※今回の話は規格外本編と一切関係がありません。よって時系列とかいろいろむちゃくちゃです。
それでもおkという方のみどうぞ。
××××年○月○日
多くにとって、突然にそれは起こった。
天使・悪魔・堕天使の三大勢力連合。
アースガルズ・オリンポス・須弥山などの神仏達。
禍の団に属する旧魔王に英雄達。
無限と夢幻を司る一対の龍神。
妖怪・吸血鬼・ドラゴンなど東西種族を問わぬ、あらゆる人外。
ある日、それら全てに声が届いた。
「今から一週間後に世界を終わらせる。止めたければ、むかって来い」
まるで、冗談のような内容。しかし、この声の主を知っている者は、例外無く恐れた。
彼等は知っているのだ、『世界を終わらせる』そんな冗談の様なことができてしまう存在を。
世界中に存在する人外をまるで赤子のように叩き潰し、無限と夢幻の龍神すら降した存在を。
神が、魔王が、ドラゴンが恐怖するその存在。
そんな存在から、世界を終わらせると言う宣言。世界は恐怖にのみ込まれた。
「HAHAHA。あのクソ餓鬼も、おもしれえこと仕出かすじゃねえか」
「天帝様!」
「出るぞ。須弥山の全戦力を動員する!」
全勢力のトップ陣でも最高クラスの実力者。戦いの神『阿修羅』に勝った武神インドラ。ゼウス、オーディンと並ぶ、世界でも最高クラスの神が動く。
「厄介なことになったのぅ」
北欧の主神・オーディンは長い顎鬚を摩りながらそう言った。
「オーディン!」
「おお、ロキか。今回は協力してもらうぞ?」
「当たり前だ。この様な事態だ。さすがの私でも協力するさ」
「やれやれ、神々の手ではなく、人の手によって黄昏が起こされようとはな……」
人が神に挑むのではなく、神が人に挑む。これから起こる災厄を考え、オーディンは頭を抱える。
「オーディンさま。準備が整いました」
「そうか、それでは、出陣じゃ」
神殺しの牙を持つ狼が、終焉にのみ動き出す龍王が、北欧最大のトリックスターが、雷神が、その数多を束ねる主神が、北欧の全てが動き出す。全てはたった一人の人間を止めるためだけに……。
「すげえ事態になっちまったな」
「ああ。……それにしても、なぜ彼は急に世界を滅ぼすと宣言したのだろうか?」
「さあな。あいつのことだから暇つぶしとかいう理由かもしれんな」
本当にそうでありそうだから笑えない。そう呟くのは『
「正直に言うと、彼とは敵対したくないんだけどね……」
そう呟くのは四大魔王にして、冥界最強の悪魔と名高いサーゼクス・ルシファー。
「俺だって敵対したかねえよ。でも、仕方がねえだろ」
そう言ってため息を吐くアザゼル。
「あらゆる勢力が集結しつつある。北欧や須弥山、ギリシャ。さらには『無限の龍神』や『禍の団』をはじめ、あらゆるテロリスト集団。文字通り、世界中の戦力が集まりつつある。だが……」
サーゼクスは言い淀む。その続きをアザゼルが口にする。
「勝率は低いだろうな。これだけの戦力を整えようと、グレートレッドはおろか、オーフィスを討てるかも判らない。あれ等以上の強さを持つアイツを止めるには戦力が足りねえ」
そう、足りないのだ。
歴史に名を残す、悪魔に転生した英雄がいる。
聖書に記され、物の数分で国を滅ぼせる堕天使が存在する。
今は亡き、聖書の神が創った熾天使がいる。
七十二柱と呼ばれ、強大な力を持つ悪魔たちを統べる王達がいる。
悪魔の中でも突然変異、規格外の力を持つ魔王が二体も存在する。
人に宿る神器。その中でも、神を屠れると言われる神滅具を持つ者たちがいる。
最強の武神が、天空を支配する全能神が、北欧を束ねる主神が、世界中に存在するありとあらゆる神仏がいる。
あらゆる種族の中でも一際強大な力を有するドラゴン。そのドラゴンの中でも龍王と呼ばれる存在がいる。
それでも尚、足りない。
これだけの戦力だ。弱小どころか、大きな力を持つ勢力の二つや三つを跡形もなく消し飛ばす事も出来るだろう。だが、その程度なのだ。
無限の体現者であるオーフィス。彼女単体でも、今回の連合を滅ぼすことは可能だ。そんな彼女でも『夢幻』の真龍である『真なる赤龍神帝』グレートレッドには敵わない。規格外の力を持つ二体のドラゴン。このどちらかでも、単体で世界を滅ぼす事が可能だ。だが、そんな事彼もできる。この世界でも三指に入る化け物は、それこそ人間が晩飯のメニューを考えるような気楽さで、世界を滅ぼせる事が可能なのだ。むしろ、その程度の事ができない存在が上位三位の存在に敵うわけがない。少なくとも単体で世界を滅ぼせるような化け物でなければ、彼らの敵に成りえない。オーフィスが1以上ならば、連合軍は0.1以下。数字として表すならば、連合軍の戦力は整数にすら届かないのだ。
それほどまでに、今回の相手は規格外な存在だ。
「それでも我々は足掻かなければならない。ただ、滅ぼされるのを待つなどと言うことはできない」
「そうだな。どんな事があれ、俺たちは生きらなければならない」
少なくとも、今いる若者たちが自立できる時まで生きらなければならない。未来ある子供を守り、導き、育てなければならない。
「今回の騒動が終わったら、酒を飲みたいね。最近好きに飲むことすらできねえし」
「無事に乗り切れたら、大きな宴会でも開こうか。上手くいけば、他の勢力と友好になれるかもしれない」
「ミカエル辺りを無理矢理酔わせて、堕天させちまうか」
アザゼルがおどけたようにそう言うと、サーゼクスは苦笑する。
「セラフのトップが堕天か……。それはそれで、見てみたい気もするな」
その言葉を聞いて、いやらしく笑みを浮かべるアザゼル。
「いっそのこと、四大セラフ全員を堕天させるか?」
「それはとても興味深いが、止めておこう。下手したら三大勢力で戦争が勃発するかもしれないしね」
そう言って肩をすくめるサーゼクス。それを見て、苦笑するアザゼル。それから少しして、二人は真剣な表情になる。
「生き残るぞ」
「勿論だ」
世界の全てを集結させて終焉を止めんとする者達。世界が欲するのは終わりか、それとも……。
『相棒、今更だが、どうしてこの様な事をした?』
『赤き龍』は自分の宿主である青年に話しかける。
「しいて言うなら暇つぶしだな。特にやることもねぇし」
青年はそう答える。その瞳はつまらなそうに眼前の軍勢を捉えている。
『世界を滅ぼすのがただの暇つぶしか……。相手側からしたらたまったものではないな』
ドライグがそう言い、苦笑する。そう、この青年こそ、今回の事件の発端でもあり、世界を滅ぼそうとしている張本人でもある。
その青年を目指して、進行してくる軍勢は圧巻だ。悪魔が、天使が、神が、魔獣や魔物が、特別な力を宿す人間が、そして龍が。その全てが天地を埋め尽くし、進軍してくる。
その数、およそ十万。そして、その軍勢を構成している者たち一人一人の力も強力だ。質も量もどうだと言わんばかりで、軍勢を構成している者が最低でも中級~上級悪魔クラスの力を備えている。長い時を生きている彼らでも、これだけの軍を見るのは、これが最初で最後だろう。
その軍勢は青年を半円で包囲する様に展開する。
そして、青年の目の前に二人の男性が出てくる。サーゼクスとアザゼルだ。
「どうして世界を滅ぼすんだ?」
アザゼルは青年にそう訊く。その質問を受け、青年は相変わらずつまらなさそうにアザゼルを見る。
「暇つぶし」
その言葉を聞いて、アザゼルとサーゼクスは絶句する。もしかしたらそうかもしれないと予想はしていたが、それでもそんな理由で自分達が滅ぼされるかもしれないのだ。当事者からしたら、たまったものではない。
「できうる限りの事をするから、こんなことは止めてくれないかな?」
サーゼクスは何とか笑みを作りながら、青年にそう話しかける。
「できうる限りのことねぇ。……で? お前は何をしてくれるんだ?」
「何か欲しい物があるのなら用意させよう。どこか行きたいところがあるなら、案内しよう」
その言葉を聞いて、青年はサーゼクスから興味を無くす。
「そんな物に興味はねぇ。止めたきゃ力ずくで止めてみろ」
青年は見下しながらサーゼクスとアザゼルにそう言う。その瞬間―――。
カッ!
青年を包み込むように破壊の嵐が起こった。ゼウスのケラウノス、インドラのヴァジュラ、そしてトールのミョルニル。世界でもトップクラスの神々、それも『雷』を得意とする者達が同時に青年に攻撃を叩きこんだのだ。
「っち、下がるぞ、サーゼクス!」
「……ああ」
アザゼルに言われ、悲しそうな表情をしながらも、軍勢の中に戻っていくサーゼクス。その瞳は光柱にのみ込まれた青年を心配そうに捉えている。
青年をのみ込んだ光柱が内側から弾けるように吹き飛ばされる。三体の神の不意打ちを食らった青年は無傷だった。
それに続くように、異形の軍勢は力を奔らせ、青年へと挑む。
それに対し青年、―――世界に飽いた頂点はそれらを迎え撃つ。
「加減無用だ。精々楽しませろ」
笑みを浮かべ、
次回は本編を投稿します。
感想でいろんな作品のクロスオーバーを書いてほしいとの要望が多くありましたが、申しわけございません。今のところ予定しているなのは(後ネギま)以外を書く気はありません。
規格外を終わらせてからなのはを投稿しようと思います。