今回は穂乃果ちゃんのお菓子作りに海未+ことりが手伝うお話。
穂乃果ちゃん手作りのお菓子を食べたい、そう思いませんか?
「おっはよ~!」
「おはようございます、穂乃果」
「おはよう穂乃果ちゃんっ」
ふ~っ、やっと学校についたよ~。お兄ちゃんとかけっこしてきたから、身体が温まってて良い感じ! これなら1時間目の授業も気持ちよく寝れそ
「穂乃果? 今何か悪いこと考えてませんでしたか?」
「う、ううん、そんなことないよ全然!?」
寝れるわけないよね、海未ちゃんがこれだけ穂乃果のこと警戒してくるんだもんっ。うぅ~、海未ちゃんが他のクラスだったら絶対気持ちよく寝れるのに!
「穂乃果……?」
「ひっ!? な、何も悪いことなんか考えてないよぉ!!」
な、何で口に出してないのに分かっちゃうんだろう。人の心を読む練習でもしてるのかな海未ちゃん。でも、練習しててもおかしくないよね、海未ちゃんなら。
「穂乃果ちゃん、海未ちゃん」
海未ちゃんとそんなやりとりをしてたら、ことりちゃんがニコニコしながらバッグの中にある何かを出した。
むむむっ、これはことりちゃんお手製のお菓子だね! 穂乃果の冴え渡る感がそう言ってるよ!
「穂乃果ちゃん正解っ。今日バレンタインだから、
「わ~い! やった、ことりちゃんのマカロン!」
やっぱりお菓子だったよ! ことりちゃんが作るお菓子、美味しいんだよね~。お店で買うのよりも美味しいって穂乃果は思うよ。μ'sの衣装だって作れちゃうんだから、ことりちゃんは裁縫とお菓子作りの天才だね!
しかも、バレンタインだからってわざわざチョコ味にしてくれてるみたいだし、ことりちゃんってすごく気が利く女の子だよね~……って
「あぁ~っ!?」
「穂乃果ちゃんっ!?」
「なんですかいきなり叫んで!?」
し、しまった。穂乃果としたことが……穂乃果としたことが……!
「バレンタイン、忘れてたぁ!!!」
今日バレンタインなの!?
「うわぁんどうしようことりちゃぁんっ!!」
「穂乃果ちゃん落ち着いて?」
昼休み、いつもならお兄ちゃんと一緒にご飯食べるんだけど、バレンタインを思い出した時に予めメッセージで断っておいたよ。ことりちゃんたちに助けてもらわなきゃ、ごめんねお兄ちゃん。
ことりちゃんに慰めてもらいながら、これからどうしようか考えてる。
「う~ん、何か良い方法はないかなぁ」
「穂乃果のお小遣いに余裕はないんですか?」
「お兄ちゃんが穂乃果の分のお小遣いまで管理してくれてるから、今日お小遣いもらいに行くなんて、お兄ちゃんに気づかれに行くようなものだよ」
「えっ!? え~? ……え? 穂乃果、あなた光穂さんにお小遣いまで管理してもらってるんですか?」
「え? って何回も聞かないで! 穂乃果恥ずかしいことしてるみたいになってるよ!」
「はい、あなたは小学生並みだと思います、充分恥じてくださいね」
「ひどいよぉ!?」
「ははは……」
ひどいよ海未ちゃん! 穂乃果はちゃんと高校生なんだよ、お小遣いの管理をお兄ちゃんにしてもらってるなんて別に大したことじゃないんだよ!
それに、お兄ちゃんに管理してもらってるから、お小遣いもらいに行くときにお話できるし、お小遣いもらいに来る穂乃果は可愛いなぁってナデナデしてくれるし……えへへ、だったら管理されてていいやぁ。
「こほんっ。結局どうするのですか、穂乃果?」
「あっ」
そ、そうだった。どうするか考えなきゃいけないんだったよ。危うく優しいお兄ちゃんのことばっかり考えて終わっちゃうところだったよ。
う~ん、お小遣いはもらえないけど何かバレンタインらしいものを……
「あの~、そのことなんだけど」
「ん、どうしたのことりちゃん?」
考えていた時に、ことりちゃんが何か言いたげにしてる。
こういう時のことりちゃんってすごく頼りになるんだよね! 期待してるよ~!!
「マカロン作った時の材料、まだ余ってるから、よかったらうちに作りに来ない?」
「それだあああああっ!!」
「わわっ!」
「だから穂乃果、うるさいですっ!」
そうだ、それだよことりちゃん! やっぱりことりちゃんは頼りになるよ!
それに比べて海未ちゃんは
「なんですか?」
「ひっ!?」
うぅ、何も言ってないのに、まるで言いたいことが分かってるかのように怖い顔してるし。
ふふん、でもいいよ。今日はバレンタイン、本命はお兄ちゃんだけど、海未ちゃんにもすっっっっごく甘いマカロン作って食べさせて、思わず穂乃果に優しくしたくなるようにしてあげるんだから!
よしっ! そうと決まれば!
「今日はことりちゃんの家で、マカロン作り! ファイトだよっ!」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ということで放課後になったから、早速ことりちゃんの家に来たよ! 来たのは久しぶりだから、本当はことりちゃんの部屋でのんびりしていたいんだけど、今日ばかりはしょうがないよね。
「よ~し、頑張るぞ~!」
「一緒に頑張ろうねっ」
「上手くいけばいいのですが」
ことりちゃんが作ってくれたエプロン着て3人で並ぶの、すごく久しぶりかも。えへへっ、ちょっと楽しくなってきたっ。
「じゃあ早速作ろうよ!」
「うんっ。えっと、まずは中に挟むチョコクリームから作ろうか」
「穂乃果がやるっ!」
ことりちゃん、いやことり先生から作るものを指示されたよ!
お兄ちゃんにあげるものだもん、できるだけ穂乃果が作りたいよね。
「それじゃあ穂乃果ちゃん、チョコ刻んじゃおっか」
「よしきたっ! 任せといてよ!」
「ことり、穂乃果に包丁を持たせるのはどうかと」
「海未ちゃん! 穂乃果のこと馬鹿にしすぎだよ!!」
海未ちゃんってば穂乃果のこと馬鹿にしすぎっ! いくらなんでも包丁くらい使えるもん、多分!
ことりちゃんが用意してくれた板チョコを、借りた包丁で刻めばいいだけだもん、簡単だよ。
ザクッ、ザクッ、ザクッ、ゴリッ。
「ひっ!? あ、危なかったぁ」
「大丈夫穂乃果ちゃん!?」
「ほら、言わんこっちゃない」
切ろうとした時に包丁が板チョコの斜面を滑っちゃった。刃が外側に向いてたからよかったけど、内側だったら最悪指を切ってたかも……
で、でも! 結局は切らずに済んだんだから大丈夫、続けよう!
ザクッ、ザクッ、グサッ!
「いったああっっ!!」
「穂乃果ちゃああああああああ!?」
「穂乃果!? ああもうっ!!」
さっきと同じ滑らせ方で左人差し指の先端切っちゃった。チョコが持ちづらかったからって、猫の手じゃなかったのが悪かったみたい。
怒られながら海未ちゃんに止血してもらったよ。
「チョコは私が刻んでおきます。ことり、できるだけ危なくない作業を穂乃果にやらせてあげてください」
「うん、ごめんね海未ちゃん、穂乃果ちゃん」
「うぅ~」
結局チョコは海未ちゃんが切ることになった。このままだと穂乃果、お兄ちゃん用のお菓子作るどころか、完全に足でまといになっちゃう。
それだけは避けないと……ここから挽回だよ!
「ことりちゃん! 穂乃果にもできそうなことは!?」
「えっ!? ええっと……」
ことりちゃんはぐるっと周りを見渡してる。なんでもいいよ、ことりちゃん!
「じゃ、じゃあ、生地の粉、ふるってもらおうかな」
「うん、わかったよ!」
それくらいなら穂乃果にもできそう! 次はしっかりやらないと!
そう、思ってたんだけど……
「あぁっ!? 力強くふりすぎて粉ふるいから粉が飛び出しちゃった! 細いのとダマになってるのが一緒になっちゃったからまたふるい直しだ!」
「よ~しふるい終わった……って、あぁっ! ボウルからかなり粉が漏れてる! これだけ漏れちゃってると生地の分量変わっちゃう!?」
「穂乃果ちゃん。やっぱりメレンゲ作り、してくれるかな?」
「は、はい」
ことりちゃんから戦力外通告されちゃったから、メレンゲを作ることになったよ。
でも……
「うわっ、ことりちゃぁん! 卵の黄身が割れちゃって白身と混ざっちゃった!?」
「ほ、穂乃果ちゃぁ……」
穂乃果、卵の分け方全く知らなかったんだ。見よう見まねでやろうとしてできるものじゃないんだね。
「ほ、穂乃果ちゃん。失敗は誰にでもあるから大丈夫だよぉ」
「ことりちゃぁん」
ことりちゃんに励まされたあと、結局ことりちゃんがメレンゲ作りを終わらせてくれたよ。
穂乃果が作りたいって言ったのに、これじゃまるで穂乃果のために作ってくれてるみたいだね、あははっ。
……はぁ。本当は穂乃果が全部作ってみたかったんだけど、到底無理みたいだ。
その後、色々失敗しながらだったけど、何とかチョコマカロンの形にすることはできたんだ。
だけど
「うっ、これは」
「お世辞にも美味しいとは、言えませんね」
「で、でもでも、穂乃果ちゃんたちが頑張って作ったんだし……う~ん」
3人して苦い顔。出来上がったのは、ことりちゃんが作ってくれた昼間のマカロンとは全く違うものだったの。
み、見た目だけならチョコマカロンなんだよ!? でも、味と食感が全然ダメだ、これはお兄ちゃんには渡せない。
……お兄ちゃんに食べてもらいたいからって、2人に手伝ってもらったのに。これじゃお兄ちゃんどころの話じゃないよ。
また穂乃果が調子に乗ったせいで失敗しちゃった、2人に迷惑かけちゃった。
でも! 今回は諦めたくない!
お兄ちゃんに、ううん、2人にも、美味しいって言って笑って欲しい!!
でも穂乃果1人じゃマカロンは作れないから
「2人とも! もう1回、もう1回だけ、マカロン作り手伝ってくれないかな!?」
ごめんね2人とも、また迷惑かけちゃうね。
「……ことり、材料の方は」
「あと1回分くらいは残ってるよ!」
「そうですか。まぁ、穂乃果がいるんですから、どうせ1回じゃ成功しないのは目に見えてましたしね。遅い時間になる前にやってしまいましょう」
「ふふっ、材料多めに買っておいてよかったねっ。光穂さんに連絡しとかなきゃ!」
「ふ、2人とも……ありがとうっ!」
もう、迷惑かけたくない。
そして、2人とお兄ちゃんに美味しいって言ってもらうんだ!
「で、できた!」
「さっきより見た目も綺麗で、手際も悪くなかったのでは?」
「うんうんっ! ことりが作ったのより美味しそう!」
海未ちゃんとことりちゃんに協力してもらいながら作った2度目のチョコマカロン、すごく良い感じにできた!
あとは、味だけ。
「いただきます、あむっ」
一口食べてみた。
もぐもぐ……うん。
さっきのは変にベチャっとしてたけど、今回のは出来立てならではの柔らかさっていう感じだし、さっきは味がほとんどしなかったけど、これは程よく甘くて、チョコの風味が良い感じ!
これってもしかして
「成功しちゃった!?」
「えぇ! これ、すごく美味しいですよ!」
「やったね穂乃果ちゃん、海未ちゃん!」
「っ! やったぁ!! ありがとう2人ともぉ!!」
やったっ、ついに成功だよ!
一時はどうなるかと思ったけど、何とか上手くいった! これも2人のおかげだね!
「えへへ、美味しいねぇ」
「はい。穂乃果と3人で作ったとは思えないくらいには」
「えぇっ!? 最後の最後まで海未ちゃんひどすぎだよっ!?」
「あははっ! まぁまぁ穂乃果ちゃん」
えへへっ、海未ちゃんも口では悲しいこと言ってるけど、顔はすごく嬉しそうに笑ってるから、冗談だって気づいているよっ。
いつもこれくらい笑ってくれてれば、怒られても怖くないのに
「何か?」
「いっいいえっ!!」
前言撤回、笑ってても海未ちゃんはやっぱり怖いよ!
「穂乃果ちゃん、はいこれっ!」
「わわっ!? ことりちゃん、これって……」
「バレンタインだもん。包装も可愛くしないとってことで、さっきのマカロンを可愛い袋に入れてみましたっ」
「こっことりちゃんっ!」
ことりちゃんに、マカロンを袋に入れてもらっちゃった! ピンク色の可愛い女の子! って感じの袋を赤いハート型のリボンで開け口を締めてる。すごいなぁことりちゃん。
「さぁ穂乃果、光穂さんに渡しに行くんでしょう? 感謝の気持ち、ちゃんと伝えるんですよ?」
「海未ちゃん……」
海未ちゃんからは言葉で後押しされちゃった、海未ちゃんの言葉って、こういう時すごく助かるっ。
「うんっ、ファイトだよっ!」
2人にここまで手伝ってもらったんだもんっ、お兄ちゃんにも絶対喜んでもらえるよねっ!
よーしっ、早速家に帰って、お兄ちゃんに渡しちゃうよっ!
待っててね、お兄ちゃん!
今回はラブライブ!感が出せるようにと思いつつ書いてみました、どうですかね?
穂乃果ちゃんからのチョコが欲しい。
手作りじゃなくていい、何なら5円チョコでもいいから欲しい。
そう、思いませんか?(必死)
バレンタイン編はこの回で終わる予定でしたが、もう1話だけ続きます。
チョコマカロンを穂乃果ちゃんが光穂に渡す回+おまけ。
執筆中ですので、更新をお楽しみに!
前回はお気に入りや評価等、ありがとうございました!
今回もよければぜひ、よろしくお願いします(●・8・●)
※本日朝10時半頃、間違った時間に投稿してしまったため、一度削除し再投稿しました。大変申し訳ございません。