神々に祝福されし者達【完結】   作:マイマイ

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ゴッドイーター、カズキとフィアの物語は続く。

さて、今回の物語は………。


第3部捕喰141 ~新たな道、そして……~

「――腹減ったなー」

 

討伐任務が終わり、神機を預けロミオは腹部を軽く擦りながら廊下を歩いていた。

ラウンジに行ってメシでも食べよう、そう思った彼の視界に……ある人物の姿が見えた。

 

「マリー!」

「…………」

「? おい、マリー!!」

「………ああ、ロミオか」

「………?」

 

どこか上の空のマリーに首を傾げるロミオ。

一体どうしたのだろう、いつもなら自分に向かって皮肉の1つや2つぐらい飛んでくるというのに……。

今の彼女は明らかに元気がない、覇気を感じる事ができなかった。

 

「マリー、どうかしたのか?」

「………なんでもない」

「なんでもないわけないだろ? もしよかったら話を聞くけど……」

「なんでもないと言って………!」

 

キッとロミオを睨みながら怒鳴ろうとして…マリーは口を噤み彼から視線を逸らす。

随分と嫌な態度をとってしまった、自省しながらマリーは一度大きく深呼吸をした。

一方、ロミオはそんな彼女の反応を眺めつつ、話しかけられるまで待つ事に。

……暫しの静寂。

 

「……少し、いいか?」

やがてマリーは、ロミオをラウンジへと連れて行った。

マリーはコーヒーを頼み、ロミオは空腹だったもののそんな空気ではないと思い、同じものを頼んだ。

程なくしてムツミがコーヒーを持ってきて、マリーは一口含んでから……先程のロミオの問いかけに答えを返す。

 

「実はな……フライアで、有人型の神機兵開発計画が凍結される事になった」

「えっ……!?」

「まあ仕方ないさ。あのような事件が起こってしまった以上、計画が縮小されるのは当たり前だ。

 そうなれば、無人型よりも有用性の低い有人型が凍結になる。……おとうさんはレア博士と共に無人型の神機兵開発に回るそうだ」

「じゃあ……」

「わたしはお役御免というわけさ。要するに無職になってしまったよ」

 

わざとらしく飄々とした態度で、マリーは言った。

しかし、ロミオにとってその事実は信じられるわけもなく…同時に、認められるわけがない。

 

「なんだよそれ………!」

「言った通りだ」

「そうじゃなくて、お前は納得できるのか!?」

「できるわけがないさ、だが……このような決定が下された以上、私はもちろんおとうさんやレア博士でもどうしようもないんだ。

 ――さっき腐っていたのも、内心では認められなかったからだろうな」

 

納得できるわけがなかった。

だが先程彼女が言ったようにどうしようもないのだ、抗議しようが決定が覆る事はない。

……しかしこれで、自分は父の役に立てなくなってしまった。

自分を救ってくれた父の役に立つ事だけが、マリーの全てだったというのに……。

 

「これからどうするか……無職のままではさすがに恥ずかしいよ」

「マリー……」

「……そんな顔をするなロミオ。仕方がないさ」

「だ、だけどさ………!」

 

仕方がない、そう言っているマリーの顔が……ひどく悲しそうだ。

それを見てどうして納得しろというのか、少なくともロミオにはできない。

……でも、自分が納得しようがしまいが現状が変わるわけではないのだ。

だから――ロミオはせめて考える。

マリーがここで皆と共に生きられるように、彼女の次の道を模索する事にした。

 

「あ、あのさマリー……お前、神機使いになるのはどうだ!?」

「……せっかくの提案だが、それは無理だ」

「えっ……?」

「わたしに適合している神機はこの極東支部には存在していない。

 ――実はな、サカキ支部長に話してみたんだ。神機使いになれないかと」

 

しかし結果は、非情なものであった。

そもそもマリーには、神機使いになれる適性は見られなかったのだ。

 

「だ、だったら…えっと…えっと………」

「…………ふふっ」

必死に頭を働かせ、思考を巡らせるロミオ。

それを見ていたマリーが、何故か面白そうに笑った。

「な、なんだよ急に……」

「いや……お前は本当に御人好しだなと思って、笑ってしまっただけだ」

「い、いいだろ別に!!」

「ああ。お前のそういう所はとても素晴らしいと思うし、わたしは好きだ」

「っ、す、すすすすすす好きぃっ!!?」

 

突然の発言に、ロミオは素っ頓狂な声を上げてしまう。

顔を赤らめ、慌て出す彼に…マリーは訝しげな視線を向けた。

……どうやら、自分の発言の事は気づいていないようだ。

 

「おま……そ、そういう事は言うなって!!」

「? 何がだ?」

「何がって………もういいや」

やめよう、意識しているのが自分だけとわかり、急速に冷静になっていくロミオ。

とにかく今はマリーの事が、神機使いになれないとわかった以上どうするか……。

 

「マリー、お前…何か特技とかないのか?」

「ないな。神機兵に乗る事しかできない」

「………だよなあ」

「おい、それはどういう意味だ?」

「い、いや……なんでもないです」

 

凄まじい形相でロミオを睨むマリー。

……やはりマリーに睨まれると恐ろしいと、ロミオは改めて思ったのだった。

 

「………あっ、だったらさ。オペレーターとかは?」

「オペレーター?」

「お前神機兵に乗ってアラガミと戦ってたんだからさ、神機使いに戦況を報告するオペレーターならできるんじゃないか?」

「オペレーターか……考えた事もなかったな」

 

しかし、この提案はマリーにとって意外なものであった。

オペレーターなど、頭にすら浮かんでこなかったのだ。

……だが、悪くはない。

そう思ったマリーはコーヒーを一気に飲み干し、立ち上がった。

 

「マリー?」

「……ありがとうロミオ、ちょっと行ってくる」

「は……? って、おい!?」

言うやいなや、マリーは早足でラウンジを出て行ってしまった。

1人残されるロミオ、当然ながら彼女の突然の行動を理解できるわけもなく。

 

「……とりあえず、メシ食うか」

本来の目的を、果たす事にしたのだった。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

――数日後。

 

「――あれ、マリー!?」

 

今日もアラガミ討伐に向かおうと、ヒバリの元へと向かったロミオであったが…そこでマリーの姿を見かけた。

しかし今の彼女の姿は……ヒバリと同じくオペレーターが着用する制服姿だったので、驚いた。

そんなロミオを見てヒバリはどこか楽しそうに笑みを浮かべ、一方のマリーは少し気恥ずかしそうに頬を赤らめつつ、ロミオから視線を逸らした。

 

「えっと……どういう事?」

「実はですね、今日からマリーさんにもオペレーターやミッション管制……要するに、私の仕事を手伝ってもらう事になったんですよ」

「そうなのか?」

「……おとうさんに相談したら、賛同してくれた。そればかりか謝られてしまったよ。

 わたしとしても願ったり叶ったりだったから、この数日はヒバリさんからオペレーターの仕事を学んでいたんだ」

「へえ……そうだったのか」

 

つまりこれから、マリーが自分達のサポートをしてくれるという事になるだろう。

その事実を聞いて、ロミオの口元には確かな笑みが浮かんだ。

共に戦えるのは勿論だが……自分の意見を採用してくれたというのが、ロミオには嬉しかった。

 

「まだまだ未熟で一人前には程遠いが……自分の出来うる限りで皆のサポートをするよ」

「大丈夫だって。マリーは器用だしすぐ慣れるよ!」

「……ありがとう、ロミオ」

「別に礼なんか……」

「いや、ありがとうと言わせてほしい。

 お前が懸命に考えてくれたからこそ、わたしは新しい道を見つけることができたんだ。

 それに……お前の助けになれるというのも、わたしとしては嬉しい」

「――――っ」

 

ロミオの顔に赤みが帯びる。

真剣な顔で、そんな事を言われてしまえば…気恥ずかしくなるのは当然だ。

だというのに当のマリーはというと、ロミオの態度に訝しげな視線を送っている。

因みに、そんな2人をヒバリが微笑ましそうに見ていたのはまったくの余談である。

 

「と、とにかくミッション受注するぞ!」

「ああ。……ちょっと待ってくれ、まだ少し操作がおぼつかないんだ」

「慌てないでいいですよマリーさん、ロミオさんは優しいですから待ってくれます」

「……御人好しが過ぎる、の間違いだと思いますけどね」

「なんだよー!」

「冗談だ。……お前の優しさは好きだと、前に言っただろう?」

「ばっ、そういう事を真顔で言うなって!!!」

「? なんで顔を赤らめるんだお前は、忙しいヤツだな」

 

(……マリーさんって、もしかして天然?)

 

………。

 

「――しっかし、お前って行動力あるよな」

『思い立ったら即行動、こんなの当たり前だ』

「そうかもしれないけどさあ、だからって実際に行動に移れるのは流石というか……」

 

廃墟と化している空母エリアを歩きつつ、通信越しにマリーと会話をするロミオ。

今回のミッションは、周囲のアラガミを無差別に捕喰し通常よりも強化されてしまったテスカトリポカの討伐である。

まだまだ新米のオペレーターであるマリーにとっては荷が重いミッションではあるものの、他ならぬ彼女自身が志願してサポートに回る事になった。

ロミオとしても、気心の知れたマリーのサポートならば安心だと思い彼からもヒバリに願い出て現在に至る。

それに……このミッションに挑むのは、彼だけではない。

 

「ロミオ、知り合いなのはわかるが少し緊張感が欠けているんじゃないか?」

「緊張するよりはずっといいと思うよジュリウス、それにロミオとマリーは仲が良いから」

「フッ……そうだったな」

「………お前等、うるさいっての」

 

後ろで好き勝手言っているのは、ロミオと同じくこのミッションに挑むフィアとジュリウスであった。

2人して茶化しやがって、そう思いながらロミオはジト目で2人を睨む。

尤も、彼自身本気で睨んでいるわけではないし、2人は軽く受け流しているので無意味でしかないが。

 

『ロミオ、お前も意外と苦労しているんだな』

「意外は余計だっての。そんな事よりちゃんとサポートしてくれよ?」

『そうだな。フィアとジュリウスの足を引っ張らないように頑張るさ』

「………俺の足を引っ張るのはいいのかよ」

『ああ』

「即答すんな!!」

 

などという会話をしつつ、空母エリアを歩く3人。

アラガミ討伐任務の最中だとは思えないほど、周りの空気は緩やかなものだったが。

あるエリアに差し掛かった瞬間、マリーの口調が一気に変わった。

 

『――前方約八百メートル先に、討伐対象を確認できた。

 その場から動かない所を見ると……どうやら捕喰の最中らしい』

「マリー、周囲に他のアラガミは?」

『存在しない。念の為半径数キロも検索してみたが、中型どころか小型の反応も確認できない。

 どうやら調査隊の報告通り、討伐対象のテスカが周囲のアラガミ全てを無差別に捕喰したようだ』

「……でも、対象が一体なら楽だよ」

「簡単に言うよなあフィアは、俺……あのアラガミ結構苦手なんだけど」

『入り好みをできる状態なのか?』

「うるさいなあ、ちょっと言ってみただけだっての。

 それよりマリー、テスカは俺達の存在に気づいてるのか?」

『いや、大丈夫だ』

「………よし」

 

マリーの言葉を聞いてから、ロミオは神機を銃形態へと可変。

そのまま少しだけ緩やかに歩を進めながら――やがて、肉眼でテスカトリポカの姿を確認する。

自分達に向かって背を向けているテスカを見て、ロミオは銃身をテスカのミサイルポッドへと照準を合わせた。

相手との距離はおよそ五十メートル、ブラストタイプの銃身では狙うのには不向きな距離だ。

それでもロミオはここから狙撃する事を決めたようだ、意識を集中させていく。

 

「フィア、ジュリウス、俺がここで先制攻撃を仕掛けるから、2人は俺が撃った瞬間にアラガミに接近してくれ」

「それはいいけど……この距離から狙うの?」

「強化されてるって言ったろ? もしかしたら通常のテスカよりも聴覚が優れてるかもしれねえし、遠距離から狙い撃った方がいい。

 本来ならフィアかジュリウスがその役目を担った方がいいと思うんだけど、バスタータイプの刀身パーツを使ってる俺はどうしても機動力に欠ける。

 だから俺が遠距離を仕掛けた方がいいと思ったんだけど……もしかして、これって悪手か?」

 

少し自信なさそうに、ロミオは2人に提案する。

しかし……当の2人は彼の提案に驚いていた。

……悪手どころではなく、3人の装備や戦力を的確に考えた的確な案だ。

反対する必要も意味もなく、2人は二つ返事でロミオの案を採用した。

それを聞いて安堵の表情を浮かべつつ……ロミオはすぐさま、発射体勢に入る。

 

――ブラスト用に改造した“フルーグル”が、ロミオの銃身パーツから発射された。

 

当然シエルが使用するものよりも格段に飛距離は落ちるものの、それでもブラストタイプのバレットとは思えない長距離射撃を可能としている。

五十メートルという距離など初めからなかったかのように、発射して一秒も待たずに見事テスカのミサイルポッドを貫いた。

突然の衝撃に驚いたのか、テスカは遠目からでもわかるほどに身体を痙攣させ、捕喰している格好から動こうとしない。

その隙を逃さず、瞬時にフィアとジュリウスが動いた。

遅れてロミオも神機を剣形態に可変しつつ走る、テスカは……まだ動きを見せない。

五秒も掛からぬ速度で2人はテスカとの間合いを詰め、ようやくテスカも動きを見せたが……もう遅い。

 

「はっ!!!」

「し―――!」

 

ジュリウスの上段からの斬撃が、テスカの前方装甲を深々と切り裂く。

そしてフィアの斬撃は一息で五撃という神速の剣戟であり、その全てがテスカの装甲の薄い部分だけを切り裂いた。

苦悶の声を上げるテスカ、すかさず無事な方のミサイルポッドを開きフィア達に向けて五発のミサイルを撃ち放った。

しかし、読んでいた2人にはそのような攻撃など無意味、後ろに大きく跳躍して楽々と回避した。

爆音と煙が地面を包み、その中からテスカに向かって飛び出したのは――ロミオ。

ぶんっという思い風切り音を響かせながら、横振りによる渾身の一撃がテスカの肉体に深々と突き刺さった。

舞い散る鮮血、少しだけ顔に付着してしまったがそれに構わず、ロミオは素早く神機を用いてテスカを捕喰した。

バースト状態に移行するロミオ、そして――彼等は呆気なく勝負を決めた。

 

「フィア、ジュリウス、あと頼む!!」

 

そう言って、ロミオは銃形態に神機を可変させ、すかさず2人に濃縮アラガミバレットを撃ち放つ。

それによりフィアとジュリウスはリングバースト状態へと移行、強化された脚力を持って一息でテスカとの間合いをゼロにして。

 

フィアとジュリウスの斬撃が叩き込まれ。

更に――駄目押しとばかりに放たれたロミオの銃撃がテスカの頭部を砕き、そのまま地響きを発しながらテスカは倒れそのまま動かなくなった。

強化され強力なアラガミと言われたテスカトリポカ。

しかし、そのアラガミすらフィア達3人の前では…憐れな餌でしかなかった。

 

『……戦闘終了、だな。

 おいロミオ、これではわたしのサポートなど必要ないじゃないか』

「俺に言うなよ……フィアとジュリウスが凄すぎなんだっての」

「そんな事ないよ、ロミオが先制攻撃を仕掛けてくれたからこそ、こんなにも早く片付いたんだ」

「フィアの言う通りだ。それに先程のリングバーストのタイミングも見事としか言いようがない、本当に助かったよ」

「そ、そうかなあ……?」

 

褒められて悪い気はしないロミオであったが、ついつい2人が自分に気を遣っているのではないかと思ってしまう。

だが、当然ながらフィアもジュリウスもロミオに気を遣っているわけではない。

……彼自身気づいていないようだが、あの神機兵停止事件の後、ロミオの実力は格段に向上していた。

神機の適合率も上がり、アイテムの使用タイミングや先程のリングバーストによる援護、射撃能力に近接戦闘能力……全ての能力が、格段に上がっている。

部隊が部隊ならば隊長クラスになってもおかしくない、フィアもジュリウスも本気でそう思っていた。

 

『とにかくお疲れ様だ。回収班が来るまで待機していてくれ』

 

そう言ってから、マリーとの通信が切れた。

疲れてはいないがロミオは地面に座り込み、フィアとジュリウスは近くの崖で海を眺めていた。

……静寂が、辺りを包む。

そんな中――ふと、ジュリウスが口を開いた。

 

「………なあ、フィア」

「なに?」

「ブラッドに来た時の事を…覚えているか?」

「えっ?」

 

急に何を言い出すのだろうか。

そう思いつつも、フィアは「覚えているよ」とジュリウスに返す。

 

「あれから…随分と時が経った気がするよ」

「…………」

「最初、ブラッドは俺1人だったんだ。

 ラケル博士の下で何年も鍛錬を続け……やがて、ロミオが入ってきた」

「そういえばそうだったよなあ……」

 

昔を思い出したのか、懐かしそうに目を細め会話に参加するロミオ。

 

「だが、当初俺はロミオの事を騒がしいヤツだと思っていたよ」

「なんだよそれー!」

「無理ないよ。ロミオ煩いもん」

「ガーン……おま、真顔で言うなよ……」

「だがいつからだったかな…ロミオの騒がしい声がフライアに響いても、気にならなくなったのは。

 そしてお前とナナがブラッドに来て、続いてギル…そしてシエルが来た。

 俺達ブラッドは何度も困難に立たされながらも…1人1人「血の力」に目覚めていって……強い絆で結ばれていったな」

「……俺はまだだけどな」

「そう腐るな。……だがロミオが居てくれて助かったよ。

 俺は自分で言うのもなんだが無愛想で人付き合いが得意ではない、だからムードメーカーのお前が居てくれて…俺は何度も救われた」

「な、なんだよ急に……照れるだろ!」

「…………」

 

気恥ずかしくなりジュリウスから視線を逸らすロミオ。

一方、フィアはジュリウスの中から何かの「覚悟」を感じ取り、黙って彼の話を聞いていた。

 

「……そしてフィア、お前が居てくれたからこそ…ブラッドは、これだけの部隊になったと俺は思っている。

 お前を中心として絆が深まり、そして…お前のおかげでブラッドのみんなの心が救われた」

「…………そんな事ないよジュリウス、救われたのは…僕の方だ」

 

許されない咎人だと、フィアは自分を責め続けている。

だがそれでも……自分に罪は無いと、自分を許せと仲間達は言ってくれた。

生きろと、誰かのためではなく自分の為に生きろと…そう、言ってくれたのだ。

それで救われた、完全ではないが…過去を受け入れつつあった。

だからフィアは否定する、自分は何もしていないと。

 

「フッ……お前ならそう言うと思ったよ。

 だがお前がブラッドの皆に救われたように、皆もお前に救われた。それを忘れないでくれ」

「そうそう。もっと胸を張れってフィア!」

「ロミオ……ジュリウス……」

 

「――――だから、もう俺が居なくても大丈夫な筈だ」

 

「えっ……?」

「ジュリウス……?」

 

キョトンとする2人に、ジュリウスは一度大きく深呼吸をしてから。

 

 

 

「――俺はブラッドを抜け、ラケル博士と共に神機兵の強化を全力で進める。

 神機使いが危険を冒してまで戦う必要がない未来を作るために……俺がなんとかする。

 だからフィア、それまではお前がブラッドを率いて、極東支部でアラガミ討伐に全力を注いでくれ」

 

そう言って、彼は仲間達との別れを告げたのだった―――

 

 

 

 

To.Be.Continued...




本来なら有人機の凍結はもう少し先なのですが、この物語では早くなりました。
やったねマリー、オペレーターになったよ!!

……当初は神機兵に乗り続けてフィア達と戦う設定でしたが、何故かこうなった。

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