今回はリクエスト回、お料理を穂乃果ちゃんが作ります!
と言っても、お料理描写は・・・うん。
アンケをTwitterにて行ってみたところ、圧倒的に"作ってもらう側の視点で書いてほしい"と結果になり、こうなりました。
穂乃果ちゃんが可愛いと思っていただければそれで充分です。
「じゃあ光穂、穂乃果、お留守番お願いね♪」
「はああ!?」
両親と雪穂は、俺ら2人を置いて日帰り旅行に行くようです。
穂乃果の手料理
「じゃあ行ってくるね~♪」
「くそが!! 俺と穂乃果も連れていk「行ってらっしゃ~い♪」えっ!?」
一番文句を言いそうな穂乃果が、素敵な笑顔で3人を送り出していた。な、なんでや?
「ほ、穂乃果、お前行きたくないのか?」
「え? うーん、確かに行きたくないって言ったらうそになるけど……」
「けど?」
「お兄ちゃんがいてくれるから、それでもいいかな♪」
「穂乃果はやはり可愛い」
うちの妹はなんて天使なのか……あ、もう一人の
そう思っていたとき、俺のスマホが震えた。見ると、アプリの着信が。雪穂からだ。
『旅行行きたかった? ねえねえ旅行行きたかった?』
すごぶる俺を煽ってきた。この悪魔め! すかさず返信した。
『へっ、別にいいわ! 悪魔なお前と違って、こっちには大天使が居てくれてるからな!!』
『悪魔で悪かったね!! でもまぁ、たまにはお姉ちゃんと2人きりってのも悪くないでしょ? それに、お姉ちゃんは割と喜んでたよ? お兄ちゃんと2人きりだ! って』
穂乃果が喜んでた? まぁ、俺も嬉しいけどさ。
『おう、穂乃果が喜んでるんならそれでもいいわ。俺も、穂乃果と2人きりになれて嬉しいしな』
『うん、そうだと思ったよ、お姉ちゃんに伝えておくね!』
『えっちょっとまて雪穂!!!』
伝えると言われて心底焦った俺は慌てて雪穂に返信する。しかし数分しても返信がない。まさかと思い、ちょっと離れたところにいた穂乃果を見る。
「はわ、はわわ……」
「あ、あいつやりやがったな」
穂乃果は俺を真っ赤な顔して見つめていた。雪穂のやつ、本気でやりやがったな……
「ほ、穂乃果、あの、だな。雪穂から聞いたのか?」
「……コクッ」
「やっぱりか。で、さ。俺も聞いたんだ、穂乃果が喜んでるって。それ、本当なのか?」
「……コクコクッ」
「天使かよ」
言葉もなく、ただただ顔を真っ赤にさせながら頷く穂乃果。恥ずかしがる穂乃果を見るのは結構あるけど、こういうのは初めてかもな。こりゃ、雪穂に感謝かな。
『ま、期待しときなよ』
穂乃果とやり取りをしてる最中に、雪穂からこんなメッセージが届いていた。何に期待しろと……?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「お、お兄ちゃん! ちょっとの間だけ、お部屋に戻っててくれないかな……?」
「えっ」
少ししてから唐突に穂乃果からそんなことを言われた。
「お、俺もしかして邪魔だったか? 実は1人きりになりたかったとか」
「ち、違うのっ! お兄ちゃんとはずっと一緒にいたい――――ってそうじゃなくって! 1時間くらいでいいの! ちょっとだけしたいことあるから、あんまり見られたくなくって……ダメ?」
「うん、穂乃果がそういうなら別にいいぞ。本当に1時間でいいのか?」
「うんっ! すぐに終わらせるから、絶対に降りてこないでねっ!」
「お、おう……」
穂乃果のお願い通り、俺は部屋に戻った。
部屋に戻ってすぐ、俺は雪穂にメッセージを送った。
『な、なぁなぁ穂乃果から部屋に戻れってお願いされたんだけど』
するとすぐに返信がきたので、そのままやりとりする
『ふーん』
『ふーんってなんだよ!! 軽くねえか!?』
『お姉ちゃんなんて言ってたの?』
『え? いやだから部屋に戻れって』
『それだけじゃないでしょ? 何も言わないでただ部屋に戻れなんてお兄ちゃんに対して言わないと思うし』
『他のこと……あんまり見られたくないとか、1時間でいいから、とか』
『ふーん。じゃあお姉ちゃんの言う通りにしてなよ』
『あ、あぁ。穂乃果のお願いだから破る気はないけどさ……とりあえず、嫌われたとかそういうのじゃないんだよね』
『うざい、くどい、女々しい、まるで悪い意味でのB級グルメみたいだねお兄ちゃん。嫌われてるわけないじゃんこの鈍感クソ兄貴』
『えぇっ!? そりゃいくらなんでもひどくない!? お兄ちゃん泣くよ!? 泣いちゃうよ!?』
なお、これ以降は返信どころか既読すらつかなかった模様。俺は辛さを紛らわすため、このまえもやったテレビゲームを始めた。
今日はこの2つ目のステージを何としてもクリアするぞ……!
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
コンコン、穂乃果から部屋に戻れと言われて30分ちょっとしたところで、部屋のドアをノックする音が。
「あいよ~」
「お、お兄ちゃんっ、もういいよっ! 終わったから!」
「お~、終わったか~」
穂乃果が呼びに来た。1時間と言っていたけど、何だかんだ30分ちょっとで終わったみたいだ。なお、ステージクリアはできなかった。
「お兄ちゃん」
「ん~?」
「あの、その……た、食べてもらいたいものがあるんだっ」
「食べてもらいたい?」
「う、うんっ! お兄ちゃんのために作ってみたの」
「!?」
衝撃の一言、"お兄ちゃんのために"作ってみた。何を作ったかは知らないが、そんなのはどうでもいい。
「いただきますっ!!!」
迷わずそう答えた。
「えへっ♪ じゃあ、下に来てくれる? 用意してるんだ~♪」
「おうっ!」
やっていたゲームを投げだし、穂乃果と共に下に降りていった。
「で、何を作ってくれたんだ?」
「う、うんっ。これなのっ!」
「なっ!? こっこれは……!!」
「そう、お味噌汁だよっ!」
「おみそ……しる……っ!!」
"お味噌汁"
そう、日本人としては非常に馴染みの深い料理、お味噌汁。おそらく日本人で食べたことがない人はいないといってもいいほどのポピュラーな日本食であり、そのポピュラーさ故、外国人からも評価が高い。ミソスープなどとも呼ばれていて、世界的に有名である。主な材料としては豆腐やわかめなどのシンプルなものから、なめこや大根など、様々なものが使われる。味噌の汁といっても種類は様々であり、具材を変えるだけでなく、味噌にも種類があり、白みそ赤みそ合わせみそ、その他もろもろの種類の味噌があり、それぞれの家庭でその家庭ならではの――――
「お兄ちゃんっ!!」
「はっ!?」
おっと危ない、"お味噌汁"の響きにやられてついつい語ってしまった。反省。ともかく、俺は大の味噌汁好きで、毎朝味噌汁を飲んで登校している。それほどまでに好きな味噌汁を、なんと最愛の妹が作ってくれたらしい。これほど嬉しいことはない。
「お兄ちゃんお味噌汁好きでしょ? だから、練習しておきたいなぁって」
「穂乃果お前最高だわ。嫁いらないからお前が俺のそばにいてくれ」
「えっ!? あぅぅ……」
再び真っ赤にしてしまった穂乃果。いやマジで穂乃果がいてくれれば嫁なんていらないに等しいわ。むしろ穂乃果を嫁に迎え入れたい。って、これだけ聞いたらただのシスコンじゃねえか。違うから。
穂乃果が真っ赤になっている間に、俺はその味噌汁を味わってみる――――素直な感想、何かが足りない。なんだろう、塩味というか後味が弱いというか。あ、出汁いれてねえんだな、これ。
「あぅ……初めて作ってみたんだけど、ど、どうかな?」
穂乃果が心底不安そうな表情で俺を見る。おそらく、相当自信がなくて、かつ俺が味噌汁好きだと知っているから緊張している、ってところか。ふふ、そんな心配はいらないのに。俺は穂乃果を見つめ、笑って見せる。味噌汁としては少し味気ないけれど、俺は穂乃果が頑張って作ってくれたものならなんでも
「美味しいよ、ありがとう」
そう思えるから。それに実際、うす味ってだけで決して悪くないしな。
「ほ、本当!? よかったぁ……」
「美味いぞ穂乃果。さすがは俺の妹だな!」
「え、えへへ♪」
いつものように頭をなでてやると、心底嬉しそうな笑顔で喜んだ。やっぱ可愛いよ。そうやって嬉しそうに笑う顔も、誰かのために全力を尽くすその健気さも。
「よーしっ! じゃあ雪穂たちにも食べてもらおっ♪」
嬉しそうに笑いながらそう言う穂乃果。その笑顔を守るためなら、俺は全力を尽くすさ――――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「まぁ美味しい♪ これ本当に穂乃果がつくったの?」
「うんっ! お兄ちゃんにも褒めてもらったんだ~♪」
「……ほんとに美味しい。お姉ちゃん、本当はお兄ちゃんに手伝ってもらったんじゃないの?」
「そ、そんなことしてないもんっ!」
「あぁ、今回は穂乃果が全部作ってくれたんだ。美味いよな」
「……グッ」
「お、父さんも気に入ってくれたみたいだぞ穂乃果」
「えへへ♪ よかったっ!」
穂乃果が嬉しそうに笑っている。やっぱ、この笑顔がいいよな。
ふと見ると、雪穂がジト目でこちらを見つめてきていた。あ、さすがに雪穂にはばれてるみたいだわ。
実をいうと、みんなに食べさせる前に、俺がこっそり粉末タイプの出汁を入れておいたのだ。まぁそんなことしなくったって、"不味い"と言われるようなものではなかったんだけどな。
でも、もし仮に微妙な反応を示されて穂乃果の表情が濁るくらいなら、それくらいするさ。その甲斐あって、穂乃果はすごく嬉しそうにしている。
笑っているのなら、それでいい。
本当の意味での"穂乃果の手作り"ってわけではなくなってしまったけれど、これを作ったのは紛れもない穂乃果。なら、いいよな。
「お兄ちゃんに喜ばれるように、穂乃果これからも頑張るよっ!」
「ぶふっ!?」
「お兄ちゃん慌てすぎ。汚い」
穂乃果に嬉しいことを言われ焦った俺に雪穂の冷たい一言。これはさすがに胸が痛むよな。なんで雪穂は俺にデレてくれないんだ!!
「雪穂も、光穂に気に入られるように頑張らないとね♪」
「ちょっ! お母さんっ!!」
「ふふっ♪」
雪穂が何やらお母さんに言われていたが、なんのこっちゃ分からなかった。ふむ……雪穂がデレてくれるにはどうしたらいいんだろうな?
ともかく、穂乃果が作ってくれた味噌汁は、家族みんなに気に入られたのだった。こんなに愛情のこもった味噌汁、これからも飲めるのだろうか。嬉しさと共に、ほんの少しだけ不安になる俺だった。
「お兄ちゃん、絶対なにかしたでしょ?」
「……やっぱり雪穂は騙せないか。実は俺が初めに食べたとき、出汁が入ってなくって薄味だったんだよ。だから少しだけ出汁を入れたんだ」
「ふーん。ま、美味しかったからいいけどね」
「元がよかったからな。出汁なんていれなくったって、穂乃果の手作りが不味いわけがない」
「ほんっとお兄ちゃんってシスコンだよね」
「は? いや意味わかんないんだけど」
「……もう末期じゃん」
「イミワカンナイ」
雪穂にジト目でシスコンと言われてしまった。しかしもう今の俺はその程度ではひるまない。雪穂はジト目をやめると、柔らかな笑みを浮かべる。
「ま、お姉ちゃんが喜んでたし、美味しかったからいいんだけどね」
「そうだよ。それでいいのさ」
「ふふん♪ でも私の方が美味しく作れる自信あるよ?」
「ふっ、いやいや何言ってんの穂乃果以上に美味しく作れるわけないじゃん、ふふっ」
「うわっ、すっごい気持ち悪い煽り……じゃあ今度作ってあげるから、そんときは真っ先にお兄ちゃんに食べてもらうから! 何も調節しなくてもいいくらい完璧なお味噌汁作ってお兄ちゃんに食べてもらうから!」
「まぁ穂乃果以上に美味いの作れるわけないけど? まぁそこまで言うなら? 期待しないで待っててあげてもいいよ?」
「あームカつくッ!! ぜっっっったいお兄ちゃん喜ばせてやるからねっっ!!」
うちの
穂乃果のセリフ「あの、その、た、食べてもらいたいものがあるんだっ」でえっちいのを想像した方、最低です。これからも仲良くしてください。
この小説では今のところえっちぃ描写を描くつもりはないので、もしリクエストいただけたとしても書くことはいたしません。
今日も一日、ファイトだよっ!
\キャーホノカチャアアアアアンスキー!!!/