オメガ&ルビー~マグマ団カガリ隊に配属された件~ 作:れべるあっぷ
PM1:05―――――
さてさて、もとい、やれやれだぜ。
このままキンセツシティから直接任務へ行きたいところだが、ウサギちゃんのせいで一旦アジトへ帰るハメになった。
理由は至極簡単だ。
ホルビーがレントラーにボコられたから。瀕死になったからだ。
たったそれだけの理由で、時間が遅れていようがいまいが、ウサギちゃんはホルビーを回復させにアジトに戻ったんだ。
マグマ団がポケモンセンターを利用してはならない、というルールがあるわけでもないが敷居は高い。
家出少年とか家なき子とかワケありの団員もいるだろうに、そんな彼らはアジト内で回復させるのが主だ。
アジト内の回復装置で回復させ、ホルビーはすっかり元気になった。
でも、ウサギちゃんの元気は戻らない。
イジけている。
「ウチのホルビーは強いッスもん……」
ダメだこりゃ。
「もっと強くなれるッスもん……ッ!!」
「はいはい、わかったわかった、ウサギちゃんのホルビーは強い強い最強ー」
「ちっ……」
舌打ちしたらアカン。
「これから任務っつってんのに景気悪いな、おい。元気を出すんだウサギちゃん」
「うるせーッス……ぺっ」
ツバを吐いてもアカンで。
「わかったよ、今回の任務が終わったらホルビーの真価を教えてやっからさ。じじいのレントラー如き敵じゃなくなるから」
「ほ、本当ッスか先輩!??」
「まーウサギちゃんの頑張り次第かなー」
場合によってはホルードに進化させて絶望させる外道な選択肢もある。
もちろん、普通に任務頑張ってくれたらホルビーのままでも戦える育成論は知っている。教授できる。
全てはウサギちゃん次第なのだよ。
「よっしゃ、滾ってきたッスーーー!!」
「そーそーその意気だウサギちゃん!!」
「屋台制覇するッスよーーー!! もちろん先輩の奢りで!!」
こりゃダメだ。
「ふざけんな、1000円までしか出さないからなボケ……つーか何お前やる気そっちに向けてんの?頼むからアクア団を駆逐する方にやる気出せよ。な?」
「ふひっ、もちろんッスよ」
「お、おう……」
ふひっもアカンのや……こえーんだよ。
「あ、それとカガリ隊長とヒガナ先輩のお土産はウチが選ぶッスよ」
「それもウサギちゃん好みな物になりそうだな!??」
各地へ赴いた時はいつもカガリたんへのお土産は欠かさない。ヒガナたんはついでなんだからな!
兎にも角も、用事も終わったし次の任務へレッツGOだ……とそうは問屋はおろしてくれなかった。
オレ達の前を通せん坊する団員たちが現れた。
「待て待て後輩2人組み~」
「そうだ待つのだー」
「ここで会ったが……ねぇ、いつぶりぐらいだったっけ?」
「アンポンターン!! そこはどうでもいいから!!」
「3日ぶり、久しぶりだな!!」
「「げっ……」」
めんどくさいのと久しぶりに遭遇した。
ヒガナたんもめんどくさいけど、こいつらもめんどくさい。
カガリ隊の五つ子ちゃん。
ポチエナ、グラエナの威嚇5連ちゃんがうっとおしくて有名なあの五つ子ちゃん。
カガリたんから貰ったスカーフをそれぞれ手首に巻いているのが特徴だな。
長男は赤、次男は青、三男は緑、四男の黄、五男の黒。
ヒーローのシンボルだ。
彼らは共存戦隊ホウエンジャーのファンで問題ばかり起している俺達を敵視している。
「げっ、とは失礼な!」
「俺達は先輩だぞ。もっと敬え」
「そうだそうだ、もっと先輩をディスれー!」
「アンポンターン!! 貶されてどうするんだよー!!」
「リスペクトしろとまでは言わないがな。でも後輩を心配する先輩の気持ちになってみろ」
「「お、おう……」」
よく分からない奴等だ。
突然沸いて出てきてどうしたんだ。
何が言いたいんだよ。
「お前達、これから任務だろ。だから、はいスゴイきずぐすり×10」
「「え……??」」
え????????????
「俺からはこれをやる。なんでも治し×10」
「「ファッ!?」」
「僕は金の玉×10」
「「う、うん……」」
「アンポンターン、子供に何渡してんのさーーー! はい、ふしぎなアメ×10持っていきなよ」
「「こ、こんなにも……」」
「ちょっと待ってくれ、徐々にハードル上がってんだけど。俺のはそんなに期待するなよ。はい、げんきの欠片×10」
「「マジか……」」
なんだよ、涙腺ちょっと緩んじまったじゃねーか。
任務終わったら、五つ子ちゃん達のお土産も買ってきてやろうっかな~……
まぁ無事に帰れたらの話し。
さて、そろそろ行こうかウサギちゃん。
ミナモシティへ。