かよちゃん誕生日おめでとう!!
今回はタイトル通り、花陽ちゃん誕生日記念回です。
かよちゃんが可愛すぎて思わずかよちゃんメインの作品を投稿しかけてしまいました(悲壮感)
『はいっ! はなよとくせい、とくだいおにぎりですっ』
幼い頃の花陽が俺にくれた、花陽特製特大おにぎり。
花陽が俺のために作ってくれた、初めてのおにぎり。
かよちゃん誕生日記念特別回
※うちの妹は白米天使※
「ははっ、懐かしいな」
アルバムの中にある、小さいころの花陽が泥だらけになっている写真を見ながら、俺
手元にあるマグカップを口元にやり、少しだけ冷めたコーヒーを一口飲みながら、アルバムのページをめくる。ページいっぱいに可愛らしい花陽が写っている写真がある中、ある1枚の写真に目がいく。
「これは……」
写っていたのは、花陽が初めて作ったおにぎり。正真正銘、お米で作られているちゃんと食べられるおにぎり。そして、そのおにぎりを持ちながら、満面の笑みで写っている花陽の姿。
眩しいほどのその笑顔に、俺の目が釘付けになる。
と、そこにやってきた。
「何してるの、お兄ちゃん?」
「花陽か。昔の写真を見てたんだ」
「へぇ、昔の……ってこれ! 花陽のちっちゃいころの写真ばっかり!! 恥ずかしいから見るのやめてよぉ」
「ははっ、いいだろ小さいころの写真なんだから」
「だ、ダメなものはダメなんですっ!」
「あっ」
花陽は、俺が見ていたものが花陽の小さいころの写真だと分かるや否や、慌てたようにアルバムごと奪い去り、俺から隠すように胸元に抱え込んだ。
「こっこれは没収ですっ!」
「えぇ~? なんで?」
「何でも何もありませんっ」
「……そんなに見られたくないのか? 花陽は今も昔も可愛いんだからもっと自信もっていいだろうに」
「ぴゃあっ!?」
"可愛い"の一言に、顔を真っ赤にして俺を見てくる花陽。そうそう、こういうところが可愛いんだ。
少し無言のまま、何かを考えているような表情だった花陽。
「やっぱり、これは見せられません」
「そっか」
まだ赤らめたままの顔で、花陽は抱えたままのアルバムを離さなかった。俺もそれ以上は何も言わない。花陽は、俺には何でも素直に話してくれる。でもこういう風に断ってくるときっていうのは、たとえ俺相手だとしてもダメだという合図。それが分かっているからこそ、俺は何も言わず、花陽を見つめる。花陽もまた、俺を見つめていた。
「……」
「……」
互いに何も言わないまま、時が流れる。
「……お兄ちゃん! あのね――――――――」
花陽が沈黙を破り、何かを告げようとした時だった。
『ごはんが、炊き上がりました』
「……は?」
思わず口から困惑の声を漏らしてしまった。ごはん?
しかし、これがどういうことなのかだけは、何も言われずとも分かっている。花陽が、さっきまでの頬を赤らめて恥ずかしそうにしていた様子から一転、幸せそうな笑みを浮かべながら目元をキラキラさせている。
「お兄ちゃん! ごはん、炊けたよっ♡」
俺たちは開いたアルバムもそのままに、リビングへ移動した。
※※※※※※※※※※※※
リビングへ移動した俺たちは、さっそく炊き上がったであろう炊飯器の蓋を開けた。
「ふぁぁぁぁ……お米さんたちが踊ってますぅ……♡」
炊飯器の中で輝きを放ちながら炊き上がっていた米を見て、花陽はうっとり顔。花陽は大のお米好きで、米のことに関しては大体花陽に聞けば何でも答えてくれる。
「花陽が今日も炊いたのか?」
「はいっ! 水分量からお米の研ぎ方までかんっぺきに仕上げましたっ!」
「そ、そうか」
普段おっとりしてるはずの花陽の面影は今は全くなく、どちらかというと情熱的な熱いやつになっていた。まぁ、いつものことと言われればいつものことなのだが、この花陽に対してだけは未だに慣れない。
困惑している俺をよそに、花陽は花陽専用の茶碗、しゃもじを用意し、自分の分のお米をその茶碗に盛り始めた。
「えへへっ、今日もお米さんたちがとってもおいしそうですっ。ねっ、お兄ちゃん!」
「え? あぁ、そうだな」
「むー、何ですかその反応は~。そんなんじゃ花陽、お兄ちゃんの分よそってあげませんっ」
「わー! すごくきれいに炊き上がっててめっちゃ美味しそうなお米たちだな~! きっと花陽がよそってくれたらもっと美味しくなるんだろうなぁ!」
「ふふっ、じゃあお兄ちゃんの分もよそってあげますっ」
「ありがとな」
「ううん! はい、お兄ちゃんの分!」
「おう!」
お米がそばにあるとき、花陽の前でリアクションを薄くしてしまうと花陽が拗ねてごはんをよそってくれないという悲しいことがおこってしまう。それは分かっていたが、あえて可愛い花陽を見たいがために微妙な返事をしてみたところ、予想以上に可愛い花陽を見ることができた。そして花陽の機嫌がいいときに、花陽がよそってくれるごはんは格別で。
「すげえ……茶碗の上で米が踊ってやがる」
1粒1粒が生きているかのような輝きを放つ、花陽がよそってくれたごはん。まるでプロが釜で炊いたお米かのようだ。これにはよそった本人である花陽もご満悦な様子で、満面の笑みを浮かべながら席に着いた。
席に着くと、我慢ならないと言わんばかりに手を合わせる花陽。
「じゃあお兄ちゃん、早く食べよっ!」
「おう、そうだな」
「「いただきます!」」
声をそろえていただきます、そしてそのまま箸で一口……う、美味い。米の風味が口いっぱいに広がり、噛めば噛むほどに旨味を感じる。硬すぎず粘り気強すぎずといった具合に炊き上がってる。たかだか一般家庭にある程度の炊飯器でこの美味さ……さすがは花陽だ。
そして俺としては、このお米に合う1番のおかず、それが
「んはぁぁぁ♡ 今日も美味しく炊けましたぁ♡」
花陽のこれ以上にないほどの笑顔。この笑顔を見るだけで、ただでさえ美味しいお米がさらに美味しく感じる。
「やっぱりお米は最高ですぅ♡」
「今日も完璧だな、花陽」
「はいっ! 何て言ったって、お兄ちゃんのために炊いたんですからっ」
「え、俺のため?」
「え? あっ!? あぅぅ、いっ今のは忘れて……ください」
「え~? ちゃんと聞いちゃったなぁ?」
「うぅ~!!」
花陽はどうやら、俺のためにお米を炊いてくれたみたい。うっかり言ってしまったと言わんばかりに顔を赤くする花陽を少しだけからかってやると、花陽は大好きなお米を食べる手すら止め、顔を両手で隠してしまった。そして俺はそんな花陽をみながらご飯を一口、うん、やっぱり最高だ。
可愛い花陽を見ながらご飯を食べているうちに、俺は
「花陽、おにぎりを作ってくれないか?」
アルバムで見た、おにぎりを初めて作って笑みを浮かべている花陽の姿が頭に浮かんだんだ。あの時のおにぎり、実は俺のために握ってくれたものだった。さっき花陽が口に漏らした"お兄ちゃんのために"という言葉を聞いて、ついお願いしてみたくなった。
花陽は顔から手を離し、俺を見て、こう言った。
「う、うん。今日はそのためにお米炊いたんだもん」
やはりまだ顔を赤くしたままだったが、花陽は俺を真っ直ぐに見つめる。なんというか、可愛い、その一言に尽きる。
花陽は立ち上がると、さっそくと言わんばかりに手を洗いながら、おにぎりの準備をしつつ話し出す。
「今日のお米はね? 花陽の大好きなお米、コシヒカリを炊いてみたんだけど、このコシヒカリはおにぎりにするとすっごく美味しいんだよっ。だからきっと、お兄ちゃんにも喜んでもらえるかなって思って」
自分の手に塩を振り、もう片方の手でしゃもしを掴み、まだ炊き上がったばかりで熱々のご飯を手に乗せて握り始める。
「そういえば、こうやってお兄ちゃんの前でおにぎり作るの、久しぶりだよね」
握りながら、そんなことを言ってきた花陽。
「そうだな。それこそ――――そう、あのアルバムの中の写真のころ以来か?」
「そ、そうだね。ごはんなら何回もお兄ちゃんに炊き上がりを食べてもらったことはあったけど、こうやっておにぎりにして食べてもらうことって、なかったよね」
「あのとき食べた花陽特製のおにぎり、美味かったなぁ」
「ま、まだ覚えてるのぉ!?」
「当たり前だろ? 可愛い妹からもらったんだ、忘れられないさ」
「も、もう……おにぎりくらいいくらでも作ってあげるのに」
「ははっ」
「うぅ~……はい、できたよっ」
「ありがとうな」
懐かしい話をしている間に、花陽特製のおにぎりが出来上がった。そのサイズはあのアルバムにあったものと同じくらい大きい。どう考えても分量間違えてる、とは言わない。
「いただきます」
「うん、食べてっ」
大きく口を開け、一口。しっかりと握られているにも関わらずべチャッとしていないそのおにぎりは、たぶんどこで食べるおにぎりよりも美味しい。そして何より、沢山の愛情が込められて握られているというのと――――
俺の目の前にある、嬉しそうに笑う
これによって、さらにこのおにぎりの美味しさは旨味を増す。おにぎりを食べる手が止まらない、次から次へと、胃袋の中へと消えていく。
「ふっ、ふふっ」
がっつくように食べる俺を見てか、突然笑い出した花陽。
「ど、どうしたんだ花陽?」
食べるのをいったん止め花陽に尋ねると、何も言わずに俺に近づいてくる。
「もう、お兄ちゃんったら」
目の前まで来た花陽は、顔だけを俺の顔に近づけてくる。
「ん……」
「えっ、えっ!?」
困惑のあまり動けず唖然とする。
気づけば、花陽の顔が目の前に。息する音が聞こえるほどに近づいたその顔は少し赤らんでいる。
どうしていいか分からなくて、俺は思わず目を閉じた――――――――
そして、その柔らかそうな唇が
俺の唇の、少し横に触れた。
「んへへっ、ごはん、ついてたよっ」
「……へ?」
目を開けると、口に米粒1つ咥えている花陽の姿が。
「――――あの時と同じだね」
そう言った花陽は、米粒を飲みこみ、俺を抱きしめた。
「大好き、お兄ちゃん――――――――」
部屋に置かれたままのアルバム。
開かれたままで放置されていたそのアルバムのページを、開けたままの窓から吹いてくる風がそっとめくる。
そこのページには、大きなおにぎりを持った男の子と、その男の子の頬っぺたについたお米を口で咥える瞬間を写した写真が1枚――――――――
『大好き、お兄ちゃん!』
かよちゃん可愛いですよね……はぁ(感嘆)
私、ハーメルン作家を1年ほどやってきてようやく気付いたことが1つあります。
私、Printemps推しだったんですわ(曲はBiBi推し)
ちなみにですが、今回のタイトルや場面分けで使われた"※"ですが
かよちゃんがお米好きということで、米と※でかけてみました(謎報告)