兄と妹~ときどき妹~   作:kielly

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穂乃果ちゃん!ほのかちゃん?ホノカチャン!

というわけで穂乃果ちゃんが今日も可愛いです。
前回更新分、『構ってほしいのお兄ちゃん!』の続きにあたる回です

前回は光穂が苦しみましたが、今回は穂乃果ちゃんが苦しみます(?)

穂乃果ちゃんが勉強してるところを全力で邪魔して
「あぁもうっ!邪魔しないでよっ!」
ってプンプン丸になった穂乃果ちゃんを全力で眺めていたいです。

もうすぐ、夏休みですね




宿題終わんないよぉっ

 少し前のことだ

 俺は溜まりに溜まった夏休みの課題たちを、1日で片付けることに成功した。人間、やれば案外できるもので、1日じゃ終わるはずがないと思っていた課題をわずか半日で片付けるのことが出来たのだ。

 ただそれは、うちの可愛い可愛い妹の応援あってこそのものだったのだ。

 

 そして、そのうちの妹の方はどうなのかと言うと

 

「宿題手伝ってお兄ちゃんっ!!」

 

 これである。

 

 

 

 

 

 宿題終わんないよぉっ

 

 

 

 

 

 はぁ、と俺は息をつく。夏休み真っ盛りの今、俺達は盛大にダラダラしていたわけなのだが

 

「お兄ちゃん助けてぇ……」

 

 毎年のように俺の元に泣きついてきては、これまた毎年のように大量の課題を手に、俺に押し付けてくるのだ。今年も例外なく。

 

「穂乃果、お前また課題をためこんでたのか」

「うぅ……だってμ'sの練習忙しいし」

「あ〜、まぁ確かに」

「疲れちゃうから帰ってきたらすぐ寝ちゃうし」

「いつも俺のベッドに横になってるもんな」

「それに、お兄ちゃん分吸収しなきゃいけないし!」

「それなら仕方ないな、手伝うよ」

「やったぁ! お兄ちゃん大好きっ♡」

「ふふっ……はっ!? ダメだダメだ!」

「えぇっ!?」

 

 いつもの俺なら流れ通り、穂乃果を苦しませないためにも手伝うのだが今年は違う。雪穂や海未ちゃんに「甘やかしすぎだ」と毎年こっぴどく言われるのは俺だからな。理不尽極まりない。

 今年は手伝わないと、決めたんだ。

 

「なんでお兄ちゃん!? いつもなら手伝ってくれるのに!」

「ごめんな穂乃果。だけどこのままだといけないと思って」

「あう〜、お兄ちゃんだけが頼りなのにぃっ」

「それがまずおかしいだろ? ことりちゃんや海未ちゃんがいるじゃんか」

「海未ちゃんに教えてもらおうとしたら怒るから怖いんだもんっ!」

「ならことりちゃんは? ことりちゃんなら喜んで教えてくれそうなもんなのに」

「ことりちゃんに教えてもらおうとしたら何故か海未ちゃんもセットで付いてくるんだもんっ! アンハッピーセットだよ!」

「あ〜……」

 

 海未ちゃんはエスパーか何かなんだろうな。穂乃果がすることはすべてお見通しというわけだ。

 

「だったら絢瀬たちに……ってそれはダメなんだった」

「え、どうして?」

 

 実は、どうせ今年の夏休みもこうなることが分かっていたから、予め絢瀬たちにもお願いしておこうと思って話をすると東條からは「あ〜……光穂っちも大変やんなぁ」と哀れみの目で見られるだけ見られそのまま話を流された。絢瀬は「頑張ってね、お・に・い・ちゃ・ん♪」と明らかにからかわれてしまい、矢澤に至っては「にこにも勉強教えなさいよ!」と言われる始末。

 いや、東條や絢瀬に頼むならまだしも、矢澤に頼もうと思ってしまったこと自体が間違いだったということに気がつくべきだったんだ。同じ3年だから、なんて理由はあいつには通用しない。

 無理にでもお願いしようかと思ったが、俺もそうだが彼女達は受験を控えている身、さすがに「どうしても!」とは言えなかった。海未ちゃんやことりちゃんがダメだと言っている今、穂乃果が頼れるのは俺だけなのだ。

 穂乃果が不思議そうに俺を見つめたままだったので、返事を返す。

 

「ほら、絢瀬たちは今年受験だろ?自分のことやμ'sのことだけで手一杯なはずだからさ」

「あっ、それもそうだね……」

 

 "受験"という言葉を出してしまったせいか、少しだけ悲しげなムードになってしまった。少しだけ穂乃果が悲しそうな顔を見せるのをみて、俺は慌てて空気を変えるために口を開く。

 

「ほらほら、誰も手伝ってくれないんだから自分でやれよ?」

 

 すると穂乃果も表情を変え、ムッとする。

 

「もうっ、なんでっ! お兄ちゃん手伝ってよケチ!!」

 

 言ってる事は理不尽極まりないけど、悲しんでる顔見るより何倍もマシだ。少しだけ安心した俺は、穂乃果に言い返す。

 

「自分のことくらい自分でやれるようにならなきゃ、また海未ちゃんに怒られるぞ?」

「なんで海未ちゃんの名前出すの! 穂乃果はお兄ちゃんにお願いしてるの!!」

「あぁ、悪い悪い。でも自分のことは自分でやらなきゃダメだぞ?」

「あー! お兄ちゃんってば話し流したね!? なんで海未ちゃんの名前出したのって穂乃果は言ってるの!!」

「あ~……」

 

 海未ちゃんの名前を出してしまったばっかりに、何やら地雷を踏んでしまったらしい。課題の件なんてなかったかのように、俺の発言にプンプンと怒ってしまった穂乃果。その姿自体はすごく可愛いのだが、今そうされてしまうとすごく厄介。

 なんとかしなくては。

 

「穂乃果、海未ちゃんの名前を今出したのはな? お前が課題を自分でしないからっていつも海未ちゃんに怒られるのを見てるからだな?」

「そんなの関係ないもんっ! お兄ちゃんってば海未ちゃんとことりちゃんの名前出しすぎ! 目の前に穂乃果がいるのに!!」

「ことりちゃんもか」

「あーまたことりちゃんって言ったああっ!! 穂乃果がいるんだから穂乃果を呼んでよお兄ちゃん!!」

「あー……なんてこった」

 

 俺が口を開けば開くだけ地雷を踏みまくる。しかし黙ったら黙ったで穂乃果は泣き出すだろう。

 

『何も言わないってことはお兄ちゃんまさか……うわああん!!』

 

 的な。泣かれてしまってはこちらとしても調子が狂う。どうすれば……

 とりあえず、何を言えばいいのか分からなくなったので抱きしめてみた。

 

「ごめんな穂乃果、穂乃果がいるのに」

「ぁ……お兄ちゃんには穂乃果がいるもん」

「そうだな。俺には穂乃果がいるから、それで十分だ」

「えへへっ」

 

 おっ、これは。割と効果があったらしい。穂乃果はすっかり上機嫌だ。さっきまでのことは忘れてしまっているらしい。

 じゃあこのまま課題の件も全部忘れてもらえたら――――

 

「あっ!? 違う違う、お兄ちゃん課題手伝って!! 忘れてたよ!」

 

 ……よかったんだけどなぁ。

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 結局俺は穂乃果の可愛らしいお願いに負け、課題を手伝うことになった。要は、例年通りである。

 

「お兄ちゃん! こっち丸つけといて!これ答え乗ってるやつね!」

「おう」

「お兄ちゃんこれも!」

「あいよっ」

「お兄ちゃんそのノリで英語の書き写し「それはお前がやれ!」あぅぅ……」

 

 穂乃果が答えを必死に写した問題集に丸付をする作業の流れで、あのくっそ面倒な英語の書き写しをやらせようとしてきた穂乃果を軽く叩く。叩く……? いや、これは叩いているんだ。

 

 穂乃果の頭を滑らすように手を頭に当てて少しこするような動きをとる。

 

 うん、これは立派に叩いているな。心なしか穂乃果が嬉しそうな顔をしているな……まさか穂乃果はいじめられたい系女子だったのか!?

 こんなに叩かれているのに、穂乃果と来たら……

 

「お兄ちゃんありがとう、もうある程度終わっちゃった。穂乃果英語の課題するから、お兄ちゃん休んでてよ!」

「穂乃果が終わるまで横にいるよ」

 

「え? で、でもそしたらお兄ちゃん暇になっちゃうよぅ……」

「いいんだよ。穂乃果も俺の課題終わるまでずっと一緒にいてくれただろ? お返しだ」

「お兄ちゃん……嬉しいっ」

 

 前回、俺は穂乃果と戯れたいという欲望に必死に課題をやっていた。その最中、穂乃果は俺につきっきりで課題が終わるのを待ってくれていた。

 なら、俺も待とうじゃないか、穂乃果を。

 

「穂乃果、何かしてほしいことはないか?」

「え? じゃ、じゃあ……ナデナデしててほしいかな」

「了解っ」

「えへへ、お兄ちゃんありがとっ! う~、なんかやる気出てきたあっ!」

「よっしゃそのいきだ穂乃果! 一気に終わらせちまえ!」

「おりゃああああ!」

 

 俺が穂乃果を撫で始めた途端、超スピードで英語を書き写していく穂乃果。

 いける……これなら! これならくっそ面倒なこの英語の課題、一瞬で終わるぞ……!!

 頑張れ穂乃果!そのまま突っ切れ!

 

 

 

 

 

「すぴー……」

「すぴー、じゃねえ!起きろ穂乃果!」

「ひゃうっ!?」

 

 撫で始めたばかりの時はよかった、すごく速かった。でもいつの間にか手が止まり、気づけばおやすみタイム。そして俺も、その穂乃果の寝顔を見ながら「おやすみ、穂乃果」などと意味の分からない発言を繰り出す始末。穂乃果の寝顔見てると、どうしてもそっとしておきたくなるんだよなぁ。

 しかし、今回ばかりはそうもいかず、無理やりたたき起こす。

 

「い、いつの間に穂乃果は寝てたんだろう」

「俺も分からん。ほら、まだ英語残ってるぞ、頑張れ頑張れ」

「う~、もうナデナデじゃ足りないよぉお兄ちゃぁん……」

「えー……」

 

 穂乃果を励まそうとまた撫で始めたのだが、もうそれでは足りないと言われてしまった。

 万事休すか?

 

「お兄ちゃん」

 

 穂乃果が俺を呼ぶ

 

「どうした穂乃果?」

「次は、穂乃果の後ろから抱き着いて来てほしいな」

「……後ろから?」

「うんっ。後ろからぎゅって。穂乃果を包み込んでほしいなぁって」

「?? あぁ、わかった」

 

 俺は言われた通り、穂乃果の後ろに回り、穂乃果を後ろから優しく包み込む。

 

「う~っ! お兄ちゃんの温かみで穂乃果の指もあったまってきたあっ!」

「お~!」

 

 そう言った穂乃果の指は、先ほど同様、超スピードで再び動き出していた。

 

「お兄ちゃん! 穂乃果を離さないでねっ」

「おう! 任せとけ!」

 

 俺の返事に応えるようにさらに加速していく穂乃果の指の動き。その指はまるで、その指1本1本に意思が宿っているかのよう。

 加速していく指の動きは限界を超え、そしてついに――――

 

 

「終わったあああっ!!」

「うおおお!!! やったぞ穂乃果!!」

 

 

 ものの1時間で片付けてしまった。確かに、前に俺がやったときよりも量は少なかったとはいえ、普通に考えれば到底1時間では終わらないような量をあっという間に終わらせてしまったのだ。さすがは穂乃果、やるときはやる女の子。

 

「やったよお兄ちゃん! ついに……ついに穂乃果は勝ったんだよ!!」

「あぁ、あぁ!! やったんだ穂乃果!!」

「やったよお兄ちゃん!!」

「やったな穂乃果!!」

「えへへっ、もっと抱きしめてっ!!」

「おうっ!」

「温かいねえ……お兄ちゃんっ」

「穂乃果も、温かいぞっ」

「お兄ちゃんっ!」

「穂乃果!!」

 

 もっと抱きしめて、の穂乃果の声に、俺は後ろからさらに強く穂乃果を抱きしめる。太陽のような温かさ、これが穂乃果。ぎゅーっと抱きしめて、撫でてを繰り返す。

 あぁ、幸せだ――――

 

 

 ドンッ!

 

 

「「!?」」

 

 突然の大きな音に2人して驚く。って、あれ?これデジャヴ感ある感じの……恐る恐る、大きな音の下方向を見る。

 するとそこには……

 

「ふふ~ん♪」

 

 

「「ひいいいいっ!?」」

 

 鬼の形相・高坂雪穂再臨。

 思い出した、これこの前の時もそうだったじゃん! 音の正体はドアを思いっきり開けられたときの音。

 そして、この雪穂の表情は……まずい

 

「2人とも~? な~んでこんなあっつい夏休みに、暑っ苦しそうにくっついてるのかなぁ?」

「「ひ、ひぃいいっ!!」」

「ってかさむっ!? 何度に設定してあ……20度!? 下げすぎだよ馬鹿兄妹!!」

「「ごっごめんなさいいいっ!!」」

「……ふふっ、ふふふっ……!」

「「あぁっ……あぁっ!」」

 

 雪穂の不気味な笑みをみて、悟る。

 

 あ、これ3時間コースだ、と。

 

 

「2人とも正座して!!」

 

「「は、はいいいっ!!!」」

 

 

 この後、無事に俺と穂乃果はこっぴどく叱られたのであった。

 ちなみに今回は、3時間を超してまさかの5時間コース、ベストを更新したぞ!やったな雪穂!!

 ……お母さんが止めてくれなかったら、さらに更新し続けたんだろうな、お母さん、ありがとう。

 

 




穂乃果ちゃん可愛いなぁ・・・
穂乃果ちゃん可愛いなぁ・・・・・・
穂乃果ちゃん可愛いなぁ・・・・・・・・・!!!

みなさんは夏休みの課題、どう処理しますかorしてましたか?

僕の場合は、夏休み前半に課題を半分終わらせ、夏休み終了1週間前に残りをすべて片付ける、というスタイルを毎年のようにやってました
やっぱり、けじめって大事なんです。だから夏休み真っ盛りの時期は基本、課題には一切手を触れず遊んでました。
前回の光穂の課題の件は、自分の過去を振り返りながら、ありのままに書きました(笑)
みなさんも、苦しまずに済む方法で、課題は終わらせましょうね?

学生に、戻りたいなぁ。

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