神々に祝福されし者達【完結】   作:マイマイ

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それぞれの思惑が交差し、終焉は近づいていく。

さあ、物語の終わりまで後少し……。


捕喰49 ~異変~

「――やあ、待っていたよリンドウ君」

「……どーも」

 

 支部長室に入るリンドウ、相変わらずこの人は苦手だと彼は内心思う。

 

「それで、今日は何スか?」

「……エイジス島近海で、非常に特殊なアラガミが出現したとの情報が入った」

「…………」

 

 その言葉で、リンドウはそれが誰を指しているかを理解する。――だが

 

「――それも2つもだ」

「…………は? 2つ?」

「そうだ、いまだかつて感知した事がないアラガミのコアが2つも発生した。ソーマと共に必ず無傷で手に入れるんだ、失敗は許されない」

「…………」

 

 特殊なアラガミのコアが2つ、その言葉でリンドウは混乱していた。

 その内の1つは、間違いなく現在行方不明になっているシオの事だ。

 だが……もう一つとは一体何だ?

 他にシオのような特殊なアラガミが居るのか?それとも………。

 

「リンドウ君、どうしたのかな?」

「……いーえ、何でも」

 

 そんじゃ、軽く手を上げて支部長室を後にしようとするリンドウ。

 

「――そういえば、何だか最近サクヤ君が怪しい動きをしているらしいが……君も何か企んでいるのかな?」

 

 試すような口調。

 というより、わかっていてわざとらしく皮肉を言っているといった方が正しいかもしれない。

 それに内心舌打ちしつつ、リンドウは振り返りいつも通りの口調で言葉を返す。

 

「さあ、俺には何のことかさっぱりわかりませんね。じゃあ、俺は特務に励まさせてもらいますわ」

 

 今度こそ、支部長室を後にするリンドウ。

 

「おっ」

 

 外に出てすぐに、目的の人物――ソーマに出くわした。

 

「ちょうどいいや、お仕事だぞー」

「……わかってる」

 

 短く答え、踵を返しエレベーターに乗り込むソーマ。

 相変わらずつれない言い方、そう呟きながらリンドウもエレベーターへと乗り込んだ。

 そのまま地上へと上がり、車で指定された場所へと向かう。

 

「………お前も気づいてるのか?」

 運転しながら、ソーマはぽつりとリンドウに問いかけた。

 

「んー? 何がだ?」

「……シオの事だ。あの野郎が言ってた「特殊なアラガミ」っていうのは」

「わーってる、そんなのアイツしか居ないだろ。しっかし……2つっていうのが気になるよな。

 1つは間違いなくシオなんだろうけど、もう1つってのは……」

「…………」

 

 その疑問に、ソーマは答えずリンドウもまたその先を言おうとはしない。

 ――わかっているのだ、もう1つのアラガミの正体が誰なのかを。

 だが信じたくない故か、2人ともそれ以上は何も言わない。

 

 ……やがて、エイジス島近くの空母エリアへと辿り着く。

 

「……アイツが、アラガミに変わっていたら……躊躇いなく殺すぞ」

 

 車から降り、神機を肩で担ぎながら歩いていくソーマが、自分に言い聞かせるように呟きを漏らす。

 

「………ソーマ」

「アイツはいつだって覚悟をしている、仮に自分が完全にアラガミへと変貌した場合……殺されるという覚悟を。

 だったら、俺はそんなアイツの覚悟の通りにアイツを殺す。それくらいしか……俺にはできないからな」

 

 自分は変われた、カズキと出会い認めてもらえた。

 口には出さないが、その時の感謝はソーマにとって計りきれない程大きいものだ。

 だから――彼のためなら喜んで汚れ役を買ってやる。

 

「まあ、その覚悟を抱くのは間違いとは言わねえけどさ……最後の最後まで諦めんなよ?」

「当たり前だ。だが……そういう役目は俺には似合わねえ。――お前や、アリサ達の仕事だろ?」

「………かもな」

 

 まあとにかく、今はカズキとシオを探しながら、最悪の事態になっていない事を祈るだけである。

 そう考えながら、2人は空母エリアを歩いていくと……。

 

「おっ……?」

 

 リンドウ達の視界の先に、大量のオウガテイル達の死骸が積まれていた。

 どれも中途半端に食されており、そして……その上には。

 

「……〜〜♪」

 小さく鼻歌を歌う……シオの姿が。

 

「……何でだろ? このうた……うたってると、かなしくなるぞ……」

 

 眉を下げ、悲しそうに呟きを漏らすシオ。

 そんな彼女に……ソーマは優しく声を掛けた。

 

「――別れの歌、だからな」

「……わかれの、うた?」

「ああ、親しい者と別れる時の心情が歌になってるからな……」

「………わかれ」

「……帰るぞ、シオ。降りてこい」

「ん……」

 

 頷きを返し、シオは地面に降り……ソーマに抱きついた。

 

「おい、抱きつくな――」

 

 いつも通り引きはがそうとして……ソーマは、シオの身体がほんの少しだけ震えている事に気がついた。

 

「……わかれって、こわいな。シオ……かんがえただけで、こわくなる」

「……考えれば、誰だって恐ろしくなる。心があるなら……孤独なんて望まなくなるからな」

「こどく……」

「恐いなら余計な事考えるんじゃねえ。……お前は、1人じゃねえんだからな」

 

 いつも通りぶっきらぼうに、けれど口調はあくまで優しく、ソーマはシオにそう言って頭を撫でてやる。

 

「………えへへ♪」

「ったく、すぐ笑顔になりやがって……現金な奴だな」

「よし、んじゃあ――」

 

 帰るとするか、そう言おうとしたリンドウだったが。

 そんな事は許さないとばかりに、彼等にミサイルの雨が降り注いだ……。

 

 

 

 

 

 一方、カズキとラウエルは瓦礫の上を移動しながら、シオの元へと向かっていた。

 というのも、カズキの体力が回復しアナグラに戻ろうと思った矢先――彼がシオの気配を感じ取ったのだ。

 シオも自分と同じく行方不明扱いにされている、そう思ったのでシオも一緒に連れて行こうとしたのだが。

 

――急に、シオを感じ取れた場所に爆発音が響き渡ったのだ。

 

 アラガミに襲われたのは間違いない、だからカズキは急ぎその場へと向かう。

 ……だが、それよりも気になる事があった。

 何故、シオの気配をこうも簡単に感じ取れる事ができたのか。

 

(……いや、何故じゃない)

 

 それが意味する事など、簡単にわかる。

 

(……アラガミ化が、また進んでる)

〈かずきはやいよー〉

「あっ、ごめんラウエル」

 

 少しスピードを落とし、ラウエルを待つカズキ。

 

〈そんなにいそいでどうしたのー?〉

「シオが、友達が危険なんだ」

〈きけん!? よーし、ならラウエルもいそぐー!!〉

 

 言うやいなや、ラウエルはスピードを上げる。

 それについていきながら、暫し瓦礫から瓦礫へと飛び移っていき――遂にカズキの視界が戦いの光景を目にした。

 

「リンドウさん、ソーマ、シオちゃん!!」

 

 叫ぶカズキ、しかし彼の声はミサイルの爆発音によって消されていく。

 リンドウ達が戦うのは、クアドリガの接触禁忌種であるテスカトリポカ。

 しかし、実際に戦っているのはリンドウ“だけ”。

 ソーマは……うずくまっているシオを守るようにして片膝を地面に付けていた。

 

(どうしたんだ……? なんだかシオちゃんの様子が……)

 

 まるで苦しんでいるように見える、これは一体どういう……。

 そこまで考え、カズキは急ぎ思考を中断しながら跳躍する。

 

(今はそれより、アラガミを殺す………!)

 

 体内のオラクル細胞に呼びかける、すると――カズキの両腕が異形のモノへと変化していく。

 肌は浅黒く、鋭い突起物を幾重にも生やし、もはや人の原型を留めていないまでに巨大化した。

 それは帝王と呼ばれるディアウス・ピターの腕を、更に凶悪にしたようなアラガミの腕。

 

「―――砕けろ!!」

 

 テスカトリポカの真上をとり、右腕で拳を作り振り下ろす。

 巨人すら霞む程の暴力的な一撃は、テスカトリポカに寸分の狂いなく沈み込み、背にあるミサイルポッドを砕き巨体をひび割れた地面へと沈み込ませた。

 

「グオォォォォ……!」

 テスカトリポカのくぐもった悲鳴を耳に入れながら、地面に着地。

 

「カズキ!!」

 

 背後で叫ぶリンドウの声には応えず、カズキは間合いを詰め鋭利な剣のように鋭い3つの爪をテスカトリポカに振り下ろす。

 それは迷う事なく相手の身体に深々と三条の爪痕を刻み、次で息の根を止めようとコアに向かって左の拳を。

 

――打とうとして、リンドウの斬撃がテスカトリポカの頭部を完全に2つへと分けた。

 

「……いきなり出てきて、おいしい所を持って行こうとすんなって」

「すみません」

 

 軽く謝罪しつつ、両腕を一瞬で人間の腕に戻すカズキ。

 

「元気そうで何よりだ、まあお前の事だから心配してなかったけどよ」

「酷いですね、少しくらい心配してくれたっていいじゃないですか」

 

 悪い悪い、軽く謝りながらタバコを吹かすリンドウに、カズキは苦笑。

 

〈かずきつよーい、あっというまだったねー〉

「おい、サリエルが」

「あ、いえ、あの子はラウエルですよ」

「おーあのちっこいサリエルか……って、なんか前より縮んでないか?」

「ええ、まあ……」

〈りんどー、くさい〉

 

 タバコを吸うリンドウに顔をしかめるラウエル。

 それに気づいたのか、リンドウは悪いなと言いながらタバコを捨てた。

 

「おい……! シオの奴様子がおかしいぞ!!」

「えっ……?」

 

 突然響いたソーマの声に、全員の視線が向けられる。

 

「うぅぅぅぅ………!」

「シオちゃ――ぐぅ!?」

「カズキ!?」

 

 シオだけでなく、カズキもうずくまり苦しみの声を上げる。

 

――2人の身体には、あの時と同じ紋様が。

 

「――イカ、ナキャ」

「グッ……行クナ、シオチャン!!」

 

 ふらふらとエイジスへと向かおうとするシオを、カズキはカズキではない声で引き留める。

 

(こんなものには負けない……! 負けるわけにはいかない!!!)

 

 心の底で叫び、負けるものかと手を伸ばす。

 そして――とうとうシオの手を掴む事に成功して。

 

「――行クンジャナイ!!」

「ウ、アァァァァッ!!」

 カズキとシオが叫び……崩れ落ちるように、その場に倒れ込んだ。

 

「―――、ぁ」

 

 眠い。

 起き上がる気力が湧かず、カズキは……そのままシオと共に意識を失ってしまった。

 

 

 

―――同時刻、エイジス島内部。

 

 

 

 暗闇の中、無人であるはずのエイジス島で人影が動く。

 

(警備が厳重ね……さすがエイジス島といった所かしら)

 

 人影の正体は橘サクヤ、極東支部に所属する神機使いである。

 

(もうすぐリンドウも合流するはずだけど……先に中心部に着いちゃいそうね……)

 

 本来ならば、2人同時にエイジス島へと侵入するはずだった。

 しかし、リンドウが支部長に呼び出され、かといって侵入の日付を遅らせるわけにはいかないと先にサクヤが侵入したのだが……。

 

(そろそろ中心部のはずだけど……)

 

 カツカツと地面を鳴らしながら、歩を進める。

 と、サクヤは足を止めて上を見上げた。

 

(これ、は……?)

 天井に貼り付くように存在する、巨大な……。

 

――刹那、けたたましい警告音が響き渡った。

 

「っ!!?」

 

 ガードシステムが作動した、そう判断したサクヤは身構える。

 そんな彼女の死角から、その身体を貫かんとレーザーが放たれ……。

 

「っ、ん……!」

 

 それを防いだのは、サクヤではなく……赤い装甲を展開する1人の少女。

 すかさず、少女は現存するガードシステムを銃撃で破壊した。

 

「――ふぅ、間に合ってよかったです」

 少女――アリサは構えを解き、サクヤに向かって笑いかける。

 

「アリサ、貴女……どうして?」

「――たとえどんな状態でも、自分の成すべき事を果たす。

 カズキならきっとそうします、なら……私もただ黙って彼の帰りを待つわけにはいきませんから」

「……ありがとう、アリサ」

 

 礼を言いつつ、サクヤはアリサと共に奥へと進もうとして――聞き覚えのある声に、呼び止められた。

 

「――ようこそ、エイジスへ。人類最後の砦の真実を知った感想は、如何なものかな?」

 

「っ、支部長……やはり貴方が!!」

 身構えるサクヤとアリサ。

 

「残念だよ……君達がまさかこんな事をするとはね。

 それに、まさかリンドウ君がここまでの下準備をしているとは……飼い犬に手を噛まれるとは、まさにこの事か」

「残念でしたね、あの時リンドウを殺し損ねたからですよ」

 

 皮肉をたっぷりと込めたサクヤの言葉にも、支部長――ヨハネスは不敵な笑みを浮かべるのみ。

 

「構わないさ、今更「アーク計画」が君達に知られた所で、意味などない。「特異点」が、見つかったのだからね」

「…………」

「この上にあるのが、終末補喰を引き起こすアラガミ、「ノヴァ」だ。

 人類の再生の為、選ばれし者達を逃がし終末補喰で地球を一度生まれ変わらせる。

 その計画こそ「アーク計画」であり、真に人類を救う唯一絶対の方法だ」

 

 まるで唄うように、ヨハネスは両手を上げ言葉を放つ。

 ……そう、それこそが「エイジス計画」の裏に隠されていた、「アーク計画」の全容。

 人工的に終末補喰を引き起こす「ノヴァ」を作成、支部長が選んだ人間を地球の外へと逃がし……地球の生物を終末補喰で全て消し去る。

 その後選ばれた人間達は地球に戻り、アラガミの居ない世界で繁栄を築いていく。

 

 一見すれば、確かに人類の救済に聞こえるものかもしれない。

 だが見落としてはならないのだ、この計画に座る席は――限られている。

 

「貴方は……生き残るためなら、他の人達を犠牲にするの!?」

「全てを救う事などできない、ならばあらかじめ救える人間だけを救い、残りを切り捨てるのが合理的ではないのか?」

 

 ヨハネスの瞳には、一片の迷いも後悔も罪悪感も見受けられない。

 ……もはや、言葉を彼に告げても無意味だ。

 

「残念だが君達にはここで消えてもらおう、「アーク計画」のチケットを、自ら破いてしまった君達にはね」

「やれるものならどうぞ? 言っておきますけど、周りのガードシステムは全て私が破壊しましたから」

「…………」

 

 勝ち誇ったような、アリサの言葉と笑み。

 しかし、それでもヨハネスの余裕は消えなかった。

 

「そうか……では、()()()()()()()()()()()()()()()()

「えっ……?」

 

「――久し振りだねアリサ、まだ殺し足りないのかい?」

 

「――――」

 

 アリサの表情が固まる。

 彼女達の前に現れた、1人の男。

 

「―――オオグルマ、先生」

 アリサに名を呼ばれ、オオグルマはニタリと不快感を抱くような笑みを浮かべ。

 

「もう一度、キミを素晴らしい殺人兵器に変えてあげようか。

 ――アジン、ドゥヴァ、トゥリー!!!」

「――――」

「アリサ!!」

 

 彼女の身体が、目を見開いたまま動かなくなる。

 

「さあアリサ、隣に居る裏切り者を消してしまいなさい」

「…………」

 

 銃口が、サクヤへと向けられた。

 

「アリサ……」

 

 照準は、しっかりとサクヤの心臓へと向かれている。

 

「良い子だ……さあアリサ、やるんだ!」

「…………」

「………?」

 

 だが、アリサはそのままの体勢のまま動こうとはしない。

 

「どうしたアリサ、早く殺せ!!」

 

 苛立ちを含んだ声で、オオグルマはもう一度命令する。

 すると………。

 

「………はぁ、私ってばこんな風に今まで玩具にされてたんですね。どん引きです」

 呆れと怒りを含んだ声が、操られているはずのアリサの口から放たれた。

 

「なっ――何だと!?」

「アリサ、貴女……」

「大丈夫ですよサクヤさん、こんなくだらない洗脳なんかに負ける私じゃありませんから」

「――――」

 

 バカな、という言葉すら出てこないオオグルマ。

 自分の洗脳は完璧だったはず、だというのに……目の前の少女は平然としている。

 

「以前の私なら、あっさり操られていたでしょうね。

 けど今の私はあの時の私とは違う、大切な仲間……そして、私を愛してくれるかけがえのない人が居る!!

 もう、あなたみたいな卑怯者の思い通りにはならない!!」

「くっ………!」

「サクヤー!!」

 

 彼女達の背後から現れる1人の男。

 

「リンドウ!!」

「リンドウさん!!」

「無事か……って、なんでアリサが居るんだ!?」

「詳しい話は後よ、今はここから脱出しましょう!!」

 

 踵を返す3人。

 

「アリサ!!」

 

 そんな彼女に、オオグルマのどこか縋るような声が響く。

 それに対し、アリサはしっかりとオオグルマに視線を合わせ。

 

「――もう、私はあなたの人形じゃありません。私は……カズキのものです、さようなら」

 

 決別するという意志を見せ、今度こそその場を全力で離脱した。

 当然追おうとするオオグルマだが、リンドウが投げたスタングレネードによって、視界を塞がれてしまう。

 そして――3人がいなくなったこの場所で。

 

「………アリサ……」

 ぽつりと呟き、オオグルマの身体が糸が切れた人形のように崩れ落ちた……。

 

 

 

 

 

―――サカキ博士の研究室内。

 

『―――これが、「エイジス計画」の裏に隠された「アーク計画」の全容よ』

「…………」

 

 通信越しに受けたサクヤの説明に、カズキ達は誰もが言葉を発せずにいた。

 

『俺達は指名手配になっちまったから、しばらくアナグラには戻れねえ。

 だからそっちはそっちでなんとかしてくれや』

『……どんな選択を選んでも構わないわ、人それぞれだもの』

『まあ、敵にならない事をせいぜい祈ってるぜ』

「……わかりました、気をつけてください」

 

 今のカズキには、こんな言葉しか返せない。

 内容が内容だ、少し考えなくては……思考が正常に働かない。

 

『………カズキ』

「……何? アリサちゃん」

『あなたがご無事で何よりでした、それとごめんなさい……勝手にこんな事をしてしまって……』

「アリサちゃんが決めた事だ、文句なんかあるわけないよ」

 

 そう返すと、向こうでアリサのほっとしたような声が漏れた。

 ……言いたい事は、たくさんあった。

 だがこの状況では、長い間彼女と話をしている事は許されない。

 だから、一言だけ。

 

「――また、会おうね?」

『――はい、もちろんです』

 

 通信が切れる。

 さてどうしようか、サクヤから聞いた話を整理しようとしたが。

 

 

「――オレ、アーク計画に乗るよ」

 コウタの、絞り出すような声が聞こえてきた。

 

 

「コウタ……」

「オレは……家族を守る為にゴッドイーターになったんだ、だから……ごめん」

「――好きにしろ。どの選択を選ぶのかはそいつの自由だ」

 

 あくまで冷静に、仕方ないと割り切ってソーマは言った。

 それを聞いた後、コウタはのろのろとした動きで研究室を後にした……。

 

(……アーク計画、か)

 

 自分は、どんな選択をすべきなのか。

 カズキはいまだ違和感の残る身体にもどかしさを感じつつ、思考に耽ったのだった……。

 

 

 

 

To Be Continued...


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