一人の女性へ愛を捧げる男の物語   作:( ∴)〈名前を入れてください

11 / 26
ただいま先生これから暫くは先生視点でいける


大人になること

酒盛りも時間が立つに連れて終わりに近づいていく。

「そろそろ…終わりにしねぇか?」

カミナがそう言いながら外を見ると外は夕焼けに染まっていてそろそろ辺りが暗くなってきても可笑しくは無い。

「そうだな…そろそろ戻るとするか坊主!」

「止め…下ろせ!!」

ライダーはそう言ってウェイバーをひょいっと持ち上げるとそのまま立ち去っていく。

 

ライダー達が立ち去った後には酒のビンが大量にありそれは彼等が何れだけ飲んでいたのかが分かる量だ。

「はー…カミナあんた飲みすぎ、分かってる?」

 

飽きれながら片付けていくヨーコに嬉しそうな顔でカミナが話す。

「いやー…あのオッサン中々良い飲みっぷりで思わず飲んじまったわ」

「いや……カミナ俺達はサーヴァントだから酔わないし倒れないぞ。後さっさと片付けよう」

「えっ……マジで?」

「マジ」

片付けに参加したシモンにも言われカミナも片付けに参加し皆で片付けを始める。

 

黙々と片付けをしているとカミナが口を開き始める。この男集中出来ないタイプに違いない

「でだシモン」

「どうしたカミナ?」

「お前のマスターのハゲチャビン」

「だから…ケイネスだって言ってるだろ?」

「そのハゲチャビン…なーんかこう…何かイマイチ何かもの足りないというか……」

「……いや…聞いてるカミナ?」

言ったそばから自分の世界に入って何かを考え始めるカミナを見てシモンは思わず苦笑する

 

ヨーコが呆れた様に言葉を発す。だけどその言葉には刺々しさは無くどちらかと言うと慈愛に満ちた声色だった

「全く…こいつは…何にも変わっちゃいないんだから……あの時から何一つ」

「ヨーコ……。」

二人が思い出すのは遠い日の記憶

二人はカミナの死の後も生き続けて寿命一杯まで生きた。

彼等が英霊となったのは寿命一杯になってから故に心は老成しており人格は完成していると言えるだろう

だが…カミナは違う……若き頃に死んだカミナはあの時から変わっていない…何一つ

それが二人の心に深く響いた。

 

彼等の繋がり…絆の結晶……ランクにしてEX 宝具「グレン団」

彼等の始まりと呼べるそのグレン団が宝具となって現れた形である。

シモンの呼び声にヨーコとカミナが答えればシモンの宝具として呼ばれる事が出来、全ステータスが平均Dになる代わりに螺旋力と独立行動のスキルを保持し呼び出され自由に行動可能なシモンの現段階で一番使い勝手の良い宝具でもある。

グレン団として集まってもカミナの姿を見れば二人は懐かしく感じそして昔そのままの在り方に思わず疎外感を感じてしまうのだ。

 

あぁ…そうだったと……カミナはそんな男で今の私達には無い熱さを持っていると。

 

こどもの未来を見据え孤島で教師をし続けたヨーコ

自分の力を抑え人々を見守り見続け、時には手を貸したシモン

 

二人は既に完成されきっている…故に昔の様にどんな時でも前に進み一分前の自分よりも進化していた…そんな自分はもういないのだ

皆から求められ英霊となったのだから…サーヴァントはもう成長する事は無いだろう

 

シモンの宝具である「宇宙に風穴をあけた男」は初めの自分から終わりの自分に向かって突き進むが…それは成長ではないのだ

 

自分ですら想像のつかない先に行く事それこそが成長であり死人のシモン達にはそれが出来ない。

心も体も全てが完成しているシモンとヨーコには進化は訪れないし…あの時のアンチスパイラルとの戦いの時の様な熱量は既に無くなっている

 

当然カミナにも…だけどカミナには熱さがある、どんな時にも代わらない熱量

その熱量が有る限りカミナはあの時のまま突き進める。例えサーヴァント故に成長が無くても己の熱い魂を燃やして先へ先へと進めるのだ。

 

「カミナは…本当に変わらないな。」

思わずシモンが口に出した言葉に笑って返す。当たり前じゃねえかとニヒルに口を笑わせて

 

「当たり前じゃねぇか!このカミナ様がそう簡単に変わってたまるかよ!!」

昔から変わらずの歌舞いてこそ俺だと言い切る姿に思わず二人の心の奥が熱くなる。

あの時の様に有りたいと。

 

長い時間で完成した心に無くした熱さはまだ戻らないだろうが我らがグレン団の鬼リーダーカミナが二人の心に種火を与えた。

それが爆発的に燃えたぎるのは何時になるのかは分からない…だけどその時は近い。

 

 

――――――――――――

「くっ…うぅ頭が痛い」

「大丈夫?ケイネス……全くあの二人の挑発に乗って一本丸々飲んだら倒れても可笑しくは無いんだから。」

「あっあぁ…すまなっ…」

目が覚めていきなり見えたのは私のデコを触りながら此方を上から見下ろしてくるソラウの姿だった。

 

……待てよ何故真上なのだ…?そして何故頭の下が仄かに暖かくて柔らかいのだ…っ!?

まさか……これは俗に言う膝枕と言うものではないのか――――――?

 

「すまないソラウッ重くなかったか!?」

思わず急いでソラウから離れる…しまった、もう少しだけでも……

 

「私は大丈夫…ねぇケイネス貴方は私の事が好きなのよね?」

「無論だ。私は君を家同士が決めた結婚相手だからではなく君だから愛しているのだ」

当たり前だろう…全く私は君に振り向いてもらえるまでは何時までも言い続けるぞ

 

「所でソラウ…今は何時だ?」

「えっ!?えぇそうね…もうすぐ夜になりそうよ。」

その言葉に思わず外を見ると確かに外はもう夕闇になっており、後少しで夜になるくらいだろう。

しまった……っ!?これは寝過ごしたッ!!

思わず立ち上がり外に出る支度をしようとすると外から音がなる。

 

「うおっ!何だ何だ敵襲か!?」

「これは…信号弾か?」

「そうみたいね…恐らく此は私達にしか…魔術に関係している者しか聞こえない様になってるみたいだけど」

「あぁ?何で」

「回りの家を見なさい誰も反応していないわよ」

ほう…流石はシモンの仲間……よき判断力だ

……一人分かっていない奴もいるみたいだが

 

「あの場所は恐らく協会だろう……そして伝えたい内容はサーヴァントの討伐と言った所か?」

「どういうことだケイネス?」

その言葉に私はシモンに三流ゴシップのローカル雑誌の切り抜きしたファイルを投げて渡す

「それを読めば大体分かるだろう」

「えーと…冬木市で幼児連続誘拐事件!?どういう事だ!!」

シモンが読み上げた瞬間空気が極寒の地よりも下がっている様に感じる

 

「……で?ケイネスって言ったかしら貴方は此れを知ってたの?」

「知っていた、だがこれがサーヴァントである確証が無い故に証拠を探るために使い魔を様々な場所に」

「そんな事言ってる場合なの!?子ども達の命に関わっているのよ!!」

私が全てを言い切る前にヨーコが私の首の裾を持ち上げそういい放つ。

 

「行くぞ…ケイネスその協会って場所に」

「待てシモン…既に使い魔を協会に放った、情報はちゃんと此方に来る手筈となっている…そして今魔力痕が一つ見つかった…。」

「本当!?何処にあるの!?」

待てっ…首が首が閉まるッ!!私の必死のハンドサインも今の彼女には届かない…不味い

 

そう思っていると横から手がニュッと出てきて引っ張られる。……助かった。

「でかした!ハゲチャビンさっさとそのクソ野郎の所に案内しろ!!」

「あっ…あぁ当然だ魂喰い等をさせている愚か者のマスターは私が切り裂いてくれる」

 

言うが早いかカミナは私を引っ張りながら外に出る

それに続いてヨーコが走ってきて……

「シモンはどうしたのだ!!」

「今後ろからラガンに乗ってくるからあんたはカミナにしがみついていなさい!!」

その言葉と同時に後ろからラガンがすごい速度で此方まで近付いてくる。

 

「来いっ皆行くぞッ!!!」

その言葉と同時にカミナが私を持ち上げながらラガンに飛び乗り逆の方向からヨーコが飛び乗る。

「さーてと頼むぜハゲチャビン…何処に奴はいるんだ?」

「待て…今魔力の痕跡を使い魔に追わせている……見つけたッ!!」

 

「ここより北方向4㎞離れたら場所にある家屋…そこに何かがある」

「…聞いたかシモン!急げぇっ!!」

「任せてくれっ!!」

言うが早いかラガンは更にスピードをあげて宙を舞う

……ここであれば良いのだが…。




さーてと…ここからがヤバいぞ…いやマジで

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。