やっぱり球磨川禊の青春ラブコメはちがっている。   作:灯篭

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前回の話は賛否両論あったみたいですが、クマー無双なのもあれだなと思ったのでゆきのんにいいとこを持っていかせました。

やっぱり球磨川は負けているのが似合いますね。


今回も繋ぎ回というか、箸休め回です。


これで奉仕部はできあがる。

「結構楽しそうにやっているみたいじゃないか、君は」

 

 

 僕は今、教室にいた。

 教室と言っても総武高校にある教室じゃない。

 かといって僕が通っていた中学にある教室でもない。

 

 

 目の前にいる人外、安心院なじみが僕の心に勝手に作り上げた教室だ。

 

 

「おいおい球磨川君。ちゃんと読者に配慮してやれよ。いきなり人外とか出てきても、僕たちを知らない読者だっているんだぜ? 超展開すぎるだろ」

 

 

 そう言って彼女は、自分の指定席であると言わんばかりに教卓の上に座る。

 

 

「初めましての人は初めまして。久しぶりの人は久しぶり。僕の名前は安心院なじみ、ただ平等なだけの人外だ。僕のことは親しみを込めて安心院さんと呼びたまえ」

 

 

 安心院さんは天井右斜め上に向かって横ピースをしながら自己紹介を始めた。

 いったい誰に話してるんだろうな。

 3兆年も生きてるとやっぱボケるのかな。

 

 

「なんか失礼なこと言われた気がするから一応殴っておくぜ」

 

 

 安心院さんの手に突然巨大なハンマーが現れる。

 ウソップ5tハンマーっぽい。

 

 

「『はっ! それはどうせハリボテなんだろう!? 嘘ハッタリで僕に挑もうとは大した度胸じゃないか安心院さん!』」

 

 

「あの長鼻と一緒にすんなよ。僕が5tくらい持てないとでも思っているのかい?」

 

 

 言うや否や、ハンマーが僕に振り下ろされる。

 

 

 当然、避けることなどできはしない。

 

 

「全く、女性に歳の話は禁句だって前に教えたはずだぜ。君の頭はトリ以下か? そんなんだから雪ノ下ちゃんにも負けちゃうんだぜ」

 

 

「『ゆ、雪乃ちゃんとの勝負は関係なくない……?』」

 

 

 危なかった。自分の心の中で死ぬところだった。

 むしろ自分の心の中だから死ななかったのかな。

 

 

「奉仕部、だっけ? ずいぶんとまぁ漫画みたいだ。万事屋というよりスケット団かな。で、雪乃ちゃんとの勝負の後はどうなんだい?」

 

 

「『知ってるくせに……』」

 

 

「君の口から聞きたいんだよ。いくら僕が7932兆1354億4152万3222個の異常性(アブノーマル)と4925兆9165億2611万643個の過負荷(マイナス)、合わせて1京2858兆519億6763万3865個のスキルを持っているからと言っても、君の心情を読み取ることなんて不可能だからね」

 

 

「『本当、いつ聞いてもチートが過ぎるね』」

 

 

 平塚先生あたりは怒りそうだ。

 

 

「『まぁ、別にあの後雪乃ちゃんから何かアプローチがあったとかそういうのは無いよ。至って平和な日常だ』」

 

 

 強いて変わったことをあげるとすれば、結衣ちゃんがよく部室に遊びに来るようになったことくらいだ。

 雪乃ちゃんと結衣ちゃんのいちゃいちゃは見ていて目の保養になる。

 

 

「そういうことをちゃんと話せよ。口に出して言わないと人には伝わらないんだぜ?」

 

 

「『いや、伝わってるし……』」

 

 

 理不尽極まりない。

 

 

「『それ以外は特に何もないかな。新しい依頼とかもまだ来てないし』」

 

 

 仮に悩みを持つ生徒がいたとして、その何割が奉仕部を頼るんだろう。

 

 

「ふーん……。君に封印さえされてなかったら、僕も遊びに行きたいんだけどね」

 

 

「『やめてよ……』」

 

 

 安心院さんと雪乃ちゃんが同じ空間にいたら僕なんて余波で軽く消し飛んでしまうだろう。

 

 

「『あ、そういえば。結衣ちゃんがグループ内で揉めてたことがあったっけな』」

 

 

 たしか、最近付き合いが悪いんじゃないかーみたいなことを、えっと、あーしさん? に言われていた。

 そこに雪乃ちゃんが混ざってきてさぁ大変。

 どうやら結衣ちゃんは雪乃ちゃんと一緒にお昼ご飯を食べる約束をしていたらしかった。

 そこであーしさんと雪乃ちゃんの壮絶な罵り合い。

 

 

 はたから見ていたが、とてもいいごはんのおかずになった。

 

 

「君は相変わらず性格が螺子れてるね。でも普段の君なら自分も混ざりに行きそうなものだけれど」

 

 

「『やだなー、安心院さんってば。女子の喧嘩に割って入ってもいいことなんか一つもないんだぜ? それならtoLOVEるの単行本でも読んでた方がマシだよ』」

 

 

 ジャンプS.Qに移籍してから読んでないんだけど、唯ちゃんはどうなったのかな。

 

 

「『じゃ、そろそろ行くよ。早いとこ生き返らないと僕の死体が回収されちゃうかもしれないし』」

 

 

「また階段で転んだんだっけ? いい加減に対策しろよ。二日おきに君の相手をさせられる僕の身にもなってくれ」

 

 

「『ならここ素通りさせてほしいんだけど』」

 

 

「それはダメだ。球磨川君をいじれるチャンスを逃すわけにはいかないね」

 

 

 熱い掌返しだった。

 

 

「ほら、帰るんならさっさと出ていきな。無駄な文字数稼ぎに付き合う義理は僕にはないぜ」

 

 

 そう言うと、安心院さんは僕の制服の襟をつかんで引きずり、教室の外に僕はぺいっと放り出された。

 

 

「全く、つじつま合わせだか繋ぎだか知らないけど、そう簡単に僕を引っ張り出さないでほしいもんだぜ」

 

 

「なぁ? 読者諸君もそう思うだろ?」

 

 

「ま、今回はハズレ回ってやつだ。前回の話でたぶん息切れ起こしたんだろう」

 

 

「賢明な読者諸君には、今すぐこんな小説を読むのをやめて、勉強でもすることをオススメするよ」

 

 

「じゃないと球磨川君みたいになっちゃうぜ?」

 

 

「では、また会う日まで。さようならだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「完!」

 




終わらないです見捨てないでください(懇願)


安心院さんの言う通り、息切れを起こしました。
みなさん本当にすいません。

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