今回かなりおかしいです
「よく寝たなぁ」
俺は軽く体を伸ばす
「一誠も起こしたし、降りるわよ」
リアスに促され俺たちは列車を降りる。アザゼルはサーゼクス達との会合があるので別に行動するそうだ
『リアスお嬢様、おかえりなさいませっ!』
怒号のように声、そしてすぐさま花火が上がり、兵士たちが銃を空に向けて放ち、楽隊の連中が音楽を奏でる。
「ヒィィィ……。 人がいっぱい……」
ギャスパーはあまりの人の多さに涙眼にならながら俺の後ろに隠れる
『リアスお嬢様、おかえりなさいませ』
メイドや執事がリアスを迎え入れる
「ありがとう、皆。ただいま。帰ってきたわ」
リアスは満面の笑みで返す。それを見て、執事やメイドも笑みを浮かべる。
グレイフィアが全員の前に出る
「お嬢様、おかえりなさいませ。お早いお着きでしたね。道中、ご無事で何よりです。さあ、眷属の皆様も馬車へお乗りください。本邸までこれで移動しますので」
列車の方を見ると、メイドたちが荷物を運び出している
「私は下僕たちと行くわ。アーシアは初めてで不安そうだから」
「わかりました。何台かご用意しましたので、ご自由にお乗りください。兵藤様も、それでよろしいですか?」
「ああ、かまわねぇよ」
俺はリアスと同じ馬車に乗る。走り出してすぐに巨大な建造物が見えてきた
「あ、あの、リアスお姉さま。あ、あのお城は……?」
アーシアがリアス訊く
「私のお家の一つで本邸なの」
リアスはニッコリと微笑みながらアーシアに答える。アーシアは「ふぇ~」と目を丸くしている
庭らしきところを抜けて馬車は止まる
「着いたようね」
リアスがそうつぶやくと、馬車のドアが開かれ、執事が会釈してくる
俺たちが降りると、執事とメイドが両脇に整列して、道をつくる。赤いカーペットが城の方に伸びており、巨大な城門が音を立てながら開く
「お嬢様、兵藤様、そして眷属の皆さま。どうぞ、お進みください」
グレイフィアが会釈して、俺たちを促す
「さあ、行くわよ」
リアスが歩き出そうとした瞬間、メイドの列から小さな人影が飛び出し、リアスに駆け込んでいく
「リアスお姉さま!おかえりなさい!」
紅髪の少年がリアスに抱きつく
「ミリキャス!ただいま。大きくなったわね」
リアスはその少年を愛おしそうに抱きしめる
「あ、あの、リアスお姉さま。この子は?」
アーシアがリアスに訊く
「この子はミリキャス・グレモリー。お兄様―――サーゼクス・ルシファー様の子供なの。私の甥と言う事になるわね」
「ミリキャス。あいさつして。この子は私の新しい眷属なのよ」
「はい。ミリキャス・グレモリーです。初めまして」
「は、初めまして。私はアーシア・アルジェントと申します。リアス様の『僧侶』です」
アーシアが挨拶し返す
「あの、貴方は?」
ミリキャスが俺の方を向いてくる
「兵藤一誠。赤龍帝」
俺が軽く自己紹介すると驚いたような顔をする
「初めまして。ミリキャス・グレモリーです!!赤龍帝様のお話はお父様からよく伺っています。お会いできて光栄です。」
そういって目を光らせながら俺の手を掴むミリキャス
「サーゼクスとグレイフィアの子供にしては真面目だな」
俺がそういうとアーシアが驚いた顔をしている
「いいかげん、屋敷に入りましょう?」
リアスの言葉に従い、中に歩みだす。門を潜り、更に中をすすみ玄関ホールらしきところに着く
「お嬢様、早速皆様をお部屋へお通ししたいと思うのですが」
「そうね、私もお父様とお母様に帰国の挨拶をしないといけないし」
「旦那様は現在外出中です。夕刻までにはおかえりになる予定です。夕餉の席で皆さまと会食をしながら、お顔合わせをされたいとおっしゃられておりました」
「そう、わかったわ。悪いけど皆をそれぞれの部屋まで案内してあげて?」
「かしこまりました」
グレイフィアがリアスに頭を下げる
「あら、リアス。帰ってきたのね」
ふと上から声をかけられる。声の主は階段から優雅に降りてくる。ドレスを着た美少女。見た目は俺たちとそんなに変わらない。髪の色が亜麻色で、目つきが少しキツイ以外はリアスと瓜二つだ
「お母様。ただいま帰りましたわ」
――――こいつがリアスとサーゼクスの母親か
「リアス。この方が兵藤一誠君ね?」
「俺に会いたいって言うモノ好きはあんたか」
微笑みながら俺の顔を見てくる
「初めまして、私はリアスの母、ヴェネラナ・グレモリーですわ。よろしくね、兵藤一誠くん」
あれから数時間後、俺たちはダイニングルームにいた。テーブルの上にはものすごい量の豪華な食事がたくさん置いてある。皆はリアスの父親を待っているようだが俺には関係ないので先に食べ始めている
「遠慮なく楽しんでくれたまえ」
その一言でリアス達も会食を始める。普段一番食べるであろう搭城が一切食事に手を付けていない
アザゼルは階段が長引いているせいで今回の会食には間に合わなかった
「うむ、兵藤君にリアスの眷属諸君、ここを我が家だと思ってくれるといい。冥界に来たばかりで勝手がわからないだろう。欲しいものがあったら、遠慮なくメイドに言ってくれたまえ。すぐに用意しよう」
朗らかにそんな事を言うグレモリー家当主
「兵藤一誠くん」
「なんだ?」
真剣な面持ちで俺に話しかけてくる当主
「今日から、私の事をお養父さんと呼んでくれてもかまわない」
「…………………………は?」
いきなり何を言っているんだ?この中年は?
「頭大丈夫か?おっさん」
「あなた、性急すぎですわ。まずは順序と言うものがあるでしょう?」
ヴェネラナが当主をたしなめる
「う、うむ。しかしだな、紅と赤なのだ。めでたいではないか」
「あなた、浮かれるのはまだ早い、ということですわ」
「そうだな。どうも私は急ぎすぎるきらいがあるようだ」
当主が深く息を吐く。どうやら尻に敷かれているらしい
「兵藤一誠さん。一誠さんと呼んでもよろしいかしら?」
いきなり俺に話しかけてくるヴェネラナ
「兵藤でも、一誠でも好きに呼べ」
その言葉を聞き一層喜ぶグレモリー夫婦
「しばらくはこちらに滞在するのでしょう?」
「そうだな。リアス達が修行している間は温泉巡りにでも行こうかと思っているけどな」
「まあ、そうなの。グレモリー領にも温泉はたくさんありますから、後でご案内しますわ。それはそうと貴方には紳士的な振る舞いも身につけてもらわないといけませんから。少しこちらでマナーのお勉強をしてもらいます」
バン!
リアスがテーブルを叩いたのだ
「お父さま!お母さま!先ほどから黙って聞いていれば、私を置いて話を進めるなんてどういうことなのでしょうか!?」
その一言をきいてヴェネラナは目を細める
「お黙りなさい、リアス。あなたは一度ライザーとの婚約を解消しているのよ?それを私たちが許しただけでも破格の待遇だと思いなさい。お父さまとサーゼクスがどれだけ他の上級悪魔の方々へ根回ししたと思っているの?一部の貴族には『わがまま娘が伝説のドラゴンを使って婚約を解消した』と言われているのですよ?いくら魔王の妹とはいえ、限度があります」
―――あの虫けら戦で俺は籠手を使っていなんだけどなぁ
「私とお兄様とは―――」
リアスが顔を怒りに歪ませながら言いかえそうとするがそれをヴェネラナは許さない
「サーゼクスが関係ないとでも?表向きはそうなっています。けれど、誰だってあなたを魔王の妹としてみるわ。三大勢力の協力体制になった今、あなたの立場は他の勢力の下々まで知られたことでしょう。以前のように勝手な振る舞いはできないのです。そして何よりも今後の貴方をだれもが注目するでしょう。リアス、あなたはそういう立場に立っているのですよ?二度目のわがままはありません。甘えた考えは大概にしなさい」
リアスはその言葉に悔しそうにしながらも言い返せない。納得できないまま椅子へ勢いよく腰をおろした。
ヴェネラナは一度大きく息を吐いたあと、笑みを俺たちに向ける
「一誠さんにリアスの眷属さんたちにはお見苦しいところを見せてしまいましたわね。話しを戻しますが、ここへ滞在中、一誠さんには特別な訓練をしてもらいます。少しでも上流階級、貴族の世界に触れてもらわないといけませんから」
俺の返答も訊かずに一方的に決めつけるヴェネラナ
「しねぇよ。なんで俺がんなかったるい事をしなくちゃならねぇんだよ。お前ら悪魔の貴族社会なんかに興味なんかねぇしな」
俺のその言葉を聞いて驚くヴェネラナ
「俺にお前らの事情を押し付けるな。迷惑だ」
俺が軽く威圧する。なんだって悪魔如きの常識を身につけなければならないんだ
「………。そうね。一誠さんの意見を聞いていなかったわね。―――――ごめんなさい。先ほどの言葉は忘れてちょうだい?」
その言葉を聞いてリアスが何故か泣きそうになっていた
次の日から俺はグレモリー領の温泉を巡っている。何故かは知らないが、ヴェネラナとミリキャス、そしてグレモリー家に仕えている使用人が数名同行している
「うふふ、こうして三人で入るのも、良いものね」
「はい、おばあさま!」
なぜかヴェネラナとミリキャスも一緒に温泉に入っている
「ヴェネラナ。お前見ため若いんだから、思春期の男子と一緒に風呂なんか入るなよ」
俺がそういうと悪戯っぽく笑い
「あら、一誠くんはこんなおばさんを襲うのかしら?それに、日本には『裸のつき合い』というものがあると聞いていますわよ?」
「…………。俺の理性にも限界があるからな」
俺は顔をそむけながら言う
「赤龍帝様!」
ミリキャスが俺に話しかけてくる
「なんだ?ミリキャス。それと、その呼び方はむず痒いから、兵藤か一誠で呼んでくれ」
そういうと嬉しそうに笑うミリキャス
「それじゃ一誠兄様!僕、お兄様の武勇伝が聞きたいです。」
目をキラキラさせながらそう言ってくるミリキャス
「私も興味がありますわ」
ヴェネラナも便乗してくる
「武勇伝っつてもな、特にないし………」
「お父さまから、一誠兄様はいろんな神仏と戦って勝利していると聞いす。そのお話が聞きたいです」
「神か……。そうだ、神じゃないけどフェンリルと遭遇した時の話しをしてやるよ」
「フェンリルですか!?たしか神殺しの牙をもった最強の魔獣ですよね」
「ああ、そうらしいな。あれは俺がまだ六歳のころだ」
俺はミリキャスに話し始める
「一誠兄様はそんな小さい時にフェンリルと遭遇したのですか?」
「ああ、六歳くらいの時に自分がどのくらい強いの知りたくなってな。ドライグが知っている神や魔物と戦おうと思って旅に出たんだよ」
「一誠くんは小さいころからしっかりしていたのね」
ヴェネラナが少し驚いたように言う
「そうでもないと思うけどな。話の続きだ。俺はオーディンと戦おうと思って北欧に行ったんだよ。それで森の中を歩いていたら大きな巨体の犬が俺に襲い掛かってきたんだ」
「いきなり襲われたんですか?」
「ああ、人間の子供の肉はあいつにとって結構な御馳走らしくてな。俺を森に迷い込んだ、ただの子供だと思ったらしく襲ってきたんだよ」
「それでどうなったんですか?」
「いきなり襲いかかってきやがったからな。腹を思いっきり蹴ったんだよ。そしたら100Mくらいは吹っ飛んでな、そのまま気絶したんだよ。そのあとにドライグから最強の魔物と聞いた時はガッカリしたもんだ」
「一撃で撃退したのですか……」
俺の話しを聞いてヴェネラナとミリキャスが驚いている
「正直な話、サーゼクスの方が遥かに強かったぞ?」
「お父さまはフェンリルよりも強いのですか?」
「ああ、強いぞ?俺が戦ってきた存在の中でもトップクラスだからな」
「は~。一誠兄様。僕もお父様のように強くなれるでしょうか?」
「なれるだろ、なんせサーゼクスとグレイフィアの子供だからな。下手したらサーゼクス以上に強くなるかもしれん。そしたら、俺と戦おうな」
「はい!!」
俺の言葉を聞いて嬉しそうな顔をして、元気よく答えるミリキャス
「―――それじゃ一誠兄様!おばあさま!僕先に出ますね」
そう言って風呂場から出ていくミリキャス
「二人きりですわね」
「……。あまり人をからかうなよな」
悪戯を企む子供のような顔をするヴェネラナ
「うふふ、冗談ですよ。こうやって貴方と二人きりでお話をしたかっただけですわ」
「なんだ?」
「リアスから一誠くんの事を聞いて興味を持ちましたの。わがままなリアスが執着しているあなたにね」
まるで少女みたく笑うヴェネラナ
「いきなり理不尽に攻撃してくることがあるけどな」
「それは貴方が鈍感だからですよ」
ギャスパ―にも鈍感って言われたな
「一誠くん。貴方のご両親はお元気?」
「行方不明だからな、知らん。俺が六歳のころ旅を終えて帰ったらいなくなっていたしな」
ヴェネラナは驚いたように聞いてくる
「貴方は六歳のころから一人暮らしをしているの?」
「そうだ」
何かを考えるヴェネラ。少し動いた拍子に、体に巻いていたタオルが外れて裸をさらす
「あら……」
―――――ブチッ!俺の中の何かがキレた
「ヴェネラナ!」
「――――――んっ!?」
俺がヴェネラナキスをする
「―――――言ったよな?俺の理性にも限界があるって」
「一誠くんはこんなおばさんでいいの?それに私、夫も子供もいるのよ?」
「だから?」
俺はそう言ってまたキスをする