やっぱり球磨川禊の青春ラブコメはちがっている。   作:灯篭

1 / 31
いつも球磨川先輩の言動を妄想してるけど、文章にすると難しい......


いつでも球磨川禊は笑っている。

『高校生活を振り返って』2年F組 球磨川禊

 

 

僕が総武高校に入ってから過ごした1年間の高校生活は本当に楽しいものだった。

 

 

僕を無視し、僕に近寄らず、僕はいないものとして扱う心優しいクラスメイト達。

それを見て見ぬふりし、何の工夫もないつまらない授業を行うだけの熱意あふれる先生方。

 

 

きっとこの1年間は僕にとってかけがえのないものになるだろう。

そう、まるでうずまきナルトが迫害を受けていた幼少期や黒崎一護が死神の力を失ってから過ごした約1年と半年のように、大切な思い出として明後日くらいまでは僕の記憶に残っていくのかもしれない。

 

 

あ、そうそう。始業式の日に廊下でとてもかわいい女の子を見かけた。

流れるような黒髪に大人びている顔立ちをしている美少女で、白いラインが入った黒のニーソックスを履いていた。あんな子見たことがないけどどこのクラスかな?こっそり後をつけていったら、J組の教室に入っていった。普通科のかわいい子なら去年のうちにチェックしていたけど、国際教養科はなんとなく行くのが面倒だからという理由でチェックを怠ったのが災いしたようだ。この球磨川禊、一生の不覚であると言わざるを得ない。この失敗を反省し、今週中には国際教養科のかわいい子の名前、顔、基本プロフィールを調べることを、これを読んでいるであろう平塚静先生に誓おう。

 

 

あ、平塚先生。

今日の放課後一緒にエロ本を買いにいきませんか?

 

____________________________________________

 

 

「なあ、球磨川。私が授業で出した課題は何だったかな?」

 

 

ある日の放課後。僕は国語教師の平塚静先生に呼び出され、職員室にある、面談用の仕切りに囲まれた椅子に座らされている。目の前にいる平塚先生は額に青筋を立てながら僕のことを鋭い目つきで見下ろしている。なんだ、今日の授業で出た課題についてのお説教か。職員室に着くなりこの人目につかないデッドスペースのような場所に連れ込まれたので、愛の告白でもされるのかなと期待してしまったぜ。全く、僕の期待を返してほしいものだ。

 

 

「『作文でしたよね? テーマは確か……『ジャンプ三大原則はいい加減変えるべきか否か』でしたっけ? 友情・努力・勝利とはまさに週刊少年ジャンプのためにあるような言葉だとは思いますが、時代遅れ感が否めませんね。最近の子供はスレてきてますし、そろそろ変え時かなと僕は思います』」

 

 

「そんな課題は出していない。そしてその意見には大いに異議がある。ジャンプ三大原則はどんな時代の子供にも夢と希望を与えるんだ」

 

 

 平塚先生は大きなため息を一つ吐き、胸ポケットから煙草を取り出した。割と胸が大きいのに胸ポケットに煙草なんか入れてキツくないのかな。お尻のポケットには財布を入れない派の僕としては少し疑問を持ったが、まあおっぱいには夢と希望が詰まってるはずだし、喫煙者の希望が煙草なのかもしれない。

 

 

「私は『高校生活を振り返って』というテーマの作文を課題として出したはずだ。そして君が提出した作文がこれだが……なんだこれは?」

 

 

 先生が1枚のプリントを僕に見せる。

 あぁ、僕の作文だね。

 

 

「『先生が言う通り、『高校生活を振り返って』というテーマで僕が授業中書いた作文ですね。何か問題でもあったんですか?』」

 

 

「大アリだ。というより問題しかない。多すぎて突っ込むのも面倒だから1点だけに絞るが、なぜ高校生活を振り返っている本題よりも、始業式に見かけた女子生徒のことを書いた文章が長いんだ。というよりなぜ書いた」

 

 

「『2点になってますよ先生。んー……そうですねぇ。まあ、僕の高校1年間よりもそのかわいい女の子の方が重要だったってことじゃないですか?』」

 

 

「…………」

 

 

 平塚先生はまた大きなため息をついた。先ほどとは違い煙草を吸っているため、それに合わせて煙が大量に吐き出されたことで、そのため息の規模が窺える。

 

 

「君は部活に入っていなかったな?」

 

 

「『はい。本当は野球部に入部して甲子園に行きたかったんですけど、入部テストでおとされまして』」

 

 

「野球部が入部テストを行っているなどという話は聞いたことがないが」

 

 

「『あれ? おかしいなぁ。確かに怖そうな先輩方に入部テストを受けさせられたんですけど』」

 

 

「……もういい。友達はいるのか?」

 

 

「『クラスの皆が友達に決まってるじゃないですか!!』」

 

 

「……彼女は?」

 

 

「『平塚先生を超える美貌の持ち主に未だ出会ったことがないので、いませんね』」

 

 

 よろよろと、脱力したように平塚先生が向かいの椅子に座り込む。

 僕の思いが通じたのだろうか。

 少しの間を挟んで、平塚先生は何度目かになるため息を吐く。

 

 

「よし、こうしよう。作文は書きなおせ。もう関係のないことは書くなよ」

 

 

「『はーい』」

 

 

「だが、それとは別に君には奉仕活動を命じる。君の作文は私の精神を大幅に疲弊させた。罪には罰を与えないとな」

 

 

 奉仕活動? なにそれすっごいエロい響き。マニアックなホモ男子の慰み物にでもされてしまうのだろうか。

 

 

「ついてきたまえ」

 

 

 奉仕活動について僕が妄想していると、平塚先生は椅子から立ち上がり、僕を先導するように職員室から出ていった。

 いったい何をやらされるのかは見当もつかないが、1つだけわかったことがある。

 どうやら平塚先生はお尻のポケットに財布を入れる派らしい。

 

 

 




長いのか短いのかよくわからないけどきりのいいところでここまでで。

平塚先生も難しいと思うのはやはり読み込みが足りないからか。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。