兄と妹~ときどき妹~   作:kielly

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穂乃果ちゃん!ほのかちゃん?ホノカチャン!




ことうみがきました

「お兄ちゃんお兄ちゃん!」

「ん~?」

「ちょっと穂乃果の部屋に来てよ! ほらほら早く早く~っ」

「あ!? ちょっ無理やりはやめろよ穂乃果っ!」

 

 穂乃果に無理やり腕を引っ張られた俺は、半ば強引に穂乃果の部屋に連れていかれた。

 

「お兄ちゃん呼んできたよ~!」

 

 そう言う穂乃果に連れていかれた俺が部屋に入る。すると、部屋の中には

 

「あ、おじゃましてます、お兄さん」

「こんにちわ♪」

 

 穂乃果の幼馴染2人が座っていたのである。

 

 

 

 

 

 ことうみがきました

 

 

 

 

 

「なんだよ~2人が来てるんだったらその時に教えてくれればよかったのに~」

「えへへ、だってびっくりさせたいじゃん!」

「違う意味でびっくりしたんだけど?」

「まぁまぁお兄さん、私たちも今きたところでしたし」

「穂乃果ちゃん、光穂さんがどんな反応するか楽しみにしてたんです♪」

 

 ことりちゃんと海未ちゃんはたまにこうやって家に来る。ただ、いつもは俺がいないときが多いから、こうやって4人で同じ空間にいるっていうのは珍しいかもしれない……もうちょっと、オーバーなリアクション取ってやればよかったかな。

 

「ところで、なんで今回は俺を呼んだんだい?」

「あ、そうそう! ことりちゃんがね――――」

 

 なぜ俺が呼ばれたのかを尋ねると、穂乃果の声と同時にことりちゃんが何やらごそごそと動き出した。

 

「実は――――じゃ~ん♪ マカロン作ってきたんですっ」

「ま、マカロン、だと……!?」

「はいっ、お兄さんにはいつもお世話になってるので♪」

「ことりちゃんの作るマカロン、とっても美味しいんだよっ!」

「穂むまんと同じくらい美味しいんですよ、ことりのマカロンは」

「へ~……って、え!? 手作り!?」

 

 て、手作りのお菓子ってだけでもかなりポイント高いのに、マカロンだと? マカロンって確か難しいお菓子だったはずなんだけど……女子力高すぎ。

 

「はい、光穂さんっ! あーん♪」

「えっ! いや、自分で食べるからいいよことりちゃん」

「えっ……だめ、ですか?」

「え?」

 

 自分で食べる、そう言っただけなのにすごく悲しそうな顔でこちらを見つめることりちゃん。そして何やら、胸元に手をあてて何かしようとしている。

 な、なんだ……?

 

「光穂さん――――お願いっっ!!」

「はい、食べます」

 

 うん、つよい。これはつよい。逆らえませんわ。再び差し出されたことりちゃんのマカロンを口に咥える。

 

「ん……ん!? なんだこれ! すげえ美味いわ!!」

「えへへ~♪ 頑張って作ったんです~っ!」

「ことりちゃん、君本当にすごいな! 確か衣装も作ってるんだろう?」

「はいっ♪」

「ことりの作る衣装は本当に毎回すごいんです。今度見せてもらってはいかがですか?」

「え!? こ、ことりちゃんがよかったら、ぜひ!」

「いいですよっ! 服飾関係の仕事に就くのが夢なので、いろんな人に見てもらいたいんですっ♪」

「服飾……本当に女子力高いな。おい穂乃果、お前も――――」

 

ことりちゃんを見習え、そう言おうとして穂乃果を見たのだが。

 

「……」

「穂乃果?」

「ふんっ」

「?」

 

 気づいてはいたのだが、ことりちゃんからマカロンをもらったあたりから穂乃果の様子がおかしいのだ。あれ、何か特別なことしたかな?

 

「ふふふっ♪」

「穂乃果、お兄さんが困ってますよ♪」

「むー、からかわないでよ2人とも……」

「え、えっ?」

 

 2人が楽しそうに笑い、穂乃果は"からかわないで"とか何やら意味の分からんことを言っていた。どういうことなんだろうか。

 

「あ、実は私も緑茶を持ってきたんです。ことりのマカロンには合うかはわかりませんが、よければ」

「なんてこったい。ぜひいただくよ」

 

 海未ちゃんが袋から取り出した緑茶は、そこらのものよりも高級そうな見た目をしていた。そして自分で持ってきたのであろうこれまた高級そうな急須に茶葉を入れ、なぜか持参していた水筒から熱そうなお湯を注ぎ、水筒を置いた。

 

「こんなところですかね。はい、どうぞお兄さん」

「あ、どうも」

 

 お湯を注ぎ少し経った後で、海未ちゃんが俺の使っていたカップにお茶を注いでくれた。その注ぐ姿があまりにも似合いすぎて、すこし見つめてしまった。

 

「な、なんでしょうか?」

「あ、いや、なんかすごく似合ってるなって思って」

「あっ、ありがとうございます」

「おい穂乃果、お前もこういう風にだな……」

「お・に・い・ちゃ・ん???」

「ん――――ひぃっ!?」

 

 素晴らしいほどの剣幕で俺を睨み付けるように見てくる穂乃果。俺、何か悪いことしたのかな?ううん、わからん。

 

「ほ、穂乃果……なんでそんな表情で俺を見るのですか?」

「ふんっ!!」

「あ、あれ~?」

「いいよねっ! 海未ちゃんもことりちゃんも女の子らしいし礼儀正しいしっ!! 穂乃果とは真逆だもんねっ!」

「い、いや、そこまでは言ってないぞ」

「嘘っ! お兄ちゃんはどうせ海未ちゃんたちみたいに女の子らしい子が好きなんでしょっ!?」

「ちょっと待て! そんなことは言ってないだろう!?」

「そう言ってるのとおんなじじゃん!!」

「ちげえよ!!」

「違わないもんっ!」

「違うっ!!」

「違わないっ!!」

「これが穂乃果からよく聞く兄妹喧嘩ですか。ずいぶんと微笑ましいですね、ねえことり」

「えへへ~♪ 2人とも可愛い~っ!」

 

 俺らが言い合っている間に何やら2人がニヤついてたが、言い合っていたせいで全く聞き取れなかった。でもまずは穂乃果を抑えなければ。来てくれた2人も気分を悪くしかねない。

 

「……わかった、俺が悪かったよ。確かに、俺のさっきの言い方じゃ"今の穂乃果はダメだ"って言ってるようなもんだったかもしれないな。」

「そ、そうだよっ! お兄ちゃんがいけないんだからっ」

「そうだよな、ごめん。でもな、俺今の穂乃果、すごく好きだぞ。2人も確かにすごく魅力的だし、女子力高いし、礼儀正しいし」

「ほ、ほら! やっぱりお兄ちゃんは2人の方が「でもな穂乃果」……え?」

「穂乃果、俺はお前の方が魅力的だと思うぞ」

「は、はぁ!? そ、そんなのっ、嘘に決まってるじゃん!!! 適当に言ってるだけでしょ!?」

「嘘じゃないよ。だってそうだろ? μ'sだってお前がみんなを集めたんだろ? お前が廃校を救うためにメンバーを集めたんだろ? 普通廃校寸前の学校でアイドルなんかやらねえよ。でも、それでもみんなは集まった。それってお前が魅力的だからだろ?」

「っ! ち、違うもん……それはみんなが廃校から本気で守りたいって思ってくれてたから」

 

俺の発言になかなか納得してくれない穂乃果を見て、海未ちゃんとことりちゃんが反応する。

 

「それは違いますよ?」

「う、海未ちゃん?」

「うんっ♪ だって穂乃果ちゃんがしたいって言ったから、みんなもアイドルを始めたんだよ? 穂乃果ちゃんが言わなかったら誰もアイドルなんてしなかったと思うの。それって、穂乃果ちゃんが魅力的だったって証拠じゃないかな♪」

「こ、ことりちゃん」

「それに、これは俺個人の意見かもしれないけど、穂乃果の笑顔見たら、どんなにつらくったって明るい気持ちにさせてもらえるんだ。だから――――俺は他のどの女の子よりも、穂乃果の方が魅力的だと思うよ」

「お、お兄ちゃん……!」

 

 穂乃果は少しうつむいて、恥ずかしそうにしている。どうやら、怒りは抑えられたようだ。恥ずかしがってる穂乃果もすごく魅力的だ、なんて言ったらどうなるのかな。

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

「では、私たちはここらでお暇させていただきますね」

「お邪魔しました、穂乃果ちゃん、光穂さんっ♪」

「お、もうこんな時間か。わざわざ来てくれてありがとうな!」

「うん! また明日ね、2人ともっ!」

 

 言い合いが終わって時間が経ったところで、2人が帰るために立ち上がった。穂乃果が下にコップや皿を持って行っている間に俺は2人に礼を言った。

 

「さっきはありがとうな。穂乃果を抑えるために発言してくれたんだろう? 正直あれがなかったらもっと長引いてただろうからさ。本当に感謝してるよ」

「いえいえ♪ それに……目的のもの(・・・・・)は見れましたから」

「とっても楽しかったですよっ♪ またマカロンもってきますね♪」

「?? あ、ああ、楽しみにしてるよ」

 

 海未ちゃんが言った目的のもの(・・・・・)とはなんだったんだろう。それにことりちゃんもすごく嬉しそうにしてたし。特別なことは何もしてないはずなのに。したとしても言い合いくらいだぞ? 楽しくはないだろうし……

 最近の若い子はわからんな。

 

 

 2人を見送った後で、俺は穂乃果の部屋に戻り片づけを始めた。幸いにも特に片付ける物も少なく、あっさりと終わったので自分の部屋に戻ろうと、穂乃果の部屋のドアを開けた。

 

「お兄ちゃんっ!」

「わっ……と。い、いきなり抱き着いてどうしたんだよ……びっくりしたじゃないか」

 

 ドアを開けた瞬間、向かい側にいた穂乃果に急に抱き着かれた。あまりに急なことだったから、軽く息が止まりそうになったぜ。

 

「ね、ねえお兄ちゃん! さっきの話なんだけど……」

「ん、どうした?」

「穂乃果が2人よりも――――他の女の子よりも魅力的って、本当?」

 

 あぁ、なんだ。そのことか。俺はさも当たり前のように、答えた。

 

「あぁ。どんな女の子よりも穂乃果の方が好きだよ。他のどんな女の子にも負けてない魅力、いや優っている魅力を穂乃果は持ってるよ。だから、今のままの穂乃果でいてくれよ? 無理に頑張ったり、劣等感とか感じる必要は全くないんだからさ」

 

 そう言い終わると、穂乃果はまた恥ずかしそうに顔を真っ赤にしながらも、今度は俺の方をじっと見つめてきた。俺も何も言わず、ただただ見つめ返した。赤くなった穂乃果もやっぱり、魅力的だと思うんだ。

 少し経ったところで、少し顔の色が戻り始めた穂乃果は俺を見つめながら、にっこりと笑い、こういった――――

 

「穂乃果も、どんな男の人よりもお兄ちゃんの方が魅力的だと思ってるよっ!だから――――いつまでも変わらないお兄ちゃんでいてねっ! 今のお兄ちゃん、穂乃果すっごく好きなんだっ」

 

 まぶしいほどの笑顔で、若干恥ずかしそうに言う穂乃果は、やっぱり他のどの女の子よりも魅力的だと思う……俺が、高坂家の長男じゃなければ、なんて思ってしまうほどには。

 

 穂乃果の幼馴染2人の魅力、そして穂乃果自身の魅力を改めて再確認した1日だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「海未さ~ん! ことりさ~ん!」

「あ、雪穂ちゃん♪」

「雪穂じゃないですか。こんにちわ」

「こんにちわ! もしかして、今日うちに来てたりしました?」

「はい、先ほどお暇させてもらいました」

目的のもの(・・・・・)も、ばっちり見てきたよっ♪ とっても可愛かったよっ!」

「あぁ、見たんですか」

 

 

お兄ちゃんとお姉ちゃんの痴話喧嘩(・・・・・・・・・・・・・・・・)

 

 

「えぇ、とってもいいものを見させていただきました」

「ことり達に嫉妬して光穂さんに怒る穂乃果ちゃんも、それにムキになって反抗する光穂さんも、とっても可愛かったよねっ♪」

「はぁ、これだからあのバカ兄妹は……すいません、お見苦しいところを」

「ふふふ……いい兄妹愛ではありませんか」

「そうだよね~、それに、雪穂ちゃんも、その"バカ兄妹"の1人だよねっ♪」

「なっ!? あ、あんなのと一緒にしないでくださいっ!」

「ふふっ、今度は雪穂とお兄さんの"痴話喧嘩"、楽しみにしてますよ」

「も、もうっ! 2人ともいい加減にしてくださいっ!!」

「あははっ、ごめんね雪穂ちゃん♪」

「もうっ……いつも喧嘩しては、毎回同じように抱き合って仲直りするんです。しかも仲直りの時は大体おんなじこと言ってるもんですから、見てるこっちからすると恥ずかしくて恥ずかしくて。今もきっと抱き合ってるんじゃないんですかね」

「だっ抱き合って……!?」

「やーんっ♡ 穂乃果ちゃんも乙女だね~♪」

「は、破廉恥ですっ――――あれ、兄妹だからいいのでは? いやでも一応男女の関係ですし……あれ?」

「海未さん、落ち着いてください」

 

 

 最近のμ'sのみなさんの流行りは、お兄ちゃんとお姉ちゃんの痴話喧嘩を見ること、だそうです。まったく。みなさんそうやって面白がって。毎回見てる私の立場にもなってくださいよ。

 

 ……私だってあの2人の妹なのに、なんで私は2人と喧嘩しないんだろう。

 

 なんか、寂しいかな。

 

 

 




穂乃果ちゃんかわいい~?

\かきくけこ~!!/

ことうみがきたはずなのに、その2人の出番が少なくなっちゃった☆

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