俺は今自分の教室で頭を抱えてうつ伏せの状態で悶えていた。
何故こんな状況になっているのかといえば30分ほど前の時間俺がまだ登校している時に神からミッションなるものが届いたせいだ。
八幡(はぁ....どうすればいいんだよ、女子を心の底から笑わせろって?今まで苦笑いしか見たことねーっつうの...)
俺がどうやって雪平ふらのを笑わせようか悩んでいると同じクラスでいつも笑っている少女が俺に話しかけてきた。
謳歌「何何~どうしたのーヒキッチー元気ないみたいだけど?」
八幡「あーミッションの相手がお前だったらいいなと思っていただけのことだ気にするな」
謳歌「え?何ミッション?ヒキッチ何いってるの?」
八幡「だからなん...」
謳歌「どうしたの?ヒキッチ」
俺はこの時今回のミッションの内容を思い出した、こんなにも毎日良くわからないことで笑っている奴だ、きっと人を笑わせることだって得意なはず!....と。
八幡「な、なぁ?遊王子」
謳歌「何ー?」
八幡「なぁ女の子を笑わせるときってどうすればいいんだ?」
謳歌「」
俺がそう言うと遊王子は目を丸くして一瞬の静寂が訪れた、そして俺は遊王子謳歌にミッションのことを相談したことを心の底から公開することになる。
八幡「・・・え、えーと遊王子さん?」
謳歌「・・・ぷっ....ふ、はははははは、ヒキッチ何それ~意味分からないし~あははは」
俺は初めて女の子を心の底から笑わせることができたみたいだ....だが。
クラスの女子「あれ?謳歌ちゃん、そんなに笑ってどうしたのー?」
勿論ここは教室なのでこんなにも大笑いしてたら周りの奴らが気になって聞きにくるのは明白だった。
謳歌「いや~それがね、ヒキッチがなんか女の子を笑わせるにはどうすればいいかーなんて真顔で聞くもんだからもう、おか...おかしくって、ぷっ」
八幡「い、いやーこれはその」
クラス女子「何それー面白~い」
遊王子の一言は瞬く間に教室中に伝わりクラスの女子や男子は皆笑っていた。
八幡(・・・最悪だ...何故こんなことに、いや待てよ...この勢いなら雪平ふらのも案外笑っているのでは?)
俺はミッションがクリア出来たと思い後ろの席に座っているであろう雪平を確認するために後ろを振り返った。
雪平「」
八幡「」
俺は後ろを振り返ると真顔の雪平と目があった。
雪平「あら何かしら?豚野郎」
八幡「・・・お前は笑わないのか?」
雪平「何に対して笑うことがあるのかしら?」
八幡「い、いや何でもありません...」
俺はミッションのターゲットである雪平を笑わせられてないことを知りため息混じりに前を向く...と。
[選べ!
1 生まれたばかりの豚のものまねを教卓の上で10回やる
2 全身に荒縄を巻いた大子さん(裸体)が出現。同じ格好をし、公開ボンレスハムプレイ
八幡「んなもの選べるかぁー!!!」
クラスの奴ら「」
俺は思わず立ち上がり叫んでしまったため、周囲から注目を集めてしまう。
八幡(ちくしょう...恥ずかしいわ、頭痛で頭は割れそうだで最悪だ...てか何でミッションあるのに普通に選択肢出てきてんだよ...)
・・・数分後
クラスの奴ら「うわ....何あれ」「さ、流石お断り5....」
俺は先程の選択肢で1を選び現在は教卓の上でブヒブヒと泣きながら必死に生まれたばかりの豚のマネをしていた。
八幡「ぶ、ぶひぶひ」
八幡(俺は学んだぜ...人間は死ぬほどの痛みに比べれば死ぬほどの辱しめなんて我慢出来ることを....ちなみに、後2回で10回終わる)
八幡「ぶ、ぶひぶひーよし、終わった」
俺は頭の中の選択肢が消えたことを確認して豚のマネを辞めて自分の席に戻り座ると雪平に話しかけられた。
雪平「今のブタックジョークはどういうことかしら?」
八幡(どうやら今の俺の絶対選択肢を雪平はよく分からんジョークと取ったようだ)
八幡「いや別にジョークじゃないんだが?」
雪平「ブタックジョークではないなら何故あんなことをしたのかしら?」
俺はこの時少なからず後悔していた、もしも雪平に言われた通りジョークというふうにしておけば少なくとも先程のような追求はされなくてすんだはずだ....俺はなんてミスをしてしまったんだ...。
俺は必死に良いわけを考えた末に1つの言葉を思い出した、それは雪平が俺に言った言葉でもあった「豚野郎」という言葉だった。
八幡「お、お前が朝俺に豚野郎って言っただろ?だからそこから」
雪平「やっぱりパクりだったのね....訴えてやる!」
俺は雪平の言っている意味が分からなかった...いや常日頃からこいつは何を言っているのか分からない奴なのだが今日は本当に何が言いたいのか分からなかった。
八幡「い、いや何故俺が訴え「裁判長!裁判長はいませんか!?」・・・いや裁判長なんているはずがないだろ」
八幡(てか俺達お断り5に自分から関わろうとする奴なんて誰も)
謳歌「はーい!」
八幡「・・・あーいたな1人」
八幡(俺は同じお断り5である遊王子謳歌の存在を忘れていた)
雪平「裁判長!こいつは人様の財産を掠め取ろうとした重罪人よ厳正なる裁きを」
謳歌「じゃあ死刑で」ニコ
遊王子謳歌は凄くにこやかな笑顔でどこから取り出したのか分からない死刑と書かれた紙を取り出し見せた。
八幡「いやいや死刑ってなんだよ!てかお前その紙どっから出したんだよ?」
雪平「裁判長!今回の総点は2つ被告が有罪か無罪かそして、人間か?豚か?と言うことよ」
雪平「纏めると・・・被告は有罪か?豚か?と言うことよ」
八幡「いやいや、意味が分かりませんが?」
雪平「比企谷君、人間と有罪はある意味=だと言えるわ、何故なら人間とは他の全ての生命を犠牲にした上で成り立っている、業の深い生き物・・・そう言うなれば人間の存在事態が罪なのだから」
八幡「なんで少し格好つけて言ったの?お前...」
ガラッ
道楽先生「こらー!比企谷てめえー!教室に豚を連れ込みひたすら撫で回していたそうじゃねえか!」
俺達(俺は別に騒いでいるつもりはない)が騒いでいると聞き付けたらしく担任の道楽先生が教室に入ってきた。
八幡「いやいやありえないですから、てか俺は何もしていません、無実ぐはぁ」
俺が何とか弁明をしようとすると道楽先生に首を絞められた。
道楽先生「ブタ専?」
八幡「何なんですか、そのブス専みたいなノリは....」
道楽先生「バカ野郎、これだけの騒ぎを起こして無罪放免できねーだろうが」ボソ
八幡「成る程...ですがそれならフリで良いのではないでしょうか?せ、先生徐々に力がつよ..」
道楽先生「あーこの感じ懐かしいなーやべーたぎってきちまったよ」
道楽先生の意味が分からない最後の一言を聞いて俺は意識を手放した。
八幡「・・・ん、ここは?」
道楽先生「で?」
俺が目を覚ますと幼女もとい自称29才の先程俺を絞め落とした我が担任様が飴をくわえながら「で?」を連呼していた。
八幡「えーと先生、生徒に絞め技をして落とすというのはどうかと思うんですが?」
道楽先生「心配するな、私は絞め技に関してはプロだからな」
八幡「いや何も解決になっていないのですが?」
道楽先生「ふーんそうか、まぁお前なら別に構わないだろ」
八幡「いやその理屈はおか「あっ?」・・・」
道楽先生「あっ?」
八幡「・・・すいません、何でもありません」
八幡(道楽先生見た目に反してめっちゃ怖いんだよ...)
道楽先生「うんうん、そうだろそうだろ」
八幡「あのところで先生」
道楽先生「どうした?」
八幡「昨日俺の元に女の子が降ってきたんですけどどうしたらいいですか?」
道楽先生「・・・なぁ比企谷、ありもしないことばかり考えていないでそろそろ前を向いたらどうだ?」
八幡「先生そんなに、真顔で言わないでください...泣きますよ...てそうじゃないんですよ!」
道楽先生「ん?何がだ?」
八幡「絶対選択肢で選択したら降ってきたんですよ」
道楽先生「な...んだと」
八幡「いやいや、その反応嫌な予感しかしないんですけど?」
道楽先生「まじなのか?」
八幡「はい、一応...あの選択肢って何なんですか?」
道楽先生「お前の呪いが解ける準備が整ったってことだ」
八幡「・・・呪い、そういえば昨日降ってきたやつもそんなことを」
道楽先生「あとな気を付けろよ」
八幡「な、何をですか」
道楽先生「絶対選択肢とか神の態度とか適当だがなミッションに関してだけはガチだ...1度でも失敗すればお前は...」
八幡「・・・いやまぁ...でも案外なんとか「なると思うか?」」
道楽先生「先に言える範囲で言っておくぞ比企谷....」
・・・5分経過
八幡「えーと...そろそろ言ってほしいんですが?」
道楽先生「す、すまん...思った以上にロックがかけられていて何も話せなかった」
八幡「えーと....」
道楽先生「ご、ごめんね」テヘ
八幡「ん、んなときばっかり小学生のフリすんなぁー!!」
俺は、初めて道楽先生に対して殺意をもってしまった。
その後ようやく道楽先生から開放されて教室に戻ることができた。
教室に戻るといつも通り遊王子謳歌が騒いで賑やかだった、今教室に入っていけば遊王子謳歌に捕まるのは明白なので誰にも気づかれずに自分の席までいく必要があった、俺はこの学園に入ってきて1度もいまだ使っていなかったがここで使う俺の秘技ステルスヒッキーを。
八幡(説明しよう、ステルスヒッキーとは中学の時に人との接触を避けてきた俺はついに誰にも気づかれることなく同じ空間を移動できるようになったのだ、それをステルスヒッキーと呼ぶ)
俺はステルスヒッキーを使いながら教室に入って自分の席に向かった。
謳歌「ん?ヒキッチもう開放されたのー?」
八幡(な..んだと?)
俺は今驚愕していた、中学の時なら隣を通り抜けたとしても認識されなかった俺の秘技を教室に入った瞬間に見破られたのだ...。
八幡「あ、ああなんとかな」
謳歌「ふーん、そうなんだー」
別にそれ以上話しかけられることはなかったが何故ステルスヒッキーが効かなかったのかが分からなかった。
八幡(何で遊王子にはステルスヒッキーが効かなかったんだ...)
俺は何故効かなかったのか気になったが今は、雪平ふらのを笑わせなければいけないので取り敢えずは気にしないでおくことにした。
席まで戻った俺は十八番である、人間観察を始めた、元来人という生き物は言葉の内容が2割りほどで残りの8割りは、相手の視線や表情によって会話をしていると言えるだろう、だから俺は中学の時誰とも会話をしなかったので...いや出来なかったので、こうして会話をしていたのだ。
八幡(しまった...)
1つ見落としていたことがあった、俺の観察対象である、雪平ふらのは俺の後ろの席なので見ることが出来ないのだ。
俺はそのあとの時間も雪平ふらのを笑わせるために観察しようとしたのだが時間だけが過ぎてしまいあっという間に放課後になってしまった。
俺は雪平ふらの笑わせるというミッションの難しさに今日1日で気づき重い足取りのまま家に帰った。
俺は家に着くと今日一日で考え込んでいたことが馬鹿だったんじゃないかと思わせる程の光景が広がっていた。
ショコラ「あーふひがやさんお帰りなさい」
俺が家に入るとショコラが口一杯にお菓子を頬張っていた。
八幡「・・・お前は何をやってるんだ?」
ショコラ「お腹が空いたのでお菓子を食べてました♪」
八幡「いや、それ俺のお菓子じゃ」
Prrrr
ショコラに文句を言おうとしていたら携帯の着信がなったのでまた神かと思いながら画面を見ると着信の相手は小町だった。
俺がこっちで一人暮らしするにあたって一番危惧したのは、小町と離れることだった、千葉の兄は皆妹大好きなのだ。
ピッ
俺は慌てて小町からの着信に出た。
八幡「もしもし、小町か?どうしたんだ?」
小町「あ!お兄ちゃん、久し振り~、あのね今週の土曜日に小町だけお兄ちゃんの寮に行こっかなーて思って電話したの!」
八幡「うんーそうかそうか...えと小町さん?」
小町「何?お兄ちゃん」
八幡「寮に泊まりに来んの?」
小町「うん、そうだよぉ!・・・迷惑だったかな?」
小町が悲しそうな声を出している...これはお兄ちゃんとして言うしかない!
八幡「そ、そんなことないぞ、小町...お、俺も久し振りに小町に会えるのが嬉しくて「誰と話しているんですか?八幡さん」・・・」
八幡(・・・ショコラの存在を忘れてた...)
小町「・・・ねえ?お兄ちゃん、今の声誰かな?」
八幡「い、いや、それは「私の名前はショコラです!」て!おい、何言ってんだよお前は!」
小町「お兄ちゃん...まさか寮暮らしだからって部屋に女の子住まわせるなんてことないよね?・・・今週の土曜日にゆっくり話し合おうね♪」
八幡「いや、ちょ!こま プツ、ぷーぷーぷー」
八幡「最悪だ...」
ショコラ「八幡さんどうしたんですか?」
八幡「お前のせいだよ!お前の!」
ショコラ「八幡さん、落ち着いてください」
八幡「だから誰のせいだよ!!...はぁ...」
俺の頭の中では小町に何て言い訳をすればいいかを考えて既にミッションのことなど忘れてしまっていた。