なんとこの作品が!! 1月28日をもちまして投稿1周年を迎えました!!
まさかここまで連載が続くとは思っていなかったのですが、読者様方のおかげでこんなに長く続けることができました! ありがとうございます!
今回は1周年記念、とはいってもいつもと何ら変わらない内容かとは思いますが、その方がこの作品らしいかなと思って書いてみました。
これからもどうぞよろしくお願いします!
「お兄ちゃぁん、えへへっ」
「よしよし、今日も穂乃果は可愛いな」
「ふぁぁ……」
今日もお兄ちゃんに抱きついてナデナデしてもらってるの! えへへ、やっぱりお兄ちゃんにナデナデされるの気持ちよくて、学校で頑張った疲れなんか吹っ飛んじゃうよぉ。この時間がずっと続けばいいのに。
「っと、ごめん穂乃果、ちょっとトイレ行ってきていいか?」
なんて思ってたら、お兄ちゃんがそんなこと言ってきた! むー、穂乃果、これからもっとお兄ちゃんに甘えようと思ってたのにぃっ。
そうだ、ちょっとだけ意地悪しちゃおっ!
「うぇぇっ!? ほ、穂乃果とトイレ、どっちが大事なのっ!?」
「えぇっ!? い、いやさすがにトイレには行かせてくれ! 穂乃果の方がもちろん大事だけど、さすがにトイレくらい行かせてくれ、なっ?」
あははっ、お兄ちゃんが慌ててるよ〜!
「冗談だよお兄ちゃん、でも帰ってきたらまたお兄ちゃんにナデナデしてもらうからねっ」
「おう、もちろん。じゃ、ごめんちょっと行ってくるよ」
「行ってらっしゃい!」
お兄ちゃんが立ち上がって、トイレに行っちゃった。うぅ、やっぱりお兄ちゃんの温かみを感じれなくなるのは辛いよぉ、しくしく。
そんなことを思ってた時、穂乃果の目に
「こ、これって、お兄ちゃんのスマホ!」
兄と妹〜ときどき妹〜 1周年記念
穂乃果が一番だもんっ!
目の前にあるテーブルの上に置かれてるお兄ちゃんのスマホ。穂乃果のと色違いのスマホ、でもストラップとか何もつけてないから穂乃果のとは少しだけ違うものみたいに見えちゃう。
何となく気になってそのスマホを手に取ってみた。
そのとき!
ピコーン
「わわっ!」
思わず驚いちゃった。手に取ってすぐにメッセージ届いたんだもん! 誰だってビックリするよ!
触る前は真っ暗だった画面が、メッセージが届いた瞬間明るくなって、画面の中央にはそれの通知が。って、さすがに見ちゃまずいよね、あはは……
お兄ちゃんの許可も無しに勝手に見ちゃまずいと思って、テーブルに置こうとしたの、そしたらまた
ピコーン!
通知また来ちゃった。まるで穂乃果の行動を見られてるみたいなタイミングだね、これ。もしかしてお兄ちゃん、まさか狙ってるのかな?
お兄ちゃんまだ戻ってこないし、お兄ちゃんだから秘密事もないだろうし……見ちゃおうかな? でもでも、お兄ちゃんに怒られるかも……うーん。
…………
見ちゃえ!
そう思ってロック画面にパスワードを打ち込んでみる……やった、開いちゃった。お兄ちゃん、前にお兄ちゃんがパスワード入れるとこチラ見した時からパスワード変えてないんだ、よかった。あ、そうじゃなくてアプリはどこに……あった!
アプリを開いて確認してみると、さっきメッセージを送ってきたのは絵里ちゃんだってことが分かったの。なんだ、絵里ちゃんか〜。
…………
「え、絵里ちゃん!?」
えぇっ!? お兄ちゃん、絵里ちゃんの連絡先持ってたの!? ちょ、ちょっと意外だったかも……あ、でも同じ学年だし、一緒にいることもあるし別に変じゃないよね。ど、どんな会話してるんだろう、気になるけど勝手に見ちゃったら既読マークついちゃうし、既読マークついたのに返信来なかったら、きっと絵里ちゃん悲しむよね。さすがにやめとこ。
メッセージを送ってきたのが絵里ちゃんだって分かったから、スマホの画面を暗くしようと電源ボタンを押そうとした時、穂乃果は見てしまったの。
メッセージを送ってきた絵里ちゃんの下の人たちの名前と順番を!
「え、えぇっ!?」
な、なんで!?
「今送ってきた絵里ちゃんはともかくとして、なんで穂乃果より希ちゃんとにこちゃんの方が穂乃果より上に来てるのー!!」
そう! トークの一覧には、新しくメッセージを送ってきた人が1番上に表示されて、古ければ古くなるほどに下にいく。だから今メッセージを送ってきた絵里ちゃんが、今は一番上に来てる。それはいいんだけど……
「昨日お兄ちゃんにメッセージ送った穂乃果より希ちゃんとにこちゃんが穂乃果より上に来るなんて!」
穂乃果だって昨日の夜メッセージ送ったばっかりなのに! その穂乃果よりも上に来てるっておかしいよ!
もう1回アプリを見直してみても、やっぱり穂乃果より希ちゃんとにこちゃんが上に来てる。うぅ、なんでぇ……あっ! そっか、別に穂乃果より上にあるからって、たまたま穂乃果より後にメッセージ送ってきただけかもしれないもん! だ、だからちょっとだけ、ちょーっとだけ、話の内容見ちゃうもん。
開いているアプリの、希ちゃんとのトーク画面を恐る恐る開いてみた。
ど、どんな話してるんだろう。
from 東條 : みつほっちー、今日の運勢聞いとくー?
to 東條 : 頼む。
from 東條 : 今日のみつほっちの運勢は……中吉や! でもみつほっちよりも運勢のいい人と一緒に居れば、みつほっちの運勢ももっと良くなるらしいで!
to 東條 : じゃあ大吉の人と一緒に居れば俺も良くなるってことか。
from 東條 : ち・な・み・に、うちは大吉やったで。
to 東條 : お、なら今日は東條と一緒にいればいいのか。
from 東條 : そういうことや! だから今日のお昼は一緒に食べよか!
to 東條 : おう、頼むわ。
な、なな……
「なにこれぇ!!」
こ、これ絶対、希ちゃんがお昼ご飯をお兄ちゃんと食べたいから適当に考えた占いだよね!? しかもお兄ちゃんもまんまと騙されてるし! うぅ、だから今日はやたら希ちゃんの近くにいたんだ……ってこれ! メッセージ遡ってみて分かったけど毎日のようにやりとりしてるじゃん!! 内容は占いだったり学校のことだったりで毎回変えてるみたいだけど、何かとお兄ちゃんを誘ってる!! しかもやりとりの頻度めっちゃ高いよ! そんなに仲がいいなんて知らなかったよぉ……
で、でも! きっとにこちゃんとはそんなに頻繁にやりとりしてるはずないよね! だってお兄ちゃんとにこちゃんって仲悪いもん! いつもいつも喧嘩に近いことしてるし、今回はきっとたまたま用事があったからにこちゃんからメッセージ送ってきただけだよね!? うん、きっとそうだ! だからにこちゃんとはそんなにやりとりしてないはず!
……にこちゃんと最後にやりとりしたのは今日の夜7時みたいだね。
from 矢澤 : あんた明日の朝覚えときなさい。
to 矢澤 : は? 俺は少なくとも矢澤の顔なんか思い出したくもないだが?
from 矢澤 : にこもあんたのことなんか思い出したくもないわよ!
to 矢澤 : は~、これだから矢澤は……
from 矢澤 : なによ! 言いなさいよ!
to 矢澤 : あ、そんなことより早く夜ご飯食べたいから話切るわ。
from 矢澤 : ちょ! ちょっと早く言いなさいよ気になるじゃない!?
to 矢澤 : スタンプを送信しました。
from 矢澤 : ……はぁ、そのやる気ないスタンプを見るに今日は終わりってことね。じゃあまた明日、絶対に言いなさいよ!
to 矢澤 : おう、おやすみ。
from 矢澤 : おやすみ。
えぇっ!? 結局お兄ちゃんにこちゃんに何伝えたいのか言わずにやりとり終えちゃったの!? 穂乃果すっごく気になるよ!? っていうかいつも仲悪そうにしてるのにアプリでも喧嘩してるの!? しかもにこちゃんも希ちゃんみたいに毎日やりとりしてるし!
2人のやりとり見てたけど、2人とも毎日お兄ちゃんとやりとりしてたみたいだし、穂乃果が知らないくらい仲いいみたいだし。ということはもしかして、絵里ちゃんとも毎日やりとりしてるのかな……だとしたら。
ってダメダメ! 今絵里ちゃんのとこ開いちゃったら既読ついちゃう! そしたら絵里ちゃんが可哀想だよ!!
……でも、絵里ちゃんとどんな話してるのかは気になるし、見るならお兄ちゃんがいない今しかないし。
…………
ちょ、ちょっとだけなら、いいよね? お兄ちゃんも絵里ちゃんもそのくらいじゃ怒らないだろうし、大丈夫だよね。大体、お兄ちゃんが悪いんだもんっ、希ちゃんやにこちゃんとこんな仲良さそうに毎日やりとりしてるんだもん!
だから、絵里ちゃんとどんなやりとりしてるかも、確認しておかなくちゃ。
穂乃果は絵里ちゃんとのトーク欄を開くため、指を絵里ちゃんのところの上に持ってくる――――
「何してんだ穂乃果?」
「ぴゃああああっ!!!」
「うぉっ!? な、なんだ花陽ちゃんみたいな声出して」
「ななななんでもないんだよお兄ちゃん!?」
「ん~?」
「あは、あははははははっ」
あ、危ない、バレちゃうとこだったよぉ。お兄ちゃんに声かけられた瞬間にスマホの電源ボタン押して画面を暗くしてすぐにスマホをテーブルの下に置いたからたぶん見てたのは気づいてないはず。ふぅ。
「なんか今の穂乃果は変だな?」
「へ? そ、そんなことはないんだよ?」
「……まぁいっか。それより、お菓子とジュース持ってきたぞ」
「わぁ! やったぁ、お兄ちゃんありがとうっ!」
お兄ちゃんがお菓子とジュース持ってきてくれた! だから帰ってくるのが遅かったんだ、でもそのおかげで助かったよぉ。もしトイレからそのまま帰ってきてたら間違いなくお兄ちゃんのスマホ勝手に見てたのバレてたよ。
あっ、一口サイズのチョコがある! お兄ちゃんに食べさせてもらおっ! えへへ、たとえ希ちゃんとかにこちゃんが毎日やりとりしてたって、お兄ちゃんは穂乃果のだもんっ!
「お兄ちゃん、チョコ食べさせてほしいなぁ」
「いいぞ、はいあーん」
「あーん」
お兄ちゃんがあーんしてくれたチョコを食べようとした時だったの。
ピコーン
「っ!!」
テーブルの下に置いてたお兄ちゃんのスマホにメッセージが届いたみたい。
お兄ちゃんは不思議そうな顔をしてる。
「ん、俺のスマホなんでテーブルの下にあるんだ?」
「え!? な、なんでかなぁ!? 穂乃果全然気がつかなかったよぉ!!」
光穂side
俺の質問に対して穂乃果は白々しい態度で気がつかなかったと言っているが、言い終わったあとにドヤ顔までキメてしまっているあたりは穂乃果らしい。最高に可愛くて見るだけで癒されるのだが、スマホが穂乃果の足元にある、そしてあのあわてっぷりからするに……
俺のスマホ、勝手に覗いたな?
パスワードを入力しないと開けないわけだが、たぶん穂乃果は俺のスマホのパスワードを知っていたのだろう。まぁ俺は教えた覚えはないから、どこかでこっそり見てたとかそんな感じだろう。
穂乃果のドヤ顔を見つつそんなことを思いながら、俺はスマホを開きアプリを開く。……絢瀬からか、数学の課題の範囲教えて、ね。確か数学の課題の範囲は教科書の……
「お兄ちゃん、
穂乃果が不自然な笑みを浮かべながら俺に聞いてきた。
ということはやっぱり穂乃果は俺のスマホを勝手に開いたな。そしてこのアプリも見たんだろう。でないと今このタイミングで絢瀬からメッセージが届いただなんて特定できるはずがないし。でも絢瀬とのやりとりを覗いた形跡がないあたり、たぶん東條と矢澤のやりとりはみたんだろう。穂乃果よりあとにやりとりしてるやつなんてその2人と絢瀬しかいないわけだし、穂乃果が見るとしたらそこらへんだろうし。
ある程度推測したうえで、穂乃果に言葉を返す。
「あぁ、数学の課題の範囲を教えて欲しいんだってさ」
「そ、そうなんだ~、へぇ」
「あ、返信きた」
「っ! な、なんて送られてきたの?」
「ありがとう、明日お礼したいからお昼ご一緒してもいいかしら? だってさ」
「えぇっ!? それ希ちゃんも言ってたよね!?」
「あれ? なんで穂乃果がそれを知ってるんだ?」
「あっ!?」
「見たんだな?」
「……うん」
お昼をご一緒に、なんて返信は来てないのだが、東條や矢澤とのやりとりを見ていたかどうかを試すためにあえてウソをついてみたのだが、本当に俺のスマホを開いてこのアプリを見ていたらしい。あ、絢瀬から本当にお誘いがきた。これは予想外だ。
ちょっとしょんぼりした様子の穂乃果だったが、すぐにその表情を変え、俺に顔を向ける穂乃果。
「お兄ちゃんが希ちゃんとかにこちゃんとそんなにやりとりしてるなんて知らなかったよ」
笑ってはいるのだが、心なしか悲しそうにも見えるそんな笑顔。
そして穂乃果は、そんな笑顔を浮かべたまま、こんなことを言い出した。
「お兄ちゃん、お兄ちゃんの好きな人って、この3人の中にいるの?」
言いながら抱きついて、顔だけ俺を見上げるように見てくる穂乃果。俺はそんな穂乃果の頭を軽く撫でながら、あっさり答えてみせる。
「いや、いないよ?」
茶化すためにウソをついてみても良かったのだけど、そんなことをしたら今の穂乃果なら泣いてしまうかもしれない。そう思って素直に答える。
しかし穂乃果の表情は変わらないまま。穂乃果はもう1度口を開く。
「どうして穂乃果より希ちゃんたちといっぱいやりとりしてるの?」
どうやらこれが本当に聞きたいことらしい。少し表情を曇らせ、目にはうっすら涙。どうやら穂乃果よりも他の3人の方がアプリ上では多く話しているのが嫌らしい。抱きつく腕に力を込め、なおも俺を見つめ続ける穂乃果。
そんな穂乃果を見て少し笑いながらも穂乃果に言葉を返す。
「そうだな、それは穂乃果と違って、一緒に住んでいるわけじゃないからだよ」
「……それはそうだけど、でも学校でも一緒にいるのにアプリでもお話してるもん! 穂乃果はお兄ちゃんと学年違うから学校じゃあまり話せないもんっ!」
「はは、確かにな。でも学校終わったとはずっと一緒だろ? 休みの日だって、μ'sの練習があるときだって、部室にいるときだってずっと一緒だし、ずっと話してるだろ?」
「っ! た、確かに……」
「それにな? アプリで話すって言ったって、矢澤はともかく東條も絢瀬も別のクラスだし、矢澤は……ふっ。だから穂乃果、アプリでは3人のほうが確かにやりとりは多いけど、俺が1番話してるのは穂乃果だぞ」
「そ、そうだね……!」
「しかもアプリでやりとりが多いって言ったって、3人とは学校以外じゃ文字でしか話せていない。それにくらべて今の俺と穂乃果はどうやって会話してる?」
「見つめ合って喋ってる!」
「そうだぞ! ほら、3人なんかよりよっぽど穂乃果の方が俺はやりとりしてるんだってわかるだろ?」
「うんっ! 穂乃果、いっぱいお兄ちゃんとお話してる!」
小学生に教えるかのような内容だったかもしれないが、穂乃果は笑顔を取り戻し、嬉しそうに俺を見つめてくる。……よーし、
俺は抱きつく穂乃果の脇の下に手をいれ、穂乃果の身体を持ち上げ再び抱きしめる。
「わわっ! お兄ちゃんから
「ふふっ、穂乃果も大きくなったな」
「あぅぅ、ちょっとだけ恥ずかしいよぉ」
小さかった頃より大きく、そして女の子らしい柔らかさを感じさせる穂乃果の身体を抱きしめつつ、恥ずかしそうにしながらも笑う穂乃果を見ながら、昔を思い出す。
確か、昔は俺が抱っこしたとき穂乃果はお礼としていつも――――――――
チュッ。
俺の頬に柔らかな感触。
「えへへ、昔はこうやってたよねっ。ちょ、ちょっとだけ恥ずかしかったかも」
頬を染めながら、俺が思っていたことと同じことを口に出す穂乃果。やっぱり覚えていたのか。
穂乃果は俺のもう片方の頬に再び唇を当てたあと、言う。
「お兄ちゃん、また今度抱っこしてね」
頬は赤く染まっているが、そう言う穂乃果は昔と変わらない笑顔を浮かべていた。
次の日
「お兄ちゃん、その……今日もしてほしいなぁ」
「おう……よいしょっと」
「えへへぇ、お兄ちゃんに抱っこされると今日1日の疲れが吹っ飛んじゃうよぉ」
昨日穂乃果を久しぶりに抱っこして以来、部屋にいるときに必ずと言っていいほどに穂乃果から抱っこを迫られるようになったのだった。
「やっぱりお兄ちゃんが1番だもんっ!」
穂乃果ちゃんを抱っこしたい人生だった(定期)
これからも穂乃果ちゃんが可愛いさをみなさまに伝えていけるよう頑張りますのでよろしくお願いします!
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