兄と妹~ときどき妹~   作:kielly

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 穂乃果ちゃん!ほのかちゃん?ホノカチャン!

 とりあえずいつくか言い訳をさせてください。

 ・前回投稿からまさかこんなに期間が開いてるだなんて思ってなかった。
 ・タイトルは別にマスターなアイドルの72さんの曲が好きだから曲名をパkお借りしたわなんてことは決してあるません。
 ・ちなみにSEKAI GA OWARUほうの眠り姫はあまり聞いたことないのでわかりません。

 この言い訳も全て、穂乃果ちゃんが可愛いからということで許してください(謎)



眠り姫

「お兄ちゃんたち~、朝だよ~!」

「んん……おはよう雪穂」

「おはよ! ほら、お姉ちゃんも早く起きて!」

「ん……えへへぇ、まだ食べようよ……」

「あーもう! なんか今日はいつも以上に起きないなんで!?」

「おーい穂乃果ー、朝だぞー」

「すぅ……すぅ」

 

 ある朝、いつものように雪穂に起こされた俺。

 でも今日はいつもと少し違った、穂乃果がまだ起きないんだ。いつもだったら1回言われればなんだかんだで身体を起こすんだが、今日は雪穂が2回と俺が1回、声をかけてもなかなか起きない。

 

 まぁ、心当たり(・・・・)はあるんだけどな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 眠り姫

 

 

 

 

 

 

 

「おはよう2人とも」

「あ、おはようございま……え?」

「ほ、穂乃果ちゃん?」

 

 俺の声に、家の前で待ってくれていた海未ちゃんとことりちゃんの2人が反応を示したが、それは挨拶返しではなく、驚きだった。

 

「ほ、穂乃果! なぜおんぶ(・・・)されているのです!?」

「どこか体調でも悪いの!?」

 

 そう、穂乃果は今、俺がおんぶしている。だが体調が悪いわけじゃない。

 

「いや、違うよ」

「え? それじゃあどうして……」

 

 

「寝てるだけだよ」

 

 

 俺の言葉に、少しの間静寂が訪れた。

 

 

 

 

 

 

「な、なぜ穂乃果はまだ寝てるんです!? ほら早く起きなさい!」

 

 登校している間、海未ちゃんが俺の背にいる穂乃果に声をかけ続ける。ことりちゃんはその様子に困惑しているようだった。

 

「光穂さん、どうして穂乃果ちゃんは寝たままなんですか? やっぱり体調が悪いんじゃ……」

 

 ことりちゃんの困惑と不安が混じったような声を聞いて俺は少し笑いながらも答えた。

 

「ははっ。いやいや、体調は大丈夫だと思うよ。実は昨日さ、こんなことがあって――――」

 

 

 

 

 

 

 

『穂乃果~、もうそろそろ寝る時間だぞ』

『待ってお兄ちゃん! 今読んでる漫画がすごくいいとこなの! 今日はこれ全部読み終わるまで穂乃果は寝ないよ!』

『お~、そんなに面白い漫画が――――えっ!? これ全部読むって、あと軽く10巻くらいあるぞ!?』

『大丈夫だよお兄ちゃん! 穂乃果まだまだ元気だから!』

『本当に読む気なのか……ふわぁ、俺はもう寝ちゃうけど、あんまり無理するんじゃないぞ?』

『うんっ! 穂乃果も読み終わったらお兄ちゃんのとこに潜り込むね!』

『おう、おやすみ穂乃果』

『おやすみお兄ちゃん!』

 

 俺はその声を聞いて速攻、ベットに倒れ込んだ。そこそこに眠かったからな。

 

 よーし頑張るぞーという穂乃果のやる気に満ちた声を最後に、俺は眠りについたんだろう。

 

 

 

 

 

 

 

「って感じなんだよな」

「……」

「あ、あはは……」

「まぁそういう反応だよな」

 

 俺が昨日の穂乃果のことを話すと、2人とも呆れた様子でため息をついていた。

 

「今日2人にはいつも以上に迷惑かけることになるかもしれないけど、よろしくね?」

「はぁ……まぁ光穂さんからのお願いでしたら……」

「あはは……でも寝てる穂乃果ちゃん、可愛い~っ」

「!! だよなだよな!? だからほら、この可愛い寝顔を守る意味で」

「光穂さん……?」

「ひっ!?」

 

 このあと、海未ちゃんにずっと睨まれ続けながら、俺は穂乃果を教室まで連れて行くのだった。

 

 

 

 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 午前の授業を終えて今は昼休み。いつもなら穂乃果が俺のところに来るんだけど……

 

「今日は珍しいじゃない? 穂乃果が来ないなんて」

 

 あの矢澤が俺をディスることもせず、不思議そうな表情を浮かべてそう言ってきた。

 

「たぶん寝てるな」

「寝てる? 昼休みは毎回美味しそうにパンを食べるあの穂乃果が?」

「あぁ」

 

 なおのこと不思議そうな表情を浮かべる矢澤。

 ……でも、確かに昼休みですら寝てるなんて、なかなか考えにくい。

 

「ちょっと俺、様子見に行ってみるわ」

「そうしなさい、そうしてくれないと、にこも気持ち悪いままだし」

 

 口は悪いが矢澤に後押しされ、俺は穂乃果たちのいる教室に向かった。

 

 

 

 

 

 

「あれ?」

 

 教室の前まで来たのだが、中を覗くと、ある1席(・・・・)にクラスのみんなが集まっていた。

 俺はその様子を見て、何となく察しがついた。

 

 そこの席に向かうため、俺はクラスの人の間をくぐり抜けようとした。

 

「ごめん、ちょっと通してもらえる?」

「あ、はい……って、あっ! お兄さん! どうぞどうぞ!」

「え? あ、ありがとう」

 

 何故だか一発で穂乃果の兄だと理解されてしまったことに驚きつつも、前へ進む。

 そして……

 

「ほ、穂乃果~?」

「すぅ……すぅ……」

 

 そこには予想通り、机に突っ伏して寝ている穂乃果の姿があった。

 

「あっ、光穂さん! 穂乃果、昼休みになってもまだこの調子で」

「いつもみたいにお菓子で釣ろうとしても、反応すらしてくれないんです」

「海未ちゃんことりちゃん……かなり迷惑かけてるみたいでごめんね」

 

 話によると、海未ちゃんがいくら身体を揺らそうとも、ことりちゃんがお菓子をあげると耳元で囁いても、今日の穂乃果はずっと熟睡したままらしい。

 何でも、極み付けはというと

 

「先生にノートで叩かれても、大きな声で叱られても全く反応がないんです」

「そりゃすごいな……」

 

 これには完全にお手上げと言わんばかりに、海未ちゃんとことりちゃんが力なく笑っていた。ある種の病気に近いんじゃねえのかと思わせるくらいだ。

 なんにせよ、可愛いからといってこれ以上周りに迷惑かけるわけにはいかない。

 

 今度は俺が起こそう。そう思って穂乃果の肩に手を置いておーいと声をかけた瞬間だった。

 

「ん……おにいちゃ……?」

「!?」

「ほ、穂乃果が」

「穂乃果ちゃんが起きた!」

 

 周囲にざわめきが起こった。ずっと突っ伏したままの穂乃果が目をこすりながら起き上がり、俺の方を見ては、眠そうながらに笑みを浮かべた。

 

「おにいちゃぁ……」

「おっと!? おはよう、穂乃果」

 

 寝ぼけ眼で俺の身体に抱きついてきた穂乃果を慌てて抱き支えた。

 周囲からは歓声があがり、海未ちゃんやことりちゃんも安心したような笑みを浮かべた。

 

 だが、それはほんの数秒で終わった。

 

「えへ、おにいちゃ……しゅき……すぅ……すぅ……」

「なっ!? お、おい起きろ穂乃果!?」

 

 抱きついてきたと思ったらまた、寝息をたて始めてしまった。これには周囲も意気消沈……

 

『お兄さんに甘える高坂さん可愛いよね~!』

『いいものを見させてもらいました……』

『こっそり寝顔を撮って今日の夜可愛い寝顔を見ながら私もい』

『これが噂の兄妹……尊い』

 

 するわけでもないらしい。

 一部怪しい発言も聞こえたが、何だかんだで穂乃果はクラスメートから好かれているらしく、起きないことを悪く思っている子はいなさそうだった。

 

 しかし、再び眠ってしまったとなるともう、打つ手なし。

 

「ごめん海未ちゃんことりちゃん、放課後まで預けてもいいかな?」

「ふふっ、えぇ、光穂さんですらダメならどうしようもありませんので」

「任せてくださいっ!」

「お願いね」

 

 抱きつく穂乃果を再び席に戻し、俺は2人に穂乃果を預け、教室に戻ることにした。

 

 

 

 

「で、どうだったのよ?」

「寝てた」

「起こしてこなかったの?」

「俺でも先生でも起こせなかったからお手上げですわ」

「は?」

 

 俺の話を聞いた矢澤は目を点にして驚くばかりだった。

 

 

 

 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 放課後、俺は一目散に穂乃果のいる教室に向かった。

 

「穂乃果~起きたか~、ってまだ寝てたか」

「光穂さんが戻ったあとも熟睡でしたよ」

「穂乃果ちゃん、すごく気持ちよさそうに寝てたから、ついに先生も起こさないままだったんです!」

 

 俺が向かった時もまだ寝ていた穂乃果は、ついに先生の承認を得ていたらしい。まぁそれも当然だろう。

 

「すぅ、すぅ……えへへぇ……いちごがいっぱい……」

 

 こんな可愛い妹、起こそうとする方が馬鹿だった。まるで天使のような寝顔を浮かべていた穂乃果をしばらく鑑賞していた俺は、1枚写真に納め、穂乃果を連れて帰るべく、穂乃果の荷物を整理しながら穂乃果に声をかけた。

 

「おーい穂乃果~、学校終わったから帰るぞ~」

 

 起こしたくはないのだが、ほんの少しでも動いてくれないとおんぶすることもままならないので声をかけた。

 

「んー、お兄ちゃん……?」

「おう。帰るから俺の背中においで」

「ん……んしょ……すぅすぅ」

 

 俺の声に一瞬だけ起きて俺に身体を預けては、再び寝息をたて始めた。

 やはり目覚めることはないらしい。

 

「ごめん2人とも、今日の部活は休むってみんなに言っておいてくれないか?」

「大丈夫です、初めからそのつもりでしたので」

「さすがにその様子じゃ穂乃果ちゃん踊れないもんね」

 

 2人に謝りながらも休む旨を伝えて、俺は穂乃果を背負ったまま学校を出た。

 

 

 

 

 

 

「すぅすぅ……」

「ふふっ」

 

 帰り道、穂乃果の寝息を聞きながら思わずニヤけてしまった。

 顔こそ見れないものの、その可愛さは容易に予想できるから。

 寝顔自体は見慣れてるはずなのに、いつもと様子が違うってだけで同じ寝顔でもすごく新鮮に感じるのはなぜだろう。

 

「さて、帰ったら俺も穂乃果と一緒に寝ようかな」

 

 そんなことを呟きながら帰る、夕方の道。

 

「…………う」

「ん? 起きたか穂乃果?」

「……すぅ、すぅ」

「気のせいか」

 

 暗くなっていく道を妹と一緒に帰る放課後。

 

 

 

 あと何回、これを経験できるんだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、帰ったら俺も穂乃果と一緒に寝ようかな」

 

 

 

「お兄ちゃん、いつもありがとう」

 

 

 

「ん? 起きたか穂乃果?」

「……すぅ、すぅ」

「気のせいか」

 

 

 

 




 
 このお話は、少し前にツイッターにてアンケートで投票を募った際選ばれた
『スヤァしてもらいたいいいいいいい!』
 を元に執筆したものです。いかがでしたでしょうか?

 長いあいだ更新が止まってしまい申し訳ありませんでした。
 本音を言うと、仕事の環境がコロコロ変わることへのストレス、アプリゲームへのどハマリ、会社の同期との旅行等、いろんな理由があって遅れました。
 少し環境が落ち着いてきたというのと、やっぱり穂乃果ちゃんが書きたい!という気持ちが高まったため、こうして遅れながらに投稿してみた次第です。

 何にせよ、投稿が遅れてしまい申し訳ありません。
 更新をやめるつもりはないので、頻度こそマチマチですがこれからもぜひよろしくお願いしますね!

 アプリゲームが楽しすぎるのが悪いんだ!!(殴)

 

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