ハイスクールD×Dの規格外   作:れいとん

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第三十一話

夜、俺は外に散歩に出ていた。夜の散歩はいい。夜風は気持ちいいし、昼間と違い人もあまりいない。だからこそ、俺はたまに夜の散歩に出る

「―――ふぅ。たまはこういうのもいいものだな」

俺は途中にある自販機の前で一息つく

「それで、さっきからコソコソとなんのようだ?」

俺は誰もいないはずの空間に話しかける。―――すると、突然そこに気配が生まれる。

闇夜から姿を現したのはラフな格好の男

「あらら、やっぱりバレてたねぃ。おひさ、赤龍帝」

「なんのようだ?おまえら」

俺がめんどくさそうにそう問いかける

「やっぱりバレれるみたいだぜぃ、ヴァーリ」

美侯のその声を聞き、もう一人の青年が暗闇から現れる

「二か月ぶりだな、兵藤一誠」

白いシャツ姿のヴァーリが出てきた

「なんの用で俺に接触してきたんだ?今すぐ死にてぇんなら、殺してやるが?」

せっかくの楽しい散歩タイムだったというのに……。

「忠告しにきたんだよ」

ヴァーリは肩をすくめながらそう言う

「忠告?」

俺は聞き返す。何を忠告しに来たというんだこいつ?

「ディオドラ・アスタロトは知っているな?」

「ああ、それがどうした?」

「気をつけたほうがいい」

その言葉を聞き、俺は怪訝に思う

「……どういうことだ?」

「記録映像は見たか?アスタロト家と大公の姫君の一戦だ」

ディオドラが帰ったあと、俺はリアス達と共にディオドラ対アガレスの記録映像を確かに見た。

試合はディオドラの勝ちだった……。ディオドラの実力は圧倒的で、奴だけがゲームの途中から異常なほどの力を見せ、アガレスとその眷属を撃破した。

ディオドラの眷属は奴をサポートするぐらいで、『王』自ら、孤軍奮闘、一騎当千の様相を見せた。ディオドラは魔力に秀でたパワータイプだ。リアスを超える魔力のパワー得アガレスを追い詰めた。

これを見て、俺も含めた全員が訝しげに思った。ゲーム自体にではなく、ディオドラにだ。やつは急にパワーアップしたのだ。それまではアガレスがかなり追いつめていたのに途中から急に力強くなったディオドラに敗北した。実力をギリギリまで隠していた?ありえない。俺が見た限り、ディオドラはリアスは愚かソーナにすら魔力で力負けそうだ。これはアザゼルも同意見なようで驚いていた。事前に得ていたディオドラの実力から察してもあまりに急激なパワーアップに疑問を感じたようだ。

リアスも同意見だった。

「ディオドラはあそこまで強い悪魔ではなかった」―――と。二人の意見は一致した。

パワーアップする前のディオドラもソコソコ強かった。魔力はリアスに劣るが、それでも若手の悪魔として見る分には十分と言えた。

けど、試合途中からディオドラは俺ですら驚くほどの力を発揮していた。

短時間であそこまで強くなれる可能性はある―――が、ありえないだろう。あいつはアスタロトだ。現魔王アジュカ・ベルゼブブの身内があれを持っているとは考えられない。

それはそれとして、リアスもそうだが全員『王』自らがゲームを終わらせるのはどういうことなのだろうか?『王』なのだからもう少し慎重に動けと言いたくなる

「まあ、俺の言い分だけでは、上級悪魔の者たちには通じないだろうけど。キミ自身が知っておけばどうとでもなると思ってね」

こいつに礼でも言えばいいのかね?俺がそう思ったときだった。ふいに人影が―――。ヴァーリと美侯も予想外だったようで、そちらへ視線を向けていた。何者だ?

ぬぅ……。

闇夜から姿を現したのは―――ものすごい質量の筋肉に包まれた巨躯のゴスロリ漢だった。頭部には猫耳がついている。―――こいつは、ミルたん!!?

アーシアの悪魔稼業の初めてのお客であり、お得意でもあるらしい存在だ。俺も一度だけ一緒にあった事がある。

現れた瞬間、ヴァーリが二度目していた。気持ちはわかる

「にょ」

手をあげ、俺にあいさつし、横を通り過ぎていく。一応顔見知りなので俺も手をあげておく

「頭部から察するに猫股か?近くに寄るまで俺でも気配が読めなかった。仙術か?」

ヴァーリが真剣な面持ちで美侯に訪ねる。ミルたんの気配の消し方は仙術なんてレベルじゃない。俺ですら判らない時があるからな

「いんや、あれは……トロルか何かの類じゃね?……猫トロル?」

美侯が首をひねり、答えに困っていた。生物学上一応人間だぞ?

ヴァーリは気の抜けた表情で肩から力を抜く

「まあ、いいか。帰るぞ、美侯」

ヴァーリはそう言い、美侯と共にこの場をあとにしようとする

「待て、それだけ言いに来たのか?」

俺がそう訊くとヴァーリは笑って見せる

「近くに寄ったから、忠言に来ただけさ」

「じゃあな、赤龍帝。なあ、ヴァーリ。帰りに噂のラーメン屋寄って行こうや~」

それだけ言うとヴァーリは美侯と共に夜の闇へと消えていった

わけのわからんやつだな、あいつは。

『おまえのライバルは変わった奴だな』

ドライグもそう言う。まぁ、面白くはあるがな

『ま、おまえもずいぶん変わっているか』

なんだ、急に?

『歴代のなかでおまえが一番俺に話しかけてくれている気がする。会話が楽しいと感じた宿主は初めてだ』

昔は小さかったからな。人外の存在はおまえに聞くしかなかった

『……それがよかったのかもしれんな。おまえは俺を道具ではなく、ひとつの存在として扱ってくれる』

おまえの力に頼りっきりになるほど弱くねぇしな

『歴代の赤龍帝たちの中には同じこと言った奴らもいた。だが、そいつらも結局は力に溺れ、その身を破滅させた』

だからどうした?いくら『赤龍帝の籠手』の力が強大でも、俺からしたら大した力ではない。歴代の赤龍帝がどうだったかしらねぇが、俺はおまえの力に溺れるほど弱わかねぇぞ?

『くくく、やっぱり、おまえは変わった奴だ』

……やれやれ、歴代の赤龍帝はどんな生涯をおくっていたんだか

 

「そう、ヴァーリが」

散歩を終えた俺は暇だったので、リアス達がいる部室に来ている。ディオドラに関しての忠告だったので、一応リアスにも伝えておいた

「……この町に寄ったのなら、感知してもいいのだけれど……。まったく彼らを感知できないわ。気配を断つ術?仙術の応用かしら?それとも黒歌の空間結界術で?」

リアスは小さな魔法陣を宙に展開すると、なにやら連絡をしている様子だ

「いちおう、今回の件をお兄さまとアザゼルに報告するわ」

報告を終えるとリアスは苦笑する

「ディオドラの件もよく注意しましょう。ヴァーリの言葉を信じているわけではないけれど、警戒する必要はあるわ。さて、帰りましょうか?」

俺は来たばかりだというのにもう帰るのか。まぁいいか。俺とリアスは夜の道を歩きながら帰路につく。アーシアたちはもう寝ているんだろうなぁ。

俺とリアスは家に着くとそのまま部屋へ足を運ぶ。なにやら俺と話したい事があるらしい。俺の部屋の前に着き、扉を開けた瞬間―――。

「あらあら、お帰りなさい。一誠くん」

そこにいたのは露出が多い巫女服を来た姫島がいた

「姫島!なんだその格好は!?」

しかもなんで俺の部屋にいるんだ!?

「うふふ、お気にめしましませんでしたか?こういう格好は好みではないのかしら?」

姫島が服を着崩しながら俺にそう訊く

「どうしてそんな恰好をしているんだ?」

幾分か冷静なりながら訊く

「あなたが喜ぶと思って。うふふ。どうします?観賞会にすればいいのかしら?それとも―――」

姫島は胸元をなぞりながら、俺に視線を向けてくる

「ベッドの上でお触りアリの体験会にしたほうがいい?」

姫島がそう言った瞬間―――背後から殺気を感じる。

振り返れば危険な笑みを浮かべたリアスが朱乃に言う

「……朱乃?何をしているの?」

「あら、リアス。いたのね?」

姫島はわざとらしくそう言った。どう見ても挑発している

「いるわよ、これから一誠と話すことがあるもの」

「そう。では、少しそこで待っていて。いま、一誠くんに喜んでもらおうとしているの。―――邪魔だわ」

姫島の一言にリアスは笑みのまま停止し、震える声をしぼりだす

「……邪……魔?」

リアスが紅いオーラをまとった。ケンカ勃発か?

さらに部屋の隅から数人の女子が出てくる。―――アーシア、ゼノヴィア、小猫だ。こいつらも姫島と同じ格好をしている

「うん。動きやすい。下着を着けられないが、機能的に身軽でいいな」

そう感想を漏らすゼノヴィア。どうやら下着を着けていないらしい

「で、でも、ブラジャーできないと……。す、透けてますよね、これ……」

アーシアが胸元を隠し、照れながらそう言う。恥ずかしいなら着なきゃいいのに……。

「……似合いますか?にゃん♪」

そう言って招き猫のような手つきをする小猫。…………かわいい。

「……私だって着るわ!」

涙目のリアスは自分だけ仲間外れは嫌だと、部屋の隅へ行ってコスプレ衣装の山をあさりだした

「うふふ、一誠くん。私……」

瞳を潤ませながら俺に近づいてくる

「朱乃には負けないわ!」

リアスがそう言って姫島を突き飛ばす。姫島も対抗して、リアスを突き飛ばす

「いえ、リアスよりも私の方が一誠くんの好みのプロポーションを見せられるわ!」

「一誠は私のこと魅力的だっていったもの!」

「そんなことないわ!この間、一誠は私の体は気持ちいいって言ってくれたわよ!」

ああ、確かに似たようなことは言ったが……

「無理やり言わせたんでしょ!?って、私の一誠を呼び捨て!?」

俺はいつからおまえの物になったんだ?

「いいじゃない!一誠一誠一誠一誠!リアスのバカ!」

「朱乃のおたんこなす!今日という今日は許さないんだから!」

そう言ってケンカを始めるリアスと姫島。

………………ブチッ!

俺の中で何かが切れた

俺は姫島とリアスを掴む

「おまえら、俺の部屋から出ていけ!!」

俺はリアスと姫島を部屋の外へと追い出し、結界を張り部屋に入れないようにする。まったく、五月蝿い奴らだ

 

「勝負は五日後か。すぐだね」

悪魔式人生ゲームの駒を進めながらゼノヴィアは言う

姫島とリアスを追い出したあと、俺、アーシア、ゼノヴィア、小猫の四人で悪魔式人生ゲームをしている

このゲームは下級悪魔から始め、中級、上級、最上級と出世していって、最終的に魔王になればクリアだ。このゲーム、人間界と同じでポピュラーな遊びらしい

「―――っ!」

「―――っ!」

廊下からリアスと姫島の声が聞こえてくる。たまに盛大にやらかすんだよなぁ、あいつ等。そんで、俺に追い出されて、そこでケンカの続行。夏休みに入ってからたまに見かける光景だ

小猫なんかは「……あーなったら、無理に止めるよりもとことんやらせたほうがいいと思います」とかいって諦めているからな。……魔力対戦とか始めたら家から叩きだすか

最近小猫はよく俺と話すようになった。そんな小猫曰く「……一誠さんは乙女心をもっと知るべきです」だそうだ。そんなこと知ったこっちゃないが……。

そこへノックと共に一人入室してくる。イリナだ

「わー、家に帰ってきたらリアスさんと朱乃さんが大ゲンカしているんだもん。驚いちゃったわ。あ!人生ゲーム?私も参加させて」

離れたところにある教会(昔アーシアが捕まっていたところではない)に用事を済ませに行っていたイリナはすぐに人生ゲームに飛びついてくる

「悪魔式?わー、興味あるわ!転生天使たる私が悪魔の人生を疑似体験なんて複雑怪奇で楽しそう」

こいつは何でもかんでも楽しそうだな

くすっ。

アーシアが小さく笑う

「どうした、アーシア?」

俺が訊くとアーシアは微笑みながら言う

「はい。楽しいなって思って」

「騒がしいけどな」

俺がそう言うとより一層嬉しそうに言う

「一誠さん、私、いまの生活大好きです。皆のことも大好きです」

「わかってるよ。今度のレーティングゲーム、気にすんなよ?アーシアもおまえらも普通に仕事すればいいだけなんだからな」

俺がそういうとゼノヴィアもうなずく

「そうだぞ、アーシア。私とアーシアは友達だ。アーシアへ危害を加える者はおまえの剣となって倒してあげよう」

これはゼノヴィアなりの激励なのだろう。

「アーシア、今回のゲームが終わったら、皆で映画を見よう」

「映画?」

俺がそう言うと首を傾げるアーシア

「ああ、前に一緒に映画を見ようって約束をしただろう?どうせなら、全員で映画観賞会といこうじゃないか」

「はい!」

俺がそう言うと、満面の笑みで頷くアーシア。

そこへ扉が開かれリアスが入室してくる。―――おお、この程度の結界は破れるようになったのか。

肩で息をしながらリアスは言う

「突然で悪いけれど」

『?』

皆を見渡すリアスに俺たちは怪訝な面持ちだった

「取材が入ったわ。冥界のテレビ番組に私たちがでるの。―――若手悪魔特集で出演よ」

『…………』

俺を除き全員が間の抜けた表情だったが―――。

「「「「テレビ番組ィィィィィッッ!?」」」」

驚きの叫びが兵藤家に響き渡った

 

 

「通信で悪いな、サーゼクス。例のグラシャラボラス家次期当主の不審死とディオドラ・アスタロトの魔力増大についてだが……」

『やはり、繋がったか。―――悪魔はいまだ問題を抱えるばかりだ』

「まだ確証は得ないが、ヴァーリの忠言を信じるならば、ディオドラは―――。ったく、身内のイベントでただでさえテンション低いのによ」

『聞いているよ。グリゴリの幹部がまた一人婚姻したようだな」

「……どいつもこいつも焦りやがって。何よりも俺に黙って裏で他勢力の女とよろしくやっていたなんてな……。クソ、そろそろ独り身は俺だけか!」

『ふふふ、アザゼルも身を固めたらどうだ?』

「嫌だね。俺は趣味に生きる男だ。……お、女なんていくらでもいる!」

『そうだな。そういうことにしておこう。―――さて、ディオドラの件をどうにかしないと一誠くんがどうでるか』

「やれやれ、下手したら世界の終わりってか?」

『それが冗談ですまない事態になるかもしれないな』

「……はぁ、やれやれ。あいつに大事な存在ができたことは喜ばしいことだが、そのせいでこの事態だもんな。頭が痛くなってくるぜ」

『そうならないように私たち大人がどうにかするんだろう?』

「わーってるよ。さすがにこんなことで冥界の滅亡になったら困るからな。……それじゃあな。サーゼクス」

『ああ、それではまたこんど』

「……ふぅ。やれやれ、本当になんとかしねぇとまずいな」

 




今回中途半端です。

最近幾つかの作品の二次を(超電磁砲など)書きたくてしかたがない

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