オメガ&ルビー~マグマ団カガリ隊に配属された件~   作:れべるあっぷ

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ホウエンニュース

 PM6:00―――――

 

「こんばんは、ホウエンニュースのお時間です」

 

 夕方のニュース番組。

 

 神妙な顔を見せるのはニュースキャスターのスルメさんである。

 

「本日、衝撃的な事件が起きました。

 ミナモシティにあるポケモンコンテスト会場にて、アクア団とマグマ団による抗争がありました。ルッチーこと今旬のアイドル・ルチアさんを巡ったトラブルとのこと、ルチアさんは昏睡状態に陥りホウエン総合病院に搬送されたのことです。

 これに対してポケモン協会は『コメントは控える』とのこと、市民やファンのヒト達はショックを隠せない様子で不安の声が後を断ちません」

 

 画面はコンテスト会場前に切り替えられる。

 

 ちょうどルチアちゃんを抱きかかえたマグマ団2人組が会場から出てくる場面だった。

 

 というかオレ達だった。

 

『止まりなさい!そこのマグマ団2人組み!!』

 

『『うわー』』

 

 そう、マヌケにも声を出したあの瞬間を捉えていた。

 

『あなた達、その子をどうするつもりですか!!大人しくこちらに渡しなさい!!』

 

『うん、いいよ』

 

『え、え……??』

 

 抵抗もせず素直に渡され困惑気味のジュンサーさん。

 

『いや、病院連れてってやれよジュンサーさん。この子はこれから衰弱していくんだ。1ヶ月ぐらいは目を覚まさないから』

 

『えぇっ!?1ヶ月も!??』

 

『驚かれるのも無理はありません。これも全てアクア団が全部悪いんです……』

 

『うわー、やり方が汚いっすねー先輩』

 

 全てが記録されている。

 

 この後の出来事も全て。

 

『オウホウ、マグマ団のガキ共、ルチアをどうするつもりダ?こっちに渡しヤガレ――――――どうもこうも、どうしてこうナッタ!?計画がパーだ!!面白くネェ使えない女ダナ!!』

 

『おい口には気をつけろよアクア団。次、またルチアちゃんを利用するってんなら地獄をみるぜ。こんな風にな――――――リザードン、吹き飛ばせブラストバーンだ』

 

 上手いこと編集されているな。

 

 そして、あまりの熱量に画面は真っ白になりそこで映像は途切れた。

 

「今の映像は一部でしかありません。こんなことがコンテスト会場内でも起きていたのかと思うと身が竦む思いです。現在の現場の状況はどうでしょうかオカキさん」

 

 画面は昼から夕方へと変わる。

 

 ミナモシティの青空が夕焼けに塗り替えられる。

 

 現地に訪れているアナウンサーのオカキ・アナが緊張した面持ちで言葉を繋いでいく。

 

『はい、私は今コンテスト会場前にいます。

 アクア団とマグマ団の抗争で建物の中に入るのは相当危険とのことで、現在は建物の安全面を確認できない限り中には入れそうにありません』

 

「それは建物が崩壊する恐れがあるということでしょうか?」

 

『はい、その可能性もありますが、今現段階では崩壊する心配はそこまでないそうです。

 ただ、建物の中でもステージ内が特に酷い状態らしく、ありとあらゆるモノが壊されているそうで天井の一部が崩れ落ちたり、先ほども部品が関係者のすぐ近くに落ちたという情報もありまして中は立ち入り禁止というのが現状です』

 

「そうですか。当時、何が起きたのでしょうか………」

 

『はい、コンテスト会場内で準備をしていたスタッフにお話しを窺いしました」

 

 顔にモザイクをかかったコンテスト会場のスタッフが登場し話を始める。

 

『朝の9時半頃のことでした。

 ステージではアイドルのルチアちゃんが1人早くリハーサルを行っていたのは知ってました。そこにマグマ団の2人組みが現れて顔パスで見学にきたこともルチアちゃんから聞いていました。

 とても怪しい関係だと思いました。でも、ルチアちゃんはアクア団もマグマ団でも関係なくポケモンコンテストに興味を持ってほしいと常々言ってたのを思い出し、私は作業に戻りました。

 そして、30分ほど時間が経った時には異変が起きました。異常事態です。

 会場内で何故か砂嵐警報が発生しアクア団が押し寄せてきたんです』

 

『そのあと、貴女たちスタッフ達はすぐに避難されたのですよね?』

 

 オカキ・アナが訊ねる。

 

『はい。私達はすぐさま避難しました。

 中には私服のアクア団がいました。私達が出口を目指して走るのとは逆方向にステージへと向かうスタッフもいました。アクア団が紛れ込んでいたことにショックを受けました。

 ここはポケモンのコンテスト会場であっても彼らの私欲のためのバトル会場ではありません。ここで今から争いが起きるのは嫌でした。でも、私は戦えませんから逃げるしかありませんでした。

 今日のポケモンコンテストを楽しみにしていたお客さんには謝っても謝りきれません。

 私達一同も心から楽しみにしていました。

 だから、本当にとても悔しい思いで一杯です…………』

 

 もうこれ以上は話せなさそうだ。

 

 スタッフはこの後ずっと泣いていた。

 

 オカキ・アナがスタッフの背中をさすっていた。

 

 画面はスタジオにいるスルメさんに変わった。

 

「辛い中、我々の対応ありがとうございました。

 このように、マグマ団2人組みがルチアさんに招待されたところを狙ったアクア団の真意はわかりません。今も病院に搬送されたアクア団178名は口を開くことができずに、さらに逃亡を続けている彼らから事情を聞くこともできていないのが現状です。

 とても残念で仕方がなりません。

 アクア団であろうとマグマ団であろうと、今日の出来事は許されることではありません。

 だから我々は今日という日を忘れてはなりません。

 我々はこれからも今日何が起きたのか真相を究明したいと思います』

 

 さて。

 

『さて、続いてのニュースは――――――――――』 

 

 テレビが消された。

 

 オレが消したんじゃない。

 

 ホムホムが力任せにリモコンを机にバンと置いた。

 

 八つ当たりはいかんよ、ホムホム。

 

「チャイルド達よ! これを見て何か言う事はあるかね!!」

 

「「はて??」」

 

「はて、じゃないですぞ!チルドレンよ!!」

 

「カァー」

 

 ホムホムが怒っているのはオレ達が派手に暴れすぎたどころかメディアに露見されマグマ団の評判が悪化したことを物申しているそうな。

 

 今は説教の時間。

 

 今も逃亡を続けているオレ達は普通にマグマ団アジトに帰ってきて今回のミッション終了報告と、そして説教を受けている。

 

 リーダーの代わりに、というかいつもくどくど説教するのはホムホムの役目。

 

 リーダーは二言ぐらいで、はい終了だからな。

 

「最後のブラストバーンはいらなかったのでは!!」

 

「え、そこ??」

 

「じゃ、ウチは怒られる筋合いねーッス」

 

「カァー」

 

 欠伸をして耳をほじるウサギちゃんマジてきとー。

 

「ルビーチャイルドもオメガチャイルドを止めていれば印象も随分変わっていたはずですぞ!!」

 

「まーまーホムホムそんな怒りなさんなって、評判なんて気にしてる場合かよ。まーでも確かにうちの利益にならないようなやり方をしたのは謝るけども、結果オーライってやつだぜ」

 

「そーそーホムホム、ウチらのおかげでルッチーを助けられたんスから、実質これ以上アクア団が爆発的に増えることは無くなったんスよ。お礼の一つぐらい言えよ」

 

「反省するどころか態度がデカいですぞ!?」

 

「カァー」

 

「というか、さっきからオメガチャイルドの頭の上に乗る五月蝿いソレは何ぞや!??」

 

「あー新しいオレの仲間のヤミカラスだ。よろしくな、ホムホム」

 

「アホー!!」

 

 いや、凱旋途中の空旅前方不注意でヤミカラスの馬鹿に衝突してそっから離れてくれないなんて口が避けてもいない。

 

 リザードンの奴、ワザと散歩中のヤミカラスにオレをぶつけたとしか考えられんがな。

 

 まー、何にしろ、とりあえずヒガナたん曰くマスコットキャラ(仮)をゲットした。

 

 そして(仮)と書いてあるのがミソだぜ。




「って、勝手に話を終わらせるんじゃありません!オメガチャイルド達よ!!1週間外出禁止を言い渡しますぞ!!」

「「えー……」」

「えーじゃない!!」

「アホー!!」

 ホムホムの悩みのタネはさらに増えた。

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