穂乃果ちゃん! ほのかちゃん? ホノカチャン!
今回は、とある作家様から頂いた"尊い穂乃果ちゃんのイメージ"を使い、イメージ通りに近づけた尊い穂乃果ちゃんを書いてみました。
あぁホノカチャン……尊すぎて生きるのが辛い……
「ついにあの日が来るか……」
「何が来るの? 光穂くん」
昼休み、3年生組4人で昼ごはんを食べていたとき、ふと俺はそう思った。声に出てしまっていたらしく、絢瀬に不思議そうな顔をされた。
「なになに? 何か楽しいことでもあるん?」
「嬉しそうなのに不安そうな、結構複雑な表情してるわよあんた」
「うるせえ矢澤。明日……明日は、そう――――」
穂乃果の日
「「「穂乃果の日?」」」
「そう。2ヶ月に1回来るんだが、それが明日でな」
穂乃果の日、2ヶ月に1回あるその日は穂乃果が楽しみにしている日。
だが俺にとっては……
「楽しみじゃないの? 光穂くん、最愛の妹のための日なんでしょう? なぜそんな表情を浮かべているのかしら?」
「何ていうか、楽しみなんだけど……」
「楽しみなんだけど?」
「楽しみなんだけどさ、ただ――――」
「金の消費、激しいんだよね」
「あぁ……」
「まぁ、穂乃果ちゃんやからね」
「あんたの表情からするに、かなりの額持ってかれるのね」
「あぁ、そうさ」
俺と穂乃果のお小遣い、実は俺がすべて管理している。お母さん曰く、穂乃果にお金を渡そうものなら1日足らずで使い切ってしまいそうだから、俺の分含めて穂乃果のお小遣いも俺が管理することになっているのだ。
そのことを3人に伝えると、3人は少し引き気味だ。
「えっ、光穂くんが穂乃果の分まで?」
「穂乃果のやつ……本当に高校生なのかしら?」
「光穂っち、大変やね」
「いやいや、そんなことはないぞ」
引き気味の3人を見ていると、どうしても納得いかなくなって反論する。
「いいか? 確かに穂乃果と俺のお小遣いは共用だ、どちらかが使いすぎればもう片方も苦しむ事になる。だがしかし、共用ということもあって少し多めにお小遣いを貰えている。そのおかげで今月こそ苦しむことは確定しているが来月はかなり余裕を持てるということだ! そして何より! 穂乃果の喜ぶ顔を見れるチャンスが増える!! お出かけの時! コンビニでお菓子を買うとき! いいことずくめなのさ!!」
おっと、思わず熱くなってしまった。穂乃果のことになるとどうしてもこうなってしまうからいけないな。
少し乱れた息を整え、3人を見ると、絢瀬は困った顔で、東條はぼけーっとして、矢澤はいつもの呆れ顔で、俺を見ていた。
「さ、さすがね光穂くん」
「ほげー……」
「希、女子がしちゃいけない顔してるわよ。っていうか、穂乃果のことだから今月に限らず穂乃果の日がない月でもあんた、苦しんでるんじゃないの?」
「うぐっ!?」
「図星ね」
そう、矢澤に言われたとおりだ。今月は穂乃果の日がある月だから消費はでかい、なら穂乃果の日がない月は余裕だろうと思うだろう。さっきは俺も、来月はかなり余裕を持てるなどと言ったが、実際はそんなことはなくて。
「穂乃果の日、その日に使う分を考えると、とても俺が自由に使えるような余裕はないな。穂乃果の日がない月だって、いろんなことに金使うからな。昼ご飯に穂乃果が食べるパン、穂乃果が夜のデザートに食べるプリン、休みの日に部屋でゴロゴロするときに穂乃果と食べるためのお菓子……」
「って! あんた穂乃果の日以外でも穂乃果のためにお金使いすぎでしょ! あんたの分ほとんどなさそうじゃない!?」
「甘いな矢澤」
「っ!? なんですって?」
「穂乃果のための投資は、俺のための投資でもある!!!」
「……はぁ、呆れたわ。いやもう逆に流石よ、あんたは」
余裕は確かにない。俺の使える分など本当に、穂乃果と一緒に食べるお菓子と、一緒にお出かけするときに払う金くらい。
「俺が購買でパン買ったり校内で飲み物買ったりしなければいいだけの話だからな。休日だってほとんど、おまえらの練習見に行くか部屋でゴロゴロ、あとは穂乃果や雪穂と一緒に出かけるくらいだし」
俺1人で金を使うことはほとんどない。だから、お小遣いの面で今まで苦労したっていうことはほとんどないんだ。
「お金の消費が問題じゃないんだったら、光穂くんはなぜそんな顔をしてるのかしら?」
絢瀬が俺に問いかける。俺のさっきの言い方だと、金の消費が激しいことに苦労していると思われても仕方ないからそう聞かれるのもしょうがない。
だったら俺が本当に困っていることは何だと言われると。
「そう……穂乃果の日、穂乃果のために何でもしてあげる日。でも、それだけじゃないんだ」
「えっ?」
「穂乃果の日、俺が穂乃果に尽くす日。だがその1日の終わりに、俺も1つ、穂乃果に何でもお願いしていいっていう決まりがあるんだ」
「いいやん! 穂乃果ちゃんにお願いできるなんて、光穂っちにしたらこれ以上ないご褒美やん!」
「で、それの何が困るって言うのよ?」
「尽くすことに慣れすぎて、何をお願いしたらいいのか分からねえんだよおおおおお!! これまでもお願いしてきたけど、2か月前の穂乃果の日に『お兄ちゃん同じお願いばっかりでずるいよ!』って言われたばかりなんだよおおおおお!!!」
「はい解散」
「あははっ、光穂くんも大変ね」
「ほな頑張ってな~」
「ってちょっとお前ら待てよ!?」
俺の真剣な悩みを聞いたにも関わらず、3人は呆れた様子で席を立とうとしていた。慌てて止めると苦笑いで席に再びついた。
「まぁ穂乃果から頼られることは多いけど、いざ穂乃果にお願い事するってなると何も浮かばないわ」
「ましてや光穂っちやからね」
「気持ちは分からないでもないわね。でも、だったらお願いすることはないって言えばいいんじゃないのかしら?」
「甘いぞ絢瀬……あの穂乃果の、自信有りげに穂乃果に何でも言ってみてよと言わんばかりのキラキラした視線浴びせられると、何もお願いしないっていう選択肢は自然となくなるんだよ」
「ごめんなさい光穂くん、それは確かに無理ね」
「だろ? ああああっ、どうすれば……」
絢瀬の同情的な視線を浴びながら、俺は頭を抱える。
どうする俺……もう明日まで迫ってるんだぞ……考えろ、何か良いお願いを……
「お兄ちゃん!」
「「「「っ!?」」」」
「あぁ~っ! 絵里ちゃんたちと食べてる~!! 今日は明日のこと考えながら一緒にお昼食べようねって約束してたのに~っ!!」
「……あっ」
穂乃果の一言で思い出した。今朝登校中に、確かにそんな約束をしていたのだ。だたその時は明日のことで頭がいっぱいで話を聞き流す形になっていたから、すっかり忘れていた。最愛の妹との約束を忘れてしまうとは……俺としたことが。
穂乃果は頬をめいっぱいプクーッと膨らませ、明らかに怒ってますよと言わんばかりの態度で俺に迫ってきて、俺の手を取った。
「お兄ちゃん、今からでも遅くないから行くよっ! ほら早く~っ!」
「うおぁ!? ちょっ待て穂乃果!!」
「知らないもんっ! 絵里ちゃんたちと楽しそうにしてっ!!」
「さっきの俺の様子からどうやったら楽しそうに見えたんだよおおおおお!!」
穂乃果から無理やり引っ張られながら、俺は教室を後にするのだった。
教室で残された3人は、そんな兄妹の様子を呆れた様子で見送っていた。
「相変わらずね~あの兄妹。バカップルかっての」
「まあまあにこっち、仲がいいことはいいことやん! なっ、絵里ち!」
「あはは……ちょっと過剰すぎる気もするけどね」
呆れてはいるものの、今ではすっかり見慣れていることである。過去にも何度もこういうことはあったからだ。
そんな中、絵里は何かを考えるように頬杖をつく。
「ん、どうしたん絵里ち?」
「何考えてんのよあんた」
「え? あぁ……ねえ2人とも、ちょっと提案なんだけど――――」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「今日はいっぱい楽しもうね、お兄ちゃんっ!」
「お、おう!」
朝、俺と穂乃果は爽やかな風を浴びながら、腕を組んで歩いていた。穂乃果の日を迎えたのだ。
だが結局俺は、何を穂乃果にお願いするか決めることができなかった。
やべえな、何も思いつかない。横にはニコニコ笑いながらいつにもなく嬉しそうに俺と腕を組んで歩く穂乃果。可愛い……じゃなくて! どうにかして何か考え出さなければ。
「お兄ちゃん? もうっ、お兄ちゃんってば!」
「ひぇっ!? な、なんだ穂乃果?」
「もう……ボーっとしてどうしたの? も、もしかして体調悪いの!?」
「えっ!? そんなことはないから安心しろ!」
「そ、そう? ならいいんだけど……」
考えすぎて穂乃果に心配されてしまった。心配そうな表情を浮かべる穂乃果を見ると情けない気持ちになってしまう。
いかん、可愛い穂乃果に不安げな表情など似合わない。いやそれもまた可愛いんだが。しかし今はダメだ、今日は穂乃果の日、穂乃果にめいっぱい楽しんでもらう日なのだから。
お願い事など、遊びながらでも決めれるだろう。
「穂乃果、ごめんな。もう大丈夫だぞ!」
「お兄ちゃん、本当?」
「おう! さ、今日はたくさん遊ぼうな!」
「っ! うんっ!」
穂乃果の手を優しく握ると、穂乃果も優しく握り返してきた。そして繋いだ手を引っ張って走り出す穂乃果。
「お兄ちゃん! 今日はよろしくね!」
「あんなのただのデートじゃない!」
「うっしっし! ええもん見れそうやん」
「穂乃果、いつも以上に嬉しそうに笑ってるわね……あっ、走り出した! 追うわよ2人とも!」
仲のいい兄妹の後ろには、怪しい
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「あっ、お兄ちゃん! あれ食べたい!」
「よっしゃ、じゃあそれ食べようか」
「うんっ!」
俺たちは今、東京の街中を歩き回っている。穂乃果の希望で、今日はあまり遠くないところでいろんなことしたいということで、あまり家から離れていないところで遊ぶことになった。
穂乃果が食べたいと言ったクレープを買って、穂乃果に手渡した。
「ほら、買ってきたぞ」
「ぅわーい! いただきまーすっ……んま~いっ♡」
「ははっ、そりゃよかった」
「はいっ、お兄ちゃんも食べてっ! あーん♡」
「あー……おぉ、クリームたっぷりで甘いけど、苺の酸味でうまいこと合わさってるな」
「だよねだよね~! おいし~♡」
穂乃果が食べているのは苺とクリームたっぷりの可愛らしいクレープ。一口もらったが、確かに美味しいもののクリームのモッサリ感が歩いて温まった身体には重く感じてしまい、これ以上はもういらない。せめてコーヒーの1杯くらいはないと完食は厳しい。そんな感想だ。
だが、そんなクレープを穂乃果はペロリと平らげてしまっていた。
「ん~、幸せぇ♡」
「うぷっ……よ、よかったな穂乃果」
「うんっ! ……あっ! お兄ちゃんあそこのお店のパフェ! すっごく美味しそう……!」
「えっ? お前今クレープ食べたばっかだろ?」
「うん、そうだよ?」
「そうだよって……食べれるのか?」
幸せそうな表情を浮かべたのも束の間、パフェを売りにしている喫茶店を見つけては、あのもっさりクリームクレープを食べたばかりにも関わらず、パフェの店に行こうと目を輝かせている。
俺としては信じられない発言だったので確認のために聞いてみたが、穂乃果は食べる気満々のようだ。
「お兄ちゃん! あれ、食べに行こう!」
「いや、あんだけクリーム乗ったクレープ食べたばかりなのに、あんな量の多いパフェ食べきれるのか!?」
無茶な行動だと思った俺は、思わず穂乃果にちょっと強めの言葉で聞き返した。
だがそれがいけなかったのだろう。
穂乃果は昨日の昼休みのように頬をプクーッと膨らませては、ほんの少し涙を浮かべて
「食べる食べる食べるーっ! お兄ちゃん食べるーっ! パフェ食べるのーっ!!」
「ちょ、ちょっと待て! わかった、わかったから! パフェ行こうな!」
両手で、太鼓を叩くように俺を正面からポカポカと叩いてきた。その行動自体は可愛いものの、年齢に合わないそれは周りの視線を集めることになってしまい、俺は慌てて、穂乃果を宥める意味でそのパフェのお店へ穂乃果を誘導することになったのだった。
「あーんっ、んまああああ……♡」
「美味しいか?」
「すっごく美味しいよお兄ちゃん!」
「……はぁ」
パフェの店で穂乃果は目当てのパフェを注文し、出されるとすぐにがっつくように食べ始めた。俺はその様子を見ながら、冷えたアイスコーヒーをストローを使って飲んでいた。
このパフェも一口もらったのだが、さっきのクレープよりは冷たくて食べやすいものの、やはりクリームたっぷりでチョコソースもたっぷり。苺があるのが救いだが、クリームとチョコソースの多さに対して苺が明らかに足らず、気休め程度にしかならない。
言えば、さっきのクレープよりさらに甘ったるいのだ。
普段はコーヒーにシロップとミルクを少し入れるのだが、今の俺にはブラックでちょうどいいと感じてしまう。穂乃果ほどの甘党ではない俺にとって、そのパフェは凶器に見えて仕方ない。
にも関わらず穂乃果は、そのパフェだけ注文し、飲み物がない状態で食べ進めているのだ。ありえん……
「ちょっとコーヒー飲ませて!!」
「うぇっ!?」
なんてことを考えていると、穂乃果が俺の手に持っていたアイスコーヒーのグラスを奪い、ストローで飲み始めた。
「んっ……ぷはーっ! お兄ちゃんこれブラックじゃん! なんでミルクとシロップ入れてないのっ!!」
「えっ!? あ、あぁ、今の気分がブラックだったからさ……ごめんな?」
「……えへへ、今日は特別だよっ! よーしっ穂乃果、パフェ完食しちゃうよ~!」
無理やり奪ってきたにも関わらず文句を言ってきた穂乃果だったが、俺が謝るとあっさり許してくれて、またパフェを勢いよく食べ始めた。
心なしか頬が赤くなってる気もするが、無理はしてないよな……?
そんな心配も無駄だったようで、半分以上残っていた甘ったるいパフェを、10分足らずで穂乃果は見事完食したのだった。
兄妹と同じ喫茶店の角席に居た3人組。彼女たちもまた、穂乃果と同じパフェを味わっていた。
「ん! これ美味しいわ!」
「どれどれ……んんっ、甘くて美味しいやん! ほらにこっちも食べてみ!」
「うっぷ……あんたらも穂乃果も、なんでこんなクソ暑い時にそんな甘ったるいもの食べれんのよ……信じられなむぐっ!?」
「グチグチ言ってないでにこも食べなさいっ!」
「んんっ!?……んくっ、はぁはぁ……美味しいけどあまりの甘さに死にそうになったわ」
「にこっちぃ、そんなんじゃアイドルにはなれへんでぇ??」
「っうるさいわね! 今時のアイドルは甘党なだけじゃダメなのよ!」
3人で1つのパフェを注文したものの、にこは光穂同様、暑さにやられて身体が甘いものを受け付けなくなっていた。しかしそれにも関わらず、絵里はにこの口にパフェをすくったスプーンを押し込むように食べさせた。
機嫌を悪くしたにこは、注文していたアイスコーヒーを一口飲み、2人に文句を言う。
「てかあんたらもねえ! こんなクソ暑い時くらいブラックコーヒー頼んでクール系アイドル意識するくらいしなさいよまったく! あのクソシスコン野郎でもアイスコーヒー頼んでるってのに!」
「……あっ」
「えっ!?」
「って! あんたら聞きなさいよさっきからあいつらの方ばっか見て――――えっ?」
話を聞かずに兄妹を見る絵里と希に、怒りを顕にしながらもにこは2人が見る兄妹の方へ視線を送った。
その瞬間、3人の空気が止まる。
3人の視線の先には
「えっ……嘘……」
信じられない光景に驚きを隠せない絵里。
「…………」
驚きのあまり声を失う希。
「あっ、ぁ、あんなの兄妹なんだから普通じゃない! そう、普通よ!」
驚きを隠そうと必死に取り繕うにこ。
3人に沈黙が訪れた――――――――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
日が沈みゆくのを見ながら、俺たち2人は帰路を歩く。
「今日はありがとうねお兄ちゃん!」
「おう」
手を繋ぎ歩く穂乃果は、にっこりと笑みを浮かべている。
今日は近場で遊んだからか、いつもよりは出費も抑えられていた。ちょっとだけ安心。今回の穂乃果の日も無事に終わりそうだ……終わりそう?
「あっ」
もう1日が終わりに向かっている。今日は穂乃果の日、ということは……と気づいたときにはもう遅く、穂乃果はキラキラした目で俺を見ていた。
「お兄ちゃん! 今日のお礼に何でも1つお願いしてよ!」
「あー……」
「ふんす!」
気合が入っているのか、穂乃果は自信満々に、穂乃果お得意のファイトのポーズで俺のお願いを待っていた。
しまった、遊んでいる間に決めるつもりだったのにまったく決めれなかった。どうするか……
今までしたことのあるお願いといえば、"抱きついてこい"、"ナデナデさせろ"、"抱っこさせろ"といった、いつもやるようなことばかりだった。だから前の穂乃果の日の時に『いつも同じことばかりでずるい』などと言われてしまったのだ。
前と同じこと、いつも日常でやってることをお願いしたところで、お断りされるに違いない。かといって穂乃果の日の度にお願い事を考えるというのも結構苦しい。いずれはネタ切れを迎えるだろう。なら……
俺は1つだけ、切り札として頭の中に浮かんでいたことをお願いしてみることにした。
「穂乃果」
「うんっ、なになに!?」
「穂乃果、今日の俺のお願いは、今日だけじゃなくてこれからずっと、穂乃果の日にお願いすることになると思う」
「えー!? それじゃ面白くないよぉ!」
「でもこれが穂乃果にお願いしたいことなんだ。ダメか?」
「う~、お兄ちゃんがどうしてもって言うならいいよ?」
「ありがとう。じゃあ、お願いするぞ」
「いつまでも、俺の妹でいてほしい」
「……え?」
「いつまでも俺のそばから離れないで、ずっと俺の妹として一緒にいてほしい。こういうお願いはダメか?」
「…………」
俺のお願いを聞いた穂乃果は、少し俯く様子を見せたが、すぐに顔を上げた。
「うんっ! もちろんだよお兄ちゃん!」
その表情は、今までにないほどの笑顔だった。
穂乃果は、その笑顔を浮かべたまま、俺に抱きついてきた。だから俺も、抱きしめ返す。
「えへへ、お兄ちゃん、ずっと一緒にいようね!」
「……あぁ、もちろん」
笑顔を見せる穂乃果をなでつつ、これでお願い事をしなくて済むことに安心した俺だった。
「ねえ、こんな場所で堂々とそういうことするのやめてくれない??」
「げっ、雪穂……」
「ご、ごめんな雪穂!」
「……もう」
抱きつきあっている俺たちを見つけた雪穂が冷たい視線を送りながら冷たい声で俺たちを叱ってきたため、慌てて抱き合うのをやめ、俺たちは3人で家に帰ることにしたのだった。
穂乃果の日の2日後。
「ねえ光穂くん、1つ聞いてもいいかしら?」
「ん、どうした絢瀬?」
「光穂くんは、自分が口を付けたコップとかを、自分の家族に渡すのって抵抗あったりするのかしら?」
「ぶふっ!?」
「げほっげほっ!?」
「おいお前ら!?」
昼休み、訳の分からない質問を絢瀬から受け、東條と矢澤が吹き出すところを拝むことになってしまったのだった。
いかがでしたか?
尊い穂乃果ちゃんのイメージを提供してくださった作家様が読んでくださってるかはわかりませんが、イメージ通りに近い穂乃果ちゃんが描けていたなら幸いです。
穂乃果ちゃんって、なんでこんなに尊いんですかね???
いつも感想やお気に入り、高評価や誤字報告等いただけて大変感謝しています。
これからも尊い穂乃果ちゃんを書いていけるようにホノカチャン力を高めていきますのでどうぞこれからもお付き合いくださいね!