◇1 HUNTER×HUNTERにお気楽転生者が転生《完結》   作:こいし

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最終×試験×終了

 最終試験は、今までの様な少し間接的な試験では無く、ただ単に参加者同士での試合だった。トーナメント形式の試合であり、勝った者から抜けて行くシステムになっている。そして合格条件は、『試合に一回勝つこと』それだけだった。

 トーナメント表としては、まず第一試合のゴンVSハゲに始まり、その他事前の面談を考慮した上での対戦表となっていた。珱嗄の相手は、ポックルである。そう、あのポックリ死にそうと感想を漏らした相手の、ポックルである。もう一度、ポックルである。ポクポクポックルである。

 ちなみに第二試合。ゴンの次だ。

 

 で、ゴンの試合だが……相手はハゲ、もとい修行僧が忍者のコスプレした様な容姿の男、名前はハンゾーだ。この試合では、ゴンとハゲの実力差が大きく、ゴンが圧倒された。だが、ハンゾーによる苛烈な攻撃にボロボロにされたゴンは、それでもあきらめない意思を見せつけ、ハンゾーを根負けさせた。この試合では殺害は禁止、つまりそれ以上攻撃するとゴンを殺してしまう事になると判断したハンゾーは、負けを認めさせる事は出来ないだろうと判断し、敗北を認めたのだ。故に、ゴンは納得していないが、合格した。まぁその後、ゴンは気絶してしまったが。

 

 続いて、珱嗄の試合だ。

 

「よろしく」

「……あ、ああ」

 

 ポックルにそう言う珱嗄。だが、ポックルは何処か珱嗄に恐怖を抱いていた。自分でも原因が分からない恐怖が、身体を支配していたのだ。

 

「では、第二試合――――開始」

 

 審判が、そう言った――――その瞬間だった。

 

 

「――――ッッッ!!?」

 

 

 背筋が凍った様な感覚、そして、圧殺されるかと思う程の圧力。身体が石の様に塊、鉛の様に重くなった様な錯覚を覚えた。ポックルは、動けない。歯が上手く噛み合わないかのようにカチカチと音を立て、顔から血の気が引いていくのが分かる。肌がぞわぞわとざわめきあった後、全身に鳥肌が立っているのが分かった。別に疲れてもいないのに、汗がダラダラと流れ落ちる。今にも、潰れて死んでしまう様な思いだった。

 

「ぅ……ぁ………!」

 

 ポックルは、眼球を動かして、視線を前へと向けようとする。ただ、それだけの行動に、随分と時間を掛けてしまう。そして、その視界にその圧力の原因を捉えた。

 

 

 

「――――^o^」

 

 

 

 にっこりと笑っている、珱嗄。ただ佇んでいるだけなのに、その表情と視線からは、どうしようもない圧力と、圧倒的な実力差が感じ取れた。そして、珱嗄は視線で告げた。

 

 

 ―――降参しないと怒っちゃうぞ☆

 

 

 ポックルは、その視線の意味を『降参しねぇなら、此処で殺す』と取った。そしてソレが嘘ではないという事も理解した。此処で下手に動けば、殺される。

 

「こ………う……降参……します……!」

 

 ポックルは膝を着き、半ば土下座の様な体勢のまま、激しいと動悸と息切れに意識を失いそうになりながらも、そう言った。弱肉強食、食物連鎖の様な関係でいうのなら、今の珱嗄とポックルの間には、確実に珱嗄が頂点に立ち、ポックルはその下に位置していた。

 

「ん、そうかい」

 

 珱嗄がそう言ってゆらりと笑うと、ポックルはビクッと身体を震わせた。それと同時、ふと圧力が無くなった事に気付いた。

 その事に気付いた数秒後、ハッとなって息を吸った。暫くの間呼吸が出来ていなかった様な気さえする。ポックルは懸命に酸素を吸う。そして、珱嗄はポックルに背を向けて試合場から観戦者のいる所へ戻っていった。第二試合は、ポックルの敗北で終わったが………ポックルはしばらくの間、その場から動く事が出来なかった。

 

「やっぱ、ポックリ死にそうだよなぁ………ポックル」

 

 珱嗄はそう言って、苦笑した。

 

 その後、珱嗄は他の試合を見る事無くハンターライセンス証明証を貰ってその場から去った。取り敢えずキルアやヒソカに挨拶すべきか迷ったものの、なんだか試合中に面倒な展開になっているようで、関わるのも面倒だったので止めた。

 

「さてさて……どうしたものかな?」

 

 珱嗄はそう言って、ゆらりと笑った。

 

 

 


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