今回は、活動報告でもお伝えしましたが、更新停止中の私の趣味とこの作品をリンクさせたお話です。
いつもとは違ったホノカチャンの魅力が伝えられればと思います!
そして、雪穂も・・・・・・?
「お兄ちゃあん!! ゲームしよゲーム!」
「お~、やろうやろう」
今日はμ'sの練習は休みだから、久しぶりに穂乃果が丸一日家にいる。
穂乃果は手に持ったスマホをブンブン振り回しつつ、ドタバタと自分の部屋から俺の部屋に来ては、嬉しそうに笑いながら俺の隣に座り込んできた。
「出かけたりとか買い物じゃなくていいのか?」
「う~ん、それも考えたんだけど・・・・・・今日はスマホのゲームがいい!」
穂乃果が一日休みで、今日みたいに雨が降ってない日は、基本外に出たがるのだけど、今日は珍しくゲーム。ましてやスマホゲームときた、穂乃果にしては珍しすぎるチョイスだ。
ゲームがしたくてうずうずしているのが見るだけで伝わって来るほどの穂乃果を、いつもの特等席へと誘導する。
「よーしやろう! さ、おいで穂乃果」
「うんっ!」
俺が少し股を開いて出来た空いたスペースに、俺に背を向ける形で穂乃果が座る。穂乃果の特等席、要は俺が穂乃果の座椅子になっているような形だ。
穂乃果を後ろから軽く抱きしめながら、穂乃果の顔の横から覗くような形で穂乃果の持つスマホの画面を見る。
「今日やるのはね~・・・・・・これだよっ!」
意気揚々とそのアプリを開いて、俺の顔の前に画面を見せつけるように持ってくる。
それは、俺もよく知っているゲームだった。
「パズル&ひゅーまんず、だよ!」
パズル&ひゅーまんず。
アプリゲーム人気の先駆けとなったゲームの一つで、今もなお根強い人気を誇っている。かくいう俺も、穂乃果と一緒にやっているからよく知っている。
「ひゅーまんずか」
「そう! ひゅーまんず! 休みの日だから頭を使おうよ!」
「お、穂乃果が頭を使おうなんて言うようになったのか~、よしよし」
「えへへ~っ!」
いつものように穂乃果を愛でつつ頭を撫でる。
これは、画面に出ているカラフルなパズルたちを揃えていっぱい消して、連鎖させて、敵を倒していくという、極めてシンプルだけど、どう消して連鎖を繋げていくかというところに非常に頭を使うゲームだ。
だけど頭を使うゲームというだけなら、正直他にもいくらでもある。
俺は穂乃果に尋ねる。
「で、何をやるんだ?」
「あ、うん! 今日ね、新しいクエストが来たみたいなの! 一緒にやろうよ!」
「お! そうだったな、やろうやろう」
そうだそうだ、新しいクエストが今日更新されるんだった。穂乃果はそれを楽しみにしていたらしい。
このゲーム、実は他の人と一緒にプレイすることができる。対戦するわけではないが、一緒に協力して1つのクエストのクリアを目指す、これもまたこのゲームの魅力だろうし、俺もこれがあるからこそ一緒にやっているのもある。
穂乃果に促され、俺もスマホを手に取りアプリを開く。
「お、きてるきてる」
「ねっ!? 早くやろうよ!」
穂乃果の言う新しいクエストが来ているのを確認した俺は、そのクエストの挑戦条件を確認する。
「えーと・・・・・・なるほどね」
「うん! だから可愛い子いっぱい連れてくの!」
「おう!」
条件を確認した俺たちは、早速条件に合わせたパーティを組む。
穂乃果は基本、可愛い女の子を使うのが好きで、どのクエストに行くにしても女の子でパーティを埋める。
とは言ってもこのゲーム、基本的には可愛い女の子は最強みたいなとこがあるから、あながち間違ったパーティの組み方ではない。
俺もそこそこな面子を選んで、穂乃果と協力プレイするためにマッチング画面を開く。
「よしっ、じゃあやろうお兄ちゃん!」
「よっしゃ!」
マッチングを成功させ、いよいよクエストに挑む。難易度はそのクエストの中でも一番低いやつだ。
決して俺たちが使うキャラが弱いからじゃない。
「あぁっ!! ごめんお兄ちゃん!」
穂乃果が壊滅的なほどにパズルを動かすのが苦手なために、ほどほどなところじゃないと楽しめないんだ。
今の穂乃果が使っているパーティだと、パズルを動かせる時間は10秒ほどあるんだけど、穂乃果はその10秒で3連鎖くらいしかできない。
「うわあん! なんでうまくいかないの~!?」
「まあまあ穂乃果、これは協力プレイなんだから大丈夫だよ」
足をバタつかせながら悔しがっている穂乃果は可愛い。
この穂乃果を見るためにこのゲームを一緒にやっているのもあるし、たとえ壊滅的にパズルが下手でも全く問題ないと思える程癒される。
穂乃果の頭を軽く撫でたあと、俺の画面でパズルを動かす。
「こんなもんかな」
「お兄ちゃんすごい! 8連鎖だよ!」
俺も正直そこまで上手いわけではないのだけれど、穂乃果に褒めてもらえるのなら素直に嬉しい。このゲームをやっている意味があったというものだ。
相手を8連鎖で突破したあとも、穂乃果の可愛らしい指さばきを見ながら、俺の番のみでボスまでの間の敵は倒していった。
「ふぅ」
「お兄ちゃん! このボスの子すっごく可愛いよ!」
ボス戦に入って一息したいところだったが、穂乃果が目をキラキラさせて興奮してしまっているため、愛でることに専念する。
「よしよし、ゲットできたらいいな」
「うんっ!」
このゲーム、特別なものを除いては、一定確率でボスキャラをゲットできる。このキャラが欲しいから穂乃果はこのクエストを誘ってきたのだろう。
このボス戦は穂乃果の番からスタート。このボスは特殊なパズルを要求される状態になっていて、穂乃果の腕前だとおそらく突破は無理、俺が数回来ないと無理だろう。
だが、ここからが穂乃果の真骨頂。
さっきまでのように、10秒フルで頑張って、画面上で4連鎖ができあがった。
「いち、に、さん、よん・・・・・・やった! 上から落ちてきたパズルが繋がってくよ!」
画面上は4連鎖、しかし連鎖したあと画面の上から降ってくるパズルが勝手に連鎖していき、きづけば
「お、お兄ちゃん! 15連鎖だって!!」
「マジかよ」
腕前など関係なしと言わんばかりに、ラッキーで連鎖が出来上がり、ボスキャラが勝手に倒れていった。
そして
「あぁっ! い、今タマゴ落ちたよ!!」
「マジかよ・・・・・・」
ボスもゲットできた。この難易度だとゲットできる確率は体感10%くらいのはずなのに、一発ゲット。
ボス戦になるとめちゃくちゃなほどのラッキーが重なって、俺の仕事が途端になくなる上、一発で目的を果たせてしまうから繰り返しプレイする必要がなくなる。
穂乃果はある意味、ひゅーまんずブレイカーだ。
「ありがとうお兄ちゃん! ゲットできた!」
顔をこちらに向け嬉しそうに笑って喜ぶ穂乃果、片やいつものことながら困惑を隠せないながらも可愛い妹の頭を撫でる俺。
昔からこの幸運を呼び込む力はあるけれど、未だに慣れないな。
クエストが終わると、穂乃果はある画面を開いた。
「お兄ちゃん! クリアした記念にガチャ引こうよ!」
穂乃果はそう言うと、ガチャの画面を開いた。
このゲームは、ゲーム内のガチャを引くことで、ガチャ限定でゲットできるキャラもいる。さっきのクエストで使っていたキャラ達も、このガチャから引いたものだ。
「よーし、引くよ・・・・・・」
少し緊張した様子で、穂乃果は"引く"ボタンをタップする。
画面に、正面を向いた可愛らしい女の子が映し出され、その子の両手の平の上に、白い光が現れる。その光から現れるタマゴの色が虹なら最高レアリティ、金ならその一つしたのレアリティのキャラが出る。
穂乃果が引いたのは──虹色だ。
「おっ」
「やったっ!」
2人して画面を凝視する。2人とも狙っている子がいるからだ。
そして引いたのは・・・・・・
「やった!! 出たよお兄ちゃん!!」
「ま、マジかよ」
狙いの子だった。やっぱり穂乃果の幸運は凄まじい。
「えっへっへ~、やったよお兄ちゃんっ」
「よく引けたな穂乃果~! いつもいい子にしてるからかな?」
「えへへぇ~」
嬉しそうに甘えてくる穂乃果を抱きしめつつ、俺のスマホの画面に映る金色のタマゴを恨めしく見つつも、悔しさを噛み締めつつ、穂乃果を撫で回した。
このあとも、穂乃果としばらくこのゲームで遊んでいた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ご飯を食べたあと、穂乃果が疲れ果てて寝てしまったため、昼間とは打って変わり暇になった、
俺は、とあるところに向かう。
「雪穂、入っていいか」
もう1人の妹、雪穂の部屋だ。中から、いいよ~と声が聞こえたため、ドアを開く。
「お姉ちゃんは?」
「さっき倒れるように寝ちゃったよ」
「ふ~ん、お姉ちゃんらしいね」
机に座っていた雪穂は一度こちらを見るも、穂乃果のいないことに気づき、握っていたスマホに再度目を移した。
その画面に写っているのは、
そう、実は雪穂もひゅーまんずをプレイしている。
「そんなに穂乃果にやってるの気づかれるのが嫌なのか?」
「だってお姉ちゃんにバレちゃったら、普通にプレイなんかできなくなるもん」
「あははっ」
雪穂は穂乃果にひゅーまんずをプレイしているということを隠している。言っているとおり、雪穂は穂乃果に邪魔をされるのがあまり嬉しくないようで、穂乃果の前では一切プレイしない。
と、いうのも。
「何やってたんだ?」
「新しいクエスト来てたでしょ? それの周回プレイ」
「さすがはガチ勢」
雪穂は他でもない、完全無課金プレイヤーかつ、なかなかなガチ勢だったのだ。
このゲームには、現実のお金を使うことで、ガチャを引くのに必要なアイテムを購入することができる"課金システム"がある。俺や穂乃果は、稀に少しだけお金を使うことがある。
ただ雪穂は違う。お金がないのではなく、"一度アプリゲームにお金を使ったら人生が終わる"の精神で、一切課金には手を付けておらず、全て無料で配られるアイテムだけでプレイをしている。それなのに俺たち2人より圧倒的にプレイヤーランクが上だ。
同じところを何回もクリアする、いわゆる周回プレイを行うことで、無料で手に入るキャラをたくさんゲットし、それらを合成強化することでそのキャラを強くし、それらを使うことで雪穂はこのゲームを楽しんでいる。
それだけのこだわりがある雪穂だからこそ、確実に邪魔をしてくるであろう穂乃果には、一切伝えていないのだ。
「もうちょっとでこのキャラの強化終わるから、ちょっと待っててね」
「おう。ちなみにあとどれくらいかかりそうなんだ?」
「あと2周で終わるよ」
「は?」
まだこのクエストが来て半日も経っていないにも関わらず、クリアすることはおろか、安定して周回クリアしている。それどころか、雪穂が今やっているのは最高難易度、クリアすれば確定でキャラがゲットできるため、確実にあと2周で終わるだろう。
「お前、まさかずっと引きこもってたのか?」
「うん。今日クリアしないと、次にいつ来るか分かんないからね。強化しきっとかないと亜里沙に怒られるかも」
「お前ら本当に中学生か?」
中学生だから外で遊べだなんて言わないけれど、とは言ってもそのやり混み具合は、少なくとも中学生のそれではないはず。
雪穂がこれなら、おそらく、亜里沙ちゃんもこんな感じなんだろう。
穂乃果にしろ亜里沙ちゃんの姉である絢瀬にしても、2人ほどやり込んでいるわけじゃないのに、何を間違ったらこんな風に姉妹で違ってくるんだろうか。
雪穂の相変わらずな姿を見ながら、穂乃果の昼間の時と比べてしまい、思わず溜息が漏れる俺であった。
「あ、20連鎖」
「マジかよ」
いかがでしたでしょうか?
元となっているゲームはおそらく、ご存知の方も多いのではと思います。
そのゲームをやっていたとき、「あ、穂乃果ちゃんがプレイしてたらこうなるだろうな」というのが頭に浮かんだので、書いてみました!
前回の投稿で、たくさんのお気に入り・評価をいただきまして、ありがとうございました!
1年ぶりの投稿であったにも関わらず、たくさんの方々に読んでもらえて嬉しかったです。これからもお付き合いくださいませ!