◇1 HUNTER×HUNTERにお気楽転生者が転生《完結》   作:こいし

2 / 74
奇妙×な×出会い

 俺が転生してからおおよそ5年。転生時は赤ん坊であった俺は、現在5歳。だが、類稀なる身体能力に加え、人間の出来得る技術を全て持っている俺は、立ち歩く事は1歳時に出来ていた。最近では思考を言葉にする事が可能になり、舌っ足らずな口調も最近は落ち着いてきた。

 ところで、生まれた時から考えてはいたのだが……この世界は一体どの世界なのだろうか。あの神様の管理下にある世界はアニメや漫画等の空想の世界と言う事は分かっている。だが、空想の世界とはいえその数は大量にあるのだ。特定はかなり難しい。

 とはいえ、最近では結構絞り込めていると思う。俺は探偵等の推理技術を使って森に生息していた生物や環境を材料に、ONEPIECEやドラゴンボールまたはHUNTER×HUNTERの世界ではないかと推測しているのだ。生物はオオトカゲや見たことも無い生物がいるし、森と言う環境ならありそうだからな。しかし恐竜がいないので、ドラゴンボールの線は薄いと思う。

.

 

「となれば…やっぱりHUNTER×HUNTERかなぁ…」

 

 まぁ、どれにせよ…候補は全て気を抜けば死んでしまう世界だ。鍛えておいて損は無いだろう。幸いにして全ての技術の使用法や知識は全て頭に入っている。鍛錬技術もあるから困りはしないだろう

 よって俺は5歳より、修行を開始するのだった。

 

 

◇◇◇

 

 

そして、それから13年ほど経って俺は18歳になった。おおよそ前世での年齢に追い付いた。修行も適度に修めたさ。まぁ、世界の特定も出来た事しね。どうやってかって?

 俺は今から1年ほど前に森を出たんだよ。とりあえず、海はさっぱり見当たらなかったからONEPIECEの世界の線をばっさり切り落としていたのだけど、とある賑やかな町に立ち寄った時のことだ。ゴミ箱に捨てられていた新聞を拾い、この世界の事を知ったんだ。

 予想はついていたが、この世界はHUNTER×HUNTERの世界。拾った新聞には一つの記事があったのだ。それが

 

 ―――ハンター試験今年も開催。参加者はこぞって参加しろ!

 

 もう分かるだろう? この記事があるなら世界の特定は簡単だろう。

 だが、その新聞の日付は1998年の○月×日。原作開始の1年前だ。だが、俺は正直言うとこの物語の原作をほとんど知らないのだ。コミックスで1巻しか読まなかったからな。

 

「どうしたもんかな…」

 

 その日より1年。つまりは現在な訳だが…ハンター試験に主人公であるゴン=フリークスは出てくる筈なのだ。だが、それに出ようにも場所が分からない。

 

「…そういえばハンター試験は試験会場に辿り着く所から試験なんだっけ…?」

 

 となれば、とりあえずこの地を去ることから始めた方が良いだろう。試験開始まであと1週間と少ししかないのだから。

 

「そうと決まれば善は急げ。さっさとこの地を去るとしようか」

 

 そう呟くと、俺は踵を返して道なりに歩いて行くのだった。

 

「さて…ハンター会場は確か…え〜…っと。ザ…バン市だったか。え〜と、地図地図っと」

 

 街で地図を盗んだのだが、前世とは違う地図に少し困惑する。しかし、結構シンプルな地形をしているので理解に手間取ることは無かったけどね。

 

「あっちか」

 

 俺は地図に従ってザバン市に向かう。こういう所は1巻でも原作を読んでいて良かったと思うね。

 

「それにしても…少し不格好かな?」

 

 俺の服装は赤ん坊の頃から変わり無い。転生地は赤子だったので身体を包んでいた毛布で事足りていたのだが、やはり身体は大きくなるもので…そんなものでは足りなくなってくる。今ではその辺にあった大きめの葉を工作技術でかろうじて服にしているだけだ。

 

「う〜ん…次の街で服を盗るか。こんな恰好でハンター試験に行くのは少し場違いだし」

 

 そう言いつつ歩くが、正直この服装は結構動きやすいし涼しいので楽っちゃ楽なのだけどね。

 

「さて」

 

 しばらく歩いていたら街が見えてきた。新聞を拾った街より大きく、賑やかな街だ。とりあえず、予定通り服を盗った。

 黒いインナーに袴。その上から蒼黒い羽織を着て、帯を乱暴に巻いている状態だ。動きづらくは無いし、風通しも良いので重宝しそうだ。

 

「ザバン市まであと数km…期限はあと3日か…どうにか間に合いそうだな」

 

 結構歩いたが、食糧は野草や野生動物を狩って何とカ出来てるし、修行も欠かしていない。

 

「なぁ、お兄さん」

「ん?」

 

 そこで一人の少年に出会った。銀髪の癖っ毛。若干吊り眼で見た目は可愛らしい子供だ。年齢は12、3歳って所か。

 だが、雰囲気や匂いはプロのプレイヤーそのもの。百戦錬磨とは言わないが……人を殺した事のある人間だろう。だが……どこかで見たことがあるんだよなぁ…

 

「俺、ハンター試験ってのを受けに行きたいんだけど…試験会場って分かる?」

「ああ…俺もハンター試験を受けに行くんだよ」

「そうなの?じゃ、一緒に行こうぜ!」

 

 少年は人懐っこい笑顔を浮かべてそう言った。まぁ、一緒に行くくらいなら良いだろう。仲良くしていれば殺し合いになることも無いだろうし

 

「いいよ。じゃ、行こうぜ」

「おう!あ、そうだ。名前言ってなかった」

 

 少年ははっと気付いた様な顔でそう言い、俺に手を伸ばして

 

「俺の名前はキルア!よろしく!」

 

 と言った。 なるほど、キルアか。聞いたことのある名前と思ったら…ゴンの親友じゃねぇか!!

 ま、結構好きなキャラだったからいいか。少し原作キャラに出会う事が出来て結構興奮している。ヤバい、ガチで嬉しい。

 っと、自己紹介しないとな。前世の名前は使わずに、新しい名前を作ったんだ。折角だしそれを名乗らせてもらおう。

 

「キルアか、良い名前だな。俺の名前は――珱嗄(おうか)、面白い事が大好きな男だよ」

 

 泉ヶ仙珱嗄(いずみがせん おうか)。それが俺の名前。この世界では珱嗄=泉ヶ仙になるのかな?

 とにかく俺はそう言って、キルアの差し出した手を握った。

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。