コーヒーカップ乗ったり、ジェットコースター乗って気持ち悪くなったりと…いろいろな事をしていたので気づけばお昼になっていた。
「そろそろ良い時間だし、どこかで食べないか?」
「ちょ、ちょっと待ってくれるかしら」
今も雪乃と手を繋いでいるので雪乃が止まると俺も自然に止まる。
不思議に思ったので雪乃の方を向くと顔を赤くしながらモジモジしている。
「どうした?」
「その、あの…」
最初はうっすら赤かったのが今はトマトのように赤くなっている。ぷしゅーとかいって壊れそうだ。
「まだ体調悪いならベンチで休むか?」
「いえ、そういう訳では無いの」
「ならどうしたんだよ?」
珍しくはっきりしない雪乃に少し驚いている。いつもならもっと可憐さがあって、少し怖いぐらいなのに今はむしろ可愛らしい。
こんな生き物抱きしめたい。
「べ、弁当を作ってきたのよ…」
「え?」
「弁当を作ったの!だから食べてくれるかしら?!」
「そんな顔真っ赤にして目に涙貯めながら言うなよ!嬉しいからほんとに!」
2回言ったのが相当恥ずかしかったのか半泣きになってしまった。
悪気は無いよ?たまに雪乃をいじめてみると少し面白いからやってみただけです…。本当です。
「…本当に?」
「あぁ、早く食べようぜ 雪乃が作ってきてくれたって聞いたらもっとお腹減ってきたよ」
「うふふ、そう。ならそこのベンチに座りましょ」
雪乃が弁当を作ってくれたのは非常に嬉しい。まず雪乃は料理がとんでもなく上手い。そこらの料理人と引けをとらないレベルだ。だからめちゃくちゃ下手くそで食べられない…みたいなことは無いので安心だ。
これが一番の要因だが、『彼女の手作り弁当』これを貰ってうれしくないはずがない。俺は嬉しすぎて抱きついちゃうぐらいだ。今やると怒られそうなので辞めておくが…
とりあえず、俺はとても嬉しい。彼女に雪乃に弁当を作ってきてもらえてとても嬉しい。
「どうぞ召し上がれ」
「…おぉー!」
何かもう凄すぎて無意識のうちに声を上げてしまった。男の子が好きそうな唐揚げやハンバーグ、綺麗な卵焼き、色とりどりの野菜…などなどバランスが考えられており、これだけでも一生懸命作ってくれたんだと伺える。早く食べようと箸をつかもうとするが1本しか無いことに気付く。
「あれ?箸って1本しかないのか?」
「え?本当に?私としてしまったことが忘れてしまったわ…」
口ではこんなことを言っているが絶対に嘘だ。何故なら、今雪乃の顔を見ると明らかにニヤニヤしている訳である。これは偶然ではなくわざと起こったことだと容易にうかがえる。
「なら俺は手でたべるか…」
「それは汚いのでやめなさい」
「なら食べるのやめろってか?こんな美味しそうなものを並べられて止めるのか?」
「そんなことは言ってないでしょう?はぁ…」
「た、ため息つくなよ…俺が悪いみたいじゃねぇーか」
これって俺が悪いの?
雪乃が2つ持ってきてたらこんな事になってないから雪乃のせいじゃないの?怖いから口にしないけどね。
「こうすればいいでしょう…あーん」
雪乃は箸で卵焼きを掴み、俺の口元へと運ぼうとしている。まさかあれをやるのか…
「え?マジでいってんの?」
「早く…あーん」
「あぁーもー!分かったよ!…あーん…」
「…」
料理の感想が気になるのか俺を真剣な眼差しで見つめてくる。…正直、恥ずかしいのでやめてほしい。
「美味しい!」
「当たり前でしょう?私なのだから」
さっきまで心配そうな顔をしてたくせに、俺が美味いって言ったらドヤ顔しやがって…可愛いすぎて困るぜ全く…
「雪乃は料理が上手だからな」
「え、えぇそうよ ほらまだ沢山あるわよ」
「まだやるのかよ…あーん」
20分ぐらいすれば食べれる量だと思っていたが、あーんしていたせいで1時間ほどかかってしまった。俺がされる方だけではなくあーんする方も体験したが、やはり恥ずかしかった。これに耐えながら俺にしていたのはすごいと思う。…雪乃はすげぇー。
弁当の感想だが、美味い以外に言えなかった。卵焼きはダシがきいていたり、唐揚げには程よい塩味がしたり…俺が満足のいく食事になっていて嬉しかった。俺のために作ってくれたんだも思うともっと嬉しくなった。
「食べ終わったことだし、次はどこに行きましょうか?」
「次はお化け屋敷だ」
「わ、わかったわ…」
ジェットコースターの時みたいにはならないと思うが、雪乃の反応は楽しみだ。
「行きましょう」
「おう」
俺らはお化け屋敷に向けて歩き出した。歩いて数分の距離にある場所だったが手を繋ぎながら行った。
…周りの視線はありえないほど痛かったが、俺はこの幸せを噛み締めていたかった。
あれ?中編?
前後編のはずなのにおかしいですね…
すみません、まさか、これだけで1話分書けると思っていなかったので…次回で終わりますのでお楽しみにしていてください!