やっぱり球磨川禊の青春ラブコメはちがっている。   作:灯篭

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前回の話が公開されてから評価やよくわかんないポイントが爆発的に上がってちょっと困惑しています。

感想や評価ありがとうございます。
励みになります。


今回はちょっと短いのですが、次回への繋ぎということで。


ルーキー日間ランキング4位にまできました。
皆さまありがとうございます。
1位すごすぎないですかね(震え声)


だけど球磨川禊は悪くない。

「球磨川、君は一体何をした?」

 

 

 僕はまたしても平塚先生によって職員室に呼び出されていた。

 もうそろそろ平塚先生と共に迎えるオープニングはマンネリだと思うんだけど。

 しかし今日の先生はいつもとは違い……というかいつもより怖い顔をしていた。

 

 

「『何のことでしょう?』」

 

 

「とぼけるな。雪ノ下雪乃、由比ヶ浜結衣、この2名の生徒についてだ。先週の金曜日から今日まで丸1週間、彼女たちは体調不良を訴えて欠席している。君は、この2人に何かしたんじゃないか?」

 

 

 ふむ、確かに先週の金曜日と今週いっぱい、結衣ちゃんは学校を休んでいた。

 雪乃ちゃんに関しても今週は部室に来なかった。

 

 

「『ですが、それがなぜ、僕が何かやった、という結論になるんですか?』」

 

 

「先週の木曜日、由比ヶ浜は私の下に悩み相談に来た。しかし、その時は少なくとも1週間も学校を休むほどの体調不良を起こしている様子はなかった。雪ノ下も同様だ。少し調子は悪そうだったが、彼女は大丈夫だと私に言ってきた」

 

 

 雪乃ちゃんが先生に会ったのはおそらく鍵を借りる時だろう。

 いつもは鍵の管理は雪乃ちゃんがしていたが、先週の金曜からは平塚先生が僕の下へ訪れ、鍵を渡してくれていた。

 

 

「『だからなぜ僕が原因だと言い切れるんです? 二人同時にタチの悪い風邪でも引いたのかもしれないじゃないですか。確かに確率はそう高くはないでしょうけど、ありえないとは言い切れませんよね?』」

 

 

 僕がそう答えると平塚先生は不愉快そうに煙草を吸い始めた。

 

 

「今朝、由比ヶ浜の家に電話を掛けた。由比ヶ浜の様子を聞くためにな。電話に出たのは由比ヶ浜のお母さんだったが、私はお母さんに『先週の木曜日に何か変わったことはありませんでしたか』と尋ねた。それに由比ヶ浜のお母さんは『結衣が学校で気を失ったらしいので、私が車で迎えに行ったのですが。先生はご存じないのですか?』と仰った。つまりだ。私が由比ヶ浜に奉仕部へ行くように忠告してから由比ヶ浜のお母さんが迎えに行くまでの間に何かあったと考えるのが妥当じゃないか?」

 

 

 ……正直驚いた。

 別に平塚先生を悪く言うつもりはないが、僕は先生のことを直情的な脳筋だと思っていた。

 だってすぐ暴力で解決しようとするし。

 

 

「『ええ、確かにそう考えるのが論理的と言えますね。情報が揃ってしまえばむしろ当然の帰結と言えます。しかしですね、平塚先生。あの日の放課後、奉仕部室にいたのが雪乃ちゃんと結衣ちゃんと僕だけだったとしても、雪乃ちゃんと結衣ちゃんの二人が1週間も学校を休んでいるのが僕のせいだなんてのはあまりに飛躍しすぎではありませんか。某裁判ゲームの無能な警察じゃないんですから、何か決定的な証拠とかあるんですか? 僕としてもこんなこと言うのは犯人みたいで嫌なんですけど、仕方がありません。僕は悪くない』」

 

 

 平塚先生がぐっと煙草を噛む。

 

 

「君は本当に2人の体調不良について心当たりは無いのだな?」

 

 

「『はい、全く』」

 

 

「そうか……。ならもう行っていいぞ。部活動に励め」

 

 

 平塚先生はそう言って部室の鍵を渡してくれた。

 誤解も解けたようでなによりだ。

 

 

 僕は職員室中から浴びせられる視線を無視して部室に向かった。

 

 

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 先週の木曜日のその後は別にわざわざ語るようなことは何もなかった。

 

 

 僕が奉仕部室に戻った時、雪乃ちゃんがまるで信じられないものを見るかのような目で僕を見ていた。

 まぁ、そんな目は慣れてるからどうしたのかを面白半分で聞いてみた。

 

 

 雪乃ちゃんは予想以上に錯乱していた。

 言ってることは支離滅裂だし、目の焦点は合ってなかったし。

 

 

 だから家に帰るように誘導するのも難しくはなかった。

 君は今夢を見ているんだ、ここは僕に任せて、など後で思い返すとこちらも支離滅裂なのだが、極度の混乱状態にある雪乃ちゃんはあっさりと誘導されてくれた。

 

 

 結衣ちゃんは座っていた椅子の近くで気を失っていた。

 運ぼうにも保健室は遠いので、僕の細腕じゃ無理だと思った。

 というか、学校に知られたらとても面倒だ。

 実際、僕は彼女たちには何もしていないのでやましいところなどないが、どんな冤罪をふっかけられるかわかったもんじゃない。

 それは今日の平塚先生からの呼び出しが証明しているだろう?

 

 

 なので結衣ちゃんの携帯を勝手に使わせてもらい、家族に迎えに来てもらった。

 最初は教師がいないことなどを怪しまれたが、クラスメイトという立場から一応信頼はされたようだ。

 結衣ちゃんにも乱暴された形跡とかは無いし、僕の人当たりのいい性格も要因の一つだろう。

 

 

 ちなみに、奉仕部の下は滅多に人の通らない校舎裏になっていたため、僕が飛び降りたところを他の生徒や先生に見つかることはなかった。

 校舎裏と言うと告白スポットやカツアゲスポットとして利用されていそうなイメージだが、特別棟の裏は教室などがある校舎からは遠いのであまり使われていない。屋上とかの方が使い勝手はいいのだろう。

 

 

 さて、皆さんもお気づきだと思う。

 ここまでの話はある1点の、『ありえない前提』に基づいて進められてきた。

 

 

 つまり、『僕は死んでも生き返る』という現実離れにも程がある前提だ。

 

 

 バトル漫画に出てきたら一瞬でつまらなくなるような冗談みたいな設定だが、残念ながら事実だ。

 安心していいよ。この物語はバトルものじゃなくてシュールギャグだ。

 間違っても僕と雪乃ちゃんが壮絶なバトルを繰り広げるような展開にはならない。

 

 

 ラブコメじゃないのかって?

 何を言っているんだ。

 もしラブコメだったとしたら僕は、初恋の未亡人や完全超人幼馴染、究極ロリババアとのラッキースケベに満ちた夢のハーレム生活を送ってるはずじゃないか。

 

 

 まぁ、今は『僕は死んでも生き返る』という点だけ覚えてもらえればいい。

 

 

 説明なんてしないよ?

 僕にはそんな義理も義務も無いからね。

 

 

 知りたければ僕の元ネタの原作を読むことだ。

 アニメじゃだめだよ? 原作コミックスだよ?

 

 

 そして集英社とGAINAXに『アニメ3期放映してください』という嘆願書を書くんだ。

 

 

 あそこでアニメをやめるなんておかしいよね。

 ファンの間で絶頂期と呼ばれる過負荷(マイナス)編を放送しないなんて。

 

 

 閑話休題。

 

 

 まぁ、ここでは雪乃ちゃんが僕の正体を探ったりすると思うから、それまで待ってて。

 

 

 さ、今日も僕一人だし、椅子を並べて寝転がりながら週刊少年ジャンプを読むとしよう。

 

 

 雪乃ちゃんや結衣ちゃんが復帰してくるまで暇だろうからね。

 

 

 今日も平和な1日でした。

 

 

 




今回の球磨川先輩はちょっとメタいですが、別に強くてニューゲーム的なものではありません。

ただのネタで本編には全く関係ありませんので、過負荷の戯言と聞き流してください。

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