ということで今回は、時期外れの海水浴回です。
ほのゆき連れて、3人で海に行きます
この話書いてて思いました
「あ、俺転生したら、高坂家の兄になろう」って。
いや前から思ってたことなんですけどね??←
「海だー!」
さわやかな潮風。
「海だー!」
サンサンと照りつける夏の太陽。
「うーみーだー!!」
「え? 海未さん? どこにいるの?」
「もう雪穂ー! 違うよ海だよぉ!」
「え、海未ちゃんも来てるのか?」
「お兄ちゃんも!? もー違うってばぁ!!」
「「あははははっ!」」
「わーらーわーなーいーでー!!」
穂乃果の声に、雪穂と俺は思わず笑ってしまった。
俺達兄妹は今、海に来ている。
海だよっ!
夏と言ったら海、ということで俺達兄妹は海に来たのだが、なんとも夏休みらしくてよろしいな。
それにしても……はぁ、可愛い。あまり凝視しない程度に、2人の妹の姿を見る。
オレンジ色の可愛らしい、かつ大胆な水着を着た穂乃果は、まさしく太陽のように輝き、白を基調とした水着を着た雪穂もまた、名のとおり雪のようにキラキラと輝いている。うむ、眼福眼福。
「お兄ちゃん」
「可愛いなぁ……ん? あっ」
「お姉ちゃんのこと見てたでしょ」
「ん!? あ、いや俺は雪穂もちゃんと見ててだな? 決して穂乃果だけを見てたわけではないんだ」
「なっ!? わっ私のも見てたわけ!? 妹に欲情するなんて、最低だよお兄ちゃんは!」
「はっ!? し、しまったつい口がっ!?」
「お姉ちゃーん、ここに変態がいるよーどうするー?」
「ばっ!? バカやめろ雪穂!穂乃果には言わないですれ!」
俺がつい口を滑らせてしまい、雪穂に2人の水着姿を見ていたことを知られてしまった。こいつ、優しいフリして鬼みたいなことすることあるから油断できんのだが、今は完全に油断してた。
「ふぇ? どうしたの2人とも?」
「いやー何でもないぞ! それにしても今日も穂乃果は「お姉ちゃんの水着姿見て興奮してたんだって」やめろぉ!!」
「えっ……えぇっ!? お、お兄ちゃん、本当?」
「あ、あぁっ」
「っ!」
「お兄ちゃん随分素直に言っちゃったね〜、ほらお姉ちゃん! この変態お兄ちゃんにお仕置きしてやってよ!」
「お兄ちゃんが穂乃果の水着で喜んでくれた……えへへ」
「あ、ダメだお姉ちゃんも変態だった」
「穂乃果はやっぱり天使か? いや大天使か」
「なんで私はこんなのの妹なんだろう」
俺が諦めて素直に認めると、穂乃果は嬉しそうに微笑んだ。そんな俺と穂乃果の様子を見て、雪穂は呆れたように俺達を見ている。
なぜだ? こんなに仲のいい兄と姉なんてそうそういないぜ?
「少なくともお兄ちゃんたちみたいな兄妹は普通じゃないから」
「「ええっ!? そうなの!?」」
「2人して同じリアクション……」
雪穂は再び呆れたような顔で俺達を見た。ったく、俺と穂乃果の仲の良さに嫉妬してるのならそう言えばいいのに。
「お兄ちゃんそれは違うから」
「え゛」
く、口に出してないのに伝わってるだと? 雪穂もさすがは俺の妹だと言わざるを得ない、口に出さずとも俺の考えを読んでしまうとはな。
「ところで2人とも、せっかく海に来たんだし泳ごうよ!」
穂乃果が目をキラキラさせながらこちらを見てくる。早く泳ぎたくて仕方が無い、そう言いたげな様子だった。
「そうだね、せっかくの海だし」
「入らなきゃもったいねえよな」
「そうだよそうだよ!さ、行こっ!」
熱い砂浜を駆け出していく穂乃果を追う雪穂。そしてそんな2人を後ろから眺めつつ、後を追う俺。……2人とも輝いてるなぁ
俺は、変態じゃないからな?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「きゃっつめたっ……お姉ちゃんのくせに……っ!」
「あははっ! 雪穂びしょ濡れだね~!!」
「う~! お姉ちゃんに負けるなんて……おりゃっ!!」
「ぶはっ!? なんで俺に来るんだよ!? そこは穂乃果じゃねえのか!!」
「油断してたからそのフヌケ顔目がけて水かけてやっただけだよ」
「こっ、このクソ妹めが!」
「クソって……それはそうと、私に嫉妬してるもう1人の妹を見た方が良いんじゃない?」
「え――――ぶふっ!?」
「いえーい! 穂乃果のこと見てないからそうなるんだよお兄ちゃん!」
「ほ、穂乃果まで……!?」
浅瀬のところで海水を掛け合っていた雪穂と穂乃果。俺はその様子を少し離れたところから見ていたつもりだったのだが、いつのまにか2人が俺に接近していたことに俺自身が気づけず、2人からの海水ぶっかけ攻撃をモロに食らってしまった。しかも何の遠慮もないかのように、顔目がけて。
2人のはしゃぐ姿に見とれてしまっていたからか……不覚。
「なんだと~? なら2人まとめてくらえっ、おらぁっ!!」
「きゃっ! 自分の妹に海水かけるなんて最低だよ!!」
「あははっ、冷たくて気持ちいいね雪穂~!」
(2人の態度が全く違ってて良いな……さすがは我が妹たちだ)
2人目がけて海水をかけてやると、2人は全く違う態度を見せてくれた。雪穂は相変わらず俺を罵倒し、穂乃果は純粋に楽しんでいるといった感じだ。2人は俺に対して何の遠慮もなしに顔面目がけてかけてきたが、俺は2人の顔に当たらない程度に海水をかける。なんというか、海水飲んじゃって苦しんでる2人の姿とか見たくないしな。
「お兄ちゃんのくせに海水かけてくるなんて生意気……だよっ!!」
「お兄ちゃんにお返しぃっ!!」
「ぶはっ!? げほっ……息止まるわ少しくらい遠慮しろ!!」
「あははっ、かわいそ~♪」
「ごっ、ごめんねお兄ちゃん。でも楽しいからもう一回やっちゃうね!」
……妹たちは遠慮なんて、してくれはしないんだけどな。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「お兄ちゃん! あっちで焼きそば売ってるよ! 食べたいなぁ……」
「ん? 焼きそばか、海で食うの美味いだろうな」
穂乃果が焼きそばの屋台を見つけたらしく、甘えた声でお願いしてくる穂乃果。本人は全くそのつもりはないのだろうが、穂乃果の扱いに慣れている俺からすると、これはおそらく『お兄ちゃん奢って!』という意味合いが込められていることだろう。それなのに可愛いから全く悪い気はしない、というかむしろ奢らせてほしいくらいだ。
そして、もう1人の妹はというと
「焼きそば、もちろんお兄ちゃんのお・ご・り、だよね?」
これである。
「雪穂ももうちょっと俺にこう……お願いっ! くらいの可愛らしさがあればいいんだけどな~」
「な~に? それじゃ私のことは可愛くないって言ってるの?」
「いや、そういうわけじゃないんだけどさ、もうちょっと愛嬌のある感じでというか」
「ふーん。じゃあ、奢ってよ、お・に・い・ち・ゃ・ん♡」
「うん、仕草とか声はめちゃ可愛いけど目が笑ってないぞ」
「いいから奢って」
「はい」
妹の尻に敷かれる兄がこれである。そんなこんなで、俺は2人分の焼きそばを求めて屋台へと歩いていくのだった。
「ほい、買ってきたぞ」
少し列が出来ていたため買うために時間こそかかったものの、何とか購入して2人のもとに戻ってきた俺。そんな俺を、2人はまたしても対称的な態度で迎えてくれた。
「わ~、ありがとうお兄ちゃん! 大好きっ!」
「2人の妹20分も待たせるなんてありえないんだけど!! 遅すぎ!」
「あ、あはは」
穂乃果はキラキラとした表情で抱き着いてきては、ありがとうとちゃんと礼を告げてくる。それに対して雪穂は待たせてしまったことに対して心底怒っているようだ。
「ごめんってば雪穂。ちょっと列が出来てたからさ」
「ふんっ。ま、ちゃんと買ってこれたんならいいけどねっ」
「雪穂、少しくらい感謝を「じゃあ食べよ?」はい」
本当に、雪穂には何も言えない俺である。
「お兄ちゃん! あーんして! あーん!」
「お、いいぞ。はいあーん」
「あー……ん~、美味しい!」
「ははっ、美味しいか?」
「うんっ!」
いつものように、穂乃果にあーんをして焼きそばを食べさせる。美味しいと言いながらモグモグさせる穂乃果はやっぱり、いつ見ても癒される……穂乃果の兄でよかった。すると、俺の横にいるもう1人の妹が、何か言いたげな目でこっちを見ている。
また侮辱されるんじゃなかろうな?
「どうした雪穂」
「ん……ねえお兄ちゃん」
「ん?」
「あーん、してあげようか?」
「……え?」
「だっだから! あーんしてあげようかって言ってんの!!」
「えっ!? あ、うん?」
てっきり侮辱されるものだと思って雪穂に尋ねてみた結果、雪穂がまさかのあーんをしてくれる発言。あまりのことに慌てる俺は、若干頬を赤らめながらそう言った雪穂を見て、何が起こったのかが分からなくなってしまった。
しかしさすがは雪穂、俺に対する扱いは雑なので
「ほらっ! 口開けて食べなさいっ!!!」
「むぐっ!? ぐぐっ!!」
「早く口に入れて食べる!!」
「んぐっ! ふぐぐぐ」
無理矢理口に入れられ、口いっぱいに焼きそばの味が広がる。くっ、苦しいぞ……
「どう、かな?」
「ぐっ、ごくっ……美味かったよ、ありがとう」
「ふ、ふんっ」
「ふふっ、ありがとな」
「別にお兄ちゃんのためじゃなくて、毒見のためなんだから」
「ん~、もうちょっと素直になった方が雪穂は可愛いと思うぞ」
「お箸目に突き刺すよ?」
「なんでもありませんすいませんでした」
おっかないことを平気で言ってくるのも、雪穂なりな愛情表現。ふふっ、極端に対照的だけどやっぱ雪穂も穂乃果に負けないくらい可愛いな。
「お兄ちゃん気持ち悪っ、μ'sの皆さんにお兄ちゃんの悪口言っとこ」
「ひ、ひぃぃ!!」
……やっぱり怖いです、雪穂さん。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
夕暮れ時、海水浴を終えた俺たちは、水着から着替えてはいたもののまだ帰えらずに、夕焼けに輝く海を眺めていた。海面を照らす夕日、その夕日に照らされ輝く海。吹き抜ける潮風は夏の日差しで火照った身体を癒してくれる。
「海綺麗だね」
「そうだな」
サーッと吹く風で2人の妹の髪が揺れる。それを2人はほぼ同じ仕草で髪を押さえる。やっぱ姉妹だよな、こうやってみると。日が落ちてきていることもあって、今この海水浴場にいるのは俺たち3人と他のちらほら見える数人程度。夕焼けと、少し冷えた風と人の少なさからか、少しだけ虚しい気持ちになってしまう。
夏とはいっても、昼間は暑いが朝夜は少し冷える、秋ももうすぐといった頃。
ギュッ。
俺の右手が、温かい温もりに包まれた。
「えへへ、お兄ちゃんの手、温かい」
穂乃果が俺の右手を手に取って、穂乃果の両手で包み込んでくれる。その優しい両手の温かさが、俺の少しだけ冷えた身体と心まで温かくしてくれる。
すると
ギュッ。
俺の左手もまた、優しい温もりに触れる。
「うわっ、少し冷えてんじゃん! 最悪なんだけど」
雪穂は、俺の少し冷えた手を、穂乃果同様雪穂の両手で温かく包み込んでくれる。冷たいなどと文句を言いながらも、優しく俺の手を温めてくれる雪穂は少しだけ、頬を夕焼け色に染めている。優しい温もりで包まれている俺の両手。人が少なくなって物悲しささえ感じさせるこの海水浴場も、この温もりのおかげで特別な景色に見える。
――――ありがとな
強めの風が吹いたタイミングに合わせ、2人に聞こえないよう呟いた。
つもりだったのだが
「えへへっ」
「ふんっ、お兄ちゃんだって素直じゃないじゃん」
恥ずかしいことに聞かれてしまっていたらしい。
だけど、嬉しそうに微笑む2人を見て
あぁ、俺は幸せだな
そう、感じた。
「うわっ、ナルシストぽくて気持ち悪っ!! 明日亜里沙経由でμ'sの皆さんに今の発言の気持ち悪さ伝えてもらおっ」
「えぇっ!?」
……読心術が使える雪穂さんには、ほんと敵わないわ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
翌々日、3年生しかいない部室にて。
「光穂くん、昨日亜里沙から聞いたんだけど、穂乃果と雪穂ちゃん連れて海行ったんですって?」
「え゛っ……あ、あぁそうだけど」
「え~!? いいな~、うちも誘ってくれれば行ったんに~!!」
「このシスコン」
「うるせえ矢澤。で、そ、その絢瀬、亜里沙ちゃんから何か聞いたのか?」
「えぇ、雪穂ちゃんからいろんな話を聞いたんだよっ! って、亜里沙が嬉しそうに」
「ぐっ!? で、亜里沙ちゃんは雪穂から何を聞いたのかな」
「うーんと、そうね……亜里沙は『光穂さんから焼きそば奢ってもらったんだって!』とか、『光穂さんから海水かけられたらしいよ!』とか言ってたかしら」
「そこだけ聞いたら犯罪者ね」
「光穂っち、そういう趣味やったん?」
「どこをどう聞いたらそういう解釈になるんだよ!? で、そ、その、他には……?」
「他? ん~……あっ! そうそう、こんなことも聞いたらしいわ!」
(その反応的にヤバそう)
「亜里沙は雪穂ちゃんから、こういうことも聞いたらしいわ――――」
「『光穂さんがお兄ちゃんで良かったって嬉しそうに言ってたよ!』ってね」
「!?」
「ほほ~? 光穂っち、これは嬉しいんとちゃうん??」
「…………」
「ほら、何か言いなさいよシスコン」
「…………るさいな、このロリが……っ」
「ふふっ」
「いいな~、兄妹って。うちもほしくなったわ」
「男のくせに泣くなんてダサいわよ」
「っさいな、くそっ」
「よかったわね、光穂くん」
「グスッ……あぁ、っ」
部室には、小さくすすり泣く兄1人と、それを優しい眼差しで見つめる3人の姿があった。
いかがでしたか?
穂乃果ちゃんと雪穂ちゃんの水着姿・・・良きですね!!
(文章力がなさすぎて上手く描写が描けなかったのが悔やまれることに関しては触れないでおこう)
ほのゆき回かとおもいきや、雪穂ちゃん中心のようになっていますね
最近雪穂ちゃんまったく描いてないなと思ったので、つい。
"ときどき妹"、なんでね。たまには書かないと雪穂ちゃんにぶん殴られそうですから('ω')
あれ?むしろそれってご褒美じゃね???←