一人の女性へ愛を捧げる男の物語 作:( ∴)〈名前を入れてください
(´・ω・`)
朝食…それは一日の始まりでありその日一日を元気に過ごす為に必要不可欠な物である。
そしてそれはこの男にも同じ事
「ふむ…ロシアで局地的な地震が複数多発……被害は甚大か」
「もう…コーヒーの見ながら新聞読んで……私も新聞読みたいんだけど?」
「あぁ済まない、今渡すよ」
ケイネスが謝りながらソラウに新聞を手渡す。それを受け取りソラウが新聞を読み始め、ケイネスは朝食の続きを始める
チンッとトースターが食パンを焼いた音を聞いて食パンを取りに行き冷蔵庫からバターを取り出し席に戻る。
黄金色に焼けた食パンにバターを塗り食べるとサクッと良い音と共にバターの風味が口の中に広がっていく、食パンを頬張りながらコーヒーを飲む。
「日本の新聞って漫画が書いてあるのね……フフッ」
「ほぉ…それは見ていなかった。後で見せて欲しいな」
「えぇ、勿論」
会話を楽しみながら更に食事を続ける。
半熟目玉焼きの黄身を潰しながら盛り付けた野菜と一緒に食べる。
野菜の瑞々しい食感と目玉焼きの美味しさに舌鼓を打ち食事を終えてゆっくりと残ったコーヒーを飲み始める。
少し温くなったコーヒーが先程のまで食べていた朝食の感触を無くしていくのを感じながらTVをつけニュースを流す。
「先日ロシアで発生した地震の影響でロシア軍部は多大な影響を受け……」
「どこもかしこもこれしかやってないのか……全く、他の事を流している番組は無いのか?」
「しょうがないでしょ、これだけの事が起きたんだから何処だってこれを流すに決まっているわ」
「まぁ…そう言われるとだなぁ……」
何と所帯染みた二人だろうか。だが恐ろしい事にこの二人は恋人でも何でもない只のお家同士に決められた婚約者である
まぁ…ケイネスはソラウにベタ惚れ状態なのだが……。
日本に赴いたケイネス達は拠点を複数用意しその全てを要塞と言わんばかりのトラップを仕掛けた。
そして本拠点であるこの一軒家にも同じように仕掛けいざ完成したかと思えばシモンのある一言の影響でこうなった
「なぁケイネス、テレビとかはいつ用意するんだ?」
その言葉に魔術師の名家に産まれテレビを知らないソラウが反応しこの本拠点にはテレビが導入された。
魔術の工房と必要最低限の生活器具しか無かった本拠点に電化製品が投入されそのあまりの利便性に今までその様な物は殆ど使ったことの無かった二人には驚愕し、あれよあれよと言う間に一般家庭と同じ様な物を沢山設置してしまったのである。
文明開化ここに極まれりと言った所だろう。
ただ惜しむらくはここは聖杯戦争の時だけの拠点でありこの利便性を彼らはロンドンに戻って忘れられるか否かと言う話である。
テレビから流れるニュースを垂れ流しにしながら先程から同じ様な事しか言わないニュースにウンザリしつつチャンネルを変えるもやはり流れるのは同じ様な事
漸くそれ以外の事を話題にしているニュースを見つけ一息つく。
「と○ダネめ……少しはz○pを見習いたまえ。」
「私はサ○デーモーニ○グが見たいんだけど?」
そんな彼らの朝の一時、恐らくこの聖杯戦争において類を見ない程の平和な一時と言えるだろう。
「ねぇケイネス、シモン達は?」
「あぁ彼らなら先程ライダーに呼ばれ何処かに出掛けていったよ……」
「そう……じゃあ今日はどうするの?」
「使い魔を冬木市全体に送り込み魔術の痕跡を追わせているがめっきり無くなった…恐らくは隠れているのだろう。奴が尻尾を見せるその時を待つしか無い…」
思わず昨日の事を思い出し怒りが込み上げるがそれを押さえ息を吐く
怒った所で変わらないのだ……今は奴が尻尾を出すのを待つしか出来ない
「今日くらいはこうやってゆっくりと過ごすのも良いだろう。」
「じゃあ…服でも一緒に見に行かない?」
「勿論、喜んで行かして貰おう」
そんな事を話ながら優雅に朝を過ごす二人であった。
―――――――――――――
「健全なる精神は健全なる肉体に宿る」
朝の鍛練を繰り返し行いながらそれを口に出す。
鍛えに鍛え抜かれた私の肉体は間違いなく健全な肉体である。それは証明出来る
だが…私の精神は健全であるのかそれが分からない。
結局父には自分の事を話せずじまい心には靄の様にアサシンの言葉が胸に広がっていく。
「覚悟か……。」
誰かを守る為の覚悟?分からない、命を掛けたいと思える事?分からない。
だがあの時に見たあの光景は……
「ハッ!!」
思わず大きな声をあげて構え直す。何を考えているのだ私は…その様な事はあっては成らない事、私は父と同じく敬援な神父なのだからその様な事思って等あっては成らないのだ。
それから暫く朝の鍛練をした後自室に戻ると酒の臭いがツンッと私の鼻を突いた
「あの薄汚い雑種の集合体がいないと思えば貴様か…アサシンのマスターよ」
「アーチャーか。」
時臣師が呼び出したサーヴァントでありこの聖杯戦争において最強の存在全くと言って良い程サーヴァントらしくない男だと記憶している。
私の酒を勝手に飲んでいたらしく長椅子に優雅に座りながら酒を飲んでいる姿は気品と退廃的なオーラその両方醸し出していた。
「アーチャー…貴様は確か時臣師の策を断ったそうだが何故だ?」
「ふん…そんな事言わなくとも分かるだろう。」
機嫌が悪そうにそう言い返すとアーチャーは此方を見つめながら問いを発す、面白そうに此方を見つめながら
「貴様はどうなのだ?聖杯戦争に参加したマスターなのだ。何か聖杯に叶えて欲しい願いの一つや二つ有るのだろう?」
その言葉に思わず動揺してしまう、脳裏にチラつくあの光景それを振り払いながら返事を返す。
「私に…聖杯で叶えたい望みは無い」
「ほぉ?それは可笑しいではないか。ならば何故この聖杯戦争に参加している?聖杯は望みを持つ者を選別している、貴様にはそれが無いと言うのか?」
「そうだ…私には聖杯に叶えて欲しい望み、悲願は……」
あれが私の望みだと言うのならばそれは叶えては成らないのだ…絶対に
「別に叶えて良い。その望み我が許す」
私の心を読んだように此方を見据えて言葉を続けその言葉は私の胸の奥に響き渡る。
叶えても……良いだと?
「その様な事は有っては成らないのだッ!!私は神父、罪無き子羊にその様な……」
アーチャーはその顔を興味深そうにして此方を更に見詰めてくる。まるで珍獣を見ているかの様に、面白い物を見ている様な目付きで此方を見詰めてくる
「ほらやはり有るではないか、貴様の望みが…今自ら口に出した事こそが貴様の望みであろう?」
その言葉を聞いた瞬間頭が煮えたぎる様な感覚に襲われ部屋を足早に出る
「ーーーッ!失礼するッ!!」
そんな事があってたまるものか!私が…私がそんな畜生だと誰が認めれる物かっ!!
「認めろ。己の中にある其を…その愉悦を」
後ろから聞こえてくるアーチャーの声が私の耳に残った。愉悦……私の望みはそんな物だったのか?否、そんな事有っては成らないのだ。
「(己が父にその心を解き放つが良い)」
アサシンの言葉が脳裏に囁いてくる。
「話そう…父に私のこの心を」
きっと…父ならばもっと別の答えを教えてくれる筈だ。
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