というわけで、前回に引き続きコラボ回です!
今回はこの作品と、自分の初投稿作品である『ー僕と2人の幼馴染の遠い記憶ー』との自作品コラボです!
両作品のUA数が50000を突破したことを記念しての記念コラボ回です!
ですが、前回のコラボ回とは違って、記憶の方の登場人物は出てきません
今回の内容としては、この作品のメインである"妹穂乃果ちゃん"と、記憶の方のメインである"ヤンデレ穂乃果ちゃん"の2人の穂乃果ちゃんの属性を足したもの
"設定のみのコラボ"という形で書かせていただきました。
でないと、双方の話に矛盾が生まれてしまうと思ったからです
要望の多かった"ヤンデレ妹穂乃果ちゃん"をこの機会に書かせていただきました
こんな機会が得られたのも皆様のおかげです!ありがとうございます!
これからも両作品ともよろしくお願いします!
ー僕と2人の幼馴染の遠い記憶ー
URL:https://novel.syosetu.org/63712/
「ふぅ~……」
1日の授業を終えた俺は、1人部室でくつろいでいた。今日は何かとハードな内容多かったからなぁ、疲れた。同じクラスの矢澤は日直のため、まだ来ていない。
机に突っ伏してだらけていると、ほんの少しだけドアが開いていることに気付いた。
「あれ? 俺ちゃんと閉めなかったっけ」
少し疑問を覚えながらも、俺はドアの方に向かい、再び閉めようとした。
そのときだった。
「お兄ちゃん」
「っ!? ……あ、穂乃果か」
ドアに手をかけた瞬間、"後ろから"声をかけられた。
そう、"後ろから"
「兄と妹~ときどき妹~」×「ー僕と2人の幼馴染の遠い記憶ー」
特別記念回
穂乃果……?
「お兄ちゃん……気づいてくれなかったね」
「お前、いつの間に部室に……というか先に来てたんなら俺に言ってくれよ。寂しかったじゃんか」
どこに隠れていたかは知らないが、全く気が付けなかった。
「えへへ、お兄ちゃんがだらけてるとこ、見ちゃった」
「やっぱ見られてたか。誰もいないと思ってたからつい、な」
「ふふっ、でもそういうお兄ちゃん、穂乃果は大好きだよ」
「そっか、ありがとな」
後ろからの登場には心底驚いたものの、いつものような笑顔で笑いかけてくる穂乃果。うん、やっぱり可愛いな。
ガチャッ、さっき閉めたドアが再び開かれる。
「あら? 穂乃果も来てたのね?」
「お、矢澤か」
「お兄ちゃんっ」
「おっと……」
日直の仕事を終えた矢澤が部室に来たのと同時に、穂乃果は俺にギュッと抱き着いてきた。
「よしよし、さっきは気づけなくてごめんな」
「えへへっ、特別に許しちゃうもん」
「良い子だな穂乃果は」
「あんたら、またそんなことやってるのね」
「失礼な、これは俺たち兄妹だからこそだぞ。な、穂乃果?」
「ん~っ、お兄ちゃん好きっ」
「……穂乃果?」
「はぁ。それを毎回見せられる私たちの身にもなってみなさいよ、全く」
「あ、あぁ」
矢澤は呆れたといわんばかりの様子で席についたが、俺は違和感を感じた。
今の穂乃果、周りを見てない……?
矢澤が来ても全くの反応を見せなかった。いつもなら、誰かが来たら「やっほー」くらいは言うはずなのに、今回は俺に抱き着いてくるだけ。
気のせいか?
「穂乃果、俺も席につきたいから離れてくれないか?」
抱き着かれたままだと座れなかったから、俺は穂乃果に離れるよう言ってみる。
しかし
「やだ」
「えっ?」
「穂乃果、ずっとお兄ちゃんにくっついてるもん」
「あー……」
離れてくれる気はないようだ。仕方がないから俺は、穂乃果をそのまま抱っこして、自分の椅子に座る。要は、座った状態で抱っこしてるような形だ。
「あんたら……兄妹って感じじゃないわよね」
「何言ってんだよ、穂乃果だから許されるんだよ」
「何その無理やり理論!? ほら、みんな来るから穂乃果も離れなさい?」
次は矢澤が離れるように言う。
しかし、今日の穂乃果は何かがおかしい。
「えへへ……お兄ちゃんの匂い、好きぃ」
「穂乃果? おーい、穂乃果~? いくらにこでも流石に無視はきついわよ~?」
「お兄ちゃんっ、お兄ちゃんっ……」
「おい穂乃果、矢澤が呼んでるぞ?」
「どうしたのお兄ちゃん? そんなに見つめられたら、もっと好きになっちゃうよ?」
「穂乃果……?」
やっぱりおかしい。矢澤の声がまったく届いていない。矢澤を見ると、やはり矢澤も何かしらの違和感を感じたようで、俺と顔を見合わせる。
ちょっと、これどうなってんのよ?
そう言いたげな矢澤だが、正直俺にも分からない。俺は首を横に振って返事をする。
「お兄ちゃん」
「おっ!?」
俺と矢澤の視線の間に顔を挟んでくる穂乃果。まるで、穂乃果以外を見るな、そういう雰囲気を醸し出している。
「お兄ちゃん……もっと見つめてほしいよぅ」
「あ、あぁ……ごめんな」
寂しそうな表情を見せてきたため、泣かさないようにするためにも穂乃果だけを見ることに集中する。
すると、他のメンバーが一斉に入ってきた。
「おっ、にこっちと光穂っちは先に来てたんやね! って、あぁ、またいつもの……」
「もう、意味わかんない」
「恥というものを知らないのでしょうか」
何やらいろいろと言われているのは分かってるのだが、ここでもしそっちに反応を示してまた悲しそうな顔をされるのはごめんだ。
「穂乃果ちゃん、みんなきたから練習始めよ?」
ことりちゃんが穂乃果に声をかける、だが
「ん……」
「ひっ!?」
「えっ!?」
穂乃果が俺の首筋を舐め始めた。首元を舐められるなんて人生初めてで、感じたことのない感覚に思わず悲鳴のような声をあげてしまった。それを目の前で見ていたことりちゃんもまた、驚きの声をあげた。
首筋を舐めている分、穂乃果の顔は俺の肩の横。正面が開いてくれたことにより、みんなとのアイコンタクトがとれるようになった。
顔は動かせないため、目線だけで確認すると、他のみんなもやはり、不思議そうな、不安そうな顔を浮かべていた。
このままでは場の雰囲気を悪くしてしまう。
矢澤を見ると、俺を見て大きくうなずいた。おそらく、何を思ったか通じたのだろう。
"部長"の許可も降りたので、俺は立ち上がる。
「ごめん、今日は穂乃果連れて帰るわ」
それだけ言い残し、俺にしがみついている穂乃果の荷物と俺の荷物2人分をもって、そのまま帰った。
帰る最中、ずっと穂乃果は俺の支え無しにしがみついたままだった。
「穂乃果、お前今日どうしたんだよ!?」
家につき、そのまま俺の部屋へと駆け上がって、座り込む。今もなお抱き着いたままの穂乃果を見つめ、そう問う。
「お兄ちゃんが好きすぎてつらいんだよぅ」
「いや、あぁ……それは嬉しいんだけど、そうじゃなくてさ」
目をウルウルさせながらそんなことを言われると、俺も返す言葉に困るわけだが、今回ばかりは異常事態。何せ俺以外の何者にも興味を示さず、ましてや俺の首元を舐めるなど今までになかったこと。
我が妹の行動とはいえ、少しの恐怖すら感じる。
「穂乃果、なんで矢澤の言葉を無視したんだ? それだけじゃないぞ、他のメンバーが来た時も、まるでいないかのような扱いだったし……ことりちゃんも可哀想だったぞ?」
俺は思っていた質問をここぞとばかりに投げかける。すると、"矢澤"や"ことりちゃん"の名前にぴくぴくと反応してるのが分かった。
それと同時に、顔色が、変わっていった。
「ねえ、ここには穂乃果しかいないんだよ? お兄ちゃん」
「え? あぁ、そうだな?」
「ねぇ、穂乃果はお兄ちゃんのこと、誰よりも一番に考えてるよ?」
「……あぁ、そうだな」
「ねぇ、お兄ちゃんは穂乃果のこと、好き?」
「……あぁ。誰よりも一番、好きだよ」
1つ1つの言葉を言うたび、穂乃果は笑う。不気味さを漂わせながら。その不気味さは、言葉を言いながら、徐々に増してゆく。
「ねえ、誰よりも好きなのに他の女の子のことを想うの?」
「……ごめん」
「ねぇ、なんで穂乃果しかいないこの部屋で他の女の子の名前を出すの?」
「…………」
「ねえ、お兄ちゃんは「もうやめてくれ!!」お兄ちゃんが悪いんだよっ!?」
「ぐわっ!?」
穂乃果から立て続けに食らう言葉責めに耐え切れなくなって声をあげた。しかしそれと同時に穂乃果も声を荒らげ、さらには俺の身体を思いっきり後ろに押し倒してきた。急すぎて、受け身も取れないまま後ろに倒れこんでしまった。
「えへへ……お兄ちゃんは穂乃果だけのものなんだから……」
「くっ」
「逃げようったって無駄だよ? ……というより、逃げられないよね? ふふふっ……!」
「っ!」
俺を押し倒してきた穂乃果は、そのまま俺の上に乗って、俺を見下す形で見てきた。逃げようと試みたものの、両手は穂乃果の腕によって抑え込まれ、股間の下あたりに穂乃果の両足があって足は動かせず、身体は穂乃果の身体と重なるようにくっついてて身動きがとれない。
女の子の力のはずなのに、全くと言っていいほど身体が動かせない。まるで鎖に拘束されてしまっているかのようだ。
「穂乃果も悪いことしたなぁって思っちゃったよ! だってそうだよね!? 穂乃果のこと以外を考えちゃうくらいには、まだお兄ちゃんは穂乃果色に染まってなかったってことだもんね!? ごめんねお兄ちゃん、辛かったよね! でももう大丈夫だよ、今からお兄ちゃんは身も心も穂乃果だけのモノにするから!!」
息を荒らげながらそういう穂乃果はまるで、獣のようだった。息は荒いものの、言葉を長々と連ねながら俺を逃がさないようきっちり抑え、それでいて
目の色が、暗い。
穂乃果の暗い瞳が、徐々に俺の顔に近づいてくる。
怖い
「お兄ちゃん……お兄ちゃん……!」
怖い
「お兄ちゃんっ……お兄ちゃんっ……!!」
怖い
「これで、お兄ちゃんは――――」
怖い
「ホノカノモノダヨ」
怖い――――っ!!!
「……あれ?」
怖さのあまり、目を閉じてしまっていた俺。しかし、何秒経っても、何も起こらない。だが俺の身体の上には、確かな重みがある。
恐る恐る、目を開けてみた。
「えへへっ」
「…………」
そこには、"明るい"瞳の穂乃果の顔が、あった。
「えへへっ♪ ドッキリ大成功だよっ!!」
「……は?」
うししと悪そうに笑う穂乃果。
「怖かった? これ実はドッキリだったの! μ'sのみんなにも協力してもらってたんだよ!?」
……μ's全員での、ドッキリ?
「大成功だね~、まさかお兄ちゃんがここまで引っかかってくれるなんてね~♪」
ドッキリ、そう言って穂乃果は、楽しそうに笑っている。
こいつ、俺がどんだけの想いをしたと思ってるんだ。こいつだけじゃなくて他の奴等も協力してたのかよ。
そう思うと怒りがこみあげてきて――――
「穂乃果ぁっ!!!」
「あっ……えへへ」
怒りなんかよりも、安心したという思いが強くなって、俺は正気に戻ってくれた穂乃果を思いっきり抱きしめた。
「よかったっ……よかったっ」
「うわっお兄ちゃん苦しいよぉっ」
「うるせえ! 俺がどれだけ怖い思いをしたと……っ」
「お兄ちゃん……」
「もしあのまま何かされて、今まで通りの兄妹でいられなくなったらって思うと、俺っ……俺っ」
「ごめんねお兄ちゃん。もう二度としないから」
いつもは抱きしめられる側の俺だったが、この時だけは、俺が穂乃果を精いっぱい抱きしめた。
もう、こんな悲劇はごめんだ――――
その日の夜。
俺は矢澤にドッキリの件でメッセージを送る。穂乃果やほかのメンバーに騙されるのはまだしも、矢澤に騙されたと思うと怒りがこみあげてくる。
『おい矢澤、よくもドッキリとかやってくれたな? 明日覚えてろよ?』
いつものノリではない、本気の怒りのメッセージを送り付けた。どうせあいつのことだ、ネタだと思って茶化してくるはず。
そう、思ったのだが
『は? ドッキリ? そんなことより穂乃果の様子はどうなのよ!?』
この返しである。
しかし、ここで疑問に思う。
ドッキリという単語を出したにも関わらず、穂乃果の様子を気にしてきたのだ。普通、穂乃果に協力してたのなら、俺のメッセージを見た時点で"ドッキリが成功した"ということくらい予想がつくはず。ましてや穂乃果のことだ。成功したならグループチャットなりでみんなに伝えているはず。
ここで、矢澤に1つの質問をする。
『おい矢澤。1つだけいいか』
『何よ。もうにこは寝る時間なんだけど?』
『ごめん。今日の穂乃果、どう思った?』
『何よ改まって、柄でもない……そうね、普通じゃなかった、っていうところかしら? あんたらが帰った後も、部室内ではその話してて、結局練習できなかったんだから。ところで穂乃果は大丈夫なの!? 心配なんだけど?』
普通じゃなかった。この発言で確信をもつ。
今回の穂乃果は、穂乃果自身で仕組んだものだった。μ'sは一切関係していない、むしろみんなは犠牲者側だった。
だとすると、さっきまでの穂乃果は一体――――
「ねえお兄ちゃん、もうそそろそ寝ちゃおうよ?」
「え? あ、あぁ、そうだな」
いつの間にか俺のベッドに入っていた穂乃果が、俺をベッドに呼ぶ。さっきまでのことはまったく気にしていないかの様子。ったく、こっちはお前のことで頭がいっぱいだってのに。
呼ばれるまま、俺はベッドに入り、穂乃果と一緒に横になる。
「お兄ちゃんの匂い、穂乃果好きなんだぁ♪」
「そ、そうか」
「うんっ!」
俺の匂いの話をしたとき、少しだけヒヤッとしたが、別にそれ以外に変化はない。いつも通り、可愛い穂乃果だ。
少しだけ、見つめ合った後
「ふぁぁ、眠くなっちゃった。」
「そうだな、もう遅い時間だしな」
穂乃果が可愛らしく欠伸をする。欠伸すらいちいち可愛いのが我が妹である。さすがだ。
「うん……じゃあ、もう寝よ? おやすみっ」
「おう、おやすみな」
「あ、そうだ! 寝る前に一つだけ!」
「ん? なんだ――――っ!?」
「お兄ちゃんは、穂乃果だけのモノダカラネ?」
完全に油断していた俺に、グサリと刺さったその眼差しを、俺は見逃さなかった。
目を閉じるその瞬間、さっきまでの穂乃果の"暗い"目になっていたのを――――――――
その日以降、俺は穂乃果の"暗い"瞳を見たことはない。
いかがでしたか?
この作品では書かない表現
というより、記憶の方でよく書いてるような表現を多めに使ってみました
一応コラボですからね、穂乃果ちゃん可愛い
私も穂乃果ちゃんに押し倒されたいなぁ・・・
ちなみに、前回は『隣のお姉ちゃんは幼馴染』との自作品コラボもやってみました
こちらはがっつりとコラボしてますので、よければどうぞ!
隣のお姉ちゃんは幼馴染
URL:https://novel.syosetu.org/83100/