ということで今回は"小悪魔穂乃果ちゃん"を目指して書いてみたつもりだったのですがナニコレ感半端なくなりました。すいませんすいません。
Twitterにて投票を募ったところ、"小悪魔穂乃果ちゃん"が見たいという声が多かったので書いてみたのですが、思いのほか難しかったです
リベンジします。
半年近くやってきたこの小説に、なんと挿絵が追加されました!
この小説の読者様である、こーさかほたか様にいただきました。大変うれしいです!
挿絵、さっそくあらすじにて使わせていただいているので、ぜひご覧ください!
「お兄ちゃん、そろそろ学校行こうよ~! 先に玄関行ってるね!」
「おう! って、お、おい穂乃果」
「ん、どうしたの?」
「お、おま……すすすスカートの裾がパンツに」
「ほぇ?」
俺の目には、穂乃果の聖域が隠された布切れが見えている。
あぁ、あれは間違いなく、苺柄だ。
「あぁ、気づいちゃった?」
「……はい? いや、あの、気づいちゃったって、どゆこと?」
「えへへ、これね――――」
「お兄ちゃんに見せるために、わざとやったんだよ? さ、行こうよ!」
俺を見ながら意地悪そうな笑みを浮かべる穂乃果。朝っぱらから、俺の心臓がうるさい。
好きだよお兄ちゃんっ
「おっはよーことりちゃん、海未ちゃん!」
「おはよう穂乃果ちゃん!」
「おはようございます、穂乃果」
「お、おはよう2人とも」
「おはようございます光穂さん! ……光穂さん?」
「どうなさったのですか? 顔が赤いようですが」
「なななんでもないのよなんでも!!」
「ん~?」
「ふふふ……っ」
「穂乃果? なぜそんなに嬉しそうに笑って……」
「なんでもないよっ! ねっ、お兄ちゃん?」
「っ!! あ、あぁ! 何でもないぞ!」
「「??」」
いつものように、家の前ではことりちゃんと海未ちゃんの2人が待っていてくれた。しかしながらさっきの出来事もあり、顔が赤くなっているらしい。おかげで、いつものように腕を組んできた穂乃果にぎこちない返事をしてしまって、2人を警戒させてしまったようだ。
……二の腕あたりにくる、穂乃果の柔らかい部分が当たる感触が、さっきの出来事を頭の中にフラッシュバックさせる。やばい。
「穂乃果、今日はちょっと離れてくれないか?」
「「!?」」
「え~? ……もしかしてお兄ちゃん、穂乃果のこと、"好き"になっちゃった?」
「あぁっそうさ! 俺は穂乃果が好きだぞ!?」
「えへへ♪ じゃあ離れてあーげないっ♪」
「くっ!? ちょっ、逆にもっとくっつくのはやめろ!」
「え~♪ お兄ちゃんのいじわる~っ」
「なああああっ!!! スリスリしてくるのやめてくれ!!!」
「こ、これは……」
「どういうことなのでしょうか……」
な、なんなんだ今日の穂乃果はっ! "離れてくれ"と言ったにもかかわらず、穂乃果はさらに"腕にすり寄ってくる"、離れるどころかもっとくっついてくるのだ。
いつもとは違う俺らの様子に、2人は心底驚いたような顔をしてみているが、驚いているのは俺の方である。なんというか、やたら"性的なアクション"が多いというか……
いくら妹相手とはいえど、年頃の女の子を思春期真っ盛りの男子高校生が相手するのはなかなかにきついものがある……これは、今日1日がきつくなりそうだ。
と思っていたら
「じゃ、嫌がってるみたいだから離れるね」
「えっ」
さっきまで身体全部を押し当てるかの勢いで擦り寄ってきていた穂乃果が、あっさりと離れた。
「こっとりちゃ~んっ♪」
「わわっ! 穂乃果ちゃん!?」
「んん~♪ お兄ちゃんもいいけど、ことりちゃんの身体も柔らかくて癒されるよね~♪」
「ほ、穂乃果ちゃん……?」
離れたと思ったらすぐ、ことりちゃんに抱き着きに行った。いつも穂乃果は俺にべったりなため、あまり見慣れない光景に海未ちゃんもびっくりしているし、被害にあっていることりちゃんも相当驚いている。
そしてもちろん、俺も驚いている。
「はぁ~っ♪ ことりちゃん温かくて気持ちいいねっ。一家に一人ことりちゃんが欲しいかも」
「あ、あはは……」
「ねえことりちゃん」
「どうしたの穂乃果ちゃん……?」
穂乃果がことりちゃんに顔を向ける。なにか来る、そう思わせるようなオーラをまとって――――
「いっそのこと、もう"穂乃果のモノ"になってよ?」
「チュンッ!?」
「ことり!?」
「っ!!」
これだ、今朝見た穂乃果の"意地悪そうな顔"。ことりちゃんは顔を真っ赤にして放心状態、海未ちゃんは『こんな穂乃果は見たことない』と言わんばかりに慌てながらもことりちゃんを支えに入る、今朝、俺に見せてきたその表情は、普段の穂乃果からは考えられないほどに大人びていて、かつ意地悪さを秘めていて。
まるで、一時期話題になった"小悪魔系女子"と言われてしまうような、そんな雰囲気。
とにかく、その意地悪そうで大人びたその微笑の魅力に、俺もことりちゃんもやられてしまっている。
残るは海未ちゃんだけなのだが……
「はうっ!?」
悲鳴が上がったかと思えば、海未ちゃんもどうやら、被害にあったようだ。穂乃果はその2人の肩をもって支えながら、意地悪そうな微笑を相変わらず浮かべている。
「お兄ちゃん、ちょっと手伝ってくれない?」
ほんの少しだけいつもより距離を取りながら、俺は穂乃果に協力して、穂乃果はことりちゃんの、俺は海未ちゃんの肩を支えながら学校に向かった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「へぇ? 穂乃果がねえ……」
「それ本当なん?ちょっと見てみたいかもっ」
「穂乃果が新しいジャンルのアイドルを目指そうとしてるってわけね! いいことじゃない!」
「いや、あのなぁ」
放課後、俺ら3年生は部室で穂乃果のことを話していた。絢瀬は怪しむかのような様子でいるのだが、他の2人は完全に面白がっている。絶対やられるぞ、こいつら。
「あ! 来てるの3年生だけなんだね!」
「噂をすれば……穂乃果が来たわね――――えっ!?」
「どうしたあや――――なっ!?」
「は、花陽と……」
「凛ちゃんやん……」
「あぁ、この2人? ちょっとお話してたら、顔真っ赤にして倒れそうになっちゃったみたいでさぁ♪」
「嘘でしょ……」
衝撃の光景が、部室のドアの前にはあった。穂乃果の両脇に、ぐったりした様子で穂乃果に支えられている花陽ちゃんと凛ちゃんが。穂乃果の腕1本に身を任せる形で、2人はぐったりとしていた。
顔を真っ赤にして。
「穂乃果ちゃん……えへへ」
「凛、穂乃果ちゃんのお嫁さんになるにゃぁ……」
おそらくは今朝の穂乃果の微笑にやられたのであろう2人は、顔を真っ赤にしたままそんなことをつぶやいていた。完全に骨抜きにされている。
「ほら言っただろうが」
「う、嘘でしょ」
「本当やったんかいな」
「ふ~ん……」
「あ、ことりちゃんと海未ちゃんはちょっと遅れてくるって!」
さっきまで面白がっていた矢澤や東條も、この様子を見てようやく俺の話を信じてくれたらしい。絢瀬は割と平然としているが。穂乃果は両脇に抱えている2人をそれぞれの席に座らせながら、他の2年生のことを話す。
……海未ちゃんとことりちゃんは、大丈夫なのだろうか。
「あら? 花陽と凛は寝ているのかしら?」
「ま、真姫ちゃん!」
またドアが開けられたかと思えば、次は真姫ちゃんが。何も知らない真姫ちゃんは、座っている2人の様子をみて寝ていると思ったらしいのだが、それは違うぞ。
「ねえ、真姫ちゃん」
穂乃果が真姫ちゃんの方目がけて歩いてゆく。
真姫ちゃんの方を振り向く瞬間、あの微笑が浮かべられていたような――――
だとしたらまずい!!
「真姫ちゃん!穂乃果から離れろ!!」
「えっ!?」
しかしもう、遅かった。
ダンッ!
「!?」
真姫ちゃんが壁に背を向け、穂乃果がその真姫ちゃんの正面に立ち、逃がさないよう真姫ちゃんの首元の壁に勢いよく音を立てながら手を当てた。いわゆる"壁ドン"と言われる形を取りながら、穂乃果は真姫ちゃんの顎元を指で支え、自分の顔に真姫ちゃんの顔を向けさせる。
「真姫ちゃん、今日も綺麗だね。食べちゃいたいな」
「なっ、なっ……!?」
決め台詞ともとれるその言葉を発した穂乃果はそのまま真姫ちゃんを見つめ続ける。数秒見つめ合っていたが、徐々に顔が赤くなっていった真姫ちゃんは、カクリと首を落とした。穂乃果は、力が抜けてしまった真姫ちゃんを支えながら、何事もなかったかのように真姫ちゃんの席に彼女を座らせた。
絢瀬を除く3年生の2人は、顔が完全に固まっていた。
が、それもすぐに元に戻り
「ま、真姫はチョロすぎるのよ!」
「穂乃果ちゃん、新しい芸考えたんやね!」
などと平静を装っていた。
しかし……真姫ちゃんに対するあの技、穂乃果がやると半端ないな。穂乃果と一緒にいて18年、1度もあんな穂乃果は見たことなかったが、半端ない魅力に包まれている反面、今の穂乃果のように乱用されると、それはただの"武器"になってしまっている。
このままでは、今いる3年生すらもやられてしまって――――μ's陥落、なんてことになりかねない。
それだけは避けなければ……!
と思っていたら、絢瀬が口を開く。
「穂乃果、今日はもう部活お休みにしない?」
「えっ!? 絢瀬!?」
絢瀬が告げたのは"部活の休み"、絢瀬からそういうことを言ってくるのは珍しい。しかし、穂乃果がそうそう簡単に部活を休もうなんて、承認するとは――――
「うん、そうだね! 他のみんな、なんか疲れちゃってるみたいだし、仕方ないよね!」
あっさり承認。今日の穂乃果は、俺の予想の斜め上をいくらしい。あまりにあっさりすぎるその返事に、俺は驚いてばかりだった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
結局今日の部活は休みになり、下校することになった。そんな下校中、俺と穂乃果はいつも通り、手を繋いで帰っていた……少しだけ、身体と身体の隙間を多めに開けながら。
「お兄ちゃん、どうしてそんなに隙間を開けてるの?」
「え?」
バレていたらしい。予想外の言葉に、俺は驚いてしまい、言葉に詰まる……穂乃果の目がウルウルし始めた。
これは、まずい。
「お兄ちゃん、どうして避けるの? 寂しいよ……」
「いや! 避けてるわけじゃないぞ!? 避けてたらそもそも手なんてつながないだろ!?」
「でも……っ……いつもよりお兄ちゃん、余所余所しいし……ぅ」
「ちっちがうぞ!? そ、そうだ!ほらっギュッ!」
穂乃果が徐々に涙声になってきていたため、何とかしようとして俺は穂乃果を抱きしめた。こ、これならきっと、泣かないでくれるはず……
そう思って、抱きしめたのだが
「えへっ♪ お兄ちゃんもチョロいよねっ♪」
「え」
まるで最初から泣いてなんてなかったかのような笑顔で、そう言う穂乃果。は、ハメられた、だと? 何か言いようのない怒りがこみあげてくる。
あんま調子に乗ってっと、怒るぞ、そう言おうとした矢先
「やっぱりお兄ちゃん大好き! だからそんなお兄ちゃんには感謝のしるし、あげるねっ……ん」
"感謝のしるし"、そう言って穂乃果は自分の人差し指を自分の唇に軽く付け、その人差し指を
「はいっ♪」
「んっ?!」
俺の唇に、当ててきた。
「大好きだよ、お兄ちゃんっ」
今朝、部室で見たあの微笑を浮かべながら、俺にそう言った穂乃果は、少しだけ頬を赤く染めながら、微笑を照れくさそうな笑みに変えながら俺を見つめるのだった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
その日の夜、穂乃果が今朝のような様子を見せなくなったということで、俺は特に警戒することもなく、俺の部屋で2人でのんびりしていた。
「お兄ちゃん、この漫画ってどこに置いてるの?」
「あぁ、それはあの本棚の1番上にあるんだけど……取ろうか?」
「ううん! 穂乃果が取るから大丈夫だよっ!」
穂乃果は穂乃果、俺は俺で漫画を読んでいたのだが、穂乃果の読んでた方の漫画が読み終わったらしく、次の巻を場所を聞いてきた。漫画を集めるのが趣味な俺は、結構大きな本棚を買って、そこに本を並べてあるのだが、穂乃果が求めてる漫画はその本棚の1番上。穂乃果が背伸びをすればぎりぎり届く、そのくらいの高さにある。
案の上、穂乃果は背伸びをして取ろうとしているのだが、その姿が何ともふらついてて危なっかしい。しかし俺は様子を窺うだけで、しかしいつでも支えられるように立ったまま本を読み続けていたまま。正直漫画の内容なんて頭に入ってこないくらい穂乃果が心配なのだが、自分でやるといった以上、穂乃果は自分で成し遂げるまでやる、他人にはさせない。
「んしょ……やった! とれたよおにいちゃ……わわっ!?」
「穂乃果!?」
やはりというべきか、穂乃果が本を手にした瞬間にバランスを崩した。読み続けていたとはいえ常に構えていた俺は支えに入る。しかし、身体全体を支えるほどには及ばず、俺は穂乃果の後頭部をしっかり守ることしかできないまま、2人一緒に倒れてしまった。
「……お兄ちゃん」
「いつつ、膝打っちまった……大丈夫かほの――――!!」
倒れてしまった衝撃で俺は膝を打ってしまったせいで気づかなかったのだが、今確認して気づく。穂乃果が下、そして俺が覆いかぶさるように、上に。
それはまるで、俺が穂乃果を押し倒したかのようだった。
「ごっごめん穂乃果っ!」
俺はそう言って、穂乃果から離れようとした。
しかし
「……待ってお兄ちゃん」
俺の、穂乃果の後頭部を守っていた手を、穂乃果が優しくつかむ。そして穂乃果は、掴んだ俺の手の人差し指を、穂乃果の口元に当てながら、色気を帯びた穂乃果が頬を赤くしていく。
……ってこれ!! 完全にアレな展開じゃねえか!! 俺ら兄妹だぞ!? と、穂乃果の表情を見て慌てる俺の心を読むかのように、穂乃果が口を開く。
「……いいよ?」
「えっ?」
「いいよ……穂乃果、お兄ちゃんになら、穂乃果の全部、あげる」
「なっ、何を言って」
「お兄ちゃんになら、何されても、いいよ?」
大人びた色気を漂わせながら、俺を真っ直ぐに見つめる穂乃果――――そんなことされたら、俺もう、止められないぞ。
穂乃果の後頭部を持ち上げ、俺は色気が詰まった穂乃果の顔に、俺の唇を近づけ、目を閉じ――――
「きゃ~っ雪穂~っ!お兄ちゃんがいじめるよぉっ!!」
「っ!?」
俺はとっさに穂乃果から離れる。確認すると、心底意地悪そうな顔で俺をニヤニヤと見つめる穂乃果がいた。
「うっしっし!」
「こっこの……!!!」
「お兄ちゃんのキス顔、みちゃった♪」
「お前なぁっ!!」
ただのいたずらだったのだろうか、今の穂乃果はただただ意地悪そうなだけで、いつもの穂乃果といった感じだった。1度ならず2度までも穂乃果にハメられるなど……!!
「ごめんごめんっ♪ でも倒れそうになった穂乃果を支えてくれたお兄ちゃん、かっこよかったよ!」
「…………」
怒りと困惑で声が出せない俺に、あははと笑いながら謝ってくる穂乃果……これは、一度ガツンと言うべきだろうか。いたずらにしても、度が過ぎるぞこれは。
「あっ、もうこんな時間。それじゃ、部屋に戻るね!」
そんなことはまるで気にしてないといわんばかりに、穂乃果は部屋に戻ろうとする。うん、これは一度、言っておこう。俺が口を開こうとした、そのときだった。
「お兄ちゃん、穂乃果がさっき言ったこと、本当だよ?」
俺に背を向け、ドアノブを握ったまま、穂乃果が言う。
「穂乃果、お兄ちゃんにだけなら穂乃果の全部あげてもいいって、本気で思ってるよ」
言いながらドアを開き、振り向く。
「大好きだよ、お兄ちゃんっ。おやすみっ!」
振り向いた穂乃果は、さっき押し倒したときのような色気のある表情でそう告げ、ドアを閉めた。
俺はそのあと1人で、今日1日の穂乃果のことを振り返ることで頭がいっぱいになり、思ったように寝付けなかったのである。
その晩、絢瀬絵里は1人、1日を振り返っていた。
「ふふっ、やっぱり穂乃果がああいうキャラやると、インパクト強いわね。みんな一瞬でやられてたみたいだし。穂乃果に教えて正解だったかも」
「にしても、光穂くんはあの穂乃果を見てどう思ったのかしらね? 穂乃果、若干やりすぎ感があったから部活休みにして帰るよう伝えたものの……」
「ま、光穂くんのことだから、穂乃果のことは任せてて大丈夫でしょうね」
「きっと、明日には穂乃果から『ぅ絵里ちゃん!』だなんて呼ばれて、結果報告されるんでしょうね♪ 楽しみだわ!」
「……あっと、いけない。もうこんな時間だわ。目のクマなんてできちゃったら絶対にこから怒られるし、希からも心配されるだろうし」
「ふふっ、また穂乃果になにかやってもらおうかしらね♪ そしたらまた違った魅力が見つかるかもしれないし、きっとそんな穂乃果も可愛いわ! ふふふっ」
絢瀬絵里は、自分が教えた方法で新たな魅力を見出した穂乃果を思い、優しい笑みを浮かべながら、眠りにつくのであった。
小悪魔穂乃果ちゃんにいじめられたい人生だった
そんな私の欲望を、文にしてみた。そんな内容ですね。はい。
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