オメガ&ルビー~マグマ団カガリ隊に配属された件~   作:れべるあっぷ

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主人公はライバルを待ち伏せする

「もってけ泥棒!」

 

 いきなり何だ、となるかもしれない。

 

 まーでも、こいつらは突然振って沸いて出てきたような存在だから仕方あるまい。

 

 いつもの如く、五つ子ちゃん達からの選別である。

 

 長男から『泥棒』の技マシンを貰った。

 

「ほれ、次の任務に役立てておくれよ」

 

 次男からは『ほえる』を貰った。

 

 またこのパターンか。

 

 なるほど、グラエナが覚える技マシンを貰えるってワケ、この後は三男、四男、五男と貰えるパターンだ。

 

「はっはっは、俺は3つやる!3つだ!!ありがたく感謝しろよ!!」

 

 お、おう……

 

『大文字』『かみなり』『ふぶき』の3つ。

 

 ミナモデパートで売ってるやつだ。

 

 それはグラエナが覚えられない技マシンだろうが。

 

「アンポンターン!もっと他に何かあっただろー!!」

 

 そういって残念な三男の代わりに四男から貰ったのは『いちゃもん』『ちょうはつ』『さしおさえ』だ。

 

 四男は三男と違って素晴らしいな、おい。

 

「じゃあ、最後に俺からはコレだ。すまんな碌なのがなくて……」

 

 五男は『バークアウト』だった。

 

 いや、ホント良いチョイスだぜ。三男以外は……

 

「な、なんだよ2人共その目は!」

 

「「ジー……」」

 

 技マシン3つもくれた三男にジト目を少々。

 

 そうすればあら不思議、

 

「あーもう!わかったよ!もう1つくれてやるよ!!ちゃんと使えよ!!」

 

 三男から『いばる』を受け取った。

 

 ふむ、三男はあと2、3は隠し持ってそうだったがコレで勘弁してやるか。

 

 そして、

 

「それと、忙しいカガリ様に代わって俺らから渡すことになっていたモノがある。本当に感謝しろよ、お前」

 

「うぉっぉおおおおおおお、カガリたんありがとぉぉぉおおおおお!!」

 

「「「「俺達の時と反応違うくね………??」」」」

 

「そ、そんなに喜んでもらえたらカガリ様にもいい報告できそうだな……」

 

「ぺっ……」

 

 とあるポケモンの卵をゲットしたッ!!

 

 対戦用アイテム『火炎珠』『毒々珠』『命の珠』をゲットしたッ!!。

 

 いや~ずっと欲しい欲しい言ってた甲斐があった。

 

 ポケモンのたまごは生まれてきてからのお楽しみだ、カガリたんマジありがとうオレのマイ・エンジェル!

 

 んで、アイテムの方もコレが欲しいとずっと思ってたんだよ。ヒガナたんに貢がせ……もといバトルリゾートまで行ってきてもらおうと本気で考えていたんだよ。

 

 あぁ、ありがたや、ありがたや!ウサギちゃんのツバも全然気にならない!!

 

 さて、任務へと出かけよう。

 

 

 

 

 

 

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 あの事件から1週間が経った。

 

 アイドルを巡った事件も噂もそれなりに落ち着いてきだした頃合、任務のためオレとウサギちゃんはカナズミシティへ訪れた。

 

 まずは行きつけのカフェでまったりするけども。

 

 ウサギちゃんのご機嫌取りをするしがいない先輩なオレだけどもっ。

 

 今回の任務も意外とめんどくさそうなものになりそうだ。

 

「先輩、オメガ先輩、トウカの森で待ち伏せするよりデボンの本社を直接襲撃した方が手っ取り早いッスよ」

 

「おいおいウサギちゃん、オレ達はアクア団じゃねーんだ。物騒な考えはよせ」

 

 ご機嫌斜めだとこうもバイオレンスになるウサギちゃん。

 

「すみませ~ん、ロイヤルジャンボパフェをお願いしまーす!」

 

「は~い、かしこまりましたーかしこ~」

 

 とりあえず甘いもので黙らすか。

 

「むー………」

 

 さて、簡単におさらいしておこう。

 

 今回の任務内容を簡単にいえば、『ある人物からとある荷物を回収』することだ。

 

 そのためにウサギちゃんはデボンコーポレーションを襲撃しようと言い出したけどもその案は却下で。もう既に作戦は決まっているのである。

 

 アクア団が現れる所にマグマ団在りってな、誰かが噂するけども。今回もアクア団が調子に乗ったからオレ達がこの街に訪れたワケだけども。

 

 昨日だったか、アクア団が事件を起した。

 

 デボンコーポレーションというホウエンきっての大企業の研究員からとある荷物を奪おうとする事件が勃発した。

 

 ブツの中身はまーアレだ。『∞エナジー』という代物で、これはロケットの動力源にも使われたりアクア団はその動力を使って潜水艦を造ろうと企んでいる。

 

 潜水艦は深海で眠っているはずのカイオーガを探すために必要な乗り物だ。

 

 だからアクア団はソレを強奪した。1度にならず2度、トウカの森とここカナズミシティで事件を起した。

 

 しかし、その計画はとあるポケモントレーナーによって阻止された。1度にならず2度も失敗、なんとも無様な話だ。

 

 デボンはヒーローのおかげで無事に荷物を取り戻せた。

 

 さてさて、この事件をきっかけに物語は動きだす。

 

 デボンの社長はヒーローにある依頼した。

 

 例の荷物を持ってムロにいるダイゴという男に、社長直筆の手紙を届けて欲しいという最重要任務であった。

 

 またいつアクア団が襲撃して強奪をしてくるかわからないからな、確かにデボンの者に持っていかせるよりポケモントレーナーに任せた方が適任だろう。

 

 例のポケモントレーナーはこれからカナズミを出てトウカの森へと引き返し、ハギという老人の元へ訪れてムロへ向かうだろう。

 

 だから、オレ達はそこに目をつけた。

 

 マグマ団も例の荷物が必要だ。グラードンを探すために深海も潜らないといけないだろう。だからこその回収、アクア団よりも先に例の荷物を回収するのが今回の任務、だから人気のないトウカの森で待ち伏せするという作戦を立てたってワケだ。

 

 相手は駆け出しのルーキー、取るに足らないおにゃにゃの子。

 

 なに、ちょっと意地悪をして例の荷物を回収しよう。

 

 まーこれだけをおさらいしたら、とても簡単な任務のイメージなんだけどな。

 

 誰もが知っているシナリオにイレギュラーなオレがちょっかい出したと云えばいいのか……ダークライがいればあっという間に眠らせてちょちょいのちょいなんだがなー。

 

 まったくどこで油売ってるんだか……タイミングが悪かったな、まーよくあることなのでこういう時もあるさ。

 

 やれやれだぜ、それに一番めんどくさいのはウサギちゃんだ。

 

 ご機嫌斜め理由は明らかだ。

 

 トウカの森で待ち伏せするというのも例のポケモントレーナーが相手だから。

 

 そんでもって心なしかオレが浮かれているから妬いてるんだ、きっと。

 

 まーウサギちゃんの気持ちもわからんでもないがな。

 

「うぉおぉおおおおおおお、こうなったらヤケクソっす! すいましぇんッ、おかわりッス!!」

 

「………」

 

 なにこのカワイイ生き物………。

 

 ウサギちゃんはジェラシーなだけに、このあとロイヤルジャンボパフェを3個ほどペロっと食べきりやがりましたとさ……

 

 1個、1500円もするモンスターパフェだ。

 

 オレはこっそり財布の中身を確認し辺りを見渡した。

 

 あっ、ターゲットが店の前を通り過ぎていくのを確認。

 

「しゅみましぇーんッス!おかわりもう一丁ッス!!」

 

「はいはい、おかわりは任務終わってからまた来よーな!!道中でアイス買ってやるから!!」

 

 ウサギちゃんっ、いくぞ!!

 

「店長、勘定はそっちで新聞紙を呼んでいるフリしてこっちの様子を窺ってるジムリーダーにでもつけてといてくれ!!」

 

「えぇ、かしこまりました」

 

「ちょっとぉ、お待ちになってくださいオメガさん!!?」

 

 この街に来てからずっと後を付けられていたことぐらい分かっていたぜツツジたん。

 

 そして、この店の店長は残念ながらショタコンでオレの味方さ!たぶん!!

 

 さて、ウサギちゃんの顔色が悪いんだが、先回りしてトウカの森で待ち伏せ作戦決行だ。

 

 

 

 

 

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 さて、トウカの森――――――。

 

「で、先輩。いつになったら例の小娘来るんスか?」

 

「さーいつだろーなー……」

 

 あれから4時間経過……

 

 人気のない野生のポケモンで溢れた薄暗い森にてウサギちゃんが今にもブチ切れそうだった。

 

 理由は至極簡単。ターゲットが中々やってこなくてもう我慢の限界なのだ。というか、腹が痛いらしい……アイスがトドメのようだった。

 

 というか、ターゲットはこっちの抜け道じゃなく正規ルートで引き返していったかもな。

 

「はっ、そうだ!こういう時は6Vいじっぱりキノココ狩りでもして気を紛らわせてみようぜウサギちゃん。きっと楽になるぜウサギちゃん!!」

 

「ふざけんなッス!!」

 

「あっ、あっちに逃げ足タネマシンガン持ち3Vいじっぱりキノココがいるじゃまいか!理想個体じゃないけど捕まえにいってくるからウサギちゃんはその間にその辺で用を済ませるんだ!!」ひゃっほう!!

 

「テメーは鬼かッ!??」

 

 無理やりテンションを上げて、願わくばめんどくさい腹痛凶暴生物から距離を置きたくて。

 

 草むらの茂みに隠れているキノココまでの距離10メートル。

 

 そ~っと近づくのだぞー……

 

 そーっと、そ~~~~っと……

 

 キノココは何かに夢中でオレ達の存在に気が付いていない様子だ。

 

 絶好のチャンスだ。

 

 悟られるな。

 

 息を潜め成りを潜め、森の一部になるんだ。

 

 ウサギちゃんの屑以下でも見るかのような視線も気にするな。

 

 そ~っと、そーっと……

 

 あと5歩、4歩……3………2…………………1ッ!!??

 

「「ッ!??」」

 

「勇気は凛々~元気はもりもり♪興味が津々~生きヨーヨー♪」

 

 ウサギちゃん、いくら腹が痛いからって急に歌うなよ!!?しかも歌詞間違えているし!!

 

 キノココがオレに気付いて驚き固まった。結果オーライだがな!!捕まえる絶好のチャンス!!

 

「ポケナビ持って~友達探しの旅に出たんだよ~♪先手必勝~油断大敵♪やる気満々……ッ!!」

 

 おいおい下手な歌はもういいんだぜウサギちゃん。

 

 しかし歌が近づいてくる。

 

「ウ、ウチじゃねー……せ、先輩、後ろッス!!」

 

「へ??」

 

 振り向く暇もなかった。

 

「アチャモは飛び蹴り、ダンバルはロケット頭突きかも!!」

 

「チャモチャモーッ!!」

 

「バル……ッ!!」

 

「ゴバババァァァアアアアアア!??」

 

 背後から何者かの襲撃によりオレは盛大に地面を削りながらヘッドスライディングして転げまわった。

 

「よくやったわ!アチャモ、ダンバル!マグマ団を1人倒したかも!!」

 

 

「………」

 

 オーケー、絶対に泣かす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




あたしの師匠からのアドバイス。

サナ「ハルカ、序盤で彼と正面からぶつかった場合、アナタが勝てるはずもありません。なので、奇襲をかけて背後から仕留めましょう」

ハルカ「え、でも……」

サナ「躊躇ってはいけません。今や彼は悪名の高い悪党です。親泣かせのマグマ団です。本当に友達を取り戻したいのなら本気のヤる覚悟をみせなさい」

ハルカ「うん、わかったかも!」

サナ「作戦コード:オメガ。突撃ラブ・ダイレクトアタック!!ってヤツです」

ハルカ「サナちゃんの作戦名、センス悪すぎかも」

それは旅を出る前の話し。

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