ハイスクールD×Dの規格外   作:れいとん

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やっと書き終わりました。今回は少しばかり手抜きです。


第四十四話

「―――八坂が誘拐された?」

「はい、数日前に八坂さまが誘拐されました。護衛の者は全滅し、生き残ったものはいません」

京都から来た妖怪である狐耳を生やした女性は、目を伏せてそう言う。よほど、悔しいのだろう。自分達の大将は誘拐され、護衛についていた妖怪は皆殺し。

そんな女性を、一誠はどうでもよさそうに見ている。

「それで? 俺に用事ってのはなんだ?」

八坂が攫われたからなんだというのだ。そう言った雰囲気を醸し出しながら、一誠は本題に入るように促す。

「はい、兵藤殿には八坂さま奪還に協力していただければと思いまして……」

「断る」

女性の頼みを、一誠は間髪入れずに断る。

「なんで俺がんなことしねぇといけないんだよ。ダリィ。八坂以外だって、ソコソコ力のある妖怪だっているだろうが」

そんなことくらい、自分たちでやれ。確かに、八坂が攫われたということは相手は相当な実力者だろう。だが、それでも一誠の敵ではない。仮に、だ。自分を脅かせるほどの存在がいたとして、そんな出鱈目な存在が八坂如きを攫う必要など無いのだ。

「その、どうにも今回の件、相手側が特異な神器使いらしく……。八坂さまの護衛であったものが死ぬ間際に言っていたのですが、気がついた時には霧に包まれていたと……」

その言葉に反応したのはルフェイだ。

「あの、一誠さま。その九尾の方を攫ったのは英雄派かもしれません」

「英雄派って、……確か神器や神滅具所有者が構成しているんだったか?」

一誠のその言葉に頷く。

「はい。英雄派は神器所有者や、文字通り英雄の子孫の集まりです。私が所属していたヴァーリチームと同じで、オーフィスさまの『蛇』を所有していません。更に、神滅具でも最強と言われる『黄昏の聖槍』を持つ者が英雄派のトップでもあります」

一誠はルフェイの言葉を聞いて、少しばかり考え込む。京都から来ている妖怪たちは、ルフェイの方を訝しげに見ているが、疑問に思ったことなどを口にはしない。もしそれで一誠の怒りに触れれば、それこそ京都が崩壊する。

「他に神滅具を所有している者は分かるか?」

一誠の質問に、ルフェイは申し訳なさそうな表情をしながら答える。

「すみません。私も詳しくは知らないんです。でも、『黄昏の聖槍』を含めて、英雄派は神滅具を三つ所有しているはずです。これはヴァーリさまに聞いたのですが、『黄昏の聖槍』の持ち主と模擬戦をした時に『覇龍』を発動したと」

その言葉を聞いて、一誠は悩む。正直なところ、八坂自体はどうでもいい。しかし、最強と言われる神滅具にさらに他二つの神滅具。神器は多種多様な種類がある。その中でも規格外の力をもつ『神滅具(ロンギヌス)』だ。それが最低三つ。もしかしたら、思った以上に楽しめるかもしれない。

「……まぁ、いいだろう。八坂を取り戻すのを協力してやる」

「本当ですか!?」

一誠のその言葉を聞いて、身を乗り出しながら喜ぶ女性。周りの妖怪たちも明らかに喜んでいる。だが、

「それで? お前らは何を寄こすんだ?」

「―――え?」

寝耳に水といった所だろうか。

「だから、八坂を救ってやる代価としてお前らは何を俺に寄こすんだ?」

「……兵藤殿が望むものは、できうる限り用意させます」

一誠の言葉に対し、女性はそう答える。元々、タダで動いてもらえるとは思っていない。それこそ、一誠に動いてもらえるなら渡せるものは何でも渡す気でいる。

「……そうだなぁ。寝床の手配と飯、それから名所の案内―――」

それを聞いて、女性を始める妖怪たちはホッとする。此処まで要求されたものはたいしたことのない物ばかりだからだ。ただし、次の言葉で度肝を抜かれることになる。

「―――それから、八坂が所有しているはずの魔導書。―――占事略决。その原典(オリジン)

「―――っな!?」

一誠の最後の要求に、狐耳を生やした妖怪の女性は驚く。いや、周りの妖怪、更にはルフェイすらも驚愕している。それはそうだろう。一誠が言ったことを簡単に言ってしまえば、『国王を救ってやるから、その国で一番貴重な国宝を寄こせ』と言っているようなものだ。さらに、その国宝に国のセキリュティやそれを落とす情報まで記されているというオマケ付きだ。

「あ、あれは京を守ってきた陰陽師の秘宝! いくらなんでもそれは……」

狐耳の女性はそう言う。ハッキリいって、この女性程度が決めていい様な内容ではないのだ。八坂本人、それか最低でもその娘である九重の許可がないと「はい」とは言えない。

「そうか。なら帰れ。俺には関係ない」

一誠はそう言って、家に入ろうとする。このままだと神滅具所有者と戦う時に八坂に気を使う必要がなくなる。その程度にしか思っていない。……元々、気を使う気など皆無であるが……。

「……わかりました」

狐耳の女性と同じく、京都から来ている妖怪の男性がそう答える。

狐耳の女性は何か言いたそうな表情をするが、男性と目が合うと諦めたように俯く。

「八坂さまのこと、どうかよろしくお願いします」

そう言って、頭を下げる妖怪一同。そんな妖怪たちを、一誠は一瞥すらしない。

「ルフェイ、今から京都旅行だ」

「あ、は、はい」

あまりの事態に呆然としながら、反射的にそう応えるルフェイ。その返事を聞いた瞬間、一誠やルフェイ、更には妖怪たちの足元に巨大な魔法陣が現れる。それが一瞬、発光したかと思えば、次の瞬間に全員がその場から消えていた。

 

 

そんな事があり、一誠はルフェイにお使いを頼んだのだが―――、

「―――最強の『神滅具』ねぇ……」

一誠はルフェイからの報告を聞いて、そう漏らす。

「期待はずれもいいところだな……」

そう、期待はずれだったのだ。一誠個人としては自分の宿す『赤龍帝の籠手』よりも強いと聞いていたので、ゴグマゴグ程度は瞬殺してほしかった。

「……つまんねぇ」

本当に失望したようで、溜息を吐きながらそう言葉を洩らす。

「あの、一誠さま。これからどうするんですか?」

ルフェイは、一誠を少しばかり心配そうに見ながらそう言う。

「ん? ……そうだな、折角なんだから名所巡りでもするか?」

その言葉を聞いて、ルフェイはそう言えばと思い出す。

「今夜ここ、京都の特殊な力場と九尾の御大将を利用して大規模な実験をすると言っていました。確か、場所は二条城です」

「そうか。……んじゃ、それまで京都観光でもするか」

一誠がルフェイに手を差し出しながらそう言う。ルフェイもその手を掴むと、満面の笑みを一誠に向ける。

「はい!」

私湯葉とかいろいろ食べてみたいです。どっかしら、料亭にでも行くか。そんな事を言いながら、二人は京都を闊歩する。

 

 

<木場達SIDE>

その日の夜。木場達は夕食を食った後、アザゼルに呼び出されていた。特別に用意された部屋にはグレモリー眷属、シトリー眷属、イリナ。それと、アザゼルと魔王レヴィアタンが集まっている。

アザゼルは全員を見渡すと、口を開く。部屋の中心には、京都の全体図が敷かれていた。

「では、作戦を伝える。現在、二条城と京都駅を中心に非常警戒態勢を敷いている。京都を中心に動いていた悪魔、堕天使の関係者を総動員して、怪しい輩がいないか探っている。京都に住む妖怪たちも協力してくれているところだ。いまだ英雄派は動きを見せていないが、京都各地から不穏な気の流れが二条城を中心として集まっているのは計測できている」

「不穏な気の流れ?」

木場がアザゼルに質問する。

「ああ、京都ってのは古来、陰陽道、風水に基づいて創られた大規模な術式都市だ。それゆえ、各所にいわゆるパワースポットを持つ。清明神社の清明井、鈴虫寺の幸福地蔵。挙げればキリがないほどに不思議な力を持つ力場に富んでいる。それらが現在、気の流れが乱れて、二条城の方にパワーを流し始めているんだよ」

「ど、どうなるんですか?」

匙がアザゼルに訊く。

「わからんが、碌でもないことは確かだ。奴らはこの都市の気脈を司っている九尾の御大将を使って『実験』とやらを開始しようとしているんだからな。それを踏まえたうえで作戦を伝える」

アザゼルの言葉に、全員が頷く。

「まずはシトリー眷属。お前達は京都駅周辺で待機。このホテルを守るのもお前達の仕事だ。いちおう、このホテルは強固な結界を張っているため、有事の際でも最悪の結果だけは避けられるだろう。それでも不審な者が近づいたら、シトリー眷属のメンバーで当たれ」

『はい!』

アザゼルの指示にシトリー眷属全員が返事をする。

「次にグレモリー眷属とイリナ。いつも悪いが、お前達はオフェンスだ。このあと、二条城の方に向かってもらう。正直、相手の戦力は未知数だ。危険な賭けになるかもしれないが、優先すべきは八坂の姫を救うこと。それができたらソッコーで逃げろ。奴らは八坂の姫で実験をおこなうと宣言しているぐらいだからな。……まぁ、虚言の可能性も高いが、あの曹操の言動からするとおそらく本当だろう。―――俺達が参戦するのを望んでいる節が多々あったからな」

「僕達だけで戦力足りるんですか?」

木場がアザゼルにそう訊く。それもそうだろう。いくらオフェンスと言っても、イリナを含めたった四人しかいない。実力でも質でも劣っているのでは、到底勝ち目など無い。しかし、アザゼルは口の端を愉快そうに吊り上げる。

「安心しろ。テロリスト相手のプロフェッショナルを呼んでおいた。各地で『禍の団』を相手に大暴れしている最強の助っ人だ。それが加われば奪還の可能性は高くなる」

「助っ人? 誰ですか?」

木場が訊く。

「とんでもないのが来てくれることだけは覚えておけ。これは良い知らせだ」

実際、アザゼルが呼んだ助っ人はかなり強力な存在だ。それこそ単騎で若手悪魔とその眷属を皆殺しにするくらいのことは容易くできる。というより、下手したら堕天使の総督より強いかもしれない。

「それとこれはあまり良くない報せだ。―――今回、フェニックスの涙は二つしか支給されなかった」

「ふ、二つ!? た、足りなくないですか!? いちおう、対テロリストなんですし!」

匙がそう素っ頓狂な声をあげる。アザゼルはそれに苦い顔をする。

「ああ、わかっている。だが、世界各地で『禍の団』がテロってくれてるおかげで涙の需要が急激に跳ね上がっていてな。各勢力の重要拠点への支給もままならない状態だ。元々大量生産ができない品だったもんでな。更にフェニックス家はとある対価として、兵藤個人に毎週十個のフェニックスの涙を渡さなければならなくてな。兵藤に納める分として、月に大体三十から四十を最低でも生産しなければならない。そして、それ以外を重要拠点に送っているわけだ。フェニックス家も大変なことになっているよ。……一応こんな情勢だからな。魔王側が対価を変えてもらえないかどうか、兵藤の所に交渉人を送ったそうなんだが……」

そこで一旦区切り、アザゼルは更に苦い顔をしながら言う。

「交渉に送った悪魔はたったヒトリを除いて凍結した状態で戻って来たそうだ。セラフォルーでも解除できないことから、おそらくフェニックス家の三男がやられた凍結と同じ術だろう」

その言葉を聞いて、グレモリー眷属とイリナの表情に影が奔る。

「流石に兵藤の機嫌を損ねるのはマズイからな。魔王側とフェニックス家は兵藤との交渉を諦めたようだ」

交渉に送った者を氷漬けにされても文句が言えない。普通の勢力が相手なら、最低でも苦情を送る位の事はする。だが、相手が兵藤一誠の様な単騎で世界を滅ぼせるような存在だった場合は別だ。たとえ交渉に送った悪魔を氷漬けにされようが殺されようが、逆らうことも苦言を申すことも許されない。もし、敵対したらそこで終わりだからだ。もし一誠と敵対したら、他の勢力は嬉々としてそれを口実に攻め入ってくるだろう。なにしろ、飛び火だけで自分達が滅びる可能性も無いわけではないのだ。大義名分としては十分だろう。

前回、一誠と敵対してアザゼル達が生き残ったのは、世界でも名だたる神仏が庇った事とその後一誠が明確に敵として認識しなかったからだ。逆に言えば、一誠がアザゼル達を敵とみなせば三勢力はアザゼル達を見捨てただろう。個人の思考は別として、自分達の勢力を滅ぼさせるわけにはいかないのだから。

「……先生。一誠さんは今回、どう動いているんですか?」

木場は感情を押し殺したような声でそう質問する。アザゼルは眉を寄せながら悩むように応える。

「それが俺にもわからないんだ。あのあと確認を取ったが、どうも八坂の部下の一部が勝手に兵藤に交渉したらしくてな……。一応、八坂奪還のために動いてくれているらしい」

少なくとも一誠本人が動くのだから、八坂の奪還は確実と思っていいだろう。

「そう……ですか……」

部屋の空気が重くなる。アーシアなんかは目を潤ませている。

「まあ、ともかくだ。―――この涙は、グレモリーとシトリーに一個ずつ支給する。数に限りがあるから上手く使ってくれ」

『はい!』

アザゼルの指示に全員が返事をする。アザゼルは匙の方に視線を向け、口をひらく。

「匙、お前は作戦時、グレモリー眷属に付け」

すると、匙は真剣な面持ちのまま口を開く。

「……龍王、ですか?」

「ああ、そうだ。おまえのブリトラ―――龍王形態は使える。あの黒い炎は相手の動きを止め、力を奪うからな」

「……わかりました。やってみます」

匙はそう応える。

龍王形態とは、ブリトラ系神器を幾つか人工的に宿し、更に二天龍の力によって一時的に龍王と同じ力を扱えるようになったものだ。完璧とまではいかないが、白龍皇の協力もあり、匙は7~8割は制御ができる。

イリナが手をあげる。

「あの、このことは各勢力に伝わっているのですか?」

アザゼルはそれに一度頷いてから応える。

「当然だ。この京都の外には悪魔、天使、堕天使、妖怪の者達が大勢集結している。奴らが逃げないように包囲網を張った。―――ここで仕留められるのなら、仕留めておいた方がいいからな」

アザゼルの言葉にセラフォルーが続く。

「外の指揮は私に任せてね☆ 悪い子がお外に出ようとしたら各勢力と私が一気にたたみ掛けちゃうんだから♪」

明るくそう言うセラフォルー。軽い物言いだが、彼女は現魔王レヴィアタン。手加減の一撃で数十人から数百人規模で氷漬けにすることも不可能ではない。

「それと駒王学園にいるソーナにも連絡はした。あちらはあちらでバックアップをしてくれているようだ」

木場がアザゼルに問いかける。

「先生、部長達の方は?」

木場の質問にアザゼルは顔を少しばかり顰める。

「ああ、伝えようとしたんだが……タイミングが悪かったらしくてな。現在、あいつ等はグレモリー領にいる」

「なにかあったんですか?」

「グレモリー領のとある都市部で暴動事件が勃発してな。それの対応に出ているそうだ。……どうも、旧魔王派の一部が起こした暴動らしくてな。『禍の団』に直接関与してる屋からではないらしい。リアスと……それからグレイフィアに現グレモリー当主の奥方まで出陣しているらしい」

アザゼルは若干体を震わせながらそう言う。セラフォルーがそれを聞いて、楽しそうに言う。

「まあ、『亜麻髪の絶滅淑女』『紅髪の滅殺姫』『銀髪の殲滅女王』がそろっちゃうのね☆ うふふ、暴徒の人たち、大変なことになっちゃうわね♪」

絶滅、滅殺、殲滅である。……敵対した暴徒の者達は無事では済まないだろう。

アザゼルは咳払いをしてから、皆に告げる。

「と、俺からの作戦は以上だ。俺も京都の上空から独自に奴等を探す。各員一時間後までにはポジションについてくれ。怪しい者を見たら、ソッコーで相互連絡だ。―――死ぬなよ? 修学旅行は帰るまでが修学旅行だ。―――京都は俺達が死守する。いいな?」

『はい!』

全員が返事をし、作戦会議は終わった。

 

 

グレモリー眷属+イリナがロビーに集まり、ホテルから出ようとすると、自動ドアの先でシトリー眷属が集まっていた。

「元ちゃん、無理しちゃダメよ」

「そうよ、元ちゃん。明日は皆で会長へのお土産を買うって約束なんだから」

匙はシトリー眷属の仲間から激励をもらっているところだった。

木場達はそのままホテルを出て、京都駅のバス停に赴く。

途中で九重がついてくるというハプニングがありながらも、バスを待つ木場達。そんな木場達の足元に薄い霧が立ち込めたかと思うと、ぬるりとした生温かい感触と共に、木場達の姿が消える。

 

 

「中々に美味かったな」

「はい」

一誠とルフェイは満足そうな表情をしながらそう言う。

「二条城の方で動きがあったな」

「そうなんですか?」

一誠は『絶霧』が発動されたことに気づきそう言うが、ルフェイにはわからない。

「ああ。英雄派が動いたんだろ。何をするかわからねぇが、少しばかり見物するか」

一誠がそう呟いた瞬間、ルフェイは身構える。周囲に、数百にも及ぶ気配が出現したからだ。

「―――へぇ。これが『神滅具』で生み出された魔獣か」

一誠達を囲んだのは『魔獣創造』によって生み出された魔獣と、英雄派の構成員だ。

「赤龍帝ですね」

その中の一人、学生服の様なものを着た女性が一誠に話しかける。

「そうだけど、お前らが英雄派か?」

一誠の問いかけに女性は静かに答える。

「如何にも。我々は『禍の団』、英雄派の構成員です」

「んで? 英雄派が俺に何のようだ?」

女性は前に腕を出すと、そのまま手を差し伸べる様な形をする。

「我々は貴方を勧誘しにきたのですよ」

一誠の眉がピクリと動く。

「貴方は人間であり、二天龍の一角を宿すお方です。我々英雄派の仲間になる資格は十分有ります。―――世界を変えてみたくはありませんか? 我々は異形の者たちを滅ぼすために動いています。貴方ほどの力の持ち主ならば―――」

「……ックハハハ。はーーハハハハハハハハハハハハッ!」

女性の言葉を聞いて、爆笑し始める一誠。いきなり笑い始めた一誠に、ルフェイも呆然としている。

「なにが可笑しいのですか?」

女性は一誠にそう訊く。

「ハッハハ。……はぁ。くっだらねぇ」

その言葉を聞いて、はじめて女性の表情が変わる。

「くだらないとはどういうことですか?」

あくまで冷静なまま話しを続けようとするが、その声からは怒気が含まれている。

「世界を変える? 異形の者を滅ぼす? ……余りにもくだらないな」

女性は一誠に対し口を開こうとするが、それよりも速く一誠が言う。

「いいか? 俺はそんな事に興味はねぇんだよ。そもそも世界を変えんのも異形の存在を皆殺しにするのも、やろうと思えばいつだってできる。……お前は態々人に手伝ってもらわねぇと、歩くこともしないのか?」

そう、一誠にとってはその程度の感覚。世界を変えることも世界を滅ぼすこともやろうと思えばいつでもできることでしかない。五体満足の普通の人間が自分の足で歩くことは当然のことだろう。歩くのがダルイと思うことはあっても、歩くという行為自体、誰かの手を借りる必要なんて無い。何時でもできることを、なぜ他の人の手を借り、態々遠回りまでしなければならないというのだ。女性が言ったことは一誠的には、歩く時に手助けするから貴方も助けてね。と言われているようなものである。

「……そうですか」

女性を始める英雄派の面々は構える。だが、

プシャァァァァァァァァアアっ!

一秒と満たない次の瞬間には全員が絶命していた。一誠の手には何時の間にか槍が握られており、英雄派の面々は首から上が斬り飛ばされていた。

隣にいるルフェイすらいつ一誠が動いたかわからなかった。

「まったく、ひどいことするねぇ」

そんな一誠達に話しかける存在がひとつ。ルフェイは気づかなかったようで、驚愕している。

「なんのようだ? クソジジイ」

「クソジジイとは、随分な言い草だのぅ。『禍の団』のテロ防止のために呼ばれたんでな」

小柄でバイザーをしている老人が一誠にそう言う。

玉龍(ウーロン)はどうしたんだよ?」

「あいつなら今頃、レヴィアタンの嬢ちゃんと暴れとるんじゃないかねぇ?」

実際のところ、玉龍は一誠に怯えていただけなのであるが。

「これから、あの結界の中に入らないといけないくてのぅ。悪いんだが、手を貸してくれんかねぃ?」

そう言って、二条城がある方角を指差す老人。ルフェイにはわからないが、一誠と老人は二条城を中心に展開されている結界に気づいている。

「あの程度、お前一人で楽勝だろ。仮にもクソ禿んとこの先兵なんだ」

「やれやれ。『神滅具』の力で創られたもんだから、こっちも骨が折れるんだがねぇ」

そう言って、溜息を吐く老人。

「あの、一誠さま。あのお方はどなたですか?」

ルフェイが一誠にそう訊く。一誠と親しげに話しているからだろうか? ルフェイは老人を相手に身構えもしない。

「ああ、悪い。このジジイは闘戦勝仏。西遊記に出てきたクソ猿本人だよ」

そう言うと、ルフェイは驚きと共に納得する。道理で雰囲気に覚えがあるはずだ。

「初めまして。私はルフェイ・ペンドラゴンと申します。美侯さまには御世話になっていました」

そう言って、老人―――初代孫悟空に頭を下げるルフェイ。そんなルフェイを見て、初代は驚いたような表情をする。

「お前さん、こんなかわいい穣ちゃんを何処から攫ってきたんだぃ?」

「……あ゛? このクソジジイ。今すぐ殺してやるから動くなよ?」

顔に青筋を浮かべながら初代を睨む一誠。そんな一誠を楽しそうに見ている初代。そんな二人を何処か楽しそうに見ているルフェイ。

「……はぁ。……結界に穴開けるの手伝ってやるよ」

「すまんねぇ」

そう言って、初代は指を口にくわえ、音を鳴らす。すると、

「おうおうおう! このクソジジイ! 兵藤との話し合いは終わったのかよ?」

体が細長い東洋タイプのドラゴンが近くに降りてくる。このドラゴンこそ五大龍王『西海龍童(ミスチバス・ドラゴン)玉龍(ウーロン)である。

「おい、クソトカゲ。二条城の方まで俺ら乗っけて飛べ。結界に穴くらいは開けてやる」

「……わかったよぅ」

兵藤を見た瞬間、何故か涙ぐむ玉龍。

一誠達を乗せた玉龍は二条城を目指し、空を飛ぶ。

 

 

<木場達SIDE>

英雄派の幹部達はかなり強い。ヘラクレスにジャンヌ・ダルク、それにジークフリート。英雄の子孫たちが各々に所持している神器を禁手させた戦闘力は圧倒的だった。龍王状態となった匙は、聖槍の一撃で行動不能になった。ロスヴァイセさんやゼノヴィア、イリナさんも敗北して行動不能。僕も全身を切り刻まれて動けない。

……クソ。英雄派の幹部は全員禁手に至っているというのか! 僕の考えを見透かすように曹操は愉快そうに笑う。

「いいだろう? 禁手のバーゲンセールってやつは。人間もこれぐらいインフレしないと超常の存在相手に戦えないんでね」

「……むしろ、僕達異形の存在の方がインフレしないと人間に勝てそうにないんだけど」

僕がそう言うと、曹操は苦笑しながら言う。

「俺たちは彼と違って、少しばかり戦える力があるだけのよわっちい人間に過ぎないんだよ。『覇龍』を発動させた白龍皇を一方的に殺しかけるなんてこと、少なくとも俺達には不可能だ」

曹操は更に続ける。

「強い。強いよ、キミたちは。悪魔の中でも中々のものだ。けど、まだその力では英雄の力を持つ俺達には勝てない。それにさ、悪魔や堕天使、ドラゴン、妖怪。人間の敵同士が協力したら怖いだろう? 人間にとって恐怖と感じてしまうだろう? なら、立ち上がらないとさ。―――人間が魔王やドラゴンを倒すのはごく自然なことだ。それが俺達英雄派の基本的な行動原理さ。ま、俺やここにいるメンバーにとってみればそれは目的のひとつだけど。―――さて、ゲオルク。魔法陣はどうだ?」

曹操の問に霧使いは頷く。

「頃合いだ。始めるぞ」

バジッ! バチッ!

空間を震わす音が鳴り、空間に穴が生まれつつあった。僕達はその光景に見覚えがあった。空間の裂け目から現れた赤い巨大なドラゴンを……っ!

「ゲオルク、『龍喰者(ドラゴン・イーター)』を召喚する準備に取り掛かって―――」

曹操は言葉を止め、目を細くする。次元の裂け目を見て、疑問が生じた表情となる。

「……違う。グレートレッドではない? ……あれは、それにこの闘気……ッ!」

空間の裂け目から姿を現したのは、緑色のオーラを発しながら夜空を舞う、十数メートルほどの東洋タイプのドラゴンだった。

曹操が叫ぶ。

「―――西海龍童(ミスチバス・ドラゴン)玉龍(ウーロン)かッ!」

曹操は五大龍王よりも、その背中に乗っている人影に目を向けていた。その人影はまるで高さを無視する様に、ドラゴンの背中から地上へと降り立ってくる。

「大きな『妖』の気流、それに『覇』の気流。それらによって、この都に漂う妖美な気質がうねっておったわ」

小さな背丈の老人は一歩一歩ゆっくりと近づいてくる。

「おー、久しぶりじゃい。聖槍の。あのクソ坊主がでかくなったじゃねーの」

猿の老人は曹操にそう言う。曹操は目を細めて笑んだ。

「これはこれは、闘戦勝仏殿。まさか、貴方がここに来られるとは。各地で我々の邪魔をしてくれているそうですね?」

「坊主、悪戯が過ぎたぜぃ。ワシがせっかく天帝からの使者として九尾の姫さんと会談しようと思ってたのによぉ。拉致たぁ、やってくれるもんだぜぃ。ったく、異形の業界の毒なんぞになりおって。『覇業は一代のみ』とはよく言ったもんじゃ」

「毒、ですか。貴方に称されるなら、大手を振って自慢できる」

曹操が畏敬の念をもってそう言う。―――闘戦勝仏。おそらくこのご老人が西遊記で有名な初代孫悟空か。

「それとな、坊主。ここに来たのはワシと玉龍だけじゃねぇのよ」

初代が曹操にそう言った瞬間、

ズガガガガガガガガガッ!!

空から十数本にも及ぶ槍が降り、九尾の御大将の動きを束縛する。

「これは―――」

初代と玉龍を除いた全員が驚愕する中、更に異変は続く。

パキッ! キィィィィィィィィンッ!!

暴走していた九尾の御大将が、いきなり氷漬けにされたのだ。

「やれやれ。相変わらずやることなすこと派手だねぃ」

初代の横に降り立ってきた人影が、口を開く。

「文句があるならてめぇがやりゃよかったんだ。態々手を貸してやったんだ。感謝しろ」

「嬉しすぎて涙が出るぜぃ」

初代と軽口を交わしたのは一人の人間―――一誠さんだ。

「初めまして、赤龍帝殿。俺は曹操。英雄派のトップをしている」

曹操が一誠さんにそう話しかけるが、一誠さんはつまらなそうに曹操を一瞥する。

「クソジジイ。八坂奪還はしてやったんだ。あとはお前がやれ」

会話をしている二人を無視するかのように、腕を六本生やしたジークフリートが突貫する。

「ジーク! 相手にするな! オマエでは―――」

曹操が制止するが、ジークフリートは嬉々として立ち向かう。

「お猿の大将! あの孫悟空なら相手にとって不足は―――」

「―――棒よ、伸びよ」

初代が静かにそう言った後、手に持っていた棒が凄まじい勢いで伸びていき、ジークフリートを難なく吹き飛ばす

「―――ッ!」

ドォォォォオン!

ジークフリートは一撃で瓦礫の中に吹き飛ばされた。

強い! 僕と新デュランダルをもったゼノヴィアの二人がかりでも勝てなかったのに!

「ワシにとっては不足の様じゃの。若い魔剣使い、腰が入っとらん。走り込みからやり直せぃ」

初代が一瞥する。すると、ジークフリートに続くように、霧使いが初代に手を突き出す。

「―――捕縛する。霧よッ!」

初代と一誠さんを包み込むように霧が集まるが―――。

「邪魔だ」

パチン。と一誠さんが指を鳴らした瞬間、霧が嘘のように霧散した。

「ヴァーリ程神器を使いこなせてねぇな。『神滅具』使いって言うからどれほどのモノかと思えば……」

失望したような瞳を霧使いに向ける一誠さん。

「―――ッ! あの挙動だけで我が霧を……ッ! 神滅具の力を散らすか!」

霧使いも仰天している。それはそうだろう。神滅具の格付けで言えば、一誠さんよりも上位の物がまるで効かなかったのだから。

「槍よッ!」

隙を突くように曹操が聖槍の切っ先を伸ばし、初代を奇襲しようとするが―――。

初代は指先一つで槍を受け止めてしまった。最強の神滅具をあれだけで!

「……良い鋭さじゃわい。が、それだけだ。まだ若いの。ワシの指に留まるほどでは他の神仏も滅せられんよ。兵藤を見習うことじゃな。―――貴様も霧使いも本気にならんでワシにかかろうなどと、舐めるでないわ」

初代の一言を聞き、曹操は引き攣った笑みを浮かべる。

「……なるほど、化け物ぶりは健在のご様子ですな……。周囲に広く認知されているのは若いころの強さだと聞く。今は如何ほどですか?」

曹操の問いかけに、初代は肩をすくめながら口を開く。

「さてね。それにこの程度でバケモノ呼ばわりたぁ、世界の広さを知らんのぅ」

その言葉を聞き、曹操は槍を降ろす。すると、英雄派のメンバーが素早く一か所に集結する。

「確かにそうなのかもしれませんね。でも、これから知っていけばいい。―――赤龍帝殿」

曹操は一誠さんの方を向くと、槍を構える。

「一手ご教授願います」

そう言った次の瞬間には、曹操は一誠さんの目の前に出現し槍を振るう。

一誠さんは槍を出現させ、それを無雑作に受け止める。

ガガガガガガガガガガッ!!

甲高い音が辺りに鳴り響く。曹操は自分の持てるトップスピードで攻撃しているのだろう。その顔には必死さがうかがえる。だが、一誠さんはそれを適当に受け止め続ける。曹操は踏み込みをしながら槍を突き出すのに比べ、一誠さんはその場から一歩も動いていない。

曹操は他のメンバーが集まっているとこまで後退すると、口を開く。

「……なるほど、これが現赤龍帝。―――世界最強か……」

ブシャァァァァァアア!!

曹操は全身から血を噴き出し、膝をつく。

「曹操!?」

英雄派のメンバーは驚愕しながらも曹操を支える。見れば、曹操の右目は切り裂かれていた。あれではもう見えないだろう。

霧使い―――ゲオルクが懐から小瓶をひとつ取りだすと、その中身を曹操にかける。それは、フェニックスの涙だった。

「……傍で槍を振るっている俺がギリギリで見える速度で槍を振るうとは人が悪い。―――ゲオルク、撤退だ」

曹操がそう言った瞬間、英雄派の足元に巨大な魔法陣が展開される。

「ここまでにしておくよ。初代殿、赤龍帝殿、グレモリー眷属、再び見えよう」

曹操は息を切らしながら一誠さんの方を見る。

「―――赤龍帝、―――兵藤一誠殿。俺はもっと強くなる。そして、いずれは世界中の神仏を貫いて見せる。その時は―――」

そこまで言って、曹操たち英雄派はこの空間から消えていった。

「……さて、後は九尾の姫だけじゃな」

そう言って、初代は氷漬けにされている八坂さんを見る。

「母上! 母上は無事なのか!?」

九重ちゃんが、八坂さんを凍らせた張本人である一誠さんに問い詰める。一誠さんは九重ちゃんを一瞥すると、面倒くさそうに答える。

「無事かどうかはしらねぇが、生きちゃいるだろ」

一誠さんのその言葉を聞いて、九重ちゃんは安心したように崩れる。

「良かった。母上は生きてる……っ!」

涙を流しながらそう言う九重ちゃん。

「クソジジイ。俺は妖怪どもの所に行くからな」

そう言って、足元に魔法陣を展開させる一誠さん。そんな一誠さんに初代が呼びとめる。

「これこれ、九尾の姫の凍結を解かんかい。これじゃ、本当に生きているかも確認できん」

「俺には関係ないな。助けたきゃ、勝手に助けてろ」

その言葉を聞いて、九重ちゃんが涙ながらに叫ぶ。

「なんでじゃ!? お主は母上を助けに来てくれたのではないのか!!」

一誠さんは九重ちゃんを一瞥すると、口を開く

「俺がここの妖怪どもに頼まれたのは八坂の奪還だ。あいつ等から八坂は奪い返してやっただろ? 別にこいつを助けにきたわけじゃねぇよ」

一誠さんがそう言うと、九重ちゃんはボロボロと涙を流す。

「お願いじゃ。……母上を助けてください」

そう言って、一誠さんに土下座する九重ちゃん。しかし、一誠さんはそれを無視しようとする。

「……あれ? 何があったんですか?」

急に現れたルフェイさんがそう言う。

「兵藤が九尾の姫を氷漬けにしてのぅ。そんで、そのまま凍結を解こうとしないから、このお嬢ちゃんが土下座して解くようにお願いしているんじゃ。それなのにこいつは無視しようとするしのぅ」

初代がルフェイさんにそう言う。事情を聞いたルフェイさんは、一誠さんに抗議する。

「ダメですよ、一誠さま。こんな小さな女の子を泣かしちゃ」

「…………はぁ、わーったよ。俺が悪かった。八坂は助けてやる。これでいいんだろ?」

展開していた魔法陣を消すと、一誠さんは初代と話し始める。

「凍結は解除してやるけどよぉ。洗脳の方はお前がどうにかしろよ?」

「ふむ、どうしたもんかの。仙術で邪な気を解いてもいいんじゃが、ここではちと時間がかかるのぉ」

初代は煙管を吹かしながら、そう言う。

「……はぁ。結局俺がやるのかよ」

一誠さんがため息を吐きながら魔法陣を展開させる。それと同時に八坂さんの凍結が解除される。

「…………これで大丈夫なはずだ」

一誠さんがそう呟く。

「お前さん、その解除術式どこで覚えたんだぃ?」

「昔ゼウスのクソジジイの所に攻め込んだ時、アスクレピオスの研究書を見つけたんだよ」

「……盗んだのかい」

「取られる方が悪い」

一誠さんと初代の会話を尻目に、八坂さんが人間の姿へと戻っていく。

「……ここは?」

八坂さんはふらふらと体がおぼつかない様子だが、意識は戻りつつあるようだった。

九重ちゃんが八坂さんに駆け寄り、その胸に飛び込む。

「母上ぇぇぇっ! 母上ぇぇぇっ!」

八坂さんは優しく九重ちゃんを抱きしめ、頭を撫でる。

「……どうしたのじゃ、九重。おまえは、いつまで経っても泣き虫じゃな」

「うぅ……よかった……」

見れば皆の治療をしていたアーシアさんがボロボロ泣いていた。かく言う僕も少しばかり涙が出ている。

「ま、何はともあれ、解決じゃい」

初代がそう締めの一言を言った。

 

 

「しかし、英雄―――人間が俺達の敵とはな。俺達は勇者パーティに退治される予定のラスボスか? それとも隠しボスか?」

『いつだって人間は儚く、そして怖い存在だよ』

「まあ、そうだな。―――なぁ、サーゼクス。俺達は弱い存在だと、改めて思い知らされたよ。人間が本気になったら俺達は生き残れない」

『―――アザゼル』

「―――ま、兵藤が英雄派のメンバーじゃないだけマシだな。あいつが曹操達の仲間になったら、それこそ勝ち目は百パー無くなる」

『そうだな。……一誠君はどうだった?』

「いつもと変わらなかった。……いや、昔に戻ったみたいだ。傍にルフェイが居る分、だいぶ違うとは思うがな」

『そうか。……アザゼル。私はリアス達と仲良くする一誠君を見て、私達四大魔王の時代は終わると思った。種族の垣根を越えて仲良くするリアス達を見て、新たな時代がやってくると思った。だが―――』

「どうしようもねえさ。……何時の時代だって、最後にものをいうのは力だ」

『……悲しいことにね』

 

 

「京都での計画は失敗だったけど、もう一つの計画は調整がまた進んだよ。近いうちにお披露目できそうだよ。曹操」

「そうか、それは何よりだ、ジークフリート」

「予定通り、ひとつは僕がもらうよ。―――曹操も使うかい?」

「俺はこの槍で十分だ」

「―――で、赤龍帝にやられた目はどうだい?」

「……だめだな。使い物にならない。ふふっ、強かったな」

「フェニックスの涙をわざと使わないなんてね……。代わりの眼を用意しよう。いずれはリベンジするのかい?」

「……ああ。世界中の名だたる神仏をこの手で貫いたら、その時こそ―――」

 

 

あれから数日たち、一誠とルフェイは京都から帰ってきてた。

「誰でしょうか?」

一誠と並んで歩くルフェイは首を傾げる。兵藤家の前に数人の人影があったからだ。

「―――あ……」

その人影達は、一誠に気がつく。

「……いっ―――」

人影のヒトリ―――リアスが一誠に話しかけようとするが、一誠はその場にいる全員を見向きもせず家へと入る。

「そんな……」

一誠のその対応を見て、リアスに朱乃、アーシアは泣き崩れる。―――もう、前の様には戻れない。




今回で修学旅行編は終了です。

最近になって問題児シリーズにハマりました。箱庭の世界にこの一誠を飛ばした妄想をしてはニヤニヤしています。……原作を持っていないのでアニメ基準なんですけどね。あとは二次。

活動報告欄でのアンケートに答えてくださった方々、ありがとうございました。

全員一致で3とのことでしたので、何があったか程度を書いて十巻の内容は飛ばさせてもらいます。

次回は原作十一巻の内容からやります。

……次回は何時になることやら。それじゃノシ

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