ハイスクールD×Dの規格外   作:れいとん

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第九話

決戦当日の夜。俺たちは部室に集まっていた

「一誠さん」

こちらに近づいてくるアーシア

他のメンバーと違ってシスター姿だ

「今日はシスター服なんだな」

「はい、部長さんが『自分で一番いいと思える服で来てほしい』と。

私、悩んだんですが、これが一番動きやすいかなって思いまして

今はもう、クリスチャンじゃないですけど信仰を忘れた事はありませんし・・・

今は悪魔ですけど」

すこし苦笑しながらアーシアは言った

この子はこの子なりに覚悟を決めたのだろう

「アーシアはその服装が一番似合っているよ」

「ありがとうございます」

俺が褒めるとアーシアは心底嬉しそうに笑った

「あの……一誠さん 傍に行ってもいいですか?」

そう遠慮がちに聞いてきた

「ああ……かまわないよ」

俺とアーシアは同じソファに座る

アーシアは震えていた

「怖いのか?」

「はい。これから恐ろしい戦いが始まると思うとどうしても体が震えてしまって……。でも、もう大丈夫です。一誠さんと一緒にいるから安心しました」

そう儚く笑うアーシア 無理しているのがわかる

「……大丈夫だよ。何が有っても俺が守るから」

「……ありがとうございます」

小さく、下手したら聞き逃しそうな声でアーシアはお礼を言った

 

 

時刻は午後11時50分

ゲーム開始まで後十分になったころだ

魔法陣からグレイフィアが現れる

「皆さん、準備はお済みになられましたか? 開始まで後十分です」

グレイフィアが確認すると俺を除いて全員が立ち上がる

「開始時刻になりましたら、この魔法陣から戦闘フィールドに転送されます。

場所は異空間に作られた戦闘用の世界。そこではどんなに派手な事をしてもかまいません。

所詮使い捨ての空間ですので思いっきりやってください

それと、兵藤様にはサーゼクス様からの伝言を預かっております。」

「……サーゼクスから? なんだ?」

「決してライザーフェニックス様を殺さないようにとの事です」

「サーゼクスに伝えておけ……殺しはしないと」

俺のその言葉に何か言いたそうな雰囲気だったがもうすぐ時間なのでそれを呑みこんだ

「今回の『レーティングゲーム』は両家の皆さまも他の場所から中継でフィールドでの戦闘をご覧になります。

さらに、魔王ルシファー様も今回の一戦を拝見されておられます。それをお忘れなきように」

わざわざルシファーと言い直したのは、今回サーゼクス個人としてではなく魔王としてこのゲームを観戦する気なのだろう

「お兄様が直接見られるの? ……無様なマネはできないわね」

その言葉に闘志を燃やすリアス

「皆様そろそろ開始時刻ですので魔法時のほうへ」

その言葉に従い全員魔法陣の中に入る

「一度あちらへ移動しますとゲームが終了するまで魔法陣による転移は不可能となりますので」

ゲームを終わらせない限り帰れないってことか

魔法陣が光りだす

いよいよゲームの始まりだ

 

 

転移が終了すると、そこは部室だった。

だが空気が違う、少し違うが次元の狭間と酷似している

『皆さま。このたびグレモリー家、フェニックス家の「レーティングゲーム」の審判役を担うこととなりました、グレモリー家の使用人グレイフィアでございます』

…………校内放送か?

『我が主、サーゼクス・ルシファーの名のもと、ご両家の戦いを見守らせていただきます。

どうぞ、よろしくお願い致します。さっそくですが、今回のバトルフィールドはリアス様とライザー様の意見を参考にし、リアス様が通う人間界の学び舎『駒王学園』のレプリカを異空間に用意しました』

たかだかこの程度のことでこの広い学園を丸ごとコピーしたのか・・・アホだな

『両陣営、転移された先が「本陣」でございます。リアス様の本陣が旧校舎のオカルト研究部の部屋。ライザー様の「本陣」は新校舎の生徒会室。「兵士」の方は「プロモーション」をする際、相手の「本陣」の周囲まで赴いてください』

リアスに兵士はいないのでこちらには全く意味のないことだ

「全員これをつけてちょうだい」

そう言って渡されたのは耳にはめるタイプの通信機だ

「戦場ではこれを使って味方同士やりとりするわ」

「……俺はいらないだろ」

「一誠は今回だけとはいえ私達の仲間なんだからつける!」

俺はリアスに無理やり通信機をつけられる

こんなものがなくても戦場の把握くらい楽勝なんだがな・・・

『それでは開始いたします。なお制限時間は特にございませんので・・・

それでは、ゲームスタート』

その言葉とともにゲームは開始した

 

 

「さて、まずはライザーの『兵士』を撃破しないといけないわね。

八名全員が『女王』に『プロモーション』したら厄介だわ」

リアスがソファに腰をおろしながら言う。

姫島もお茶の準備をし始める。

結構余裕が有るなこいつ等……。

「『レーティングゲーム』は戦場を使い込んでこそ意義がある。

大抵の場合、両陣営の本陣は砦か城、または塔になるわね。

本陣と本陣の間に森や山、川、湖を挟んで大掛かりな戦闘をするのよ。今回は学校が舞台。祐斗」

木場はリアスに促され、テーブルに地図を広げた。

その地図を見ながらリアスは呟く

「運動場には『戦車』と『騎士』を置くかしら。いえ、運動場みたいに広い場所なら機動力が求められる。

『騎士』を一名置いて、下に『兵士』三名ないし、四名配置かしら。それなら運動場全域を把握できる」

「お前らに一つ言っておくことがる」

作戦を立てているのを尻目に俺はリアス達に話しかける

「どうしたの? 一誠」

「俺は今回あの虫けらだけを叩き潰すつもりだ。だがそれだとお前ら納得をしないだろう? だから時間をくれてやる30分だ。30分経ったら、俺はあの虫けらを潰す」

「……つまり私達の力だけで勝ちたいのなら30分以内にライザー達を倒せってこと?」

「そうだ。俺はこんなことに時間を掛けるつもりはねぇ。その代わり30分間俺はこの部屋から出ない。無論リアス、お前が負けそうになったら残り時間に関係なく俺はあの虫けらを潰す」

「……そう。わかったわ」

俺の言葉を聞いて作戦を立て直すリアス。どうやら俺も作戦の駒として使う気だったらしい

 

(今回の戦いどう思う?ドライグ)

(特に見どころはないな。第一相棒が出るんだ、グレモリー達の勝利は決まっているようなものじゃないか)

(俺もあの虫けらとその周りのゴミどもをフィールドごと消し飛ばそうかと思ったけどな。リアス達の修行をみてやってから気がかわった。あいつ等がどのくらい成長するか見てみたくなったんでな)

(相棒が気にかけるほどの事か? 確かにグレモリー達は才能に溢れているだろう。だが相棒に敵うやつなんか一人も出てこないぞ?)

(言ったろ成長が気になるだけだってな。普通の悪魔なら修行なんかしない。だがあいつ等はした。もし才能と血統に縋る悪魔が努力したらどのくらい成長するのか気になってな)

(確かに稀有ではあるが、それだけだろう? その先あいつ等の限界に達したとしても相棒の足元にも及ばないだろうさ)

そういってドライグは会話を打ち切った

確かにそうだ。どんなに才能が有ろうが俺には勝てない

だが……、

(これから面白い事が起こるって言ったろ? これがその始まりなんだよ。ドライグ)

ほんの欠片しか残っていない記憶が俺にそう教えてくれる。

俺は現在戦場がどうなっているかを確かめ始める

 

まず最初に搭城が敵と戦っているらしい

俺のアドバイス通り、魔力を纏わせて戦っている

その隙に姫島が魔力を練っている

姫島が魔力を十分練れたのだろう

搭城が建物から退避する。その瞬間

ドォォォオオオオオンン!!!!!

轟音が響きわたる

どうやら建物ごと敵を吹き飛ばしたようだ

『ライザー・フェニックス様の「戦車」1名 「兵士」3名リタイアです』

ドォン!!

敵を撃破したことに油断したのだろう

虫けらの下僕に撃破される搭城

『リアス・グレモリー様の「戦車」1名 リタイアです』

その後姫島との戦闘に入る

 

 

その後も戦闘は続き、虫けらの下僕を4体倒す木場だが他の奴らと戦っている最中に姫島と戦っている奴に撃破された

その隙に朱乃が攻撃するが回復した敵に撃破される

リアスは屋上で虫けらと一騎打ちをする気らしい

……はぁ、ここまでか。しかたがない

どうやら俺はリアス達に過剰に期待していたようだ

(出るのか?相棒)

(ああ。このゲームはここまでだ)

(クックック、あのフェニックスの者も可哀想になぁ)

俺はドライグの言葉を無視し窓から飛び出る

リアスが居るところに飛んでいく最中に虫けらの下僕を全て撃破する

『ライザー・フェニックス様の「女王」1名 「騎士」1名「戦車」1名 「僧侶」2名 「兵士」2名 リタイアです』

倒し方は簡単だ。虫けらの下僕の気配に向かって魔力弾を放つだけ

それだけで全員戦闘不能になった

 

 

<リアス視点>

子猫や祐斗、さらには朱乃まで撃破され残る戦力は私だけ

私はライザーに魔力を放つが彼は涼しい顔をして全て受ける

「リ~アス。お前の滅びの魔力は確かに強力だがこっちはフェニックス、不死なんだぜ? お前の攻撃じゃあ俺を倒せない!! おまけにお前の可愛い下僕はそこの回復役のシスターを除いて全滅。もう勝ち目はない!いい加減あきらめるんだなぁ!!!!」

そう言って炎を纏うライザー

まずい!!こっちには決め手がない

私じゃライザーの不死を攻略できない……ここまでなの?

私は思わず涙を流しそうになったその時

『ライザー・フェニックス様の「女王」1名 「騎士」1名「戦車」1名 「僧侶」2名 「兵士」2名 リタイアです』

グレイフィアのアナウンスが聞こえてきた

「何!?どういうことだ!!?」

そう怒鳴り散らすライザー

一誠だ

私達がもう限界だと思ったのだろう一誠が出てきたのだ

「…………くやしいけどここまでの様ね。ライザー?」

「……ようやくあきらめたのか

なら早く『投了』するんだな」

そうライザーが笑いながら言ってくる

「残念だけどこのゲームは終わり。……貴方の負けでね」

「……何?」

そうライザーが呟いた瞬間私とライザーの間に一誠が下りてくる

「さ~てと、虫けら お前に地獄を見せてやるよぉ」

一誠がドスの利いた声でライザーに話しかける

「お前!!!この間の人間!!!! あの時はよくも俺に恥をかかせてくれたなぁ!!!! フェニックスと称えられた我が一族の業火! その身に受けて燃え尽きるがいい!!」

そういってライザーから尋常じゃない量の炎が溢れ出る

その炎が一誠に襲いかかる

「一誠!?」

彼は防御をする姿勢すらとらなかった

「…………クッハハハハハ! 所詮人間か!!! 俺の炎をまともにくらったんだ。骨も残らないだろうよ!!!」

そうライザーが勝ち誇る。……だが、

「・・・業火だぁ? この程度でか? マッチ火の方がまだ熱いんじゃねぇの?」

彼は無傷だった

「……貴様!!! どんな卑怯な手を使ったア!!! たかが人間如きに俺の炎が防げるはずがない!!!」

怒鳴り散らすライザー

「防ぐ? この程度の篝火でか? 笑わせんなよ」

そう一誠が呟いた後ライザーの四肢が消えていた

「…………なっ!?」

四肢を失い倒れるライザー

そんな彼に近づき頭を掴む一誠

その僅かの間に回復するライザー

「さて、お前は一応殺さない約束なんでな殺しはしねぇよ。安心しろ」

そういって笑う一誠

その笑顔を見た瞬間背筋に冷たいものが奔る

ライザーも顔を真っ青にしている

「貴様に永遠の生をくれてやるよ『凍てつけ』」

そう一誠が呟いた後ライザーの体が凍り始める

「あがぁああああああああああああ!!!?」

ありえない

炎を司るライザーが凍る!?

いったいどうやって……

『ライザー・フェニックス様を戦闘不能とみなします。よってこのゲーム、リアス・グレモリー様の勝利です!』

そうグレイフィアの宣言が聞こえる

……勝った?

私達グレモリー眷属が苦戦していた相手を一誠は顔色一つ変えることなく倒してしまった

 

 

ゲーム終了後俺はサーゼクスに呼び出された

バックれようと思ったが真剣な表情をしていたので話くらいは聞いてやる

「なんの用だサーゼクス? 俺はとっとと帰りてぇんだけど……」

「兵藤君。私じゃなくて彼が君に用があるらしくてね」

そこになダンディーな中年のオヤジと金髪の美人がいた

その後ろには気の強そうな金髪の美少女が……

「はじめまして兵藤一誠君。私はフェニックス家現当主。ライザーの父親だ」

「なんだ? たかが人間如きが上級悪魔に勝ったのが気にくわないから敵討でもしようってか?」

「いやいやそんなことはないよ。むしろ君には感謝しているくらいだ。ライザーは我が一族の力と才能に感けて慢心していたようだからな。あいつにもいい薬になるだろう。今日君に会いに来たのは頼みが有るからなんだ……」

どうせ解けと言いたいのだろう

「頼み? なんだ?」

「頼む!! 息子の氷結を解いてくれ。あまりにも強力すぎて我々では解除することができんのだ

頼む!!」

やっぱりなぁ それこそセラですら解けないような物だし。こいつら程度があの凍結を解除できるはずがない

「……めんどくせぇ。俺はあの虫けらがこのまま凍っていようがどうでもいいんだけど?」

俺の答えを聞いて尚も頭を下げる当主

「頼む!! あんなのだが私達にとって大切な息子なのだ。頼む!!!」

「お願いしますわ!!」

そういって他の二人も頭を下げてくる

「兵藤君、私からも頼むよ。ライザーを元に戻してやってくれないか?」

サーゼクスまでそう言ってくる。……はぁ。

「いいだろう。その代わり対価をもらうからな」

「無論だとも!! ライザーを治してくれるなら何だって払おう!!」

そう嬉しそうに言ってくるオヤジ

「……対価は後日サーゼクスに伝える」

俺は伝えることだけ伝え、あの虫けらの部屋へ向かった

 




初めての5000字越え
なのに戦闘が少ない・・・
戦闘描写がかなり難しいです。

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