ハイスクールD×Dの規格外   作:れいとん

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久々の投稿。

そして明日、明後日は一日中バイト

日曜日は知り合いの引越しの手伝い……誰か、俺の代わりに執筆してくれないかなぁ(遠い目)


単発・番外編
単発・東方 アリス編


一誠が極大の槍を振るう。エンドレスはそれを無雑作に掴むと、握りつぶす。エンドレスが反対の手で一誠を殴り飛ばそうとする。それを一誠は空中で横回転し、その勢いのままエーテリオンの槍を手の甲に突きさすことで回避する。一誠は槍を突きさした勢いのまま、エンドレスの顔面に蹴りを放つ。エンドレスの周りに大量の魔力弾の様な物が現れる。嫌な予感がした一誠は、エンドレスから離れる。そして、それが放たれる。数えるのがバカらしくなるほどの弾が一誠に向かってくる。少なくとも数億、数十億では到底足りない数だ。弾幕などという生ぬるいものではない。もはや、壁だ。大量の『点』ではなく『面』が断続的に襲ってくるのだ。もうひとつ理由があるが、オーフィスやグレートレッドでも防ぎきることは不可能だ。弾による壁が一誠を襲う。避け、または槍で弾きながら防いでいく。一誠に当たらなかった弾が地面に当たると、その部分が消失していく。一誠が槍をエーテリオンで構成している様に、エンドレスも弾を『忘却』の力で構成しているのだ。この弾に当たったモノは『忘却』の力に晒され消失する。バアル家の滅びの魔力に近い物がある。だが、こちらの方が規模も強さも凶悪さも桁違いだ。これに触れて消失しないのはエーテリオンくらいだ。このままでは防ぎきれないと判断したのだろう。一誠は、瞬間的にエーテリオンを周りにまき散らすことで弾幕を吹き飛ばす。さらに、一誠の周りに数百のエーテリオンの槍が出現する。それを前方に放つと同時に、一誠は突っ込む。前方に放った槍が障害となる弾の壁に穴を抉じ開けていく。そして、一誠は壁を抜けた所で―――囲まれた。上下左右前後、三百六十度全体を『忘却』の弾によって囲まれていたのだ。そして、その弾が弾ける。圧倒的なまでの『忘却』の力が一誠を襲う。エーテリオンを全身に纏い、なんとかその場から抜けだす一誠。そんな一誠にエンドレスは追撃を仕掛ける。口の所に集めた力を、まるでドラゴンのブレスの様に放つ。弾幕から抜けだした一誠は少しばかり反応が送れ、その圧倒的なまでの『忘却』の力による砲撃を回避できない。砲撃に飲み込まれた一誠はなんとか防いだものの、無傷とはいかなかった。落下しながら体勢を立て直そうとする一誠にエンドレスはその巨大な腕を叩きつける。

ドガァァァァァァァァァァァァンッッ!

圧倒的な破壊と衝撃をまき散らして、一誠は地面へと叩きつけられた。

「―――ゲホッ……」

一誠はよろよろと立ちあがりながら、口から流れ落ちる血を確認する。

「―――ああ、やっぱり強いな……」

ゲホゲホっとある程度血を吐きだしたのだろう、先ほどより幾分か楽そうに呼吸をしながらエンドレスを見上げる一誠。

その視線の先には次元の狭間を忘却の彼方へと送ろうとしている『王』が存在するだけ。

『此処まで相棒を傷つける化け物だったとは。……噂には聞いていたが、それ以上の化け物だな』

ドライグは呆れたようにそう呟く。

しかし、そこには呆れしかなく、恐怖や絶望感と言ったものは一切なかった。

『それで、どうするんだ相棒? お前のことだ、この程度の相手に負けるなどあり得ないだろう?』

一誠は左腕に『赤龍帝の籠手』を出現させながら応える。

「当然、俺が負けるわけ無いだろ」

莫大、などという言葉が生温く感じるほどの圧倒的な力をオーラを辺り構わずに放出しながら、一誠は唱える。

「我、目覚めるは―――力の真理に辿り着きし、赤龍帝なり―――」

一誠の唱える呪文に呼応するように、一誠の左腕に存在している籠手から力のある声が響き渡る。

『世界が終わる! 夢が始まる!』

『無限を打倒し、夢幻をも降した!』

『我らは辿り着いた! 故に新たな答えを求め彷徨う!』

その声からは恨みや妬みなど一切無い。そこに籠められているのは誇りだ。自分たちこそが『赤龍帝』であるという誇り。神や魔王を凌駕すると云われる二天龍、『赤い龍(ウェルシュ・ドラゴン)』ドライグに認められ共に戦ってきたという誇りだ。

「無限の煉獄と永劫の夢を抱いて、求道を往く! 我、真なる龍の帝王と成りて―――」

一誠の体を赤い、何処までも純粋で、綺麗な赤色のオーラが覆っていく。

「「「「「汝を紅蓮の業火が燃え盛る覇道の終わりへと誘おう―――ッ!」」」」」

Juggernaut(ジャガーノート) Over(オーバー) Drive(ドライブ)!!!!!!!!!』

籠手から鎧が発生していき、一誠の体を包み込む。

赤いオーラの球体、その中心で、まるで繭の様に纏いながら、一誠は変身していく。

そして一際大きな発光のあと、蛹が脱皮し、蝶に成るかのように、赤いオーラの球体から一誠は出てくる。

全体的に鋭利なフォルム、背中から生える羽の部分が透るクリアな赤色の一対の翼。

そして何よりも目立つ左腕、全てを切り裂きそうなほど鋭そうな巨大な爪になっている。

「―――『大破壊の赤龍帝(ジャガーノート・オーバードライブ)』。結局、俺にはコレしかなかった……」

どこか寂しそうに、ぽつりとそう呟く一誠。

『グアアアァァァァァァァアアアアァァァァァァッッ!!』

エンドレスが叫び、『忘却』の力による弾幕の壁を放ってくる。

それはオーフィスやグレートレッドすら防ぎきれずに、その存在を容赦なく消滅させるような攻撃だ。

しかし―――、

「―――無駄だ」

一誠が背中に生えている翼を一度だけ軽く羽ばたかせる。そして、それだけで弾幕の壁はひとつ残らず吹き飛ばされた。

一誠は左腕を前に突き出し、その手の平をエンドレスへ向ける。

そして、一誠が突き出す手の先に、あり得ない量の魔力―――エーテリオンが集束されていく。

その力の余波だけで、次元の狭間の大地は溶け、消し飛んでいく。

「―――増大しろ」

『Accele Full Booster!!!!!』

『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!!!!!!!!!!!!!!』

更にそれだけ莫大な力の塊を、一誠は『大破壊の赤龍帝』を使用して倍化していく。

もはやその力の塊は、莫大と言う言葉がちんけに思えるほどだった。

その力に耐えられないのか、「次元の狭間」の空間が振動し、まるで悲鳴なように甲高い音が辺りに鳴り響く。

「ロンギヌス・スマッシャ―」

Longinus(ロンギヌス) Smasher(スマッシャ―)!!!!!!!』

一誠から放たれた攻撃は一直線にエンドレスの体を貫き、更にそのまま大地を何処までも貫通していく。

そして―――、

ドオオオオオォォォォォォォォォンンッ!!

強大な爆発。

いや、それは爆発と言っていいのかも分からない。

ただ、表現するのならば「爆発」という言葉で正しいのだろう。

『次元の狭間』そのものを破壊し尽くさんと言わんばかりの爆発が起きたのだ、外の世界の影響は計り知れない。

少なくとも、天変地異程度で収まればいい方と言い切れる。

しかし、それでもエンドレスを倒しきることはできなかった。

『グアアアァァァァァァァァァアアアァァァアアアッ!!』

体の殆どが消えうせ、今にも消えそうなエンドレス。

しかし、最後の悪あがきと言わんばかりに一誠を鷲掴みする。

『抑止よ……せめて貴様だけでも……』

何処までも深い、憎しみ、嘆き、ありとあらゆる負の感情を混ぜたような気持ち悪さを出しながらエンドレスは叫ぶ。

そんなエンドレスに対し一誠は―――鎧を解除し、全身から力を抜いた。

その瞳には疲れがあった。

『キサマ……いや、そうか……』

残った体を膨張させながら、エンドレスは一誠の真意を理解した。

「こんな結果ですまないな、エンドレス」

そんなエンドレスに、一誠は親しみを籠めてそう言う。

『構わん。結局、どうした所で結果は変わらなかった。私が負けキサマが勝った。なれば、それがこの世界の運命なのだろう』

「そうなんだろうな、お前が生まれたその時から」

『……知っていたのか?』

「知っていたわけじゃない。ただ、ヒントは沢山あった。天界の『システム』、アダムとイブに与えられた『原罪』、神をも殺せる十三種の『神滅具』、その中でも力を増加する『赤龍帝の籠手』と力を奪う『白龍皇の光翼』、無限を司るオーフィスと夢幻を司るグレートレッドの存在、聖書の神と四大魔王の『死』。……そして俺に与えられた『力』と『知識』、これだけヒントがあれば自ずと答えに辿り着く」

『先ほどの力、真実を認めたくないが故か』

「ああ、『覇龍』には俺の願いが込められていた。―――けど、ダメだった。結局俺にはコレしかなかった」

そう言って、小さく握りこぶしを作る一誠。

『それも仕方がなかろう。修正力である我が忘却し、抑止たるキサマが破壊する。その関係だけは未来永劫変わらない』

「結局、俺ができるのは壊すことだけだ。リーシャ・ヴァレンタインの様に何かを創造することなんてできない。ましてやそれが未来ならなおさら―――」

『それはキサマが『人形』で、あ奴が人間だからだろう』

「―――ああ、そうなんだろうな。結局、俺は只の人形、『道具』でしかなかった。……人間であろうと頑張ったんだけどなぁ」

そう言って、涙を流す一誠。

それは、どう頑張っても抗えない運命に負けた、ちっぽけな一人の人間の姿だった。

『人間であるかどうか、『人形』であるかなど、所詮は気持ちの持ちよう。偽り、真実なぞ、それを感じ取る個人の価値観でしかない。キサマは最後まで自分を『人形』と思っていた。―――ただ、それだけだ』

「ふふ、あっははははははははッ! そうか、俺が自分自身の事を常に『人形』だと思っていたのか。心のどこかで『人間』になることは不可能だと感じていたんだろう。それなら確かに、俺が『人形』から『人間』になることなんて不可能だ。そうか、本当にそんな簡単な事だったのか」

涙を流しながら、狂ったように笑う一誠。

ひとしきり笑った後のその瞳は、まるで憑き物が落ちたように澄んでいた。

「なぁ、エンドレス。俺は『人間』か?」

『……ああ、キサマは『人間』だ』

「ああ、良かった」

そう呟いて、本当にうれしそうに笑う一誠。

二人の会話はそこで終了だと言わんばかりに、膨張したエンドレスの体から光が溢れ始める。

その様子はまるで爆発寸前の爆弾だ。

「―――ああ、そうだ。最後に一つだけ…………ありがとう」

最後に一誠がそう言った瞬間、エンドレスの体が弾け、莫大な光と爆発が次元の狭間全体を襲った。

 

 

「――――っ!」

一誠は目を覚まし、呆然とする。

そして、そのまま辺りを見渡す。

自分が寝ていたであろうベッドに、煉瓦で造られた暖炉。

更に、部屋中に置かれている大量の人形に、その人形用と思われる大量の布。

「ここは……?」

一誠は激痛に襲われながらも、上半身を起こす。

「たしか、『次元の狭間』でエンドレスと戦って、『大破壊(オーバードライブ)』に巻き込まれて……」

一誠はブツブツと独り言を言いながら、記憶の整理をおこなう。

しかし、それは途中で中断させられた。

「シャンハーイ!」

「……は?」

ベッドの近くに置かれていた人形が独りでに動き出し、軽く挨拶をする様に片手を前に出してきた。

(……なんだ、コレ? 雰囲気からして妖怪じゃないし、かといって付喪神じゃない。魔力っぽいモノを感じるけど……やっぱり見ため通り『人形』か? 独りでに動き出したって事は【人形憑】みたいなもんか?)

一誠は目の前の人形をじっと見ながら、その正体が何なのか考える。

「あら、起きたの?」

奥の部屋から金髪ショートヘアーの美少女が現れた。

その美少女は一誠の傍までよると、人形を抱きかかえた。

「この子が気になる? この子は上海、私が作った『人形』よ」

そう言って、少女は人形―――上海を撫でる。

「それよりも、もう少し横になっていなさい。家の前に倒れていたのは驚いたけど、貴方、一週間以上目を覚まさなかったのよ?」

それを聞いて、一誠は絶句する。

まさか、自分が一週間以上も寝込んでいたとは思いもしなかったのだ。

そんな一誠の反応を見て、少女はクスリと微笑む。

「大方、妖怪に襲われたのでしょうけれど、安心して。傷が治ったら、私が人里まで送ってあげるわ」

一誠をベッドに寝かせながらそう言いい、安心させるように額を撫でる少女。

「一つ訊いて良いか?」

「なに?」

「ここは何処だ?」

「此処は『魔法の森』に在る、私の家よ」

少女の答えを聞いて、一誠は眉を寄せる。

今まで、散々異形の存在と付き合ってきたが、『魔法の森』などと言う場所は聞いたことがない。

そんな一誠の様子を見て、少女はどこか納得したように口を開く。

「貴方が着ていた服を見て、もしかしてと思ったけど。……貴方、外来人ね」

「外来人?」

「そう、貴方は外来人。そして、此処は貴方が居た所とは違う場所、神と妖怪と人間が住まう土地。私たちは此処を『幻想郷』と呼んでいるわ」

「幻想郷……」

「詳しい説明は後でしてあげるわ。だから、今は眠りなさい」

そう言って、一誠に微笑む少女は、そのままその部屋を後にしようとする。

少女が部屋を出る前に、一誠が話しかけた。

「最後に聞かせてくれ。―――君はなんて名前なんだ?」

一誠の問に、金色の髪を揺らしながら、少女は応える。

「私の名前はアリス・マーガトロイド、此処で研究をしている『魔法使い』よ。―――貴方は?」

「俺は兵藤一誠、ほんの少しばかり規格外の―――只の『人間』だよ」

最後に微笑を浮かべながら、そう自己紹介する一誠。

「そう。よろしくね、一誠」

「こちらこそよろしく、アリス」

コレが『規格外の赤龍帝』と『七色の人形遣い』の初めての出会いだった。




フラン編は初めから単発ネタだったけど、アリスへんは何故かぽんぽんとネタが出てきた。
だから、プロットを作って長期で投稿しようとおもったけど……正直、面倒くさくなったので止めました。
それでもせっかく終わりまで考えたんだから、単発にして回収しない伏線を出しまくった。反省も後悔もしていない(キリ)

問題児の方なんですけど、正直ペルセウス戦をどうしようか検討している最中です。

D×Dは16巻までの内容書いて終わらせようかと思ったけど……BADエンドまっしぐらなんですよねぇ。
(当初はここまで来ると思っていなかったので、考えたは良いけど使えないなと思った設定が幾つかありまして……それを十六巻の内容に合わせて出すと、BAD不可避になりました)

次の更新が何時になるか分かりませんが、問題児の方は完結目指してがんばります!

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