には申し訳ないです…

雪乃の取り調べはどうなるんでしょうかね?どうなるか想像するだけで怖いです…。

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