昨年はいろいろとありました。
…本当にいろいろと。
しかし、エタりはしませんとも、ええ
少しキャラ崩壊かもしれないですが、
ヤマトファンの方には申し訳ありません。
「はーい。みんな注目~!」
「―――――」
「今から皆には手紙を書いてもらいます‼」
「――――?」
「内容としては感謝の気持ちを表現してね。あくまでも正式な取引ではなく、いただけるものをいただくだけだからね。」
「―――――――――」
「私も書くけど、私の文章は真似したらだめだよ」
「―――――――」
「わからない漢字なんかは自分で調べること!それでは始め!」
――――――?
空洞に響く音はなりを潜め、異形は思考を走らせていた。仕事自体はすでに終わっているが成果が上がったか確認する必要があったからだ。
異形としては早く帰りたかったが、仕事を途中放棄するわけにもいかない。別にそうする必要はないが、ほかの異形を生み出していたところから動いていなかった。異形自身動く必要を感じなかったからだ。そしてすることが無くなったため思い出に浸っている最中、思考ににつかえがかかった。
ああそうだ、
………ついでに
一つは父に言われたこと。確実に行ってみせる。
二つめは父に言われたことではない。
それと同時に支えを失ったようにその体が地面に向かい倒れていく。完全に地面に横たわった瞬間、
異形は空洞から姿を消した。
…頭が痛くなるな。
先ほど迫が連れてきた一般人のこともあるが、それが原因ではない。
「…状況を報告しろ」
「大地震後、ジプス基地内の電気系統、移動手段、食品類に異常はありません」
「しかし、自衛隊の食糧庫、卸しを行っている会社の倉庫やスーパーの冷蔵庫といった備蓄庫からの供給は芳しくありません。医療器具や武器類についても同様です」
「運搬が滞っている理由ですが、大地震の影響で封印にほころびができており、何体かの悪魔により人的被害が出ています。その鎮圧に人員が割かれ、運搬班に影響が出ていることが挙げられます。」
「それだけではなく、緊急連絡先に指定していた箇所が軒並み大地震の影響で倒壊しており、通信すら滞っています!現状把握に勤めることができず、統率に影響が出ております!」
何なのだこの現状は…
試練が起こるのは分かっていた。ジプスの長として、日本を守護する峰津院家当主として、試練に対する対策は行ってきた。
施設内の設備は整えていたため問題はないことを頭の中で整理する。
食料品…レーション、インスタント食品などを大量に保管してある。ジプス隊員だけならば3カ月は問題ない。
電力…各基地内に電力施設を設置している。予備電源を使っても一年間は持つだろう。
移動手段…空路、陸路、海路、地下にそれぞれの施設を用意し、目的地に瞬間移動を可能とする施設も用意してある。
大まかなものはこれでいい。
しかしだ、外部からの支援、情報が全くと言っていいほどない。民間のTV、ラジオについては大地震後沈黙したままであり、何が起こっているかが全く掴めていない。さらに食糧庫としていたものも含めシェルター化していたはずの外部の建築物がいくつか倒壊しており、先に考えた食糧自給の期間については大幅に減るだろうことは明確だ。そして悪魔鎮圧に行ったものと通信ができない。ジプスの専用回線はあるが、戦闘と並行して使えないため情報もまばらで安定しない。今のところセプテントリオンの情報や痕跡はないようだが…。
「局長!新たな情報です!」
「…どうした?」
「倒壊した施設跡地複数から、同系統の手紙らしきものが発見されました!」
「…関連性が見えないが?」
「それが…差出人にあたるところにすべて同じ名称が…」
「フム…。差出人は誰だ?」
「セプテントリオンと書かれております!」
「は?」
その言葉に現状への対策案を練っていた思考が停止し、呆気にとられかけるが、フッと息を吐き持ち直す。
「内容についても全て同様か?手紙の枚数は?全部でいくつ確認された?確かにセプテントリオンと書かれているのか?」
いや、やはり持ち直せていない。動揺が口調に現れ早口にまくし立てる様に隊員が目を丸くしている。
「い、いえ内容については同様のものはなく、枚数については16枚ほどになります。手紙は手書きで書かれており、封筒のあて名にはすべてセプテントリオンと書かれておりました!」
「そうか…。」
いったい何が目的だ?いやそもそも試練以外に目的などあるのか?
こちらの混乱を狙ってあえて情報を与えた。
宣戦布告のため自らの存在を明らかにした。
ジプスの情報操作より先に情報を与え、民衆を誘導するため…
などと候補は次々上がっていくがそのような思考は無駄なのだ。
そもそも武器が自ら思考して動いてしまっては試練たり得ない。あくまでも武器をふるっているのはポラリスなのだ。勝手に動く武器を重宝するとは思えん。
セプテントリオンを騙る別組織か?
だとしても、奴等のことを知っているのだ。ただ者ではないだろう。少なくとも
「内容は?なんと書いてある?」
「すぐ表示します!」
さて、この内容はこちらに揺さぶりをかけるものか、それとも脅迫か。どちらにしても交渉の余地はある。
そして部下の言葉通りにすぐ一枚目が表示された。
『おいしくいただきました☆
せぷてんとりおん』
…………どうやら盗人が施設に紛れ込みその後で爆破解体を行ったようだ。
そう結論着け、部下に指示を出そうとした…。
その時、警報が鳴り響いた。
「何事だ!」
「外壁です!地下の外壁を破られました!」
外壁を破るということは少なくとも人間ではない!
さらに、ジプスの施設を狙う、恨みを持っている相手とすれば悪魔か⁉
「どこの悪魔だ!確認を急げ‼」
「この反応は…、未確認の反応です!
データベースに該当する反応がありません‼」
「すぐにレーダーからモニターに切り替えろ!」
「はい!」
そしてモニターに映ったのは赤いタイヤのようなもの。
しかし、映ったのは一瞬だった。
「何事だ!何が起こっている⁉」
「カメラに異常有り!断線と推測!」
「チッ‼こんな時にか!すぐに別のカメラで確認しろ!」
「駄目です!付近の別カメラについても沈黙しています!」
どういう事だ!?
何故こうも次々に不測事態が起こる!?
民間のものならばまだしもジプス基地内の映像危機がことごとく沈黙するなどあってはならない事態だ!
「外壁を破壊されたのはどのブロックだ!」
「第3ブロックです!すでに基地付近にいた部隊と連絡をとり呼び戻しています‼」
「間に合わん!私が出る!数名私の後に続き、他の者についてはモニターの回復、確認に勤めろ!」
「局長自らですか!?
しかし…いえ、了解いたしました!後武運を!」
言われるまでもない‼
これ以上の基地の破壊は捨て置けん!
なにより竜脈を汲み上げる施設が破壊されれば人類の滅亡が濃厚になる!
ケルベロスを召喚し、すぐさま現場に向かう!
しかし、大きく壁に空いた穴以外の異常が確認できない。ツーマンセルを組ませていた後続についても同様のようだ。
すぐさま後続には電気設備の確認に向かわせ、私は備蓄庫の確認に向かった。だが、穴が空いているわけでもなく内部についても特に不審なところはなかった。
襲撃者がまだ潜伏していると警戒しながらの確認作業だったが此方に対しての奇襲もなかった。
なんだというのだ?
ただ壁に穴を開けにきただけか?
もう一度、現場に戻ってきたがやはり穴以外に目立つものはなかった。
穴を近くで確認するべく近づくと
クシャリ
と紙を踏むような音がした。足元を確認するとやはり紙があった。便箋のようである。
慎重に脚をどけ、人差し指のみで触れてみる。
紙以外の感触はしなかった。手に取ってみても特に異常はなく、重さも普通だ。しかし、宛名のところには
『峰津院大和様』
と書かれており、目を見張った。
案の定、差出人のところには"セプテントリオン"の文字。
用心のために本来の開け口とは逆の便箋の底を破り中身を確認する。
『良いリアクション、
ありがとうございま~す
セプテントリオン』
…………………………………………………。
モニタールームへ戻ってきた峰津院局長の表情は普段の薄笑いを浮かべたものではなく、先ほどまで浮かべていた緊迫したものでもなく、こめかみに青筋を浮かべ歯ぎしりをしている、誰から見ても怒っていると分かる表情を浮かべていたという。
煽って終了です。
局長、御愁傷様です。
施設については独自設定となります。
次話も遅れそうです。
申し訳ありません!