んみちゃんみちゃんみちゃあああああああああああああああ!!
というわけで海未ちゃん誕生日記念回です。
※これは海未ちゃんの誕生日に、別小説に投稿していたお話を、移動させただけのものです
内容は一切変更を加えていませんのでご了承ください。
詳しくは私kiellyの活動報告をご覧ください
「お兄さま、起きてください。朝ですよ」
「んー? あー、もう朝かよ。おはよ、海未」
海未に起こされ俺は起き上がる。
俺は園田光穂、園田家の長男だ。そしてその妹が、園田海未。俺ら2人は年齢が1個違いの兄妹だ。
「はい、お兄さまの分です。」
「お、ありがとな」
海未から茶碗によそってもらったご飯を受け取る。テーブルの上には、いかにも日本人らしい朝食が並べられていた。これがすべて海未の手作りだというのだから驚きだ。
実は今、俺と海未は実家を離れ2人で暮らしている。そのため食事は自分たちで用意しなければならないのだが、海未は毎食きっちり栄養面を考えた和食を用意してくれる。
1週間交代で食事を用意するようにしてはいるんだが、俺が担当の時は毎回と言ってもいいほど外食になってしまう。料理作れないんだ、許せ海未。
とはいっても海未も何1つ文句も言わず、むしろ嬉しそうについてきてくれるため案外それでもいいのかもしれないのだが。
「相変わらず海未はすごいよな、毎回毎回こんな豪華な食事を用意できるなんて」
「食事は健康を保つためにとても大切なことです。ですので、これくらいは当然なんです」
「それ言ったら俺の番なんて毎回外食だから栄養面なんて考えちゃいないぞ? ……もしかしてあまりよく思ってなかったり?」
「い、いえ! そんなことはないです!その……それはその……き、気分を変えるためには大事なことですので!」
「ふーん……いつもそうやって俺に合わせてくれるあたり、やっぱ海未って優しいよな。絶対良い嫁さんになれるよ」
「なっ!? まっまたそうやってお兄さまはっ! 全くもうっ」
「ははっ。でも嘘は言ってないぞ?」
「はぅ……いじわる」
海未は顔を赤くしてうつむいてしまった。普段は凛とした姿で生活してるため女子人気が高いらしいのだが、海未のこんな姿を見せられたら間違いなく世の男どもは海未に惚れてしまうだろう。
海未は、俺らが通っている"国立音ノ木坂学院"でスクールアイドルをやっている。廃校阻止を目的として始めたらしいのだが、今ではスクールアイドルの中でもかなり人気のあるグループに成長してしまった。そんな海未は、アイドル活動を行う上でも持ち前の優美な振る舞いで人気を集めているらしい。
しかし、今の海未はどうだろう?
「海未は可愛いからな、いろんな男どもが寄ってくるかもしれないな。俺なら間違いなく海未に近付こうと頑張るね」
「っ! そ、そんなの、お兄さまだけですから! というかお兄さま以外に迫られたって困りますっ!」
「海未は優しいから迫られたら断れないんじゃない? 心配だなぁ」
「わっ私だって嫌なことくらいお断りしますからっ!」
「でもさ? 初めはスクールアイドルなんてやりたくなかったんだろ?なのに穂乃果ちゃんに乗せられて、断れなくて始めたんだろう?」
「うっ……そ、それは相手が気の置けない幼馴染だったからですっ!」
「でも嫌なことを断れなかったっていうことには間違いないだろ?」
「はうぅ、今日のお兄さまはいつも以上に意地悪です」
「ははっ、ごめんごめん。海未が可愛すぎて、つい」
「うぅ……」
俺の言葉にいちいち顔を赤くして、否定しようと必死に頑張るものの結局言い負かされてしまう今の海未のどこに『凛とした、優美な振る舞い』の要素があるのだろうか。
皆には見せてない、俺だけが知ってる園田海未の姿。
海未は女子人気が高いことを少し気にしているらしく、どうやったら女の子らしい、アイドルらしい仕草ができるかを考えているらしい。前に1度だけ、らぶあろー何とかって言ってポージングしている海未に遭遇してしまったが、あの時の仕草だって、アイドルとして頑張っているからこそあんな事をしていたのだろう。
そんなことしなくったって、海未は充分女の子だし、立派なアイドルなのにな。
「お兄さま、食器洗いますので向こうでくつろいでてください」
朝食が終わるとすぐに、海未がそう言ってきた。
「いや、俺も洗うからいいよ 」
「いえ、今週は私が食事係ですので私がやります」
「いやいや、海未には美味しいもの作ってもらったんだから俺がやるよ」
「お構いなく。私もお兄さまに召し上がってもらえて嬉しいので」
でた。海未の悪いところ。1度決めたことをやり通そうとするところは確かに海未のいいところ、でもこういう風に意固地になってまでやり通そうとするところはあまり良く思わない。おそらく、海未の中では『してあげること』ではなくて『するべきこと』なのだろう。だから、手伝おうとしても手伝わせようとしない。
「お前いつもそれだよな。たまには人を頼ってもいいんじゃねえのか?」
「いえ、これは感謝のしるしですので」
「絢瀬も言ってたぞ? もうちょっと海未には人を頼って欲しいって」
「……私は充分みんなに助けられてますから」
「なんでそんなに自分は甘えてるみたいな言い方してるんだよ」
自分が甘えてるから、そんなことを言いたげな海未。みんなにならともかく、兄である俺ですら頼られたことがあまりない。
それってなんか、悲しいよな。
「海未、俺にぐらいは頼ってくれてもいいんじゃねえか? 俺らは兄妹なんだぞ?」
「お兄さまとはいえ、それに甘んじていては成長しませんので」
「なんでいつもお前はそうなんだよ!? 少しくらい頼れよ!お前は俺が嫌いなのか!? だから頼ってくれないなのか!?」
「なっ……!?」
あまりの海未の意固地さに怒りがこみ上げてきて、ついそんなことを言ってしまった。海未は心底驚いたと言わんばかりの表情で俺を見る。
「だ、誰もそんなことは言ってないじゃないですか!」
「だってそうじゃねえかよ!嫌いな人間にならまだしも、好きな人間にくらい頼ったっていいんじゃねえの!?」
「っ……す、好きな相手にだからこそ頼りたくないという考えはないのですか!」
「好きな相手に遠慮するなんて、よっぽどその相手のこと信用してないんだな? お前の好きな人たちってのはお前にとってそんなもんなのか?」
「なっ!? 違いますっ!! 私はその人たちのことを想って!」
「自分が好きだと言える人にくらい遠慮すんじゃねえよ。そいつらはお前に頼られたら、きっと断らないさ。もし俺も、海未の思う"好きな人たち"の中に入ってるんだったら、俺にも頼れよ。ましてや俺らは兄妹なんだぞ?最も遠慮せずに頼るべきなんじゃねえのか?」
「っ!!」
俺の言葉に思わず黙り込む海未。少し頬を染めながら何かを考え始め、そして口を開いた。
「あの……よかったら、一緒に片付け……しませんか?」
「おう」
頬をさらに染めながら、俺に片付けの誘いをしてきた。あくまで"任せる"のではなくて"誘う"ところはやっぱり海未だなとは思ったが、それでも十分進歩したと言えるだろう。
海未が折れたところを見て満足したあたり、俺も何だかんだで意固地だったんだな。兄妹ってやっぱり似るんだな。
「さ、さぁ! 早速片付けちゃいましょう――――あっ!」
「海未っ!!」
慌てた様子で立ち上がった海未だが、慌てすぎて足がもつれたらしくバランスを崩した。 すかさず俺は海未を支えた。
「大丈夫か? ったく、慌てるからだよ」
「あっありがとうございま……ぁっ」
「ん? どうかしたか?」
「ぁっ……う、動かないで……っ」
「え?」
何のことやらさっぱり分からず、困惑してしまう
「て、手を離していただくだけでいいので……っ」
「手? ―――あっ!?」
海未に言われて気づいた。俺が支えていた手で触れていたもの、それは海未の胸の小さな膨らみだった。慌てて手を離して、俺は全力で謝る。
「ご、ごめんっ! そんなつもりじゃなかったんだ! わざとじゃないんだ!!」
「……ハレンチです」
「ご、ごめんよぉ」
俯いて顔を真っ赤にさせたまま、ハレンチですと呟くように言ってくる海未。こ、これは流石に許してくれないか……?
「……触るなら触るって言ってからにしてくださいっ」
「えっ? あぁ、うん。ごめん」
どういうことかは分からないが、海未はそれ以上何も言わなくなった。これは許しを得た、という解釈でいいのだろうか? 海未の顔を覗くと、微かに笑みを浮かべているのが分かったため、許されたということなのだろう。
その後俺らは、食器を一緒に片付け、一緒にリビングでくつろいだ。こんな毎日を俺らはずっと一緒に過ごしている。きっとこれから先も、こんな感じで過ごしていくのだろう。ちょっと意固地で真面目すぎる妹だけど、俺のかけがえのない家族。
ずっと見守っていけるように、俺も頑張ろう、そう思ったある1日の出来事だった。
「触ってみて思ったけど、やっぱりもうちょっと大きい方「ハレンチですっ!」ぶふっ!?」
世の中、言っていいこととダメなことがあるんだよな。ったく、勉強になるぜっ……グスッ……痛い。
んみちゃああああああああああああああ!!
いかがでしたでしょうか。
μ'sはやっぱりみんな可愛いです。うん。
海未ちゃん、誕生日おめでとう!