◇1 HUNTER×HUNTERにお気楽転生者が転生《完結》   作:こいし

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ババア×ババア

 さて、クロゼとボッチが別れてからしばらく。クロゼは持ち前の運を使って、無事に『レインボーダイヤ』を手に入れていた。これはドリアスという街のスロットの景品だ。完全に運任せのカード入手法なのだが、クロゼは此処に来てから何かと運が良い。一発勝利だった。

 そして、ボッチの方は現在マッド博士の家にあった宝箱を見つけ、『マッド博士の整形マシーン』をゲット。他三つのレアカードを入手していた。あとは罠を突破しながらマッド博士の下へ行くだけだ。

 

 なので、残るカードは『奇運アレキサンドライト』だ。有り金を全て山賊に渡さないといけないプロセスがあるのだが、そこは問題ない。何故なら、既定の金額ではなく、あくまでその人が『持っている金額全て』を渡すのだから。ならば、最低限の金額を相方に預けておき、最小限の金額を持っていけばいい。

 

「『同行(アカンパニー)』オン、ボッチ」

 

 故に、クロゼはカツアゲしたカードの中にあった移動系のカードを使う。『同行』は指定したプレイヤーか、行った事のある街に移動出来るカードだ。

 結果、一瞬でボッチのいる場所へとクロゼは移動した。

 

「お、クロゼか」

「おうボッチ、こっちは手に入れたぞ」

「ん、今俺も丁度……」

「ほれ、これをやろう」

「サンキュー爺さん………手に入れたぜ、『賢者のアクアマリン』!」

 

 丁度、ボッチも指定のカードを手に入れていた。それをクロゼは受け取る。そして、ついでにマッド博士の家で手に入れた指定ポケットカードを受け取り、本に収めた。

 

「さて、あとは山賊の村だ」

「おう……どうする?」

「とりあえず、カツアゲしたカードの中に『聖騎士の首飾り』がある。俺が山賊の村に行こう、とりあええず金を預かっててくれ」

「分かった。じゃあ俺は他の指定ポケットカードを集める。手頃な入手方法のカードは結構あるからな」

「頼んだ」

 

 すると、ボッチは『同行』のカードで近場の街へと移動していった。クロゼはそこから山賊の村へと歩き出す。

 その途中で、同じモノを欲しがっている、少女の姿をした猛者に出会う事も知らずに――――

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

 場面変わって、同じくグリードアイランドをプレイしているプレイヤー。ゴンとキルアは、珱嗄と一悶着起こした少女姿の猛者、ビスケット=クルーガーに師事を得ていた。

 彼女もグリードアイランドのプレイヤーに抜擢されていたのだ。また、彼女は少し意地の悪い嫌いがあり、ゴンとキルアの友情をぶっ壊してやろうとかアホな事を考えていたのだが、ゴンとキルアの才能を見て、簡単に手の平を返した。いきなり現れて念の使い方を教えてやる的な言動で迫って来たのだ。

 

「それにしても、あのオウカといいコイツらといい……才能溢れる奴らがこんなにごろごろいるものかしら?」

「オウカ? ねぇビスケ、今オウカって言った?」

「なによゴン、アイツと知り合い?」

「うん! 少し前のハンター試験で一緒だったんだ!」

「……ふーん……ってことはアイツって念能力を手に入れたの本当に最近ってことだわさ!?」

「え? う、うん多分」

「それなのにあの実力……原石中の原石じゃない……」

 

 ビスケは珱嗄の事を思い出しながら眉を潜めた。

 あのオーラの量と、それを操るだけのスキル、そしてトップクラスの実力を自負するビスケが確実に躱せないと感じたあの発と、それを実現させてしまう身体能力、どう考えても最近念を習得した者の動きでは無い。しかも、まだ発展途上ときた。化け物クラスの才能、同じ人間とは考えられない位だ。目の前にいるゴンやキルアも世間的に見ればかなりの原石、なのに珱嗄と対戦したビスケからすれば、霞んでしまう。

 

「とはいえ、アイツの修行を手助けした私が言える事じゃないだわさ……」

 

 顔をフルフルと振って思考を切り返る。元々、自分がそんな事を言える立場にはない事くらい、彼女は分かっている。しかも、珱嗄と比べれば霞んでしまう才能とはいっても、何れビスケを超えられるであろう才能だ。ここで切り捨ててしまうのはもったいない。

 

「ほらほら、さっさと掘りな!」

 

 ビスケはゴン達にツルハシを渡して、オーラで纏わせ強化する『周』をやらせていた。そしてそのツルハシで積み重なった山を掘り進むのだ。これが現在ゴン達がやっている修行。オーラを正確に操作する修行だ。

 

「「おう!!」」

 

 素直に掘り進むゴンと、ぶつくさ言いつつも掘るキルア。強くなれるのなら、多少は我慢するということだろう。

 ビスケもその素直さ加減には感心するモノがあった。と、そこに

 

「あれ?」

「ん?」

 

 クロゼが現れた。

 

「アンタ誰よ?」

「クロゼってモンだ。そういうアンタは………金髪くるくるヘアーに……少女姿で……綺麗な纏……あ! そうか! お前ババアだな? ババアだろ!」

「ぶっ殺すぞお前!!?」

「いやー、オウカの奴に聞いてた通りの特徴だな。直ぐに分かったぜ、なぁババア」

「よーし分かった、元凶はあの男ね? 次会ったらぶっ殺す!」

「ところでババア」

「私の名前はビスケット=クルーガー! ババアじゃない!」

「え………」

「おいどうしたその反応は?」

「い、いやオウカの奴からアンタの名前はババア=ヒスッテルって聞いてたから……」

「あ、あぁぁぁああの野郎ォォォォォォォォ!!!!!」

 

 ビスケの雄叫びに、ゴンとキルアがびくっと肩を震わせた。

 


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