やはり俺の青春ラブコメはあっている。   作:ЖセイキチЖ

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小説も読んでいるのですがとても面白いですね。
これ書いてすぐにまた読みたいです。




大学編
2. 由比ヶ浜ははやはりバカの子である


時は過ぎ、今は大学の入学式である。

少し前に卒業式をやったばっかりなのにもう入学式か。いや、あんな事があったから考えているうちに入学式の日になったという感じだ。

ちなみに雪ノ下は一緒の大学ではない。あいつは理系で俺は文系を選択したからだ。一緒の大学行きたかったな…。

理系に行くために努力したが、あいつが狙っているのは国公立なので到底叶わなかった。なので、諦めて文系にしたというわけだ。

しかし、意外なこともあるもんだ。高校のテストであんなに手こずっていた由比ヶ浜が俺と同じ大学に居るのだ。

――あれ?俺の受けた入試ってそんなに簡単だったっけ?

一瞬だが錯覚してしまうほどだ。

噂をすればぱたぱたと走ってくる姿がこちらへ向かってくる。

 

「ヒッキー!」

「うるさいな。やっぱりバカの子だ」

「会ってすぐに罵倒された?!」

「おぉー今わかって使ってるのか?」

「当たり前だし!わかってなかったら使わないし!」

 

さすがは大学入試を一般で受かっただけはあるんだろうか。俺は素直に信じることは出来ない。因数って何?って聞いてくるレベルだぞ?文系だから数学は必要ないといっても俺でもわかることだぞ?

あ、でもあいつは俺より点数高かったんだ。

すごいショック。

 

「ヒッキー?目腐ってるよ、大丈夫?」

「いつものことだし、いきなりとか酷いな。雪ノ下に似てきたか?」

「ええ?ゆきのんに?えへへ、嬉しいな~」

 

顔を真っ赤にして照れているようだ。

褒めてるつもりはさらさら無かったのだが、まぁ嬉しそうだし気にしないでおくか。

 

「そろそろ入学式始まるよ?」

「もうそんな時間か。なら行くか」

「うん!」

 

元気に返事をすると由比ヶ浜は元気いっぱいに歩き始めた。元気なのはいいけどスキップとかやめて?見ちゃうから!何とは言わないよ?

 

「うわぁー大きいねー」

「そうだな。さすがは私立といった感じだ」

 

俺と由比ヶ浜は入学式が行われるメインホールへ到着したところだ。

高校でいうなら体育館的な場所だが、広さがまるで違う。バスケットコート5面はあるかというような広さが目の前に広がる。

 

「俺の席はこっちだな。由比ヶ浜は?」

「あたしはねーもっと後ろの方かな~。遠くなっちゃうけどまた後で話そうね」

「了解」

 

由比ヶ浜は俺に手を振ってから自分の席へと歩いて行った。

ようやく1人になれた。由比ヶ浜なので全く知らないやつと比べると気にしなくていいのだが、女子ということもあってかどうしても気にしてしまう。これが長年染み付いたボッチの副作用かもしれない。

 

俺があれこれ変なことを考えている時に大学の校長が挨拶をし入学式が始まった。

新入生歓迎の意味を込めて吹奏楽部?みたいな人たちが様々な楽器を使って演奏をしてくれた。音楽に詳しいだけではないが、聴いていてとても心地よい音が鳴り響く。

 

「――これでは入学式を終了する。起立、礼。」

 

1人だけ座っているのはまずいと思ったのか、瞬間的に立ち上がって礼をした。今までボッチだったおかげで危険察知能力はそこらのやつより長けてるぜ。

自信満々に胸をはろうとしたが、自慢できることではないし、由比ヶ浜に言ったら

 

「ヒッキーマジキモ!」

 

って言われるだけなのでやめておこう。雪ノ下に似てきたさいきんならもっと酷いことを言うかもしれない。その時は‥泣こう。

 

「ヒッキー?なんでそんな顔してるの?」

「いや、少し考え事をな」

「んー?何考えてたの?」

「お前がどうやって入学したか」

 

あながちウソでもない。本当に気になるのだ。ていうかお金出して入学…これ以外思いつくものがないので仕方はない。

 

「ちゃんと勉強したからだし!!お金とか出してないし!」

「それでも少し勉強した程度でこんな良い大学が受かるはずがないので興味本位で聞いているだけだ」

「ヒッキーひどい!」

 

喧嘩しているように見えるかもしれないがそういう訳では無い。コミュニケーションの一つであるので全く問題ないのである。

 

「まぁいいや 今日ひま?」

「いや、忙しいぞ。ちょー忙しい」

「暇だよね~ なら昼ごはん食べに行かない?」

「暇じゃないって言ってるよね?嘘だけど」

「ほら嘘じゃん じゃあ、行くよね?」

「はい、お供します。でも夜は本当に用事あるから無理だぞ」

「はいはい、わかったよー」

 

本当にわかったのか?と問いたくなるがバカの子なので我慢しておこう。

 

「どこいく?帰る?」

「何でそんな自然に帰宅を勧められるの?!」

「冗談だよ。サイゼ?」

「えぇー?まぁいいっか」

 

結局サイゼに行くことになった。口ではちょっと嫌だな~みたいな顔しておきながら表情を見るととても楽しそうで、遠足の前の日の小学生に見える。言うと怒るので心の中にそっとしまっておく。

 

「何か変なこと考えなかった?」

「え?な、何にも考えてないよ。」

「そう、ならいいけどねー」

 

ナチュラルに心を読まれると非常に変な感じがするので辞めてもらいたい。

心の中で由比ヶ浜をディスっていたらサイゼに着いていた。大学から徒歩5分の距離って学食で良かったんじゃないですか?

 

「着いた~!今日はヒッキーの奢りだからたくさん食べるぞー!」

「え?そんな事言ってない。金持ってないから俺もあんまり食べるつもりないし」

「仕方ないなぁー あたしはドリアかなー」

「俺も同じので」

 

サイゼに入ってからというものずっと高校の話をしていた。

俺がいつも期待の斜め下の解決方法を出してドヤ顔していたこと。

俺が戸塚のことをニヤニヤしながら語っていたこと。

…あれ?全て俺の悪口ですね。まぁ気にしてないからいいですけどね。

後は雪ノ下の話とか…。

今あいつの話をされるとやばいぞ。どうしても恥ずかしくなってしまう。由比ヶ浜の事だから気づいてないかと思うが。

 

高校時代の思い出話を散々したおかげで気付けば6時を回っていた。

 

「わりぃー用事あるからからこの辺でお開きにするか」

「そうだねー 学校同じだからまた明日会えるしね」

「おう。ならまた明日な」

「うん!またねヒッキー!」

 

手を振ってから俺らは互いに違う方向へと歩き出した。

俺が今行くところは彼女の家である。つまり、雪ノ下雪乃の一人暮らししている所に乗り込むという訳である。

なぜ行くかって?理由は簡単だ。

「あなたも一人暮らししているけどどうせ自炊なんてしないんでしょう?だから私の家に来なさい。栄養満点の料理を作ってあげるから」

軽く上から目線だったが、あんな優しい笑顔を俺なんかに向けられちまったら行かないなんて選択肢はないぞ。俺は即答だった。

「すぐ行く!楽しみにしてる!」

何か俺は由比ヶ浜みたいだな。なんか馬鹿みたい。

まぁそんな事があって雪ノ下の家に行くことになったのだ。

ドキドキとワクワクが入り交じったこの気持ちを俺は隠せずにいた。

 




今回は前より少し多めに書きました。
これからは3000字程度を目あすに書いてきますのでよろしくお願いします。

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