きんいろモザイク‐ボーイズ・ビー・アンビシャス‐   作:星の翼

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6話:仁義無き男の戦い

待ち合わせに遅れて合流してからやけに宗吾の機嫌が良いのには少し気になるのだが―

 

「てかさ―このメールって久遠の差し金か?」

「いや―まぁ、個人的な援護射撃のつもりだったんだが?」

「………そっかそっか―まぁ、たけちゃん…怒りもあるがそれ以上にグッジョブ送ろう、百万年無税」

「?? ああ―」

 

そういや―宗吾も観九郎ほどコアじゃないがそっちの情報通なんだよな。

っと言うか―宗吾、どんだけ久遠がかかわると嫌なんだよ。

いやまぁ、分からなくもないんだが―アイツの弄りは下手をすれば冗談で済まなくなりかねないからな

とにかく―忍達に合流しないとな。

 

「で、アイツら真っ先にゲーセン行くか?」

「さぁ―陽子のチョイスじゃね?」

「猪熊殿でござろうなぁ~」

「…………猪熊だろ」

「OKお前ら、とりあえず本人の前では絶対に言うなよ?」

 

アイツも―女なんだからな。

っと見つけた―

 

「よう―」

「武君おはようございます。」

「……あ、ああ―」

 

何だ―朝方やけにドタバタしてるなとは思っていたが忍…面白い格好してるな。

何かこう――――全然似合ってない。

 

「…………大宮、何だその奇妙な格好は?」

 

躊躇もせずに突き刺したーッ!!

恐らくこの場に居る何人かが俺と同じことを思った筈だ。

 

奇妙な格好扱いされた忍はがくりと落ち込んでいるが………。

 

「っと、とりあえずこうしげ合流できたのでござるし―皆で遊びまわるでござろうよ。某これでも財布にはそれなりに居れてきたので多少の貸し借りも問題なしでござるよ?」

「俺だって貯金おろしてるわ……で、如何するの?」

「とりあえずまずは【遊ぶ】!」

 

真っ先に答えたのは陽子―まぁ、ゲーセン来て何もしないってのは無いからな。

何かしてたのなら別だけど――

 

「……で、アリスは何見てるんだ?」

「UFOキャッチャーだな。」

 

でっかいぬいぐるみが景品のUFOキャッチャー…中身は、でっかい熊かうさぎの頭部だけのぬいぐるみ…何か観九郎が後ろで「ゆっくりしていってね!」なんて言ってるがスルーだ。

 

イギリスにはこういうゲームって無いのだろうか?

けど、これは結構難しそうだなぁ…

 

「よぉし、じゃあ早速やってみるか?」

 

真っ先に名乗り出たのは宗吾。

恐らく女性陣―特に綾に対して良い所を見せたいのだろう。そんな下心丸わかりである。

 

「宗吾―お前、やった事あるのか?」

「さぁな―けど、こんなんど真ん中めがけてうまく挟んじまえば楽に取れ―――――

 

 

 

 

――――――――無いぃ………」

 

使う事既に野口を3人費やしているが……動きはすれど穴には程遠い。

こんな筈じゃあ……と言う顔前面に押し出して心折れそうになっている。

 

「ま、まあまあ宗吾、こんな時もあるって…」

「そうよ、気にしないで良いわよ」

「元気出して。」

「ぅぅ―――惨めだぁ…………」

 

 

陽子と綾、アリスに慰められて男としてのプライドをさらに凹ませる宗吾。まあ、これも思春期真っ只中の男子…強く生きろ。

 

「偉い人が言ったでござる、UFOキャッチャーは貯金箱であると―」

「良い得て妙だな―宗吾は惨敗か」

「……………………………。」

 

そんな中徐に100円を取り出し宗吾を撃沈したUFOの前に立つドラ。

 

「…………………………………。   !!」

 

UFOが動く―UFOが止まる―ぬいぐるみを掴む―ぬいぐるみを持ち上げる―ぬいぐるみが運ばれていく―ぬいぐるみが穴に落ちる

 

「……………取った。」

「「「「えええええええええええええええええええええ?!!?!」」」」

 

何の苦も無く普通に余裕で100円一回で取りやがった!?!?

 

「ドラ!?お前、そんな特技が?!」

「……………弟や妹と一緒に来るときもあるから、欲しいて言ったら取ってあげたりしてたら上手くなった。」

「ちょおおおっとぉぉぉじゃあついさっきの俺の苦労は何だったのぉおおおお!!!?」

「……………ドンマイ。 じゃあ、これ、あげる。」

 

そう言ってぬいぐるみをアリスに挙げるドラ。

 

「良いの?」

「うん―ずっと見てたからやっぱり欲しいのかな………って、あと、遅くなったけどようこそ日本へってプレゼントも込めて――」

「!ありがとう、ドラ」

「……如何いたしまして」

 

そう言ってドラは微笑む――何つうかもう、すげぇ微笑ましかった。

 

「鳳君、アリスといつの間にそんなに仲良く……ッ」

「忍妬くな、それにきっとドラはそういう感情ではないはずだから。」

「ドラー私らには何かプレゼントしてくれないの?」

「………何に対するプレゼントだ?」

「遅くなった入学祝」

「親にしてもらえ。」

 

そこはバッサリしてるなぁ―多分ドラ的にはアリスは弟妹と被るんだろうなぁ―本人には言えないだろうが……

 

「属性的には―素直クールでござるなぁ龍寅殿は…」

「お前は何の話をしてるんだ?」

「そして宗吾殿には噛ませ犬のスキルが芽生えつつあるでござるなぁ」

「これ以上宗吾の心にダメージを追わせるな!!」

 

向こうはほんわか―こっちは軽く修羅場である。

 

 

ともあれ―ぬいぐるみを抱いてご満悦なアリスを連れてもう少し見て回ると―

 

「お?ホッケーなんて懐かしいな…」

 

宗吾が指さす先には対人ゲーム―「エアホッケー」があった。

 

「これは如何やって遊ぶの?」

「アリス殿はあまりこういった場所がなさそうでござるな―よろしい、この観九郎が教えるでござるよ。 ルールは簡単―この取っ手の着いたこの丸いマレットで出て来るパックを撃ち合い相手のゴールに入れることで得点を競うゲームでござるよ。」

「へえー面白そう。」

「…………やってみる?」

「うん!」

 

と言う訳で、アリスとドラでエアホッケーをするのだが―

…………………………

 

………………と、

 

届いていない!!いや―頭は出てるけど、肩がぎりぎりだ!!でも一生懸命打とうとしてる。だから、皆ほっこりするな――だから、俺もほっこりするな!!本人必至だから!!

 

「これじゃあ―勝負になってねぇな。」

「微笑ましいでござるがなぁ~」

 

そんな時―誰かの腹が鳴った。

綾が俺らの事見てるんだが…………。

 

「……俺じゃないぞ」

「それがしも違うでござる」

「俺でもねえよ、いやガチで」

「(フルフル……」

 

「あ、私だ―」

 

陽子だった―そう言えば、もうすぐ昼時か―

 

「なら、これが終わったら昼食にするか」

「……確か、近くにファミレスがあったな。」

「そうね。」

「いや、ちょっと待った―――」

 

昼食に行くことが決定する中―宗吾がそこに待ったをかける、ってまたお前か。

 

「昼食行くのは賛成だ―が、その前にもう一勝負、しようぜ?たけちゃん―」

 

エアホッケー台の前に立つ宗吾が俺を指さす

 

「此処は……負けた方が女子陣全員の分驕りってどうだ?」

「!………良いぜ、何時ぞやの再戦か……」

「へっ―そう取って良いぜ?」

「…………………上等ッ!」

 

男として―これは受けざる負えない。

 

 

「って、ちょっと待て!何だこの雰囲気!!」

「いきなり二人が殺伐とした空気を!」

「ふ、二人ともどうしたの!?」

「武殿と宗吾殿はこういった勝負事にはお互いめちゃくちゃ熱くなりやすいのでござるよ。」

「……男、だからな」

「っとまぁ、そんな二人でござる故―ゲームセンターに遊び来たときは、大体賭け事あるなし問わず勝負するのでござるよ……因みに今の所、武殿の73戦37勝36敗でござる。」

「そんなに勝負してるのかよ…………。」

 

陽子達には呆れられてるが―気にしない。

 

「じゃあドラさん―合図を―」

「………………………。」

 

渡した100円を入れてもらいいざ―開戦。

最初にパックが手に渡ったのは――宗吾か。

 

「行くぜぇ!!【ファイヤーショットォ】!!」

「それサッカーだろうがぁ!!!」

 

ツッコミとともにパックを打ち返す

 

「まだまだ!ドライブシュゥート!!」

「どっちかと言えばイーグルショットだろうが!!」

 

今度はジグザグになる様に打ち返しパックが宗吾側のゴールに入り俺に1点入る。

 

「チィッ!流石にやるなぁ…だが!!」

 

用意してあるマレットをもう片方の手にも持つ―あれは!

 

「二刀流か!!」

「うわ、きたねぇ!!」

「きたなくねえ!!宮本武蔵に謝れ!!」

 

陽子のツッコミに反論する宗吾―だが、たかが片方に持った所で

 

「うらやあ!!」

「ッ!何っ?!」

 

打とうとした初撃をフェイントにもう片方から二発目で入れて来る。

フェイントに引っ掛かり一点を返されて再び同点に―

 

「……腕を上げたな、宗吾」

「お前もな…武!」

 

「「うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」

ガガガガガガガガガガガガガガガガガアガガガッ!!!!

 

 

「すげぇ……パックが分身してる。」

「これって人間の戦いなの?」

「さらっと小路殿、二人を人外認定してるでござるな…宗吾殿が聞いたらきっと傷付くでござるよ?」

「あれ?アリスと鳳君は?」

「そこでクレーンゲームしてるでござるよ?」

「ずるいです!私のアリスは渡しません!!」

「シノ、アリスはものじゃないぞー」

「ああ待って!二人の動きが―!」

 

 

「ぜぇ、ぜぇ…」

「ふぅ、ふぅ…」

 

パックは俺の手元――点数は…

 

「ふっ――同点か」

「残り時間は僅か――そいつが最後の一点になりそうだな」

 

打ち合いの時間は短くても、使った集中力は激しい。

取って取返し打ち打ち返しの応酬で聞き手もしびれてきた―だが、二刀流で消耗が激しいのは向こうの方が上だ!

 

「そろそろケリを着けるか!」

「ああ!!来いやぁー!!」

 

パックを打つ!それを受け止め2,3度のフェイントを入れてから打ち、それをダイレクトでさらに打ち返し、咄嗟に防御姿勢で此方の攻撃を受け止める―ゆっくりと中央に移動するパックに―

 

「「うおおおおおおお!!」」

 

両者が迫る。 パックを挟み鍔迫り合いが始まる。

周囲も勢いに飲まれ緊迫する中――宗吾がにやりと笑う

 

「そらぁ!!」

 

もう片方のマレットでパックを横から打つ宗吾!

 

「あれは!入るぞ!!」

「日本君!!」

「勝負あったでござるか!!」

 

「まだだあぁ!!」

 

マレットが台にあるのは全部で四つ!つまり―!

空かさず最後のマレットをもう片方の手に取りパックに向けて投げるぶつける軌道を外したパックは数回のバウンドをした後――

 

 

 

―――カラン

 

無人の宗吾側のゴールに入った。

つまり―

 

「この勝負、武殿の勝ちでござる」

「いよっしゃあ!!!」

 

「きったねえ!!投げるとかなしだろ!!」

「使えるものは使う主義だ!!」

「ってか、あぶねぇだろ!!投げんなよそんなもん!!」

「だからサイドスローしたじゃないか…で?賭けのこと忘れてないよな?」

「ぐっ………」

 

「………決着ついたか?」

「ああ――って、何か増えてる?」

「………色々取ってた。」

「そっか…」

 

大量のぬいぐるみを囲んでご満悦のアリスと、何のキャラか知らんが金髪のフィギュアの入った箱を手にほんわかしている忍。 色々取ったんだなドラ……

 

 

「まぁ、そう言う訳で―」

「ごちになるぞ宗像―」

「ち、チクショーメェー!!!」

 

 

悔し気に叫ぶ宗吾の声がゲーセンに響いた




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「強いて言うなら……大人っぽい人だな」
「………料理の好きな子」
「今の某の嫁は(ry」
「(外面内面問わず)可愛い人」
「ぁゃ………ま、真面目で、だけどすっげぇおっちょこちょいな上に恥ずかしがり屋で、でも面倒見良くて優しい……ツインテールの似合う女の子……………」

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