◇1 HUNTER×HUNTERにお気楽転生者が転生《完結》   作:こいし

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旅団×の×動き

 ウボォーが戻らない。この事実を受け止めた幻影旅団の中で、一つの仮説が立てられていた。ウボォーギンは以前見えない鎖によって捉えられ、攫われた。それをやった組織から、旅団のメンバーはウボォーを一度助け出したのだが、その際ウボォーは自身を捉えた鎖使い……この場合はクラピカだ。クラピカに顔面を殴られたらしい。

 故に、その恨みや怒りをクラピカを殺すことで晴らそうとし、一対一でクラピカとの勝負に挑みにいったのだ。その途中で珱嗄に攫われた訳だが、旅団が知っているのは『クラピカとの殺し合いに向かった所まで』だ。

 

 そこで立てられる仮説は当然こうなる。

 

 

『ウボォーは鎖野郎と戦い、死んだ』

 

 

 色々と他の可能性を探れば考えは浮かんでくるが、ソレが一番可能性が高い。

 

「クソッ! 鎖野郎……ぶっ殺す!」

 

 旅団の中で、珱嗄と同じ刀を持つ侍の容姿をした男、ノブナガが肩を震わせて言った。このノブナガはウボォーと特に仲が良かった。共に戦えばより一層実力を発揮する事が出来る相棒の様な関係だったのだ。

 そんなウボォーが死ねば、ノブナガは当然怒る。激怒し、歯を食い縛り、憎悪する。

 

「団長よぉ……鎖野郎を俺に殺させてくれよ!」

 

 座る団長、クロロにノブナガは懇願する。だがクロロはこの状況下で別の可能性に不安を抱いていた。それは、ウボォーが鎖野郎に殺されたのではなく、あの珱嗄によって殺された、または攫われたという可能性。珱嗄が関わって来ていた場合、ノブナガでは確実に殺されるだろう。そしてその戦闘で蜘蛛への敵意を抱かれでもすれば、最悪蜘蛛の消滅もあり得る。

 

「………っ」

「団長!」

「………分かった、好きにしろ……だが一つだけ言っておく、ウボォーがまだ死んだと確定した訳でじゃない。もし生きていた場合は救い出すことが最優先だ」

「ああ……それでいい」

「そして、ここからが重要だ。もしウボォーを連れ去った、もしくは殺したのが鎖野郎だった場合は好きにしていい。殺すなりいたぶるなりすればいい……だが、もしもその相手がこいつだった場合は……関わるな。間違っても蜘蛛全体に敵意を持たれる様なことは避けるんだ」

 

 クロロは珱嗄の写真に指を置きながらそう言う。あの時、珱嗄と対面したあの時感じたあのうねる様なオーラの量と、刺す様な殺意と威圧感。敵としてやり合いたくはないと考えるのは必至。まして、自分自身ならまだしも蜘蛛全体が珱嗄の敵として認識されれば、全滅を回避したとしても大きな損害になるだろう。

 

「アンタがなんでそいつとの関わりを避けてぇのかは知らねぇが……一応は了解したぜ……ただ、そいつがウボォーを殺していたら、悪いが俺は自分を抑えきれねぇかもしれねぇ……そうなったら、精々、俺単体に敵意が向くよう努力する」

「……それならいいが、くれぐれも注意してくれ。とりあえず、マチはノブナガに付いてくれ、フィンクス、パクノダ、フランクリン、フェイタンは補佐を。状況に応じて臨機応変に対処しろ」

 

 団長の言葉に、ノブナガ達は一つ頷いて返す。そして、そこからウボォー捜索に本腰を入れる。

 だが、そこに一つ声が掛かった。

 

「本当に気を付けなよ♡」

「ああ? どういう事だヒソカ」

「鎖野郎がどんなものか僕は知らないけど……その写真の男……オウカはつい先日まで一緒に行動してたんだ♡」

「何っ!?」

「念を覚えたのはここ二ヵ月間の事だし、僕の知る限りでは発はまだ習得してない♦ でも、念を覚えていない状態でも僕と同等以上に戦える才能(センス)を持ってる♡ 最後に別れてからもう一ヵ月ちょい……今はどれほど強くなってるか分からない♡」

 

 ヒソカの言葉に、ノブナガ達が恐れを為した様子はない。

 

「そんなに強ぇのか?」

「ああ……このまま行けば最強も狙える素材だとおもうな♡」

「だが、そんなの関係ねぇ……将来性がどれだけあろうが、どれだけ強い奴だろうが、ウボォーを殺ったならどんな奴でもぶっ殺す。それだけだ」

「まぁ、それなら別に良いけどね♣」

 

 ヒソカはそう言って、もう何も言うまいと黙った。そして、ノブナガ達が忙しなく動く中考える。自分が言った事は間違っていない、実際に珱嗄は強いと考えているし、おそらく将来的には最強の座に立つ者かもしれない。

 その筈なのだが、

 

(どうして僕はそんなオウカに対して……戦いたいと思えなかったのかな♦)

 

 珱嗄に対して戦闘衝動とも言える意欲が湧かなかったのか、あれほどほぼ完成された実力者とやり合いたいと思えなかったのか、分からなかった。

 

(次会った時は、ちゃんと戦いたいと思えるようになってると良いな♡)

 

 ヒソカは取り敢えず、そう結論付けて、その時を楽しみにすることにした。

 

 

 

 

 

 

 


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