◇1 HUNTER×HUNTERにお気楽転生者が転生《完結》   作:こいし

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少年×合流

 珱嗄とクロゼの得意性質が割れた所で、ヒソカを含めた三人は200階へとその足を踏み入れていた。試合はまだ行なってはいないものの、登録を済ませ、一息付く段階にまで来た事は事実だ。

 この時点でファイトマネーも2億を超え、珱嗄達は揃って大金持ちとなっている。だが、200階以降はファイトマネーは発生せず、正真正銘命懸けの試合を行なう場となる。強いて言うのなら、戦いぬいた先には大きな名誉が待っている。ので、あながち試合だけの場というわけではないのだが。

 

 またそれとは別に、珱嗄とヒソカの二人にとっては少し気になる出来事が起こった。それは、一旦200階に登録して1階に下りて来た時の事だ。そこに見知った顔があった。ハンター試験で出会った時以来、挨拶無しに別れた可能性のある少年達。

 

 そう、ゴンとキルアだ。珱嗄達が此処に来て200階に上った丁度その時、彼らも天空闘技場へとやって来ていたのだ。クロゼはゴン達と会った事はないが、珱嗄達がゴンを見つけた事で、会う事となった。

 

「オウカ! 久しぶりだな! というかなんで挨拶も無く行っちゃったんだよ!」

「うるせぇなキルア……めんどくさかったんだよ」

「結構酷い!?」

「というか、なんであそこメンチ切ってんの? 怖いんだけど」

 

 クロゼが指差した先をキルアと珱嗄はふいっと見る。そこではゴンとヒソカがなにやら黙って見合っていた。というか睨み合っていた。正直、ゴンがめちゃくちゃ敵意満載で視線を送ってるのが怖い。

 

「ああ……あのツンツン少年はヒソカが好きなんだ。もうラブっちゃってんだよ。だから愛の視線を送ってる訳だ。で、ヒソカの方はあの少年をエロい目的で狙ってんだよ。もう存分に舐め回したいと思ってんだよ。だから色目使ってんの」

「違うんだけど!?」

「ヒソカなんて好きじゃないよ!」

「あ、それはそれで傷付く!!」

 

 ヒソカとゴンが反論し、ゴンの言葉にヒソカが傷付いた。

 

「でもヒソカあれだろ? 変態だろ?」

「君は僕がゴンをどうしたいと思ってる訳?」

「え、青い果実とか言ってはぁはぁしながら押し倒し、最終的にペロリシャス」

「ぺロリシャァァス!?」

 

 珱嗄の言葉にヒソカはそう叫んだ。そして、珱嗄はそんなヒソカを放置してゴンに向き直る。

 

「やぁ確かゴンだったっけ?」

「う、うん……ゴン=フリークスだよ」

「え、何引いてんの?」

「いや……」

 

 ゴンが崩れ落ちたヒソカをチラ見しながら珱嗄に対して若干引いていた。というのも、ゴンはヒソカにハンター試験でかなり痛い目にあわされているのだ。故に、ヒソカにはかなり強大な相手、という印象を持っていただけに、それを軽くあしらう珱嗄に少しだけ恐怖に似た感情を抱いたのだ。というより、ヒソカがそんな感じで自分を見ていた事がおぞましかったようだ。

 

「まぁ、いいか……一つよろしく」

「あ、う、うん……」

 

 珱嗄の差し出した手にゴンはおずおずと握手を交わした。

 

「あ、そうそうキルア。俺達200階にいるから『気が向いたら』おいでよ」

 

 珱嗄はキルアに顔を向けてそう言う。キルアはその言葉に対して、200階に珱嗄達がいるという事実ではなく、『200階に居るから上って来れるもんなら上って来いよ』という言葉に込められた意味を汲み取って息を呑んだ。そして、ハンター試験の時よりも珱嗄との実力に大きな差が付いてしまっている事を理解した。あの時の珱嗄と今の珱嗄では、圧倒的に何かが違ってしまっている。

 

 念能力を習得した事で、珱嗄はキルアとの差を大きなものにしていたのだ。それに、珱嗄が昔の仙道桜という自分と決別したことも、恐らく要因となっているのだろう。

 

「さて、と……それじゃあ飯でも食いに行くか。クロゼ、行こうぜ」

「ん、もう良いのか?」

「ああ、200階までに念を習得してれば上がって来るだろ……ヒソカそんな所に転がってると邪魔だよ」

 

 珱嗄は拗ねて寝転がるヒソカを足蹴にして通り過ぎる。クロゼは少し申し訳なさそうにしながらもヒソカを踏んで行った。

 

「いや踏む必要無かったよね!? 申し訳ないなら踏まないでよクロゼ!」

「あ、ゴメンなんか言った?」

「ぺロリシャス!!」

 

 ヒソカは頭を抱え、仰け反る様にして自身の荒ぶる感情を表現する。というかペロリシャス気にいったのだろうか?

 

「というかさっきからお前マーク使えて無いな」

「おっと? 君のせいだよね? もっと言えば君達のせいだよね?」

「ごめんね♡」

「僕の! アイデンティティ! がっ!!」

 

 仰け反りが更に仰け反ってもはやブリッジだ。だが何故か楽しそうなのが少し不安になって来る。もしかして真性の変態だったのかと。

 

「冗談は此処までにして……いい加減飯食いに行こうぜ?」

「あいよ」

「オッケー♠」

 

 珱嗄の言葉でクロゼもヒソカも切り替わった様に普段の調子に戻り、歩きだした。そして、ゴンとキルアは去っていく珱嗄達が雑踏の中に消えて行くのを見送って、はっと我に帰る。

 

「……なんというか、凄い奴だよな……オウカって」

「俺はなんとなく苦手かも……」

 

 珱嗄と最初に会った原作キャラであるキルアは、珱嗄と仲良くなった。だが、主人公であるゴンは、珱嗄に苦手意識を抱いたようだった。

 

 

 


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