◇1 HUNTER×HUNTERにお気楽転生者が転生《完結》   作:こいし

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電車の×腹痛×地獄だね

 キルアはさして気にして無いかのようにこの話題を切りあげた。

 俺としてはそっちの方が都合が良いし、助かるのだが……俺もちょっと気になるな…俺の強さとはどれ程のモノなのか。神様に頼んで手に入れた強靭な肉体と、それを補う為のあらゆる技術。その全ての粋を注ぎ込んだ修行。それが何をもたらしたのか……凄く気になるねぇ。

 

「どうしたの?」

「……いや、何でも無いよ。少し気になる事があっただけさ」

「ふ〜ん……」

 

 俺はこの試験に少しだけ……楽しみを見出したのだった。

 

「う〜む……結構集まって来たなぁ」

「だね」

 

 に辿り着いてから数時間。募集終了時刻まであと約1時間足らずまで迫ってきた。やって来た参加者はおおよそ400名近く。しかし、未だ主人公陣であるゴンやクラピカ、レオリオは到着していなかった。いや、もうすぐ来ることは分かっている。原作通りに行くのなら、現在401番までいるのだし、405番だったゴンもいずれやってくるだろう。

 

「……来た」

 

 ぼそりと呟く。エレベーターの稼働音と3つ程の生物が近づいてくる気配がしたので、十中八九ゴン達だろう。

 なぜそこまで分かったのかというと、ただの気配察知だ。確かこの世界の異能力は気配察知も出来た筈だが、俺はそれをまだ使えないので”技術”の方で人間単体で出来得る気配察知を行っている。

 

「え?へぇ〜…俺みたいな子供、他にもいたんだ」

 

 キルアが俺の言葉に反応してエレベーターを見る。すると、そこからは予想通り主人公勢が下りてきており、ナンバープレートを配布されている所だった。確かに、このハンター試験で子供が受けに来ることはほとんどない。故に、今回ゴンとキルアはかなり稀な例だろう。

 

「そうだねぇ…まぁ、お前は結構特殊な出自してんだし…向こうもそれなりに凄い奴なんじゃないか?」

「そっか。じゃあ後で話しかけてみようかな」

「そうすると良いよ。何か得ることもある筈だ」

「分かった、じゃああとで話してみるよ」

 

 キルアはそう言うと、また参加者の顔をキョロキョロと見始めた。だが、そこへ近づいてくる影。そいつは俺達の目の前で止まると、人の良さそうな…しかし何かを企んでいそうな笑みを浮かべて話しかけて来た。予想は付いているかもしれないが、そう”新人潰しのトンパ”だ。漫画で見るよりもふっくらと太っているのが印象的だ。

 

「やぁ、君達新人だろ?緊張してないかい?」

 

 正直、俺は1巻を読んだ時点であまりこいつの事が好きではない。新人を潰す為に工作を仕組むのはまぁ良いとして、とにかくしつこいのだ。ゲームや漫画、アニメでもある様に、同じシーンや同じ物語はどんなに派手でも2度目からはやはり飽きてくる。人間は貪欲で、飽きやすい生物だからな。

 

「で、お前さんは何をしに来たんだい?」

「ああ、俺はこのハンター試験を何回も受けてるからね。大抵の事は何でも知ってるんだ。見たとこ新人の君達に知りたい事があれば教えてあげようって思ってね。そら、お近づきの知るしにこれをやるよ」

 

 トンパは俺とキルアに一本ずつ缶ジュースを渡してきた。仕方なく貰うが…あまり飲むのは気が進まない。下剤入りと知ってるなら飲みたくは無くなるだろう。

 皆、電車通学……または電車通勤をした事はあるだろうか? 前世じゃ俺もそうだったのだけど、朝起きて朝食を食べ、家を出る。その後電車に乗って移動するのだが、その移動中……腹が下ることがたまにある。その時の辛さと言ったら悶絶モノだ。二度と味わいたくは無いね。

 

「ああ、ありがとう。貰っておくよ」

「俺喉乾いてたんだ!ありがとう!」

 

 キルアは何の疑いもせずにごくごくと飲みほす。見ているだけで嫌な気分になってくるが、キルアならお家柄大丈夫だろう。毒に対する抗体も並ではない筈だ。まぁ、それを言ったら俺の強靭な肉体に毒が効くのか知りたい物だ。試したりはしないけれど。

 

「俺は後で飲もう。今は喉が渇いていないのでね」

 

 俺は余裕そうに笑みを浮かべながらそう言った。トンパは少し舌打ちをしたが、気づかないふりをしておいた方が今は楽そうだ。キルアはなんの余裕か毒をがぶがぶ摂取したが、抗体にも限度がある。安易に毒を接種するのは勧められたもんじゃないね。

 すると、トンパは新しくやって来ていたゴン達の下へと近づいて行った。

 

「さて…そろそろかな」 

 

俺がそう呟く。すると

 

 

 ――――ジリリリリリリリリリリリリリリリリ!!!!!

 

 

 試験開始のベルが鳴り響いた。

 

 


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