ハイスクールD×Dの規格外   作:れいとん

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第二十四話

若手悪魔達が案内された場所は異様な雰囲気がしている場所だった。

高い所に置かれた席には悪魔のお偉いさん方が座っている。

もう一つ上の段にはサーゼクス、セラ、アジュカ、ファルビーと四大魔王が座っていた。

高い位置から見下ろされている状態にある。

冥界を支える者たちだからこその位置と言うべきものだな。

リアスを含めた若手悪魔の六人が一歩前に出た。

ヤンキーはサイラオ―グに殴り飛ばされた顔がまだ腫れている

「よく集まってくれた。次世代を担う貴殿らの顔を改めて確認するため、集まってもらった。これは一定周期ごとに行う若き悪魔を見定める会合でもある」

初老の男性悪魔が手を組みながら偉そうに言う

「さっそく、やってくれたようだが……」

今度はヒゲたっぷりの中年悪魔が皮肉げに言った。

「キミ逹六名は家柄、実力共に申し分のない次世代の悪魔だ。だからこそ、デビュー前にお互い競い合い、力を高めてもらおうと思う」

サーゼクスがリアス達を見渡して言う

「我々もいずれ『禍の団』との戦に投入されるのですね?」

サーゼクスの言葉にサイラオーグが尋ね返したが、サーゼクスは首を横に振る

「それはまだ分からない。だが、出来るだけ若い悪魔逹は投入したくはないと思っている」

「何故です?若いとはいえ、我らとて悪魔の一端を担います。この歳になるまで先人の方々からご厚意を受け、なお何も出来ないとなれば・・・」

サイラオーグは若手のナンバーワン。そして上級悪魔である自分達が冥界の為に戦うことが当たり前だと思っている様だ

「サイラオーグ、その勇気は認めよう。しかし無謀だ。何よりも成長途中のキミ逹を戦場に送るのは避けたい。それに次世代の悪魔を失うのはあまりに大きいのだよ、理解して欲しい。キミ逹はキミ逹が思う以上に、我々にとって宝なのだよ。だからこそ大事に、段階を踏んで成長して欲しいと思っている」

サーゼクスの言葉にサイラオーグは一応の納得をしたが、不満がありそうな顔をしていた。

その後サーゼクスや他の悪魔は今後のゲームや冥界の情勢などをリアス達に話していた

「さて、長い話しにつきあわせてしまって申し訳なかった。なに、私たちは若い君たちに私たちなりの夢や希望を見ているのだよ。それだけは理解してほしい。キミたちは冥界の宝なのだ」

サーゼクスが柔らかい笑みを浮かべながらリアス達に言う

「最後にそれぞれの今後の目標を聞かせてもらえないだろうか?」

サーゼクスの問いかけに、サイラオーグが最初に答える。

「俺は魔王になるのが夢です」

真っ直ぐ、迷い無く言いきるサイラオーグ。

『ほう……』

正面から言いきるサイラオーグにお偉いさん方も感嘆の息を漏らした。

「大王家から魔王が出るとしたら前代未聞だな」

「俺が魔王になるしかないと冥界の民が感じれば、そうなるでしょう」

すぐに言いきるサイラオーグ。――――へぇおもしれぇな

それに続いてリアスも今後の目標を言う。

「私はグレモリーの次期当主として生き、そしてレーティングゲームの各大会で優勝する事が近い将来の目標ですわ」

リアスはレーティングゲームに勝つことが当面の目標らしい

そして次々と若手の悪魔達が夢や将来の目標を言って行き、最後のソーナは・・・

「私の夢は冥界にレーティングゲームの学校を建てる事です」

その言葉に眉を寄せるお偉いの悪魔たち

「レーティングゲームを学ぶ所ならば、既にある筈だが?」

「それは上級悪魔と一部の特権階級の悪魔のみしか行く事が許されない学校の事です。私が建てたいのは下級悪魔、転生悪魔も通える分け隔ての無い学舎です」

身分に囚われない誰もがレーティングゲームを学ぶ事の出来る学校を作る。

その夢に俺は興味を持ち、匙は誇らしげにしている。が・・・

『ハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!』

お偉いさん方の声が会場を支配し、嘲笑うかのように次々と口にし始めた。

「それは無理だ!」

「これは傑作だ!」

「なるほど!夢見る乙女と言うわけですな!」

「若いと言うのは良い!しかし、シトリー家の次期当主ともあろう者がその様な夢を語るとは。ここがデビュー前の顔合わせの場で良かったと言うものだ」

見下し、バカにするような言い草だ

「私は本気です」

セラもうんうんと力強く頷いている。「よく言った!」と言わんばかりだ。だが、お偉い悪魔の一人は冷徹な言葉を口にする

「ソーナ・シトリー殿。下級悪魔、転生悪魔は上級悪魔たる主に仕え、才能を見出だされるのが常。その様な養成施設を作っては伝統と誇りを重んじる旧家の顔を潰す事となりますぞ?いくら悪魔の世界が変革の時期に入っていると言っても変えて良いものと悪いものがあります。全く関係の無い、たかが下級悪魔に教えるなど・・・」

その一言に匙が口を挟む

「黙って聞いてれば、なんでそんなに会長の……ソーナ様の夢をバカにするんスか!?こんなのおかしいっスよ!叶えられないなんて決まった事じゃないじゃないですか!俺達は本気なんスよ!」

「口を慎め、転生悪魔の若者よ。ソーナ殿、下僕の躾がなってませんな」

「……申し訳ございません。あとで言ってきかせます」

「会長!どうしてですか!この人逹、会長の、俺達の夢をバカにしたんスよ!どうして黙っているんですか!?」

「サジ、お黙りなさい。この場はそういう態度を取る場所ではないのです。私は将来の目標を語っただけ、それだけの事なのです」

「夢は所詮、夢。叶うことと叶わぬことがありますぞ。ましてや下級悪魔如きがレーティングゲームを学ぶために行き来する学校を作るなど……」

「アホクセぇ」

俺が全員にはっきりと聞こえる声で呟く

「おいサーゼクス。こんな虫けらの笑い声を聞かせるために俺を呼んだのか?」

俺はサーゼクスに話しかける

「なんだと!?貴様!!今何といった!!?」

「虫けら」

「たかが人間如きが我々上級悪魔に対して虫けらだと!?貴様が今ここにいるのは魔王さま方の温情によるものだと言うのに……。その上我々を侮辱し、意見するだと?この様な神聖な行事の場にこれ以上に人間が居あわせることは耐えられん!!」

そう怒鳴り散らす虫けら

ドゴォォォォォォォォオオオオン!!!

俺が悪魔に攻撃し、それをサーゼクスたちが弾き飛ばしたのだ。お偉いの悪魔方は何が起きたのか理解できていないようだ

「おいおい、この程度の攻撃にすら反応できない虫けらが喚くなよ。たかが悪魔如きが俺に口答えするな」

俺がそう言うと顔を真っ赤にするお偉いの悪魔たち

「ならなら!うちのソーナちゃんがゲームで見事に勝っていけば文句も無いでしょう!?ゲームで好成績を残せば叶えられる物も多いのだから!」

セラが怒りながら他の悪魔たちに提案する。その場の空気が霧散する

「もう!おじさま逹はうちのソーナちゃんをよってたかっていじめるんだもの!私だって我慢の限界があるのよ!あんまりいじめると私がおじさま逹をいじめちゃうんだから!」

セラが涙目で他のお偉いの悪魔たちに言う。………本気でこいつら殺してやろぉか?

俺の言葉にキレていた奴も今度は目をパチクリさせ、反応に困っている

ソーナは顔を恥ずかしそうに覆う

「ちょうどいい、では、ゲームをしよう。若手同士のだ」

サーゼクスがその場を収めるために提案を話し始める

「リアス、ソーナ、戦ってみないか?」

リアスとソーナは顔を見合わせ、目をパチクリさせ、驚く。

構わずにサーゼクスは続ける。

「元々、近日中にリアスのゲームをする予定だった。アザゼルが各勢力のレーティングゲームファンを集めてデビュー前の若手の試合を観戦させる名目もあったものだからね。だからこそ丁度良い。リアスとソーナで1ゲーム執り行ってみようではないか」

中々に面白そうなことになってきたな。リアスとソーナのレーティングゲームか

リアスは一度大きく息を吐くと、挑戦的な笑みをソーナに見せる。ソーナも冷笑な笑みを浮かべ出した。――似た者同士だな。こいつ等

「公式ではないとはいえ、私にとっての初のレーティングゲームの相手があなただなんて運命を感じてしまうわね、リアス」

「競う以上は負けないわ、ソーナ」

血の気が多いな。さっそく火花を散らしている

「リアスちゃんとソーナちゃんの試合! うーん☆ 燃えてきたかも!」

さっきまで涙目だったセラも楽しげだ

「対戦の日取りは、人間界の時間で八月二十日。それまでは各自好きに時間を割り振ってくれてかまわない。詳細を改めて後日送信する」

サーゼクスが最後にそう締めくくる

 

 

「そうか、シトリー家と対決か」

グレモリー家本邸に帰ってきた俺やリアス達を迎えたのはアザゼルだ。広いリビングに集合し、今後のことを話しあう

「人間界の時間で現在七月二十八日。対戦日まで約二十日か」

「修行ですか?」

木場がアザゼルに訊く

「当然だ。明日から開始する予定だ。すでに各自のトレーニングメニューは考えてある」

用意の良いやつだ

「でも良いの?私たちだけが堕天使総督のアドバイスを受けて?公平さを著しく欠いているのでは?」

アザゼルはリアスの言葉に嘆息しながら答える

「俺だけじゃなく、シェムハザも各家にアドバイスを与えているからな。ハハハ!俺よりシェムハザのアドバイスの方が役立つかもな!」

修行前だってのにリアス達に不安になることしかいわねぇな。こいつ

「まあいい。明日の朝、庭に集合。そこで各自の修行方法を教える。覚悟しろよ」

『はい!』

アザゼルのその言葉にリアス達は異口同音に答える。

 

 

次の日

資料やデータらしき物を持ったアザゼルが口を開く。

「先に言っておく。今から俺が言うものは将来的なものを見据えてのトレーニングメニューだ。すぐに効果が出る者もいるが、長期的に見なければならない者もいる。ただ、お前らは成長中の若手だ。方向性を見誤らなければ良い成長をするだろう。まずはリアス、お前だ」

アザゼルが最初に呼んだのはリアスだった

「お前は最初から才能、身体能力、魔力全てが高スペックの悪魔だ。このまま普通に暮らしていてもそれらは高まり、大人になる頃には最上級悪魔の候補となっているだろう。だが、将来よりも今強くなりたい、それがお前の望みだな?」

「ええ、もう二度と負けたくないもの」

アザゼルの問いにリアスは力強く頷く。

リアスはフェニックス戦での自分の不甲斐なさを思い出しているのだろう

アザゼルはリアスのトレーニングメニューが記された紙を渡すが、リアスはその内容を見て首を傾げた。

「これって、特別凄いトレーニングとは思えないのだけれど?」

「基本的なトレーニング方法だからな、お前はそれで良いんだ。全てが総合的にまとまっているから基本的な練習だけで力が高められる」

アザゼルはその言葉を肯定した

「次に朱乃」

「・・・はい」

不機嫌な様子で返事をした

姫島の父は堕天使の幹部バラキエル、つまりアザゼルの部下である。

それ絡みでアザゼルを苦手と言うか嫌っているようだ。

「お前は自分の中に流れる血を受け入れろ」

「!!」

ストレートに言われたせいか、姫島は顔をしかめた

「お前のフェニックス家との一戦も、記録した映像で見せてもらったぜ。何だありゃ、本来のお前のスペックなら、敵の『女王(クイーン)』を苦もなく打倒出来た筈だ。何故、堕天使の力を振るわなかった?雷だけでは限界がある。光を雷に乗せ、『雷光(らいこう)』にしなければお前の本当の力は発揮出来ない」

姫島は堕天使の血を引いているので、光の力を使う事が出来る。

特に悪魔が相手となると絶大な効果を発揮する。

更に得意の雷に光を乗せれば威力と速度は格段に上がる。

けど、朱乃は複雑極まりない様子だった

「・・・私は、あの様な力に頼らなくても・・・」

「否定するな。自分を認めないでどうする?最後に頼れるのは己の体だけだぞ?辛くとも苦しくとも自分を全て受け入れろ。お前の弱さはお前自身だ。決戦日までにそれを乗り越えてみせろ。じゃなければ、お前は今後の戦闘で邪魔になる。『雷の巫女』から『雷光の巫女』になってみせろよ」

アザゼルの厳しい言葉に姫島は応えられない

「次は木場だ」

「はい」

「まずは禁手を開放している状態で一日保たせてみせろ。それに慣れたら、実戦形式のなかで一日保たせる。それを続けていき、状態維持を一日でも長くできるようにしていくのがお前の目的だ。あとはリアスのように基本トレーニングをしていけば十分に強くなれるだろうさ。剣系神器の扱い方はあとでマンツーマンで教えてやる」

少なくとも神器に関してはお手のものだろう

「剣術の方は……お前の師匠にもう一度習うんだったな?」

「ええ、一から指導をしてもらう予定です」

こいつの師匠は十中八九あいつだろう

「次、ゼノヴィア。お前はデュランダルを今以上に使いこなせるようにすることと―――もう一本の聖剣に慣れてもらうことにある」

「もう一本の聖剣?」

ゼノヴィアはアザゼルの言葉に首を傾ける

「ああ、ちょいと特別な剣だ」

そう言ってにやけるアザゼル。……気持ち悪いな

「次にギャスパ―」

「は、はいぃぃぃぃぃ!」

おもいっきりビビっている引きこもり吸血鬼

「そうビビるな。おまえの最大の壁はその恐怖心だ。何に対しても恐怖するその心身を一から鍛えなきゃいかん。もともと、血筋、神器共にスペックは相当なものだからな。『僧侶』の特性、魔力に関する技術向上もおまえを大きく支えてくれている。お前専用の『脱☆引きこもり計画!』も考えたからまずはそれをこなして、人前に出ても大丈夫なようにしろ」

そういって紙束をギャスパーに渡すアザゼル

「はいぃぃぃぃぃ! 当たって砕けろの精神でやってみますぅぅぅぅ!」

本当に砕けそうだ

「アーシア!」

「は、はい!」

アーシアも気合が入っている

「おまえも基本的なトレーニングで、身体と魔力の向上。そして、メインは神器の強化にある」

「アーシアの回復神器は最高よ?触れるだけで病や体力以外なら治すし」

リアスがアザゼルに疑問を投げかける

「それは理解している。回復能力の速度は大したもんだ。だが、問題はその『触れる』って点だ。見方が怪我しているのに、わざわざ至近距離にまでいかないと回復できない。だからこそ神器の範囲を広げる必要がある」

そういうとリアスは納得したようだ。基本的にリアスは頭がいい、だが、自分の知らないことだとすぐに応用が思いつかない

「が、がんばります!」

そう元気よく答えるアーシア。今度は搭城の番だ。

「次は小猫」

「・・・はい」

搭城はこの日、何故か気合いの入った様子でいた。

昨日までは調子が悪そうだったのに今日は妙に張り切っている。

「お前は申し分ない程、オフェンス、ディフェンス、『戦車』としての素養を持っている。身体能力も問題ないが、リアスの眷属には『戦車』のお前よりもオフェンスが上の奴が多い」

「・・・分かっています」

ハッキリ言うアザゼルの言葉に搭城は悔しそうな表情を浮かべていた

「リアスの眷属でオフェンスのトップは木場の聖魔剣、ゼノヴィアのデュランダルだ」

アザゼルの言う通り、祐斗、ゼノヴィアのパワーはこの中でもズバ抜けている

「小猫、お前も他の連中同様、先ずは基礎の向上をしておけ。その上で、"お前が自ら封じているものを晒け出せ"。朱乃と同じように。自分を受け入れなければ大きな成長なんて出来やしねぇのさ」

「・・・・・・」

アザゼルの言葉に搭城は一気に消失する。

搭城は"自身の封じている力"に恐怖を抱いてる

「一誠に修行はないの?」

リアスがいきなりすっとんきょな事を言い出す

「一誠はフェニックス戦と違ってゲームにはでないしな。そもそもこいつは素の状態で俺を瞬殺できるだぞ?その上『神滅具』である『赤龍帝の籠手』も持っている。こいつをこれ以上強くしてどうする気だよ」

アザゼルが呆れながらリアスに言う。そもそもアザゼルじゃ俺を鍛えるなんて不可能だ

「それに、一誠にはこれからやってもらうことがあるしな」

「どういう―――――ッ!!?」

ドオオオオオオオオオオオオンッ!

空から巨体の存在が猛スピードで地面に着陸した音だ

「タンニーンか。久しぶりだな」

「ああ、久しぶりだな兵藤。相変わらずらしいな?この前ティアマットが泣いていたぞ?」

「お前なにやらかしたんだよ」

おれとタンニーンの話を聞いて呆れるアザゼル

「アザゼル、よくもまあ悪魔の領土に堂々と入れたものだ」

タンニーンは口の端を吊り上げながら言う

「ハッ ちゃんと魔王さま直々の許可をもらって堂々と入国したぜ?文句でもあるのか、タンニーン」

「ふん。まあいい。サーゼクスの頼みだと言うから特別にきてやったんだ。その辺を忘れるなよ、堕天使の総督殿」

「ヘイヘイ。―――それじゃ兵藤。頼んだぞ」

「ああ、行くぞタンニーン」

俺はタンニーンの背中に飛び乗る

「やれやれ、ドラゴン使いの荒いやつだ」

俺とタンニーンはある場所を目指して飛び立つ


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