ではなく、今回は雪穂ちゃんです。
盛大な勘違いをします。
雪穂ちゃんファンには先に謝っておきます、すいませんでした(目そらし)
作者の欲望だけで書き上げてます(ゲス顔)
「へっくち!」
「ん? どうした穂乃果、風邪か?」
「う〜、窓開けたまま寝てたのがダメだったのかなぁ」
「寝冷えしちゃったのかもな〜。よーし、それじゃあお兄ちゃんとっておきのやつ、穂乃果にあげちゃおうかな!」
「え! なになにお兄ちゃん!?」
「確かこの辺に……あったあった、これだ!」
「え」
「風邪引いたらとりあえずこれ飲めば大丈夫!っていうほど有名な――――」
「''お薬''だ!!」
「え〜!? お兄ちゃんのとっておきって、お薬のことだったの!?」
「え、それ以外に何かあるか?」
「う……」
「水なしで飲めるから、さっさと飲んじゃえよ?」
「え〜……いーやーだー! 飲みたくない〜!!」
「飲めば治るからつべこべ言わず飲め!」
「お、お兄ちゃんが出してくれたものでも、苦いのは流石に飲みたくないよ!」
「これそんなに苦くないから飲めるぞ!」
「でもいーやーだー!!」
「いいから飲めよおら!」
「うぁ!? やめてよお兄ちゃん!?」
「飲まないなら無理矢理口に入れてやるよ!!」
「嫌〜っ!」
『――――やめてよお兄ちゃん!?』
『飲まないなら無理矢理口に入れてやるよ!!』
『嫌〜っ!』
「えっ……」
「これってまさか――――お兄ちゃんがついにお姉ちゃんに手を出してる!?」
勘違い雪穂ちゃん
「ただいま〜」
「あら、おかえり雪穂」
「ただいま。ん……お兄ちゃん達は?」
「光穂たちなら部屋にいるわよ? まったく、仲のいい兄妹よね〜♪」
「まぁあの2人だからねぇ……」
「雪穂も行くんでしょ? ならおやつと飲み物持っていきなさい」
「ありがとっ」
家に帰ってきた私は、お母さんから受け取った飲み物とおやつを持って、お兄ちゃんたちのところに向かったんだ。
今日はどうやらお兄ちゃんの部屋にいるらしく、お兄ちゃんの部屋からなにやら騒がしい声が聞こえてきたんだけど……
『飲まないなら無理矢理口にいれてやるよ!!』
『嫌〜っ!』
ど、どうしようお兄ちゃんがお姉ちゃんに手を出そうとしてる……
これってつまり――――
"イケないこと"を、しようとしてるんだよね?
仲がいいのは分かってたけど、まさかお兄ちゃんが暴走するなんて……た、たぶんだけど口に入れるって……お兄ちゃんの''男の子の部分''を、だよね?
お姉ちゃんの嫌がり方が、何かに怖がってるような感じだし。
にしてもお兄ちゃん、ついにお姉ちゃんを性的な目で見始めたんだね……! 見損なったよ!
……い、いやいや! これはきっと私の思い違い! きっとそういうイヤらしい聞こえ方してるだけで、実際はお姉ちゃんがワガママ言ってるだけだよ、うん。
だってお兄ちゃん、肝心なところでビビるからね。そんな、世間的にやっちゃダメなことは絶対にできないはずだし。
と、とりあえず、もうちょっとだけ、もうちょっとだけ聞いててみようかな……
「おらっ、口開けろよ!」
「んー!! んんーっ!」
「頑固だな……まぁそこも可愛いとこだけども、今日に限っては絶対に飲んでもらうからな!!」
「んんっ!!」
「首振ったって無駄だぞ!」
『首振ったって無駄だぞ!』
いやいやいやいや!! これ絶対にそうだよね!? しかも嫌がるお姉ちゃんに対して無理やり!? あのお兄ちゃんが!?
あ、でももしかしたら、お兄ちゃんが料理作って、それを嫌がるお姉ちゃんに試食させようとしてる――――
いや、それは絶対にないかな。だってお姉ちゃんなら、たとえ焦げたパンくずでもお兄ちゃんが作ったものと分かれば笑顔で完食するだろうし……
てことは……本当に嫌がるお姉ちゃんに無理やりイケないことをしようとしてる!?
で、でもお兄ちゃんがそんなことするなんて……信じられないし信じたくない。
も、もうちょっと様子を見ようかな――――
「ん~っ!!」
「はぁ、頑なに嫌がるな。じゃあ分かった、もし素直に飲んでくれたらご褒美をやろう」
「……えっ?」
「穂乃果はご褒美大好きだからな、嫌なもの飲んだら、ご褒美あげるよ」
「ぁっ、ご褒美欲しい……」
「可愛い穂乃果が嫌がることをするんだ、ご褒美くらいあったっておかしくないだろう」
「……本当に、ご褒美くれる?」
「あぁ、あげるよ。いっぱい」
「あぅ……じゃあ、穂乃果頑張るから――――いっぱいしてね?」
「おう、もちろんだ」
『――――いっぱいシてね?』
『おう、もちろんだ』
あれええええええ!?
嫌がってたはずのお姉ちゃんが"ご褒美"の一言で陥落しちゃった!? というか"ご褒美"ってなに!? "ご褒美"!? ふえええ!?
あんだけ嫌がってたのに、自分から求めちゃうくらい、"ご褒美"ってすごいのかな――――
って! 私まで"ご褒美"につられちゃうところだったよ!!
……でも待って。お姉ちゃんだから、そりゃ大好きなお兄ちゃんから"ご褒美"がもらえるんなら、たとえその"ご褒美"がビンタであったとしても喜ぶんじゃ……?
いやいやいや、それじゃお姉ちゃんが飛び切りの変態みたいな言い方になっちゃうよ。変態なのはうちの変態お兄ちゃんだけでいい。
と、止めるべきなのかな。ううん、本当は止めなきゃいけないんだ。だけど……も、もうちょっとだけ! もうちょっとだけ様子を見よう!
いくらなんでも兄妹の一線を越えるようなことをするはずないしね!!
それにしても、"ご褒美"ってなんだろう……?
「それじゃ、ちゃんと飲んでくれよ?」
「う、うん。頑張るよっ」
「よし、その活きだ。ほら、口開けろ?」
「ぅ……あ、あーん」
「良い子だ。入れるぞ?はいあーん」
「んっ……んむぅ。苦いぃ」
「頑張れ穂乃果、ゴックンだ」
「ん……ゴクッ」
「あーんして確認させてくれ」
「あーん」
「お、ちゃんと飲んだな! さすがは穂乃果だな!」
「えへへ……お、お兄ちゃん……」
「分かってる、"ご褒美"だな?」
「う、うんっ!」
「準備はできてる。ほら、おいで」
「ぁ……うん――――あっ♡」
私は無い知恵絞って"ご褒美"とやらの内容を必死に考えていた。
2人の言う"ご褒美"とは……抱っこ?キス?それとも――――
『準備はできてる。ほら、おいで』
『ぁ……うん――――あっ♡』
!?
今のお姉ちゃんの思わず漏れたような色っぽい声……まさか!?
"ご褒美"って"本番行為"のことだったの!?
そ、そんな……! お兄ちゃんとお姉ちゃんは、本当に兄妹の一線を……!?
そ、そんなの――――
「だめええええええええっ!!!!」
「ひぅ!?」
「ゆ、雪穂!?」
思わずドアを思いっきり開けて、大声あげて止めに入っちゃった。
けど、こうなったら正面突破、何が何でもこれ以上はさせない!!
2人は抱き合った状態で向かい合ってた。きっともう、お姉ちゃんの中に、お兄ちゃんは――――
2人はなぜか服を来てて、脱いだ形跡はないことに気が付いたけど、きっと2人は着衣プレイに興味があったんだ。きっとそうに違いない……!
「2人とも! 兄妹なのにそんなことしちゃダメだよ!?」
「えっ!?」
「ゆ、雪穂……?」
「お兄ちゃんには見損なったよ! 嫌がるお姉ちゃんの口の中に無理矢理入れようとするなんてさ!!」
「お、おう……?」
「それに!! お姉ちゃんもお姉ちゃんだよ!! "ご褒美"なんて甘い誘惑にあっさり落ちたかと思えば、その"ご褒美"がそれなの!? 結局お姉ちゃんもその気だったんでしょ!?ありえないよ!!」
「え、え?」
「お兄ちゃんとお姉ちゃんはあくまで"兄妹"なんだよ!? なのにさぁ――――」
「"イケないこと"するなんておかしいよ!!」
「……は?」
「い、イケないこと?」
「そうだよ!! 2人で部屋で何してるかと思えば! 兄妹っていう一線超えちゃおうとするなんておかしいよ!!」
「すまん、雪穂が何を言ってるのか全く分からん」
「ほ、穂乃果も」
「はぁ!?」
この2人、この期に及んでまだそんなとぼけたこと言ってる!
これは、もうちょっと言い詰めないといけないかな。
「お兄ちゃんはさぁ! お姉ちゃんに無理矢理お、男の子の部分を咥えさせようとしてたわけでしょ!? それに対してお姉ちゃんは"ご褒美"なんて言われてすぐ応えちゃうし、しかもその"ご褒美"も"2人で繋がる"ことだったなんてさぁ!! 兄妹だよ!?」
「「………………」」
「な、なんで黙ってるの!! 何か言ってよ!」
私が言い詰めると、2人ともきょとんとして何も言わなくなっちゃった。流石にこれだけ言ったら2人とも泣いちゃうかな?
「なぁ、雪穂。1ついいか?」
「……なに?言い訳なら聞きたくないんだけど。」
「言い訳っていうか、その、な? 俺そんな如何わしいことしてたわけじゃなくってさ――――」
「"風邪薬"、飲ませただけだぜ?」
「……え? い、いやでもそんなことないでしょ! ご、"ご褒美"なんて言い方しちゃってさ!! 結局は2人でイケないことしたかっただけでしょ!?」
「いや、その"ご褒美"を何勘違いしたのか知らんが、ただの"ナデナデ"だぞ? なぁ、穂乃果?」
「う、うん」
「えっ……でっでも! すごくイヤらしい声あげたじゃんお姉ちゃん!」
「あぅ……そ、それは、ナデナデするときのお兄ちゃんの手が、いつもより優しいタッチだったから、つい。えへへ」
「でも! 今抱き合ってるのはなに!? 2人でイケないところが繋がってるのを隠してるんでしょ!?」
「え? 穂乃果がお兄ちゃんから"ナデナデ"してもらうときいっつも抱き着いてから"ナデナデ"されてるんだけど……」
「穂乃果は甘えん坊だからな、抱き着いてくるのを俺は待たなきゃいけないんだわ」
「えっ……じゃ、じゃあ2人はイケないことなんて何も……?」
「それどころか、健康な身体に戻すために"良いこと"をしたはずだけど? イケないのはそのエロい考え方してる雪穂の頭なんじゃないのか?」
「なっ……ぁ……あぁっ」
2人はなお私をきょとんとした顔で見続けてくる。イケないことなんて何もしてなかった。
むしろお姉ちゃんが風邪を引いてしまったのを治すための"良いもの"をお姉ちゃんに飲ませようとしただけ……
こ、これじゃあまるでっ――――
「私が変態いいいいいいっ!!!!!」
「あっ!?」
「雪穂!?」
よく見たらテーブルの上にお馴染みの名前の風邪薬の箱おいてあったし!!! 水無し一錠ってはっきり書いてあったし!!!
お母さんから受け取ったお菓子たちをお兄ちゃんの部屋のドアの前に置きっぱなしにしたままで、私は自分の部屋に駆け戻り、ベッドの中でうずくまった。
赤っ恥をかいた、そんな私の1日でした。
ここからは、そのあとの話だ。俺の部屋を飛び出していった雪穂を追って、俺ら2人も雪穂の部屋に行ったんだが
『今は一人にして!』
の一言に撃沈。ああいうときの雪穂は本当に困ったもので、平気で1日口をきいてくれなくなる。しかも、今回は内容が内容だったがために余計にだ。
晩ご飯の時すら部屋から出ることがなかった雪穂のために、俺は自分用に買っておいたケーキを、穂乃果にバレない様に雪穂の部屋に行き、ケーキ置いとくからと一声、ドア越しに伝えた。
出てきてくれなかったので仕方なく部屋に戻ろうとしたところ、ドアが開く音と共に雪穂が顔を出した。
「ありがと……」
そう一言言ってきた雪穂は、目と顔を真っ赤にさせて、目頭に少しだけ涙を浮かべていた。
俺はそんな雪穂を見て、思わず雪穂の方に近よって、優しく抱きとめ"ナデナデ"した。
そのあと、雪穂から部屋に入るよう促された俺は、雪穂が寝るまでずっと雪穂に付き添っていたのだった。
スヤスヤと眠る愛しい妹の寝顔を拝んだあと俺の部屋に戻ると、そこにはあたかも自分の部屋であるかのような大胆さで、俺のベッドの上で漫画を開きっぱなしで爆睡している穂乃果の姿があった。
スヤスヤと可愛らしく眠っていた妹と、大胆にぐーたらな様子を隠すこともなく寝ている妹。
この2人の差に思わずため息が出てしまったのだった。
雪穂ちゃんって、涼しい顔してすごいこと考えてそうですよね。
そんでもって、恥ずかしいことやらかしたとき真っ赤な顔して逃げ出しそうですよね。
めちゃんこ可愛いです。
そしてそして、わざわざ言う必要もないかと思いますが・・・
穂乃果ちゃんにお薬を飲ませてあげたい人生だった。
今回は、作者の欲望がたっぷり詰まってました。
いつも以上に。