◇1 HUNTER×HUNTERにお気楽転生者が転生《完結》   作:こいし

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道中×の×会話

 さて、キルアと出会ってから約2時間、俺達はやはりまだ道を歩いていた。ああ、違うな。歩いているのは俺だけで、キルアは持っていたスケートボードで軽快に滑っている。いいなぁあれ…皆も分かるかもしれないが、他人が美味しそう、または楽しそうに持っている食べ物や道具は何故かとても美味しそうとか面白そうに見えるもんだ。

 

「そういえばさぁ」

「何だ?キルア」

「オウカっていくつなの?背丈からしてみれば多く見積もっても20歳位だけど…」

 

 キルアは和名の俺の名前をカタカナで呼ぶ。やっぱり、この世界で和名は違和感があるようだ。世界が判明して無い時に作った名前だったからなぁ。

 

「ああ、俺は18歳だ」

 

 前世も合わせたら36歳だけど。肉体年齢を見たら18歳だよね。

 

「へ〜…結構貫禄あるんだな」

「そりゃどうも」

「あ、そうだ。オウカってなんでハンターになりたいんだ?」

 

 なんだ、質問攻めだなぁおい。まぁ、殺し屋としては相手の情報はいくらでも欲しいか。職業病だな、キルア君よぅ。

 

「ハンターライセンスって結構便利らしいじゃん。だからだよ」

「なるほど。あ、俺はハンター試験がかなり手強いって聞いてたからなんだ!」

 

 うん、聞いてないぞ俺は。お前の参加理由なんて。

 

「ふ〜ん…結構子供っぽいんだねぇ」

「む、俺の何処が子供っぽいんだよ!」

 

 おっと、少しばかり不機嫌にさせちまったようだ。悪い悪い。

 

「ん、いやなぁ…あれだいろんな物に挑戦したくなる少年心とかね」

「オウカには無いのか?」

「いや…あるよ。少年の心は何時だって忘れちゃいけない」

「なんだ、オウカも子供じゃん」

 

 どうやら、誤魔化す事は出来たようだ。さて、そろそろザバン市に着いても良い頃なんだけどなぁ…

 ふと立て札を見ると、右:ザバン市。左:スルナ市と書いてある。うん、着いた着いた。

 

「こっちだな」

「ザバン市?そっちで合ってんの?」

「そうだよ」

 

 キルアはやっぱり会場を知らなかったようで、ザバン市と言ってもピンと来ていないようだった。

 

「さ、行こうぜ」

「おう」

 

 俺とキルアは並んでてくてくとザバン市に向かって行った。

 

「さて、着いたなぁ」

「ああ」

 

 ぐい〜と身体を伸ばしながらそう言うと、キルアはキョロキョロと周りを見渡しながらそう答えた。まぁ、会場を探しているのだろう。こっからは確か一本杉を目指すんだったか。焼き肉屋に入ってた描写もあったし。

 

「さ、行こうぜ」

「場所知ってんの?」

「まぁ、ついて来いよ」

「…分かったよ」

 

 キルアは少し疑いつつも付いてくるのだった。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 キルアside

 

「さ、行こうぜ」

「場所知ってんの?」

「ま、ついて来いよ」

「…分かったよ」

 

 俺は今、試験会場に向かう途中で出会った着物姿の男。オウカと共に会場に向かっていた。

 最初に出会ったのは、ただの偶然だった。俺がオウカに話しかけたのがきっかけ。会場の場所を知らないか聞こうと思っただけだったんだけどね。

 これまでオウカにいわれるままに付いてきたけれど、結構疑う部分が多い。オウカはさも場所は知ってるかの如くさくさくと歩き、ザバン市までやって来たし、今だってどこへ向かえばいいのか知っているかのように歩きだした。

 一体何を知っているのかは知らないけれど…俺を騙している可能性もある。どうしたものかな…

 

「ああ、そうだ。キルア」

「!…な、なんだよ」

 

 オウカに対して後ろめたい考えを思考していたから少しだけ焦った。だがオウカは少しも気に掛けずに言った。

 

「お前――ゾルディック家の奴だろ?」

 

 俺の思考はその時、ぴたりと止まってしまった。

 

 

 ◇

 

 

 珱嗄side

 

 

「…」

「……っ」

 

 キルアは俺の問いに眼を見開いて立ち止まってしまった。聞くべきでは無かっただろうか?

 

「な、なんで知ってんだ?」

「いや、お前の雰囲気とかやたら俺の事を知ろうとして来たからな…それにお前の気配は血と殺しを経験してきた者のそれと同じだ。考えられるのは殺し屋か…殺人狂。でもお前には狂っている感じはしないし、殺人を快楽に思っている感じもしない。すると残るのは殺し屋だよな」

「……」

「ここらで有名なのはゾルディック家。だからカマを仕掛けてみたが…ビンゴだったな」

 

 キルアは俯いて、一言も発さない。殺し屋と知られたのが気まずいのだろうか?

 

「ま、それは良いんだ。別に殺し屋だろうと殺人狂だろうと一緒だしね」

「!…いいのかそれで」

「いいんだそれで。殺し屋と二人旅とか面白いじゃないか」

 

 面白ければ、それでいい。この状況はあまり体験できるものではないしね。

 

「そっか…」

 

 キルアは少しほっとしたような、嬉しそうな顔で呟いた。さて、そろそろかな

 俺はそう思い、目の前に視線を移動させた。そこには、しわくちゃな顔をにたりと歪めて道の真ん中に立っている老婆がいたのだった。

 

 

 


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