オメガ&ルビー~マグマ団カガリ隊に配属された件~   作:れべるあっぷ

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オメガのポケモン

 打倒、テッセンのレントラーに燃えるウサギちゃん。

 

 ホルビーを鍛えるため、マグマ団がオレ達に用意してくれた攻撃の基礎ポイント上げる効果を持つサンドバックをひたすら殴らせ、それが終われば次に素早さの基礎ポイントを上げるサンドバックでトレーニングだ。

 

「攻撃こそが最大の防御です!!」

 

 四方八方。

 

「素早さの向こう側へぶっちぎるのです!!」

 

 いろんな角度からホルビーはサンドバック目掛けてタックルをかます。

 

「こ、これがポケモンの動きなのですか!??」

 

「先輩うっさいッス……ッ!!」

 

「………」

 

 ガン飛ばされた。

 

 オレの愛がウサギちゃんに伝わらない瞬間だった。

 

 それはそうとウサギちゃんに指摘されたレントラーの威嚇だが、対策としてはOパワー以外にありえない。

 

 攻撃力が下げられるのであれば攻撃力を上げればいいだけの話し。

 

 もうこれで解決したな。

 

 別にOパワーの存在を忘れていたワケじゃないんだからな、ウサギちゃん。

 

「さて、ヤミカラス。お前はサンドバックを殴る前にコレを食べるんだ」

 

「カァー……??」

 

 ウサギちゃんとホルビーは最早放置でいいだろう。

 

 ソレ何ぞや?と警戒するヤミカラスの相手をしようか。

 

 コイツが厄介だ。

 

「何も聞くな、男は黙って食べりゃいいんだよ」

 

「カァー……」

 

 私メスなんですけど、とでも言いたそうな顔だな。

 

 うるせー、お手軽に強くなれるドーピングアイテムを黙って食うんだ。

 

 マックスアップ×10

 

 ブロムヘキシン×10

 

 ヤミカラスはずぶとい性格だから防御特化にしようと思う。

 

 HPと防御に努力値を極振りにする。

 

「さあ、食べるんだ!」

 

「カァーカァー!!」

 

 イヤイヤと首を振るヤミカラス。

 

 コイツ、勘がいい。コレが不味いって分かるんだろな。

 

 だがしかしだ。

 

「好き嫌い言ってちゃ強くなれません!!いいから四の五の言わずにお食べ!!」

 

「アホー!!」

 

「ッ!??」

 

 アバババババ!??

 

 電磁波を先に覚えさすんじゃなかった。

 

 アクア団をシビレさせるために覚えさした技をオレがくらってどうするんだ。

 

 またしてもオレの愛が伝わらない瞬間だった。

 

 はーあ、リザードンとバンギは食べてくれたけどなー。

 

「先輩、何やってんスか。はい、麻痺治しッス」

 

「た、助かった……」

 

 ウサギちゃんから受け取った麻痺治しでシビレはなくなった。

 

「これだからタコ先輩は……」

 

「………」

 

「自分のポケモンを育成するの5体目なんスから、その子にあったやり方ぐらい分かるッスよね?ホント世話が焼けるッスね。ペッ」

 

「「………」」

 

 そういって、トレーニングを再開するウサギちゃんに涙するオレ。

 

 ヤミカラスもウサギちゃんにガン飛ばされてオレの背後に隠れる始末。

 

「しょーがない、時間はかかるがひたすらサンドバック殴ろうか……」

 

「カァー……」

 

 こうして、オレ達はウサギちゃんの逆鱗に触れないよう、隅っこの方でトレーニングを開始するのであった。

 

 ヤミカラスは5番目にゲットしたポケモンだ。

 

 アタッカーしかいなかったオレのパーティーの強力な助っ人になってくれるはずだぜ。

 

 ちなみに、ルチアちゃんとバトった時は手持ち3体しかいないと言っていたが、ヤミカラスは間違いなく5番目のポケモンである。

 

 ダークライはゲットしたわけじゃないから何番目なのか数に入れていないがな。

 

 1番目と2番目が前にいて、3番目にリザードン、4番目のバンギ、5番目にヤミカラス。

 

 1番目と2番目はもう手持ちにいない。

 

 ただそれだけ。

 

 これも全てアクア団が悪いんだがな。

 

 1番目のワンちゃんと2番目のサナちゃん。

 

 オレがニックネームを付けたポケモンはたった2体だけだ。

 

 はぁ……いないとなると少しだけ寂しいものがあるな…………

 

 いや、やっぱりサナちゃんは別に会いたいとかねーな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 朝起きて、カーテンを開けひざしを浴び窓の外の空気を吸い、洗面所で顔を洗っては朝食の用意をしてエッグトーストを頬張り紅茶を流し込み、ハミガキをして溜まった洗濯物を干しに庭に出たり。

 

 それが終われば家中を掃除機かけ、ワンちゃんと散歩がてら近所のスーパーに寄り、今日の晩御飯の足りない食材を買って、帰りにナンパされ果物盛り合わせをもらい、気分上々にお隣さんにおすそ分けをしに訪問したりもし、お隣さん家の引きこもりニートの相手にポケモンの知識を教え、時にはバトルしたり不審者がたまに現れるので遠慮なく成敗してみたり。

 

 帰宅すれば夕飯の仕度をして、馴れた手つきでロールキャベツなんかも作れてしまうクオリティに男の胃袋もバッチリ掴んで褒められ、もうこれだけできれば嫁ぎにいっても問題無いとの太鼓判だったり、入浴中は鼻歌なんか歌って将来を妄想したり上せたり……

 

 そんなポケモンがいたっていいじゃない。

 

 性別不明なダークライでさえ恋をしているのだからいいじゃない。

 

 花嫁修業でセンリさん家に居候しているサーナイトのサナちゃんは少年オメガの2番目のポケモンである。

 

 ワケあって実家に送ったのだ。

 

(マスター、アナタが言った通りサナは花嫁修業して立派なポケモンになりますからね!)

 

 いや、少年はそんな命令は出していない。

 

 風呂から出てリビングにやってきてはお義母様入れてくださったホットミルクを口付けて、ふとテレビを見ればニュースが流れていた。

 

 先日からずっとこの話題で沸騰している。お義母さま、お義父さまの不安そうにテレビに釘付けなのが見ていられなかった。

 

 彼らも薄々感づいているのであろう、あの変わり果てた風貌の少年が自分の息子ということに。

 

 目を逸らしたい事実と目を逸らしてはいけない現実の葛藤に渦巻いているのであろう。

 

 花嫁修業に出かけたサナちゃんに両親を慰める言葉は思いつかない。

 

 ただ、マスターに言われた通り、両親をサナちゃんが守るだけ……

 

(あーしかしマスターとチューしてー)

 

 だけどしかし、不謹慎にも別のことも考えているサナちゃんでした。


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