ホノカチャンうわあああああああああああああああああああああああああ!!
誕生日うわああああああああああああああああああああああああああ!!!
おめでとうぃやっほおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおい!!!
心がチュンチュンしますね(●・8・●)
ということで今回は穂乃果ちゃん誕生日記念回です、なんとか間に合いました!
何を書こうかと思って悩んでたのですが、思えば穂乃果ちゃんがどうやってイチゴが好きになったのかっていうのを書いてないなぁということに気づいたために、この作品ならではのきっかけを書く事にしました!
穂乃果ちゃん誕生日記念 小学生の頃は
今日は穂乃果の誕生日だ。
毎年この日は家族でお祝いする、家族だから当たり前だ。
穂乃果が大好きなイチゴがたくさん乗ったケーキを口いっぱいに頬張る姿はいつ何回見ても可愛い。
「ん〜っ! イチゴ美味しい〜っ♡」
イチゴを食べて幸せそうな表情を浮かべる穂乃果。
でも、昔はこんなにイチゴは好きじゃなかったんだ。
穂乃果ちゃん誕生日記念回
小学生の頃は
小学生の頃までは、穂乃果はイチゴをあまり好きじゃなかったんだ。
ははっ、懐かしいな――――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
それは俺と穂乃果が小学生の時だった。
「えぇ〜、イチゴ〜!? ぶつぶつばっかりで気持ち悪いよぉ!」
そう、小学生の頃の穂乃果はイチゴの周りにあるぶつぶつが気持ち悪いって言って嫌ってたんだよな。
イチゴというと穂乃果のイメージが強いけど、実は俺もイチゴが好きで、小学生の頃は穂乃果より俺の方がイチゴをよく食べてたんだ。
だから、穂乃果の言う『気持ち悪い』っていうのがあんまり分からなかった。
「そんなこと言わないで食べてみろよ、美味いぞ」
「うぇ……いくらお兄ちゃんが美味しいって言っても……」
「じゃあ目をつぶってろよ。俺が口に入れてやるから」
「うぅ、あんな見た目じゃなかったらいいのに」
「美味いのになぁ」
穂乃果は俺が勧めるものは大概好んでくれる。でもその時はなかなか受け入れてくれなかったんだ。今じゃぶつぶつなんて気にせずに口に放り込んでるけど。
「イチゴはダメ! お兄ちゃんチョコ食べよ!」
「え? うーん……まぁ穂乃果が食べないならいっか」
今では考えられないけど、その時の穂乃果はイチゴなんて食べず、雪穂以上にチョコを好んでたんだ。でも今じゃ穂乃果がイチゴ、雪穂がチョコっていうのは家族内で決まってる。
「ほら、チョコだぞ。あーん」
「あー……んまーっ♡」
「そっかそっか。じゃあその勢いでイチゴも」
「やだっ!」
「うーん……」
その頃の俺の周りの女子達に大概イチゴ好きが多かったせいでイチゴ=女子っていうイメージがあって、穂乃果にも女の子らしい食べ物を好きになって欲しいっていう気持ちと、俺と同じものを好きになって欲しいっていう我儘もあって、俺は穂乃果にイチゴを好きになって欲しかった。
でもやっぱ、穂乃果はイチゴを頑なに食べたがらなかった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「じゃあ友達と遊んでくるね〜!」
「行ってらっしゃい穂乃果」
「行ってきますお兄ちゃん!」
ある別の日、友達と遊ぶと言って穂乃果は外に出かけた。俺は特に予定はなかったから、部屋にこもることにしたんだ。
「あ、そういえばお母さんがイチゴ買ってきたって言ってたな」
お母さんの言葉を思い出して、俺は冷蔵庫を開け、赤々と熟したイチゴが入ったパックを手に取り、パックの封を開け、1つだけイチゴを取って水で軽く洗って口にそのまま放り込む。
「……こんなに美味しいのにな」
甘くて少し酸味のある小さな赤い果実、こんなに美味しいのに穂乃果は見た目だけで嫌ってしまっている。勿体無いな、なんて思ってしまう。
「あ! おにいちゃんイチゴたべるの? ゆきほもたべるー!」
「いいよ〜」
「やったーっ!」
台所でそんなことを考えていた時、雪穂が来たんだ。雪穂は俺が持ってるイチゴに気づいて、笑顔で近づいてきた。
雪穂もまた、1つ手に取り軽く洗ってそのままパクリ。
「ん〜っ! あまくておいしいねおにいちゃん!」
幸せそうな笑顔でイチゴを頬張る雪穂。穂乃果にもこんな風にイチゴを食べてもらいたい。
そういえば、雪穂はイチゴのぶつぶつは嫌じゃないんだろうかと気になって聞いてみたんだ。
「雪穂、イチゴの周りのぶつぶつってどう思う?」
「ぶつぶつー? くちのなかでぷちぷちしてておいしいよ!」
「穂乃果はそのぶつぶつが嫌いなんだってさ」
「えぇ〜! イチゴこんなにおいしいのにー!」
「美味しいのにな……ぶつぶつが嫌だから食べないっていうの勿体無いよなぁ」
雪穂はイチゴのぶつぶつなんて全く気にしてなかった。むしろそのぶつぶつも美味しいと言ってるくらいだ。
一度でも食べてもらえたら、きっと穂乃果も好きになってくれるはずなんだが……
そう思っていた俺だったが、雪穂からの一言で穂乃果に食べてもらえる可能性を感じることになる。
「イチゴのかたちをグチャグチャにしたら、おねえちゃんもたべてくれるかもね!」
「……っ! それだ!」
イチゴの形を失くす、その時の俺には無かった発想だった。
よくよく考えてみれば、穂乃果はイチゴのチョコならたまに食べるし、穂乃果は生のイチゴは全く食べたことがない。だからイチゴのぶつぶつも、食べてみると案外気に入ってくれるかもしれない。穂乃果が嫌っていたのは見た目なのだから。
なら、もしかしたら
「雪穂、このイチゴ全部俺にくれない?」
「えっ……ゆきほのイチゴは……?」
「あとでお母さんに買ってきてもらえるよう頼むからさ」
「わかったー! じゃああげるー!」
「ありがとな」
雪穂にイチゴを譲ってもらった俺は、早速キッチンで調理の準備をする。小学生の時から味噌汁くらいだったら作れた俺にとって、今から作ろうとしているものは比較的簡単だった。
それもそのはずで、イチゴたちのヘタを取りイチゴ全てを鍋の中に放り込み、その上に砂糖をこれでもかとドバドバかけて火にかける。これだけで8割くらいの作業が終わるからだ。
「おにーちゃん、なにやってるの?」
「イチゴジャム作ろうと思ってな。これだったら穂乃果も見た目気にせずに食べれるんじゃないかな」
「わー、イチゴジャムー! ゆきほもたべたい!」
「おう。完成するまでちょっと待っててな」
「うわー、やった! ジャムだー!」
雪穂が万歳のポーズをとりながら満面の笑みを浮かべている。
そう、俺が作ろうとしているのはイチゴジャム。イチゴそのままだとやはりぶつぶつが目立ってしまうため、どう頑張ったとしてもおそらく穂乃果は食べてくれない。だったら、イチゴの原型をなくし、ぶつぶつが目立たないようにしてやればいいと思った。
確かにジャムにしたところでぶつぶつは残ってしまうけど、ジャムの濃い色である程度は誤魔化せるし、一口でも食べてもらえればきっと穂乃果に気に入ってもらえると思ったから。
沸騰したところでレモン汁を入れ更に煮込むと、イチゴが原型をなくしドロドロになってきた。甘酸っぱい匂いがキッチンいっぱいに広がる。
「いいにおいするー!」
「これだったらたぶん穂乃果も食べてくれるだろうよ」
「うん! でもゆきほもたべるの!」
「ははっ、もちろんだよ」
「楽しみ~!」
その良い匂いに雪穂も更にテンションが上がり、椅子に座って少し宙に浮いている足をバタつかせている。俺もまた、態度にこそ出さないものの早く食べたい気持ちでいっぱいだった。
結構な時間沸騰させたジャムを少しだけスプーンですくってみる。
「おぉ!」
「ジャムになってるねおにいちゃん!」
「いい感じになってるな!」
スプーンですくったそれは、売ってるジャムに近いといっていいほどだった。もちろん冷やしていないから少し粘り気は弱かったものの、匂いと見た目はまんまジャムそのものだ。
「おにいちゃん! このパンにのせてー!」
「ほら」
「うわぁ……いただきます! あむ……おいしーっ!」
「おっ! 美味いか!」
「すごくおいしいよおにいちゃん!」
「なら俺も一口……おぉ、これは美味いな! これなら穂乃果も気に入ってくれそうだな!」
「うんっ!」
下手に手を加えていない純粋なイチゴジャムといった味だったが、店で売ってるようなものよりもよりイチゴの良さが出ているようなそんなジャムが完成した。
あとはこれを瓶に入れて冷やすだけ。穂乃果が食べた時のリアクションがすごく楽しみだ。
穂乃果は見た目が悪いという理由だけでイチゴを毛嫌いしている。実際にジャムすら口に入れたことなどないのだし、ましてや匂いに関しては穂乃果も「良い匂いだ」と言っていたのを聞いたことすらある。
これなら確実に食べてもらえる、瓶に入れた手作りジャムを冷やしながら、俺はそう確信した。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「うへへぇ……今日のおやつは穂乃果の一番好きなチョコ!」
「待て穂乃果、ちょっと食べて欲しいものがあるんだ」
「あるんだよ!」
「お兄ちゃんと雪穂? その手にある瓶は何?」
「ジャムだよ」
「ジャム?」
おやつを食べようとしていた穂乃果を、ジャムを持った俺とパンを持ってニコニコ笑顔の雪穂の2人で止めた。
穂乃果が嬉しそうな顔をして食べようとしていたそれは、穂乃果の一番のお気に入りであるチョコ、それだけに、それを食べようとしたところを止められて少し不機嫌そうな顔を浮かべる穂乃果。
「穂乃果ジャムよりチョコ食べたいよぉ」
「まぁまぁ、きっと穂乃果も気に入ってくれるから」
「ほんと~?」
「これおにいちゃんがつくったんだよー!」
「えっ!? なら穂乃果食べる!」
「おっ、食べてくれるか!」
「うんっ!」
雪穂の言葉一つで急に穂乃果は目をキラキラさせ始めた。
それを見た俺は早速蓋を開ける。
「あっ、この匂い……」
「そう、イチゴジャムだ」
「イチゴ……うぅ、お兄ちゃんイチゴはダメって穂乃果さっき言ったのに」
「でもぶつぶつはないぞ?」
「……あっ、確かに!」
「だろ? これなら食べれるさ」
「うーん。でもイチゴだし……」
「食べてみたら案外好きかもしれないぞ?」
蓋を開けた時の匂いで穂乃果はジャムの正体が分かったらしく苦い表情を浮かべたが、原型がほとんどないのを見せると少し悩む様子を見せた。
少し考えた穂乃果は、少し怯えたような様子で答えた。
「お兄ちゃんが作ったものだから、食べてみるよ」
「よし!」
美味しそうだから、という理由ではなかったことに少しガッカリしたものの食べる気になってくれた穂乃果。
俺はその言葉を聞いて早速雪穂が持つパンを1つもらい、それに手作りジャムを多めに乗せる。
そしてそれを穂乃果の口の前に差し出す。
「ほら、あーん」
「あ、あー……」
恐る恐るといった感じで穂乃果はパンに口を近づけ、そしてパンとジャムの境目の部分目がけてかぶりついた。
「もぐもぐ……」
「ど、どうだ?」
噛み締めるように食べる穂乃果に俺は少しの緊張を感じながら感想を尋ねる。
「う……」
「う?」
「うまあああいっ!」
「よっしゃあ!」
「やったねおにいちゃん!」
「あぁ! 雪穂のおかげだよ!」
穂乃果が眩しい笑顔とともに嬉しい声を聞かせてくれた。思わず俺もガッツポーズ、雪穂もまた可愛くガッツポーズをキメていた。特別に難しいことをやったわけではないものの、穂乃果の嫌いなものを美味しいと言って食べてもらえたことに言いようのない喜びを感じた。
「お兄ちゃん! もっとパンにジャム乗せて!」
「おにいちゃんゆきほも! ゆきほにもちょうだい!」
「ははっ、慌てなくてもちゃんとあげるから」
キラキラした目でおかわりをねだる穂乃果と、痺れを切らしたと言わんばかりにはしゃぐ雪穂の2人。
パンを渡され2人は勢いよく食べ、あっという間に食べ尽くしてしまった。
満腹そうにお腹に手を当てる雪穂を尻目に言い放った穂乃果の言葉を、俺は未だに覚えている。
「お兄ちゃん! もっとイチゴジャムちょうだい! もっともっと食べたいよぉ!」
これが穂乃果がイチゴを初めて食べた日のことだった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「うへぇ……幸せぇ♡」
イチゴのケーキを食べながらそんな言葉を漏らす穂乃果。
あの日から、穂乃果はよくイチゴジャム入りのパンをよく食べるようになり、そしていつの間にか生のイチゴも好んで食べるようになっていた。人間、歳を取ると食べ物の好みが変わるなんていうのをよく聞くが、あれは本当なのかもしれない。
「んー……でもちょっとイチゴが足りないぁ……」
ケーキを幸せそうに食べていた穂乃果だったが、少し不満げな表情を浮かべそんなことを言い出した。
「そだ! この上にイチゴジャムかければいいんだ! 穂乃果天才かも!」
「海未ちゃんからまた言われるぞ~、ダイエットしなさいって」
「うぐっ! きょ、今日くらいは許してよぉお兄ちゃあん」
「仕方ないなぁ今日だけだぞ?」
「うわぁい♡」
ただでさえ甘ったるいケーキにクソ甘いジャムなんてかけてどうするんだ、本当はこう言いたかったのだが、穂乃果がそうしたいというのなら仕方がない。今日は誕生日だからなおさら仕方ない。
穂乃果がジャムを持ってきて、それをスプーンいっぱいにすくい、ケーキにドバっとかけた。
「あむっ……ん~っ! これぞイチゴって感じ!」
「美味しいか?」
「うんっ! でも……」
美味しそうにジャムケーキを食べていたが、すぐにその手は止まった。
「でも? やっぱ甘すぎたか?」
さすがの穂乃果でも甘すぎたのだろうか、そう思って尋ねてみたのだがどうやら違ったらしい。
「ううん、そうじゃなくてね――――」
「お兄ちゃんが作ってくれたジャムかけたい! って思っちゃった。えへへ」
少しだけ困ったような笑みを浮かべながら穂乃果は言った。
また、時期が来たらイチゴジャム作って食べさせてあげようかな。
穂乃果ちゃんの誕生日ということは実質私きえりーの誕生日ということでもあります(???)
ですので皆様、よければ感想・お気に入り・評価をいただけると嬉しいです!←
この作品を投稿し始めて2回目の、穂乃果ちゃん誕生日記念回です。
ここまで投稿を続けてこられたのも読者様のおかげ、そしてなにより穂乃果ちゃんのおかげです。皆様ありがとうございます! そして穂乃果ちゃんありがとう!!
この調子で3回目の誕生日も迎えられるよう頑張っていきます!