オメガ&ルビー~マグマ団カガリ隊に配属された件~   作:れべるあっぷ

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-OMEGA-チャンネル

『さーさー!皆さんお待たせしました!』

 

『ここムロの石の洞窟にて勃発した、マグマ団したっぱVSチャンピオン・ダイゴによるガチンコバトル!実況と審判と撮影担当はわたくしマグマ団カガリ隊したっぱ見習いエリートのオレことオメガが勤めさせていただきやす!』

 

『5対6とややチャンピオンが有利なだけで限りなく公式戦に近いバトル形式!』

 

『尚、敗者にはキツいお仕置きが待っております!』

 

『マグマ団のしたっぱで凶暴生物なウサギちゃんが負けたら鼻から辛子とワサビを詰めてもらいましょう!チューブのやつをたっぷりとな!』

 

『そして、チャンピオン・ダイゴが敗北した場合はチャンピオンの座から降りてもらいましょう!』

 

『だってそうでしょう?手数のハンデありの正義の味方が悪に敗北してまだチャンピオンできると思ってるの?バカなの?アホなの?そんな無能が居座り続けるより新たなチャンピオンを誕生させた方が世の中のため人類のためだぜ?』

 

『まーそんなこんなで大誤算にはポケモン協会からも退場してもらいましょう!』

 

『まずは1番手!ウサギちゃんはチルタリスを繰り出した!対するチャンピオン・ダイゴはエアームドだ!さーさー、格上のエアームド相手にチルタリスはどう先手を打っていくのか!』

 

 チルタリス、燃やし尽くせ!だいもんじッス!!

 

『おっと何のひねりも無い攻撃だ~!』

 

『しかし効果はバツグン~、エアームドは攻撃を回避できず予想外の火力でHPをゴリゴリ削られたー!特性である頑丈でなんとかHP1で耐えたものの火傷を負う不運に見舞われたー!』

 

『まきびしなんて撒いてる場合じゃないぜ、チャンピオン・ダイゴ~!エアームドは火傷のダメージでリタイアだ~!』

 

『さーチャンピオンの2番手はメレシーだ。ホウエンでは珍しいポケモンだ、良いチョイスと言いたい所だが……まきびし撒く暇があったのならメレシーと交代させるんだったなーチャンピオン・ダイゴ』

 

 なんスかこいつ……?ホワッツ??

 

『おっと、外国のポケモンに疎いウサギちゃんは困惑の色を浮かべている~。ポケモンバトルにおいて情報の有無で大きく勝敗が左右されるわけだが、ウサギちゃんはどこまでメレシーの情報を引き出せるのかが勝敗のカギだ~』

 

 とりあえず、りゅうのいぶきッス!

 

『残念~。竜の息吹はメレシーに大したダメージを与えれない~!効果はいまひとつ~!』

 

『対するメレシーはムーンフォースだー!効果はバツグ~ン!チルタリスのHPをごっそりもっていったー!!』

 

『しかし、耐久力のあるチルタリスはまだ耐える~!』

 

 ウチのチルタリスをナメるなッス!!

 

『さあチルタリスの次の一手は……まさかの竜の息吹ぃっ!?わたくし、開いた口が塞がりません!だがメレシーは竜の息吹の追加効果で麻痺になった~!?初めからこれを狙ってたんでしょうかウサギちゃ~ん!?』

 

『そして、メレシーは麻痺で技が出せない~!!』

 

『さー、ここでウサギちゃんはまさかのポケモン交代!マスコットキャラのホルビー登場!!まきびしのダメージはちゃんと計算にいれているのか~??」

 

 忘れてた、オーマイガーっす!?

 

『だがメレシーはまたしても麻痺で動けない~。これは儲けもんだ~』

 

『さーさー、こっからどう動くのか、なんてこはないホルビーは怒りの前歯でメレシーをかじる~!!ライフの残り半分ごっそり持っていった~!!』

 

『もうホルビーは十分な働きをしたといってもいいぞ~!!』

 

『しか~し、メレシーはまたまた麻痺で動けない~!?どこまで運に見放されているのか~……これはひょっとしなくてもホルビーにワンチャンあるぞ~!!』

 

『ホルビー、トドメの地震でメレシーを撃破ー!まさかの大番狂わせ~~~!!チャンピオン・ダイゴは予想できただろうか!まさに大誤算~~~!!』

 

 くっ、なかなかやるね……

 

『さーチャンピオン・ダイゴの三番手はボスゴドラだー!こいつは強敵だぞ~!ウサギちゃんは一旦ホルビーを戻して再びチルタリスを繰り出したー!』

 

『さーチルタリスは大文字か?やっぱり大文字だ!火傷を狙ったのでしょうか?それなりにダメージ入ったがボスゴドラのドラゴンクローがチルタリスを襲ったー!』

 

『効果はバツグンだーーーっ!!』

 

『たまらずチルタリスは戦闘不能!!』

 

『さー、ウサギちゃん。次はまたホルビーで挑むようだ、交代した意味はあったのか!また、まきびしでダメージを負った~!!』

 

『ホルビーの快進撃もここまでだろうか最後の一手は地震か怒りの前歯でしょう!しかし、ここでまさかのボスゴドラの先制攻撃~!??チャンピオン・ダイゴは鈍足なボスゴドラに先制の爪を持たせていたようだ~!!』

 

 ボスゴドラっ、アイアンテール!!

 

 ノーーーーッ!?

 

『ウサギちゃんの悲痛な叫びが洞窟内に響き渡るー!!ホルビーがキレイな放物線を描いてぶっ飛んでいったー!!ホルビーここで敢えなくリタイアだ~!!』

 

『ここまで頑張ったホルビーに賞賛の拍手をッ!!』

 

 よくやったッス、ホルビー。ゆっくり休んでくれッス。

 

『さーさーバトルは佳境に差し掛かった、お次は何を出すんだウサギちゃん~!』

 

 いけっ、ザングース!

 

『ウサギちゃんの三番手はやはりこやつか!!』

 

『えー、わたくし忘れもしません……このザングース、どれだけ厳選したか。どれだけ育成論を考えたか!!わたくしの自分のパーティーの強化もしないで、他のポケモンに嫉妬されながらこのザングースに手塩をかけて育てきましたポケモンです!!さー良いところ見せてくれよザングース!!』

 

 チャンピオン・ダイゴは回復の薬を使った。

 

『さーボスゴドラが回復している間にザングースは爪を研ぐ素振りをしているぞ~!これは爪とぎか~?』

 

『否ッ!!』

 

 ザングース、インファイトッす!!

 

『剣の舞からのインファイトだーーー!!?』

 

 だが、あまいよ……

 

『おおっ、ここでまたしても先制の爪が発動ぅ!?アイアンテールがザングースを襲うーーー!!』

 

 あめぇーのはてめーッスよ……躰してインファイトッす!!

 

『なんとなんと、ザングースがボスゴドラの攻撃を間一髪で避けたー!実はストーンエッジより命中率の低いアイアンテール!!それを見事に躰したザングースはボスゴドラの懐に潜り込んで瞬間火力を爆発させたーー!!』

 

『しかしボスゴドラも特性が頑丈!すなわちHP1で耐え反撃の地震がザングースを襲う~!!?』

 

『なんという猛襲~!?洞窟内で放っちゃいけないワザだ~!!耐久力のないザングースがさらにインファイトのせいで防御力低下した今耐えれる攻撃じゃない~!!?』

 

 ノーーーーーーーーッ!?

 

『ザングース、戦闘不能によりリタイア~!?』

 

『登場してからあっという間でしたが、格上でしかも相性の悪い相手に怯むことなく勇敢に挑んだザングースにも賞賛の拍手をッ!!』

 

 またザングースの真価を見せれなかったッス!

 

『さー皆さん……こっからです。こっからよりヒートアップしていきます!今のでも見ごたえは十分!!格上相手にくらいつくウサギちゃんのポケモン達の白熱したバトル!!弱いポケモンでも運や相性、駆け引き…そしてトレーナーとの絆によって強いポケモンにも勝てることもあるんです!!何があるかわからないから、だからポケモンバトルは面白い!!』

 

『さぁ見せてくれウサギちゃん!最強をも打ち負かしてみせるそのポケモンをッ!!』

 

 さっきから外野がうるさいッス……ミミロップ、いけッス!!

 

『ウサギちゃんのミミロップがついに登場だー!!コイツはえげつないぞ~!!』

 

 チャンピオン・ダイゴは素早く回復の薬を使った。

 

 ミミロップ!!ガンガン攻めるッスよ!!

 

『出た!作戦コマンド・ガンガン攻めようぜ!横に高速ステップするミミロップは地面を蹴ったー!とび膝蹴りがボスゴドラが襲うー!!も、猛烈ぅ~~~!!ボスゴドラが軽く吹っ飛んだぞーーー!?わたくしのバンギラスも真っ青な威力だ~~~!?そして、特性がんじょうでHP1残るがそれだけじゃ延命にならないぞチャンピオン・ダイゴ~~~!!』

 

 なっ……あれがポケモンの動きなのか!?あ、ありえない!!

 

『もう既にウサギちゃんのミミロップはポケモンをやめている!!まさかボスゴドラの頭の上で逆立ちするミミロップなんて聞いたことも見たこともありません!!常識を疑ってしまいます!!こ、これは次の攻撃へのモーションだ~!!?』

 

 は、早く回復の薬を……

 

『アイテムをポケモンへ使うのもタイミングが大事だ~!!無論、そんなことはミミロップがさせるわけがない~!!ウサギちゃんが指示出さない分、ミミロップが自己判断した分の時間は短縮できる~!!』

 

 ボ、ボスゴドラっ、ミミロップを払いのけるんだ!!

 

『だから遅い!!一瞬の判断が命取り!!ミミロップはボスゴドラの頭を掴み振り子回転してみせた!まるで体操選手のように、しかし悪役プロレスラーが放つニー・ドロップーのようだー!?ボスゴドラの顔面をミミロップの膝が捉えたー!!?』

 

『ボスゴドラ、戦闘不能ー!!』

 

『な、なんという格闘センス!!自己判断できるその知性!!恐ろしい!!敵に回すとこれほどまでに恐ろしいとは考えたこともありませんでしたー!!』

 

 ご褒美はお風呂でイチャコラらしいッスよ、せ・ん・ぱ・い♪

 

『イヤだ!!何が嬉しくてウサギとお風呂でイチャコラしなきゃならんのだ!?お前今動画撮ってんだからそういうのヤメろよな!!』

 

『さ、さーさーご褒美の件は後回し!!お次はネンドールを繰り出した~!!こいつも言わずとながら硬いぞ~!!』

 

 かまうな、冷凍パンチっす!!

 

『竜をも一撃でしとめる冷凍パンチーーー!?その暴虐の右手がネンドールの硬い防御などお構い無しに無慈悲にぶっ飛ばしたー!!だからネンドールがそんなにぶっ飛ばないだろ!?』

 

『しかーし現実とは無慈悲だ~!!まさにチートッ!!ネンドールはもれなく氷付けで戦闘不能~~~!?か、回復の薬をしたところで解凍しかできていない~~~!?』

 

『さー5体目だ!チャンピオンはプテラを出してきた!!ここまで趣味丸出しパーティーだがチートなミミロップを止めることができるのか~??それともプライド捨てて降参でもしてみるか~~??』

 

 やってみなくちゃわからないよ……

 

『お~まだ戦いの炎は燃えているみたいだー!!そうでなくっちゃーな~!!しかし、壁際は気をつけろ!!そこはミミロップの攻撃範囲内だー!!』

 

『壁を蹴り二段ジャンプぐらいは想像してろ!!ムーサルト気味の膝蹴りがプテラを強襲したーーー!!』

 

『プテラは特性:頑丈でやっぱり耐えたー!!これは想定範囲内か~!?さーさー息ついている暇はねーぞーチャンピオン・ダイゴー!!』

 

 くっ……プテラ、距離を取って岩落としっ!!

 

 ミミロップ、跳躍して冷凍パンチッす!!

 

『おおーっとぉ!!プテラの岩落としはありえない程に跳躍したミミロップによって外れたーーー!!そしてミミロップの冷凍パンチがプテラを捉え叩き落したーーー!!効果はバツグンのオーバーキルだーーー!!プテラ、戦闘不能!!』

 

『さーさー、チャンピオン・ダイゴ。残されたポケモンは残り一体……』

 

『ん?邪魔が入ったな……』

 

 そ、そんな、あのダイゴさんが……

 

『やっと来たか、ハルカちゃん。運が良いのか悪いのか……少し待ってな、お仕置きなら後でたっぷりしてやるから』

 

 以下省略。

 

 あの子は一体……?

 

『おーチャンピオンもハルカちゃんが気になるか……アレだよアレ、ツワブキ社長から連絡ぐらいいってるだろう、新人トレーナーがムロへお前に届け物があるぐらいな』

 

 そうか、君が……

 

 ダ、ダイゴさん、あたし……

 

 よーく考えて、君が手紙の内容を読んで君が僕の代わりに使命を受け継ぐんだ!!

 

 さあ行ってくれ!僕が時間稼ぎをしている間にっ!!

 

 くっ、ごめんなさい……っ!!

 

『と、まあ邪魔が入ったが……』

 

『バトルを中断させて悪かったなウサギちゃん!バトル再開だ!!』

 

 メタグロス!破壊光線で通路を閉じるんだ!!

 

『ひゅー、オレ達と心中でもするつもりみたいですこのチャンピオン!!』

 

『ウサギちゃんのポケモンはメガ進化した真っ白なメガゲンガー!対するチャンピオン・ダイゴのメガメタグロス!!滅多に見られないメガ進化バトル!!まさにクライマックスに相応しい対戦カード!!一体どんなバトルが繰り広げられるのでしょーか!!」

 

『さー!!さーさー!!泣いても笑ってもラストバトル!!わたくし、興奮しすぎてビンビンきてますッ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゲンガー……ほろびのうたッス。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『えー……そりゃないぜ、ウサギちゃん』

 

 

 

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 こうしてチャンピオン・ダイゴはマグマ団したっぱに敗北した。

 

 この動画はAM10:00過ぎにはホウエン地方全域に拡散していった。

 

 彼の思惑通り、気味が悪いぐらいに世界に激震を走らせるのには十分だった。

 

 ホウエンのチャンピオンが意識不明の重体でカナズミ総合病院に運び込まれたからだ。

 

 もうすでに緊急ホウエンニュース番組が放送されていた。

 

 リーダー・マツブサはテレビの前で目を瞑り天井を仰いでいた。

 

 副リーダー・ホムホムはヒステリックで酸欠気味だった。

 

 カガリ隊長は徹夜だったため熟睡中……これを知ったらどう思うのだろうか。

 

 人々の声は相変わらずだ。

 

 彼に恐怖する声。憎悪の声。悪を許すなという糾弾する声。ポケモン協会は無能呼ばわりする批判の声さえ上がってきている。

 

 このまま彼を野放しにするな、か……言い得て妙なりだね。  

 

「いやはや相変わらずクレイジーだね、オメガくんは……」

 

 カス共がうるさくて仕方が無い。

 

 そして、私の思い通りにならない駒って嫌いなんだよねぇ……

 

 私はどこぞのトレーナーから拝借したマルチナビの電源を消してマグマ団アジトを後にした。

 

「さあ、行こうかシガナ……」

 

「にょにょにょー」

 

 ペットのお仕置きはドきついのが丁度いい。


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