一人の女性へ愛を捧げる男の物語 作:( ∴)〈名前を入れてください
冬木の町外れにあるにある小城、アインツベルン家が管理してあるその場所をセイバー陣営は拠点としてある。
「マスター …話が有ります。」
「………。」
今その場で話をしている…いやしようとしている者がいる。
セイバーは先日何かを思いつきそれを今行動に移しているのだ。
「…………。」
しかしキリツグはセイバーに何かを言われていても其を気に介した様子は無い、それどころか視界にすら入っていないかのように振舞い立ち去ろうとする…いつも道理に。
「行かせません…止まりなさい。」
「…………ッ!!」
しかし其をセイバーが腕を掴み行こうとするのをサーヴァントの力をもって無理矢理押さえる。
その行動に切嗣は動揺を少し見せてしまう。
今までなら立ち去ろうとすればそこで終わったのを今、セイバーは切嗣の腕を掴み其を止めたのだ。
「マスター話が有ります…宜しいですね?」
「…その手を放せ。」
「御断りします。」
切嗣が放す様に言うもそれすらもセイバーは拒否する。
「(何だ…一体?何をしたいんだ?)」
意味が分からず思わずセイバーの顔を見てしまう。
「…漸く此方を見てくれましたね…マスター。」
「………ッ!!」
今まで顔を合わせない様にしていたのに思わず見てしまった顔は心底嬉しそうな顔をしており、思わず顔をそらすも
「駄目です。此方を向きなさい。」
「なっ……ッ!!!」
セイバーが残った腕で無理矢理此方を見るように顔を固定してくる。
「放せ…令呪を使うぞ」
脅して放す様に命令するも、
「良いでしょう…使うと良い。だけど私はこの手を必ず放しません…マスター…貴方が私の話を聞いてくれるまでは必ず」
その言葉に全く効果がなく唯此方を真剣に見つめてくるセイバーに気後れしてしまう。
「マスター…正直に言って下さい。貴方に私というサーヴァントは必要なのですか?別に私でなくとも良かったのですか?」
「私は貴方にとって最良のセイバーではないのですか?」
そう僕の目を見ながら聞いてくる姿はとても真剣で
「……令呪を持って…」
「正気ですか?今このような所で使うなんて、マスター貴方には聖杯に叶えたい夢が有るのでしょう?其をこの様な事の為に令呪を使い無為にするのですか?」
「勝つためには私達が協力しなければなりません。マスター私の話を聞いてください。」
「………ッ!!!」
その言葉は僕の心に突き刺さって
「黙れッ!!」
「マスター…?」
僕にはとても耐えられなかった。
だって…そうだろう?分かっている…勝つには協力しなければならない事も…僕のしていることは幼い子どもと変わらない事だって…分かっているんだ。
だけど…だけど。
「僕は…英雄と呼ばれる存在が嫌いなんだ。君達みたいな存在が…誰かの屍の上に立ったお陰で尊ばれる君達が!!」
「えっ……。」
「僕は嫌いだ…英雄が戦いの中で武勇をあげてそれをさも誇り…それが由来の宝具を使う屍の上で高笑いでもしているお前達が!」
「世界に平和がないと存在事態が証明しているお前達が!!」
だからこそ…認められるかお前達なんて
「分かったなら手を放せッ!次こそは必ず令呪に命じてでもその手を放させるぞっ!!」
そう言うもセイバーは手を放さないどころか腕をを握る強さは強くなる。
「私の話を聞いてください…マスター」
「黙れッ!!令呪を持って…」
「聞いて下さい!!マスター!!」
僕の声を掻き消すかの様な大声でセイバーが叫ぶ
「マスター…私は英霊であることを…この身が英霊であることを誇ってなんていません…寧ろ憎んでいます。私の為した事で英霊になってしまったなんて…ブリテンの民に円卓の皆にどうやって誇れと言うのでしょうか…」
消え入る様な声に思わず苛立ちを抱く…こいつは何を言っている!
「騎士王として戦って戦って英霊になったお前が何を言う!!」
僕の言葉にセイバーが耐えられないと叫び声を出す。
「誰が望んで戦うか!!誰が望んで犠牲を出したいと思う!!」
「誰が我が祖国ブリテンを滅ぼした事を誇れと言うのか!誰が…認知していなかったとしても…血の繋がった者に刃をむけたいか!」
「誰が…この罪深いこの身を誇れるというのだ!!教えてくれマスター!!私は正しかったのか!?」
「王として正しくあらんとしていた私は本当に正しかったのか!?英霊に相応しいと言えるのか!?答えろ…マスター!!」
その叫び声は血を吐くような苦しさを持っていて
「セイバー…お前は。」
僕は何も言えなかった。どうしてかセイバーが他人には見えなくなって、まるで自分を見ているような気になって
「すみません…取り乱しました…もう行っても良いです、お時間を取り申し訳ありません。」
そう言って僕の腕を離す。
「あぁ…失礼する。」
そう言いその場を後にするもセイバーの言葉がその日はずっと頭に残り続けた。
―――――――夢を見た…少女の夢を。
「選定の剣を抜いたのだ…お前は王としてこの国を収める義務がある。」
「はいっ必ずこの国をよき方向に変えて見せます!!」
これは…セイバーの過去なのか?
「このままでは蛮族共にッ!」
「村から手を低くしか無い…。」
「正気ですか!?それでは村の者達は」
「分かったのならば行動に移せ!!」
「はっはい!」
済まない…村の人々よ……私はこの国を守らなくてはならないのだ…。
「王は人の心が分からない」
分からなくて結構、私には使命があるこの国を良くしていく使命が…。
「ランスロット卿が不義理を働いたらしい…」
「なんということだ…やはり王は人の心が分からないのか……。」
何故…私はこの国の為に…全てを捧げているのに
「俺を認めてください!!父上!そして次の王の座を俺に!」
お前にこの国を渡せるわけがない!!王とは皆の正義でないとならないのだ!!
「アーサー…父上、お慕いしていました」
モードレット!!済まない!済まない!私が…私が全て悪かったのだ!!私のせいで円卓は…ブリテンは……。
「あぁ…神よ私の願いを聞いてくれ…もし私の願いが聞き遂げられるのなら…この身程度いくらでもくれてやる。罪にまみれたこの身ならば幾らでも捧げてやる。」
だから…再び選定の剣の機会を与えてくれ…私なんぞよりも…もっと素晴らしい者がいるはずなのだ……だから
何だこれは…これは一体どういうことだ…。
「これが…英雄?輝かしい経歴を持った偉人?」
巫山戯るなよ…こんなに嘆き苦しみ…人の為に全てを捧げたのに結末はこれ?
「巫山戯るな!お前らはセイバーの何処を見ていた!!」
何が王は人の気持ちが分からないだ…ッ!!
「誰よりもわかってるじゃないか!誰よりも苦しんで…誰よりもブリテンの為に苦悩して」
今も嘆き悲しんでいるじゃないか!!何故誰も寄り添ってやって……待て
「僕は…セイバーに何をしていた?」
僕は…自分の気持ちを優先して…セイバーを無視し続けた……意味もなく…ずっと
「王とは…孤独でなければならない」
セイバーはそう言って弱い心を隠すために、王という仮面を被ってかぶり続けた
「何が世界平和だ……ッ!目の前の苦しんでいる少女一人救えずして…どうやって世界平和を成し遂げるッ!?」
僕は世界の平和だけを考えていた…その方法を模索せずに唯世界平和を成し遂げようと
セイバーはブリテンの為に苦悩して模索して誰よりもブリテン事を考えて……。
「僕は…僕はッ!!」
謝らなくちゃならない…セイバーに今すぐにでも…僕だけが分かるんだ。彼女の苦しみを…嘆きを…その苦悩を。
そして伝えなければならない…君は罪にまみれてなんかいないんだって
セイバーは良い子過ぎて見ている此方の胸が苦しくなる
征服王と王の在り方が逆だったからなぁ……
セイバーは健気可愛い(真顔)